Cubase備忘録。ミキサー等の表示がおかしくなったら、AppdataのDefaults.xml削除だけで問題無く復旧できます。また、Defaults.xmlの消去によって初期化されてしまう設定箇所についてもメモ。
(2021年3月17日更新)
- ■先に結論
- ■今回のトラブルの概要
- ■どういう操作で発生する問題か?
- ■復旧方法
- ■類似するミキサー表示トラブル
- ■関連、ワークスペース破損
- ■おまけ、わざとに極小ミキサーにするメリット
- ■テンプレートとDefaults.xml
- ■その他、ミキサーのSendやフェーダーが消えた時も同じ方法でOK!
- ■Windows Aero機能「ジャンプリスト」が崩壊する不具合
- ■関連記事
■先に結論
「表示系のトラブル」のほとんどは、Defaults.xmlを消せば治ります。
ただし、表示系に僅かな副作用が起きます。
- Cubaseを完全に終了して、
- (Windows)C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Steinberg\Cubase(バージョン数)
- Defaults.xmlを消して、Cubaseを終了。
- Cubaseを再起動
Cubaseのバージョンによって若干違います。
不確定情報ですが、Cubase11からは管理方法が変わっている様子です。
・OS設定、隠しファイルを表示する必要がある
Windows、Appdataは隠しファイルです。「隠しファイル 表示」などでネット検索して、表示方法を習得してください。
MAC OSの場合はhttps://helpcenter.steinberg.de/hc/en-us/articles/115000245510-Preferences-of-Cubase-and-Nuendo を参照。隠しファイルを表示する必要があります。
(同様の記事、日本語版リンク。ただし内容は英語版より少ない。「設定の保存場所について」)
これで分からない初心者は以下の記事内容を参考にしてください。
・そんな怖い操作をしなくても良いことがほとんどだけど
記事の後半にいくつか書きますが、Cubaseを起動したまま、ちょっとした操作で治るものもあります。
でもトラブル状態に応じて解決方法をいくつも覚えるくらいなら「考えるのもが面倒だ!休憩ついでにDefaults.xmlを消して解決!」という方針も悪くはありません。
私のようにレッスンやトラブルシュートを仕事にしている人なら謎機能を色々知っておく必要性がありますが、純粋な音楽家がコンピュータの面倒な機能を熟知することで消耗するのは社会の損失です。シンプルであること、迅速であることは全てに勝ります。
「終了してDefaults.xmlを削除して再起動」という方法は、全てのCubaseユーザーが覚えておいて絶対に損の無い、万能に近いトラブル解決方法なんです。
まれに別の表示トラブルが併発しますが、おおむねデフォルト状態に戻るだけなので、復旧は簡単なはずです。
■今回のトラブルの概要
Cubase9以降で報告されている既知の問題です。
ミキサー上部のツールバーが消えてしまうことがあります。
これではミキサーに表示するメニュー選択や、ミキサー内Undoなどができません。
・正式名はMixConsole ツールバー
これは海外フォーラムではすでに解決済みの問題です。
なお、この部分の正式名称は「MixConsole ツールバー」です。
カタカナの前に半角スペースです。
興味がある人はマニュアルPDFで上の文字列を検索してみてください。
■どういう操作で発生する問題か?
ミキサーを縦に極端に縮めると、MixConsole ツールバーが無くなるまで小さくできます。ミニマリストにとっては最高!かもしれませんが、
縦に拡大すると、消えたままです。
Cubase内でこの状態を復旧する方法は存在しません。
■復旧方法
「Cubaseを完全に終了した状態」でDefaultx.xmlを消します。
AppDataの場所は、
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Steinberg\Cubase 9.5_64
です。
・AppDataフォルダとは何か?
AppDataというフォルダは隠しフォルダです。隠されているくらいなので、とても重要なファイル群だとだけ理解すればOKです。詳しい説明は面倒なので割愛。
出し方が分からない人は、「AppData 表示方法」でググれ。
(このAppData表示モードは、全ての問題が解決したら元に戻しておくことを推奨します。理由が分かってる人はそのままでOK。)
・Defaults.xmlとは何か?
これも説明は面倒なので割愛。
消してもCubaseを改めて起動した時に、自動で生成されます。
その際、オーディオ接続と製品登録について問われますが、問題ありません。使用するデバイスを選び、「すでに登録済み」を押してOK。
これでツールバーが復旧します。
・喪失すること
初期化されてしまうのは、
- 「ミキサーの表示設定」
- ファイルメニューにある「最近使用したプロジェクト」の名前一覧
- エディターやメニューなど、サブウィンドウのサイズ
- オーディオ書き出し設定(※後述)
- タイムリニア※※
などです。
よほど緻密な設定をしていない限り、問題は無いはずです。
最近使用したプロジェクトファイルをこまめに切り替える人にとってはダメージが大きいかもしれません。Defaults.xmlを消す前にスクリーンショットをキープしておくと、「どのプロジェクトに触っていたか?」の復旧がスムーズになります。
・オーディオ書き出し設定の「iXMLチャンク」がオンに戻ってしまう!
Cubaseのクソ機能「iXMLチャンク」はデフォルトではオンです。必ずオフにしましょう。必ず。理由は下の記事にて。
eki-docomokirai.hatenablog.com
・タイムリニアの設定
映像合わせや、テンポの動きまくるクラシック系をやる人にとって致命的。
キーエディタ(ピアノロール)がテンポに応じて伸縮表示される設定です。
ルーラー(画面上部の小節数の出ているところ)から設定しなおします。
・影響が無いこと
ショートカット設定等は以前のままです。
色設定、ワークスペース、プラグインの初期設定やプリセットなども影響を受けません。
つまり「Defaults.xmlの削除」は気軽に行っても、ほぼ問題の無い操作ということです。
・応用
Defaults.xmlの削除は、Cubaseに何か問題が起きた時に気楽に削除しても構いません。何かおかしくなって再インストールを覚悟するレベルだったら、まずDefaults.xmlの削除を試してみてください。たいていの問題はこれだけで解消します。この方法はかなり古いCubaseから共通するメンテンナス方法です。
なお、Defaults.xmlについては拙著でも少しだけ解説しています。ファイル内を直接書き換えることでCubaseを改造する方法もあります。が、正直おすすめできません。暇なマニア向け。
■類似するミキサー表示トラブル
・ミキサーの見切れ
右側が切れてしまうこともあります。(9.5.5)
■関連、ワークスペース破損
Window Layouts.xmlに格納されています。
安直に見つかりそうなクラス名については総当りしましたが、ミックスコンソールのツールバー破損については見つかりませんでした。
というか、.xmlファイルから当該破損箇所を探すより、Cubase上でワークスペースそのものを作り直した方が絶対速いです。
下画像は試しにファイル特定した際の作業。
という手順で、位置追跡しました。割と常套手段だと思う。
もしファイル書き換えでワークスペース破損を修復したい人がいたらがんばってください。私は投げました。
■おまけ、わざとに極小ミキサーにするメリット
ショートカット割当ができない機能も含まれているので、このツールバーを消すメリットは皆無です。
ただし、3枚表示できるミキサーのうちの1つだけをツールバー無しにしておくことにはメリットがあります。
非常に小さい状態にしておいて、リファレンスとの切り替えや、インプット音の管理だけのために画面端に置いておくのは非常に便利です。
ミキサーのゾーン表示設定にもよりますが、変則的な使い方もできます。極小ミキサーを模索してみると、あなたの制作スタイルに合った使い方が見つかるかもしれません。
■テンプレートとDefaults.xml
表示が崩れた状態でテンプレートを作ると、崩れた状態がテンプレートとして保存されてしまいます。つまり、その表示の崩れた状態のテンプレートを一度でも使うと、その後のCubase上の全ての表示が崩れます。
毎回Defaults.xmlを削除しなければならない状況になり、大変非効率です。
テンプレートを改善しましょう。
もし崩れているなら、
という手順で、テンプレートを綺麗にしておくことをオススメします。暇な時のtodoに記入をどうぞ。
なお、今回の記事を作るきっかけになったのはこの事件でした。
■その他、ミキサーのSendやフェーダーが消えた時も同じ方法でOK!
スクショはありませんが、ほぼすべてのGUI系トラブルは同じ方法で復旧できます。
これで直るはずです。
もし、
「これも直せた!」
「これは直ったけど、あっちがおかしくなったぞ!」
などのご報告があれば、コメント欄に記入をお願いします。
その一言が、多くの人の助けになるかもしれません。
・そんなことをやるまでもないミキサー表示トラブル
ミキサーの表示カテゴリが1つしか出なくなるトラブル。
指定したカテゴリしか出なくなるので、やってられん状態。
これは「ラック」機能で復旧・管理できます。
「MixConsole ツールバー」にある「ラック」の横の*をクリック。
「ラックを設定にリンク」をオフにする。
これで複数カテゴリが同時に表示される。こうじゃなきゃね。
表示カテゴリの選択は「ラック」の文字部分をクリックして指定。
正直いらんものが多すぎる。
いらんものが多くなりすぎたから「じゃあ選択したものだけ出す機能つけようぜ!」となったんだと思います。インサート数も過剰に増えたし、モバイル用途も広がってきたし、その両立のために無理やり付け足した機能なんだろうなぁと思ってる。
ラックやチャンネルタイプフィルターなどの機能はデザインに一貫性が無いのでどうにかして欲しい。
複雑化しすぎたアプリケーションのGUIデザインはMicrosoft Officeの機能検索機能が恐ろしく洗練されているので見習って欲しい。
やりたい操作名を検索欄に入れると「これのことか?」といくつかの提案を出してくれるアレね。
「フォント」って入れると、フォント関連の様々な機能に一発アクセスできるボタンが並ぶの。すげーよこのデザインセンスは。全DAW、全クリエイターツールは今すぐこれをパクるべきだと思うぞ。
Cubase的には関連する自作マクロも並べてくれると最高だと思う。たとえば「ストレッチ」って入れるとオーディオのタイムストレッチと、そのアルゴリズム選択、MIDIストレッチ系マクロなどを並べてくれれば良い。
Officeのこの機能は上級者向けに高度すぎる機能と、初心者が迷う部分を同時に解決してくれている。リボンはセンスが無いけど、この検索機能は天才的だ。
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話を戻す。
もし「ラック」ボタンそのものが表示されていないなら、MixConsole ツールバー自体の表示設定。歯車を押して表示項目を直す。
せっかくだからこの機会にボタンの並び順を徹底的になおしておくことを強く推奨します。
そういうお話を拙著「Cubaseカスタマイズの教科書」では死ぬほど網羅しています。
eki-docomokirai.hatenablog.com
どうでも良い機能追加のためにCubaseをアップデートするくらいなら、この本を買って今持ってるCubaseを使いやすくした方が恩恵がある。まじで。
■Windows Aero機能「ジャンプリスト」が崩壊する不具合
Defaults.xmlを削除すると、WindowのAero機能のひとつ「ジャンプリスト」は壊れることがあります。修復方法は不明です。進展があったら書きます。たぶん。
eki-docomokirai.hatenablog.com
■関連記事
Cubaseの復旧系の記事をまとめておきます。
eki-docomokirai.hatenablog.com
eki-docomokirai.hatenablog.com
OS内のファイル検索ツールなどの紹介。
今回の「Defaults.xml」など、場所が分かりにくいファイルを瞬時に探せます。
eki-docomokirai.hatenablog.com