eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

多重リミッターの使い方

よくどこのリミッターが良いとか、今度でた新作は良いとかいう話題がありますが、私の結論では「ちょっとずつ多重がけ」が大正義です。

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(2021年10月7日)

 

■まず薄いリミッターを作る

リミッターは強くかけるとすぐ破綻するので軽く使う。

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10%上げ、OUTPUTはそのままゼロで。

神経質な人は5%とか3%でやっても良いです。

 

でもスレショルド以下だと単にフェーダーを上げているのと同じ。

下画像では最初の1回でスレショルド近くまで下げています。これで2本目以降がスレショルドに触れるようになり、無駄がありません。

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上画像の例では10回回す後段リミッターでは、出力を毎回-0.1しています。

スレショルドで0.6の音量を稼いで-0.1。都合0.5のゲインを得て、これを10回繰り返して5dBのゲインを稼いでいます。

 

・多重がけにする

Altドラッグとかでどんどんコピーする。

何も考えず10本くらいで良いです。

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・本数を減らして割れないところで止める

さすがに10本も使うと、絶対に破綻します。

そこで「バイパス(OFFボタン)」を使って破綻のない数まで減らんです。

 

つまりこの手法は「エフェクタの本数で制御する」方針ということです。

■リミッターを使う時のセッティング

大音量の部分を短くリピート再生しておくと良いです。

音の小さい部分はリミッターと関係ないので、常にリミッターのセッティングに関わる大音量部分だけを聞きながらやります。

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・インサートエフェクトのリンク(Cubase

実験時の設定。

Cubaseの場合はインサートエフェクトを「リンク」しておくと実験が楽になります。

1つのエフェクタ設定を変えると、他のトラックも同じ設定になります。

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これで1つのリミッターを調節すると、他のリミッターも同じように数値が変わる状態になります。

これは実験時、耐久テスト用の設定です。

実際には毎回こんな数のグループトラックを立ち上げる必要はありません。

1本目でスレショルド近くを狙い、2本目でそこそこ音圧を稼ぎ、3本目で最終仕上げ、という3段階だけでも十分な効用が得られます。私が普段やっている方法はこちらです。

■多段がけにまつわる誤解

アナログ色付け、要するにノイズを出すタイプを多段がけするとどんどんノイズが増えてしまいます。

たとえば昔大流行したPSP Vintage Warmer 2とか。

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また、マルチバンドも気をつけたほうが良いです。

バンドを分割した時の処理で絶対に位相がおかしくなるので気をつけましょう。

 

もしそういう色付けのあるタイプを使うなら、最終段に一発だけにしましょう。

 

■結果

せっかくなのでL1を10本使った例をメーターブリッジで表示。

少しずつ音圧を稼いでいく状態が綺麗に可視化されていますね。

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■さいごに

万能ではないですし、無限に音圧を稼げるわけではありません。

そのリミッターの限界性能まで迫るための方法でしかありません。

限界音量やTP(トゥルーピーク)の処理方法はプラグインによって様々なので、結局のところ「良いリミッターを使った方が良い」ことに変わりはありません。

それでも、良いリミッターを3段くらいで小さく掛けていく方法は、良いリミッターの性能をさらに押し上げられる可能性があるので、「多段リミッター」は決して無駄な方法ではありません。

 

なおオススメはL316の3段掛け。

L3系は「L3にぶっこむのがマスタリングだ」という狂ったメソッドを生み出し、音圧戦争の権化として悪の代名詞となったリミッターです。しかし、薄く3回使うと非常に綺麗に仕上がります。古いリミッターですが、適切に使えばその完成度の高さを再確認できるはずです。持っている人はおためしあれ。

 

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