ピアノの名曲をユーフォチューバでシリーズ。今回はスコット・ジョプリンの『メイプルリーフ・ラグ』を編曲しました。
(2021年1月15日更新)
■メイプルリーフラグ
こんなアレンジにしました。
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ピアノ版は果てしなく16音符が連なり、良くも悪くも一本調子。とにかくにぎやかな「ラグタイム」の名曲。
適度に隙間を作って構成を明確にした。
■概要
スピーディな曲なので、あえてチューバを主軸にする。
「チューバってこんなことできるのか!」
「こんなのを演奏してみたかった」
ピアノ版はとにかく音数が多い。鈍足楽器のための取捨選択に非常に苦労した。
メロディのアルペジオの多くを順進行スケール音に変更、半音階、ブルーノートを追加。これらも展開を明確にする効果を狙っている。管楽器ならではの「色気」のあるメロディにリメイクできているはず。
2分30秒で終わる小品ですし、リピートも多いのでコンサートでの時間調整やアンコールピースにちょうどよいと思います。
■第2テーマ
チューバのイカしたシンコペーションのメロディ。演奏すれば「チューバやっててよかった」と思うはずの死ぬほど楽しいメロディ。
■第3テーマ
再びチューバ。伴奏は強いバッキング。アレンジの着想はここのバッキングをいかに強く出せるか?を主軸にしています。
チューバのメロディは第2テーマとの差別化のためにトリルを盛大に使ったオブリラインを追加しています。よりにぎやかに。
音域設定はこのメロディの最高音で決定しています。
■第4テーマ
オーラス感を出すためにいくつかの工夫をしています。
メロディがオーソドックスな「音の高い楽器」に戻り、ベースリズムが332シンコペ※に変更してドライブ感を増しました「あ、終わりに向かっているな」という印象になったはず。
(※332リズム、さんさんに。 ポピュラー作編曲家界隈で使われることのあるギョーカイ用語で、付点8+符点8+8のシンコペの事。)
終盤でベースの音数が増えて順進行していくと「あ、終わるな」という感じが出る。
他、終盤ではフォールも使ってさらににぎやかに。オチも盛大にフォール。
ピアノ版はそういう差別化が甘いので、淡々と演奏されて「あれ?終わり?」という唐突さが拭えないと思っています。
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ラストのリズム変更や、序盤にブルーノートやモダンなシンコペーションを含めた理由は他にもあって、後の時代にラグタイムがデキシーランドジャズに発展した、という意味も含めたアレンジですよ、ということです。(ラグタイムはマーチの変質したもので、ジャズのちょっと前の時代に流行した音楽ジャンル、とされています。)
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