Cubaseの超バッドノウハウ。サンプリングレートをプロジェクト編集中に変更するといろいろ吹き飛ぶのは有名だけれど、この変な技を使うと突破できる「ことがある」。
非常に不確実な内容ですので、自己責任で実験してください。
(2020年10月7日)
■はじめに
サンプルレート変更は危険です!
今やっているプロジェクトでは、絶対にサンプリングレートを変更しないでください。内容が崩壊する危険性が高いです。
次の曲を作る時に変えるべきです。
今はメモだけ残して、今の曲を終わらせることだけ考えてください。
次回、白紙の状態から立ち上げて、適切なサンプリングレートを再設定してください。
■既知の仕様
この機能は古くから知られているCubaseの致命的な弱点です。
プロジェクトのサンプリングレートを変更すると、いろいろ崩壊するのは「仕様です」としか言えないのが現状です。
※オーディオインターフェースとCubaseのサンプリングレートが一致していないと、オーディオデータを再生する際のピッチや速度に異常が起こる場合があります。
それどころか、いろいろなイベントの位置も狂う「ことが極めて多い」ので、事実上の地雷機能として知られています。
よって、プロジェクトの編集中にサンプリングレート変更を行うのは絶対NG、とされています。
■変更開始
元の状態は441/24。これを441/24を48/24にしたい。
流用したプロジェクトが何故か441/24設定になっていたのに気がついた。自分でもなぜこんな設定のものを作ったのか謎。AIF付け替えでCubase起動時の設定がズレた可能性はある。
■超バッドノウハウ開始
各種イベントの位置は下画像のようになっています。この状態を維持できればヨシ。
基準に使いやすいのが、175小節のマーカー(マル印)と、オーディオ終了位置の179小節頭。179小節頭にはピンクのマーカーも置いてく。
・サンプリングレートを変更すると当然ズレる
プロジェクト設定>サンプリングレート を441→48に変更すると、イベント位置が崩壊する。
175のマーカーもずれる。
179のオーディオ終了もダメ、同じ位置のはずのピンクマーカーもずれる。
壊滅的な状態で、何を基準にすれば良いのかさえ全く見えない状態です。
・超バッドノウハウ開始
その狂った状態でUndoをします。それだけ。
おや?
175の位置、OK。
179の位置もOK。
再生してもオーディオの音程には以上は無い。
プール内ファイルのプロパティも、48/24になっている。
・耐久テスト
41/16にしてみる。
当然、位置は崩壊する。
48→41なので、オーディオは縮む。しかし、その他のイベントは伸びている。
Undoすると正しい位置になる。やったぜ。
175と179のイベント位置で正常であることが確認できます。
ところが、プール内ファイルが24bitのまま。大丈夫かこれ。
■結論と補足
こんなことやらずに、最初からサンプリングレートをしっかり決めておくべきです。
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とにかく言えることは、
今やっているプロジェクトでは、絶対にサンプリングレートを変更しないでください。
次の曲を作る時に変えるべきです。
今はメモだけ残して、今の曲を終わらせることだけ考えてください。
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なお、私はここ数年はずっと48/24で作業しています。
eki-docomokirai.hatenablog.com
ハイレゾ指定でもない限り、これで困ることは何もありません。
なんだか分からない人は、次の曲から48/24でやってみてください。
確固たる理由があって別の設定を使う人は、そのままどうぞ。
今回のテストで使ったプロジェクトはテンポ変化の多いクラシック曲です。
テンポが一定の曲であれば、レート変更後に位置がずれても、イベント位置を手作業で修正することは可能だと言えます。が、テンポが常に変動する曲だと、テンポ位置も正確に修正する必要があるので、事実上不可能です。
■(追記)関連知識というか大前提のお話
サンプリングレートの変更はあちこちで変えなければいけないものです。
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説明が面倒くさいのでこの記事には書きません。が、
「サンプリングレートは複数箇所で変更しなければまったく無意味」
ということだけは知っておいてください。
- オーディオファイルのサンプリングレート
- DAWのサンプリングレート
- AIF等機器のサンプリングレート
- PCのサンプリングレート
環境によりますが、「DAWの設定変えたからOK」とはなりません。絶対になりません。
変な例を1つ上げておく。
日常生活で言えば、「単位をセンチからインチにして、アメリカナイズドしたい」と思ったなら、バイクのスピードメーターをkm/hからマイルに変更し、クツのサイズをインチにする。料理のレシピではグラムではなくポンドを使う。ついでに冷蔵庫や風呂の温度も摂氏(℃)から華氏(°F)にしよう。
という感じで、一箇所だけを変えてもダメだよという感じ。
もちろんこれは例え話としては妥当ではない。
でも、「一箇所変えたらアレもコレも変えないといけない」ということは分かってもらえるはず。サンプリングレートを変える際に、どこか一箇所だけを変えると確実に環境が壊れます。
こういう総合的なPC諸問題に対する能力が不可欠なのがDAWというものなので、ポンとインストールしたバッと曲を作れるというわけではないです。
Windowsの復元機能のように、音楽デバイスにも「何月何日の状態に戻す」という機能がつけば、もっとみんな音楽に専念できるのにね、と思う。
■追記。サンプルレート変更に伴うトラブルと対処
ネットで稀に良く見る「やらかし」事例。
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使用している機器・ASIOドライバによって色々あるっぽい。
デバイス設定→バックグラウンド時はASIO ドライバーを解放する
が、サンプルレート変更時に変わってしまうケースっぽい。
要するに、「Cubase上のサンプルレート変更」は「OSのサウンド」と「AIFのドライバ」にも隣接する機能なので、それぞれのドライバの挙動によっていくつかの項目が初期状態に戻る、ということと推測される。
こういうことがあるので、トラブルシュート時には変更箇所だけではなく、近い要素について一度は目を通した方が良い。
・その他の対処方法(追記)
(以下Twitterは編者強調)
お世話になります。
— ほたか (@hotk0aa0909) 2021年11月6日
44→48の件ですが、私の環境(Windows)では48での作業後に別の44プロジェクトを開いて、Cubaseとシステムの設定を都度合わせる事が最善の対策となりました。
ミキサーに通す方法も師から教わりましたが機材不足の為見送りました。
突然の呟きに助言していただき、大変感謝致します
ツイッターの短文なので詳細は不明ですが、
Cubaseを開き、44のプロジェクトを読み込むことで、CubaseからOSに対するシステム制御を44で初期化、というプロセスだと思われます。ともかく、前回正常だった状態のプロジェクトを開くと直ることがある、ということになります。
(つづき)
症状の説明が不足しておりました。
— ほたか (@hotk0aa0909) 2021年11月6日
48での作業、録音、書き出しは問題ありません。
48のプロジェクト作業中にDAW以外の音声(ネットの動画etc)が聞けなくなる事が問題でした。
44のプロジェクトを開くことでそれが解決できると分かったので、現状の制作環境としては苦にはなりません。
もし占有状態になるのであれば41でも占有されるはずなので、48の時だけ占有されるのはまずありえません。使用機器などの詳細もまったく分からないTwitter上だけでのやりとりなので、「がんばれ」もしくは「妥協は正義」としか言いようが無いです。すみません。
むしろ見落としがちなのは「どの状態でCubaseを起動したか」の他に「どの状態でCubaseを終了したか」という、基本設定ファイルへの書き込み状況です。つまり「41で起動した」のではなく「48で終了した」である可能性もあります。どっちにしても徹底的にサポートをやらないと「知らんがな」を超えることはできません。
どの状態でOSを再起動したかとかと、総当たりメモを書いてみると大抵の場合はあっさり解決します。
なんにせよ、楽曲制作中に変更するのは絶対にNGで、何度も再起動を重ねつつゆっくりテストできる時間がある時にレート変更を徹底的にテストしてみるべきです。とだけ書いておく。
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