(随時追記中)サンプリングレート系のお話。DAWにオーディオファイルを読み込んだ時、サンプリングレートが一致していないと再生速度や音程がおかしくなります。読み込み時の設定を変えましょう。
(2021年1月31日、ツール追記)
- ■変換専用のツールを使う
- ■Cubaseの場合
- ■Studio oneの場合
- ■Logicの場合
- ■Cakewalkの場合
- ■変更方法を身に着けていない人は多いらしい
- ■設定変更時の注意点
- ■関連記事
■変換専用のツールを使う
かなり確実な方法です。
DAWに頼るのをやめて、専用ツールでファイルそのもののレート変更をします。
・wavconv wav<>mp3の変換も可能な汎用性の高いツール
下のツール「wavconv」は私も使用テスト済みです。問題無く動作しました。
(2021年1月29日 Windows7/64Homeにて)
www.musicobo.com
software→wavconvです。
・mp2、mp3、wma、mpg/wmv音声部をwavにデコード
・wavファイルのサンプリング周波数、量子化ビット数、ステレオ/モノの変換
・wavファイル→mp3の(再)エンコード
ドラッグ&ドロップで瞬時に使えるのも強みです。
ここだけ注意!
初回起動時は右クリックから管理者として実行してください。
あとはファイルを入れて「開始」を押すだけです。
出力先の設定は必要ありません。
ただし、このツールが扱える限界は以下のとおりです。
サンプリングレート(800略 441,48,882,96、192000)
量子化ビット深度(8-16-24、mono/stereo)
近年のDAWだとビットがfloatになることがあるので、それを扱えるかは不明です。私は扱わないので試していません。スミマセン。
・r8Brain wav変換のみだが、浮動小数点(float)も変換できる
コメントでaltivec1962さんが教えてくれました。感謝。
"r8"はスラング表現で「r+エイト」つまり「Rate」の洒落た表現(Leet English)です。
下中央の「Perform 8rbrain」を押すと、別名ファイルが生成されます。
長所はフロートに対応していること。
短所はmp3からの直接変換ができないことと、日本語ファイル名が使えないこと、ドラッグ&ドロップできないこと。
言うまでもなくCubase等のちゃんとしたDAWを使いこなすことができていれば完璧なのですが、ピンポイントの処理だけなら小さなツールを併用するのも「PCの使い方としては、より正解」だと言えます。
単なるmp3<>wav変換であれば、そういうツールはくさるほど出回っているので、窓の杜などで探しておくと「備えあれば憂いなし」でしょう。
クライアントからm4aなどのファイルがブン投げられてくることなど日常茶飯事です。スキルが皆無な相手に「48/24wavで送ってください!」などと言っても時間がかかるだけです。(相対的に)一般人よりもスキルのある我々DTM者が対処した方が速いですし、恩を売ることができます。全てが終わった後で「こういうふうにすると、他の人に依頼する時にスマートですよ!」というお役立ち情報も伝えておけば良いだけのことです。
人心掌握のコツは「役立つ情報を教えることだ」と『ジョジョの奇妙な冒険』の悪役、ディオ様も言っていました。
http://taekwaz.fc2web.com/manga/jojo/no_1/jojo_no_1.htm
その程度を教えたところで、仕事を失うわけではありませんし、パンピーに教えたところで「やっぱり分からなかった」「英語怖い」と泣きついてくるのがいつものパターンです。
便器のネジを締めるだけで数千円を取っても良い世界なんですから、音声データを適切に変換できる技術と知識だけでお金を取っても何も悪くありません。それが専門知識というものです。
■Cubaseの場合
・自動変更する場合
ファイル読み込み時に自動でレート変更をしてくれるようにする設定です。
環境設定→左の「編集操作」にある「Audio」。
「オーディオファイルの読み込み時」の中を変更します。
不安な場合は「オプションダイアログを開く」を選択しておいた方が良いです。
オーディオファイルをドラッグ&ドロップした際にウィンドウが出てきます。そこで適切に設定すればOKです。サンプルレートを変更してから配置してくれるようになります。
・例外措置。「読み込みミスしたものと名前が同じ」だとバグ挙動する
「あ、間違った」と思って、もう一度読み込みをさせても、プール内に同じ名前のファイルが存在するので、古いミス読み込みしたファイルのサンプリングレートが有効なままになってしまいます。
まずはプロジェクト上のオーディオファイルを削除し、さらにプールを開き、プール内のミスったファイルを削除しなければなりません。
もしくは、読み込むファイルをリネームする必要があります。
このプール重複の仕様はCubaseの欠陥です。さっさと修正して欲しいものです。同名ファイルが来たら「上書きしますか?」とやれば良いだけなのにね。
この「プール内重複によるバグ」は、スカイプ等でダウンロード中のファイルをCubaseに突っ込んだ際にも生じます。下の関連記事もご一読ください。
同様のヘルプはオフィシャルにも書かれています。
暇な時にはYoutubeなんか見てないで、近辺の情報を仕入れておきましょう。良いリフレッシュタイムになりますよ!
・Cubase、プール内で変換する
非常にゴリ押しですが、極めて確実な方法です。
リンク先でも書かれているとおり、非可逆編集です。必ずバックアップを取ってから行いましょう。
■Studio oneの場合
Studio oneはさっぱり分かりませんが、たぶん下の方法でできます。もしくはその付近にある設定で解決できるはずです。できたら良いな。
リンク先の記事、末尾にある画像の下側を見てください。
『ソング設定→一般』にある、「オーディオファイルをソングテンポにストレッチ」をオンにしてください。
■Logicの場合
■Cakewalkの場合
■変更方法を身に着けていない人は多いらしい
いわゆる「歌ってみた」系のノウハウを書いている記事ではこのように書かれています。
(サンプリング周波数の項目から引用)
パラメータの指定については録音用のプロジェクトファイル作成時に指定することができます。録音する前に必ずオケ作成者に確認し合わせましょう。
いやいやいや、そんなこともできないでDTMやってんのかと思いますが、まぁ仕方ないかもしれません。DTMを開始する敷居が低くなった時代であることは素晴らしいことなわけだし。
上などは初心者向けに超丁寧な記事を書いてくれているのですが、それに甘えてはいけません。もうちょっと活動フィールドを広げていくと、「歌ってみた」で身につけた常識の通じない乱暴なやりとりは日常茶飯事になってきます。
当ブログのこの記事を読んだ人は、この機会にしっかり時間を作ってサンプリングレート変更について練習しておいてほしいです。基礎を強めておくことは大事ですよ!
自分が扱えないデータをよこす人が非常識なのではなく、エンジニアを名乗るならこの程度のトラブルは自力で解消できるようにしておくべきです。「歌ってみた」のローカルルールで守られた世界だけが全てでは無いということは絶対に忘れないでください。
時間を作ってそういう表に出ない地味なスキルを高めていきましょう!
■設定変更時の注意点
サンプリングレートはポンと一箇所だけ変更してもうまく行かないことがほとんどです。
- OSの扱うサンプリングレート
- DAWのサンプリングレート
- 音声ファイルのサンプリングレート
- AIF(オーディオインターフェース)のサンプリングレート
これらの設定がすべて合っていないと音が出なくなることがあります。
「サンプリングレートを変えたら音が出なくなった!怖い!」という場合には、焦らずにOS・DAW・AIFの全てが一致しているか確認してください。
そしてすべてを再起動をしてください。
再起動しないと「今日はこの設定でパソコンを動かすよ!」という状態になりません。
各種設定変更は面倒なので、OS再起動をせず、スカイプ等での通話アドバイスを切らずにそのままやりたくなる気持ちはわかります。が、とにかく再起動することを忘れないでください。
(環境によってはすべてを再起動しなくても大丈夫な場合もあります。が、すべての環境に対してアドバイスをすることは不可能なので、とにかく「設定変更=再起動は重要だ」とおぼえておくべきですし、そのようにアドバイスするべきです。)
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まれにあるトラブルとして、昔の古いAIFがハイレートに対応していないことがあります。そういう場合には、OSとDAWを低いレートに一致させてください。最も低レートのものに合わせなければいけません。
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近年のAIFならそういうことはまずありません。少なくとも48/24程度は問題無いはずです。
・プロジェクト作業中に変更するべきではない
プロジェクトのレート変更はワンタッチでできるかのように見えますが、絶対にやるべきではありません。さまざまなオブジェクトの設置位置や長さが壊れてしまいます。
新規プロジェクトを作成し、適切なレートで開始してください。
どうしても同じプロジェクトデータでレートを変更しなければならない状況になったら、面倒な位置修正の作業を覚悟するべきです。しっかりと時間を確保しましょう。途中でレート変更を要求された場合には納期を長くとってください。
その際には、事前に細切れのオーディオを1本にまとめておくと損害を最小限に抑えられます。この手間を惜しむと地獄になります。
最悪の場合、レートの異なるプロジェクトを並列で開いておいて、2つの画面でオブジェクト位置を確認しながら手動で再設置してください。
■関連記事
ちゃんとダウンロードが終了するまでファイルに触らないのが鉄則。というお話。
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48/24でやっておけばまず文句は出ません。というお話。
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その他、ファイル管理等で役立つツールなどを紹介している記事。
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