eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

「EDM」という3文字略語が初めてWikipediaに登場したのはいつか?

せっかくだからソースをまとめておく。ソースと言ってもWikipediaなので大した情報ではありませんが、それでも一定以上の信憑性はあるでしょ?

(2022年12月2日)

Wikipedia的にはEDMは2006年6月17日、もしくは2001年12月22日

(この内容を引用する人は必ずURLとサイト名を書くこと。)

 

文字を読まない人のために最初に書くぞ。

英語版Wikipediaで"Electronic dance music"初登場は

2001年12月22日

 

"EDM"の3文字になったのは2006年6月17日

これは動きようもない事実な!

個人的には違うとか言われても知らん。

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以下ソースとリンク

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■「EDM」という略語になったのはいつか?

・日本語版で「EDM」の3文字が並んだのは2008年11月6日

ja.wikipedia.org


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・英語版で「EDM」の3文字が並んだのは2006年6月17日

en.wikipedia.org

 

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■「Electronic dance music」の初登場は?

「EDM」の3文字になるはるか前です。

・英語版では2001年12月22日

https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Electronic_dance_music&oldid=250550

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日本版では2008年10月30日。

https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF&oldid=22630075

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■既存ジャンルがEDMに遡及吸収された日

en.wikiで「EDM」という3文字が初登場した数日前、2006年6月5日からジャンル統合活動が起きています。

既存のテクノ系ジャンルが「Electronic damce music」の記事に合流、リダイレクト処理が開始されています。

https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Electronic_dance_music&diff=prev&oldid=57001207

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立法と司法。「新しい法律ができるよ!」「この日から施行されるよ!」みたいでちょっとおもしろいね。

この記事を書いている2020年7月だと、日本ではレジ袋有料化が始まり、ちょっとしたニュースになっていました。

ただ、法の遡及適用は多くの国では認められていないので、過去にさかのぼって「あれもEDM」「これもEDM」っていうのはさすがにどうかと思うんです。

法の不遡及 - Wikipedia

不遡及ってどういうこと?というと「今日からお酒は全て違法な!」という法律ができたとしても「お前は過去に酒を飲んでいたから死刑!」という使い方をしたら、大変なことになるでしょ?という法律運用の原則です。

 

つまり、酷い言い方をするなら、「EDMとは過去にさかのぼってジャンルを拡大定義する、無法者の総称である」と言えなくもない。これはジョークとして使ってください。

 

とはいえ、さかのぼったらNGだとすると、クラシック音楽史も徹底的に書き換えなきゃいけなくなる。

ピエール・ブーレーズは『牧神の午後への前奏曲』を現代音楽の開始だと断言した

これはクラシック音楽史的には常識レベルなのでいちいちソース出しません。が、ブーレーズは過去にさかのぼって「現代音楽ってのはあの曲が境目だったよなぁ」と言っています。

コンテンポラリー音楽史1:1890-1899 | 閉じた眼・ムジカ

もしEDMが遡ってジャンル定義することを咎めるなら、「クラシック音楽史も同じことやってただろ!」と言われた場合の反撃方法を持たねばなりません。つまり「遡及して拡大しようとしてるからEDMはおかしい」という論は無理スジです。

・音楽は過渡期だが、人類史はインターネット時代黎明期である

クラシックにおける「現代音楽」の定義があいまいであるのと同様、EDMもあいまいです。ブーレーズの言葉のような強い遡り定義が発生するまでしばらくかかるでしょう。今EDMを明確に定義しようとするのは、その行為自体がナンセンスではないでしょうか?

だからこの記事も「Wikipediaに初めてその言葉が出たのはいつか?」というスタンスを保っています。

音楽史的には明らかに過渡期ですが、別の角度から人類史を見れば今はインターネット時代黎明期とガッチリ定義できるでしょう。そのインターネット黎明期の情報コアとして君臨し続けているWikipediaがEDMに対して2001年12月22日と2006年6月17日という記録をしています。

もしWikipediaの存在を否定するなら、それはインターネット時代の否定に直結します。Wikipediaは2001年1月15日に登場し、20年近く存続していますが、同じくらい長く存在している長寿のインターネット情報源って他にいくつあります?ということです。Wikipediaが好きか嫌いかの問題ではなく、すでに20年そこにあるという事実そのものが箔付けになるはずなんです。

このように音楽史以外から客観的に定義することは可能ではないか?と思うんです。 

戦争してる国ってお互いに正義を主張するけど、その戦争と関係ない国から見れば冷静な歴史を記述できるでしょ?という歴史学のアプローチと同じです。

もしくはテクノロジーから攻めることでて音楽を定義するのも面白いかもしれません。いかにEDMが拡大主義的だとしても、コンピュータとシンセサイザーが無い時代にまで踏み込むことは無茶でしょう。

■ジャンルの細分化は過渡期に起きる

・歌謡曲から「JPOP」へ

この「ジャンル名は遡及する」という事象は「JPOP」(J-POP)で考えればわかりやすいはずです。

J-POP - Wikipedia

平成初期、いつのまにか世間に浸透していたJPOPは、それまでの音楽も「あれもJPOP」「でも演歌はJPOPじゃないよね」という具合に、ちょっとシャレて現代的な音楽ジャンル名として定着していきました。

で、これはWikipediaには書かれていないのですが、当時大流行していたレンタルCDビジネスとともに定着したのではないか?と私は考えています。

レンタルCD棚に「JPOP」「邦楽」という札が貼り付けられていれば、そこに陳列されているのはJPOPに分類される、という感じです。

 

なお、この「陳列棚論」は音楽だけではなく、ゲームなど様々な分野で便利なツールとして使われていました。ゲームの棚で「RPG」「格闘ゲーム」「レース」という具合にです。

ただしこれは問題もあると指摘され続けています。明確なジャンル分類ができない不思議なゲームを流通させることが困難になってしまい、斬新なゲームが生まれる土壌が駆逐されてしまった、というゲーム業界評論があります。

 

逆のケースは書籍、特に文学系だと思います。「推理」「私小説」という棚で分類されることはまず無く、出版社や作家名によって分類されているケースがほとんどです。

 

・クラシックから「現代音楽」へ

さらにさかのぼります。

これもクラシック音楽史で実際に起きていたことと同じです。また、民俗音楽でも「ウチらの音楽は奴らの音楽とは違うぜ」という運動が(たぶん)昔から全世界地域で起きています。でも聞いての通り、民族音楽は大陸レベルで離れない限り、結構似たようなことをやっていますよね。

隣村のマネをして、遠くの国の楽器が輸入されて、わずかな独自性が生まれるものです。

 

EDMのジサブジャンル名が異様に細分化されているのも同じです。

ムラの独自性をアピールしようとみんなが頑張りすぎて「ウチのムラの音楽を正当に継承する人がいない!」という事態に陥ります。金と時間をかけて、しかも若者がその独自性に魅力を感じないと同じスタイルの「正しいジャンル継承」は実行できません。

で、結局「あの時代のあの国の音楽って、だいたいこういうのだよね」という大雑把なジャンルとして歴史に残っていきます。そこでは本当に正しい楽器は使われず、本当に正しい音律も使われず、汎用性の高い楽器で平均律で演奏されるようになります。

 

EDMのサブジャンルがどんなに独自性をアピールしようとしても、数十年たった頃には「あの頃流行ってたらしい音楽」という程度の大雑把なベスト盤が残る、という感じでしょう。

 

日本のフォークミュージック、グループサウンドなんかもそういう感じでしょ?で、結局ナツメロ番組でひとまとめにされちゃう。

 

Wikipediaに対するリテラシー

私はWikipedia初期に編集者をやっていたことがあるので、Wikipediaについては割と詳しいです。

だからWikipediaの「履歴」と「ノート」を読むことの重要さを知ってほしいんです。

 

近年は「最新情報」を薄く収集する生き方に追い詰められている人が多い時代ですが、好きな分野のWikipedia記事は履歴を覗き込んで見ることを強くオススメします。その記事がどのように成長し、どのような問題を抱えているのかを知ることができるからです。

 

また、Wikipediaが最も発達している「英語版(en.Wikipedia)」も読むようにしてほしいです。

Wikipediaができた当初はネット翻訳は本当にオソマツなものでした。でもそれから数十年、無料の翻訳ツールはすばらしく高性能になりました。もう「英語読めないから」が通用する時代は終わりました。

 

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というわけで、wikipediaをしっかり見る時には「英語版」「履歴表示」「差分」を追いかけてみてください。

 

ただし、Wikipedia「この分野の記事を編集しようと思うレベルで興味がある人が、だいたいこう考えている」という感じでしかないと私は考えています。

 根拠のない俗説は編集されます。同時に極端に最先端の情報も丸め込まれます。Wikipediaとはそういう相互監視的な仕組みで動いています。

私自身、Wikipedia日本語版の登場初期にに多くの新規記事を立てました。履歴書にWikipedia編集者だと書いたこともあります。

冗談半分で立てた記事が、数日後に冗談部分が削除され、しっかりした内容に成長していることもありました。その逆を私がやることもありましたし、その相手はチャット中の知人だったこともあります。

中略、編集合戦に飽きたので、今はほぼ編集活動をしていません。

先鋭的なこと、個人的な願望を書くのは個人サイトの方が適しています。誰もが知っているとおり、淡白なWikipediaの内容より、場末の個人サイトの方が内容が充実しているものです。

 

なお、私がWikipediaを最も本質的に解説していると感じた記事はこれです。

ja.wikipedia.org

何かを調べる時にwikiのリンクをまっさきに押す人は、このページを良く読んでおくべきだと思います。Wikipediaは正解ではありませんが、間違いでもありません。

なお、私がWikipedia編集活動をやめた後に、個人的に執筆したサイトは逆にWikipediaでソースとして使われていました。

つまり、本当にしっかりした情報を持っているなら、Wikipedia編集合戦などせず、個人サイトをしっかり書けばWikipediaの上に立てるという証拠です。専門レベルの知識を持っている領域に限って言えば、Wikipediaに書かれていることなんて別に大した情報ではないですよこれは誰もが感じているはずです。

他にもWikipediaに対して言いたいことは山程ありますが、それは別の機会に。

・何が言いたいか?

もしあなたがEDMの成り立ちについて本当に詳しく、正確で、説得力のある情報を持っているなら、個人サイトできっちりまとめましょう。その情報はWikipediaに引用されます。

Google検索ではどうか?

今日2020年7月27日現在、Googleで「EDM 歴史」を検索すると、

vempire.jp

という個人(と思われる)サイトがトップに出てきます。

この記事の序盤で、

EDMが誕生したのは1980年代の後半から90年初頭にかけてだと言われていますが、どこで誰が「EDM」という言葉を使い始めたのかは不明です。

と書かれていますが、今回私がこのブログ記事で書いた内容によって、Googleトップ記事をさらに補強する情報をネットに流せるということです。

・さらに調べたい人へ

2001年12月前半

2006年6月前半

の情報を重点的に漁るべきです。

その頃になにか決定的な表明(上リンク先記事だTiestoのDJなど)があって、誰かがWikipediaに書いたということでしょうから。

■この記事が無価値だと言いたい人へ

この記事を踏み台にして、より上を行く情報へ向かってください。私はこれ以上調べる気の無いなまけものです。

もし完璧に正確な情報以外を無価値だと思うなら、この世の情報の全ては無価値です。で、その「思う」という現象って完璧に正確なの?と言いたい。

■まとめ

ではまとめ。ここ試験に出るからなー。

英語版Wikipediaで初登場は

Electronic dance music

2001年12月22日

EDM」の3文字になったのは

2006年6月17日

 

誰か面白い語呂合わせを考えてコメントどうぞ。

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