eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

コンプレッサーを視覚化するブラウザツールの紹介

プラグインではありません。音も出ません。ブラウザ上でコンプレッサーの挙動について理解を深めるためのツールの紹介です。

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(2022年10月23日更新)

 

■ウェブアプリのリンク先

 

codepen.io

CodePen - Audio Compression Visualizer

https://codepen.io/animalsnacks/full/VRweeb

一般的なコンプレッサーのパラメタを操作し、視覚的・直感的に挙動を学ぶことができます。

 

サンプルになっている緑色の部分がかなり恣意的な形状なので、そこだけは注意が必要です。最速アタックの波形や、連続するリズムパターンの波形が無いのはテスト用としてちょっと難ありだと思います。

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1,一番左の部分は「急激なアタック」「だが最初から最強ではないアタック」を模倣しています。発音の硬い歌詞のボーカルや、アクセントの強いブラスなどです。

2,その先のくぼみのあたりは、アタックが弱く、抑揚のある楽器を模倣しています。通常奏法の弦楽器やシンセパッドのようなものです。

3,中央付近からは減衰する波形。ですが、アタックは最速ではありません。

いわゆる「コンプレッサーの解説」にありがちな要素だけを見たいなら、中央あたりからの三角形部分だけを参照しましょう。

 

■設定例

数値を変えると下のようなサンプルを作ることができます。

 

・めちゃファット

コンプ掛けすぎあるある。

アタック感が死んでいて、聞き疲れするタイプの失敗。

「コンプかけた!音つよい!やったぜ!」という状態。

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・適度なファットに修正

適度にファットにし、メイクアップゲインを高くすることで作る音。この方がおおむね良好なコンプの用例と言えます。

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1つのコンプでこういう形状が得られない場合には、複数のコンプで整形していくこともあります。

 

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

・アタックを修正

最初のアタックを封じることをメインにします。安定した演奏に聞こえるようになるはずです。

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・アタック出し

アタックをわずかに遅くすることで、上と比べて中央の波形のアタックが明確になっています。より実践的、汎用的なコンプ設定だと言えます。

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わかりにくいので拡大。

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左はアタックをわずかに遅くすることで、本来の緑の波形よりもアタックが明確に打ち出されていることを確認してください。

 

どちらが良いかはソース次第。

トランジェント専用エフェクタが無い場合にはこういう方法を使って、ソースよりもアタックを明確にすることができます。

非常に入念な設定が必要になります。可視化しないと設定の追い込みも難しい高度なコンプ技法です。(コンプのモデルによる微妙な挙動差も強く影響します。)

今ではそんなことをしなくてもトランジェント専用エフェクタを使うことで明確なアタックを瞬時に実装できます。

 

実際のコンプではGR(Gain Reduction)がゼロまで回復しているか、常に少しコンプされているかの差です。

こういう細部のチェックにより、GRをしっかり観察することで原音を活かすことができるようになります。

 

・間違ったコンプ設定!

非常にファットでパワフル!強い音!でもいろいろと破綻しています!

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そんなのねーよ!と思う人が多いかと思いますが、実はこれ、レッスン作例でたまに見かけます!

持続するベース音を「曲中の音量感」だけ聞きながら設定した際にこうなってしまうようです。

たしかに量感があって太いベース音になるのですが、曲のスタートから聞くと最初の1音だけ「バチッ!」となってしまいます

 

曲の最初がシンバル強打を含む強い音で開始される場合に気が付かないようです。

特に「最初からリミッターをさすスタイル」で作っていると、これを見落としてしまうようです。リミッターを常に使う人は気をつけましょう。リミッターを外して通常の2mixにしようとしても、アタマの音が突出してしまうので、リミッターを外した音を提出できない人はおおむねこの失敗をしています。

どの楽器の個別トラックでこの失敗が起きているかを特定できていないと、リミッターを掛けすぎた状態でしか提出できなくなります。

同人コンピでマスタリング担当者を困らせるのはこういう音になっているトラックがあるからです。

 

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■この可視化スクリプトに無い点

実機コンプレッサー(そのエミュレートをするプラグインコンプレッサー)は、入出力音量や圧縮音量によって波形にわずかな歪みとノイズが加えられることがあります。

また、音量を探知する回路(部品)の特性によって、入力音量に対する反応速度が異なります。

そういう「モデル差」までは表現できていない点だけは覚えておいてください。

原理原則としてのコンプレッサーの基本的な挙動の解説のためのスクリプトであって、エミュレート差異を知るためのものではありません。

 

元になる波形を手書きできればよかったのにねと思う。

非常によくできた練習ツールなだけに、ほんとうにあと一歩足りない。実際の音楽を把握できていない甘さが残ります。

 

■さいごに

コンプの挙動は一枚画像を見るだけや、音を聞くだけではなかなかわかりにくいものです。

こういう可視化ツールを使うことでコンプの理解が一気に進むはずです。

プラグインのコンプは可視化ツールがついているものもあります。積極的に活用し、挙動を明確に理解することを強くオススメします。

それをしっかり理解すれば、可視化ツールのついていないコンプでも音を聞いて正しく判断できるようになります。

自転車に補助輪をつけるのは悪いことではありません。

 

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