eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

映画音楽の10要素におけるベストサウンド(海外動画翻訳)

海外映画チャンネルによる独断と偏見によるベスト映画音楽紹介。すごく良かったので要点を翻訳しつつ紹介。

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(2020年1月2日)

 

■トップ10ランキングではなくて……

・Top 10 Film Scores of All Time

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「アレが無い!」「コレを入れないなんて素人だ!」とか思うなら自分で動画を作って参戦するべきです。

この動画ではなかなか説得力のある解説と、類似性や歴史、薀蓄による補強をしつつ、「たしかにアレもコレもあるよね。知ってるよ。でもそういう中でこれがすごいと思うよ!」というスタイルでトップ10を紹介してくれています。

単にランキングしているわけではなく、映画音楽ならではのジャンルや機能性によって「10項目におけるベストサウンドをピックアップしていることに好感が持てます。

新しい映画から、マニアでも知らないかもしれない古い映画まで極めて幅広く参照しているようです。

 

■10、ジャズ、ムード『死刑台のエレベーター』(1958年)

サスペンス映画『死刑台のエレベーター』(1958年マイルス・デイヴィス)作曲者名でお察し。ムードジャズです。

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■9,重厚な雰囲気『ゴッドファーザー』(1972年)

マフィア映画『ゴッドファーザー』(1972年ニーノ・ロータ)のサントラについて「本来明るく描かれる場面などでも一貫した沈鬱な雰囲気がある」と紹介されています。有名な『愛のテーマ』を巧みに使い回すスキルを褒めているのでしょう。

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■8,アイディア『ダンケルク』(2017年)

WW2戦争映画『ダンケルク』(2017年ハンス・ジマー)のタイプライターや時計の音、シェパードスケール(無限音階)の実践的な利用など。

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同様の効果音を使った面白いサントラとして『未知との遭遇』についても少しだけ触れています。

個人的にはハンス・ジマーの『インターステラ』(2014)は無駄のない洗練された音だと感銘を受けました。まぁ今どきのサントラを語る際に「ハンス・ジマーの話題は禁止」とされるトピックも散見されるほどなので、まもなく陳腐なものとして扱われてしまうのかもしれませんが。

 

■7,『サイコ』(1960年)

恐怖映画『サイコ』(1960年バーナード・ハーマン

直感的に恐怖を与えるインパクト。

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同様の本能的なインパクトを与えるホラー音楽として、

アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013)

猿の惑星(1968)

アンドロメダ・ストレイン(1971)

も挙げられています。

■6,壮大さ『ベン・ハー』(1959年)

古代叙事詩ベン・ハー』(1959年ロージャ・ミクローシュ

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あえて近年のオケ版を貼っておく。

海外では近年になって古典映画サントラを復元、再レコーディングするプロジェクトがあるが、概ねどれも原作へのリスペクトがしっかりしているので個人的にめっちゃ好き。リスペクト重点。

他、『荒野の七人』『指輪物語』『メトロポリス』『80日間世界一周』『アラビアのロレンス』などを挙げています。

近年の安易な「エピック」はサウンド一発重視すぎて、次の世代に残ることはありえないと思います。エピック系って情緒が無いでしょ?

■5,対立、戦い『アレクサンダー・ネフスキー』(1938年)

古代戦争『アレクサンダー・ネフスキー』(1938年セルゲイ・プロコフィエフ

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ソ連の戦争映画は突き抜けた傑作揃い。

クラシックで有名なあのプロコフィエフです。演奏用曲として再構成されたものもあります。(IMSLP楽譜リンク

 

他『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『レイダース』『マッドマックス 怒りのデスロード』『コナン・ザ・バーバリアン』などを挙げています。

個人的には『コナン・ザ・バーバリアン』の曲がツボです。

■4,緊張感『続・夕陽のガンマン』(1966年)

西部劇『続・夕陽のガンマン』(1966年エンニオ・モリコーネ

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モリコーネの音楽は映画監督セルジオ・レオーネとの小学校来の良好な友情によって最高の映画作品を作り出しています。すてきな話。

レオーネ監督の、よもすれば間延びした映像を補うモリコーネの機能的な音楽。

私個人の感想としてはモリコーネの音楽も単体では退屈なものだと思い続けています。しかし、実際に映画で確認すると非常に引き締まったサントラとなることに驚きます。私がそれを痛く噛み締めたのが『アンタッチャブル』です。

解説動画ではセリフのために作られた楽器の隙間と、セリフ無しのために楽器が語るメロディについて言及されています。

あえて作品名を挙げませんが、明確にモリコーネ的な音楽を目指していながらも、音符を多く配置しすぎてイマイチになってしまっている作品もあります。上で軽く批判したエピック系音楽の退屈さは、情景描写にのみ特化してしまい、歌を失っていることから来るのでは?と私は考えています。

■3,物語を補う『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007年)

ヒューマンドラマ『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007年ジョニー・グリーンウッド

ジョニー・グリーンウッドはロックバンド「レディオヘッド」の彼です。様々な音楽と楽器に精通する彼の違った姿ですね。

音楽が物語を補う役割。

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■2,テーマとモチーフ『スター・ウォーズ(帝国の逆襲)』(1980年)

SFファンタジースター・ウォーズ』(1980年ジョン・ウィリアムズ)。

言わずと知れたSF映画の金字塔。

(※動画内ではどういう意図があるのか不明ですが、旧三部作の2作目『帝国の逆襲』と表記されているので、そのまま訳しておきます。)

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クラシック音楽史で言うところの20世紀初頭ロマン主義の音楽の明確さとダイナミズムによる音楽として評価されています。ワーグナーR.シュトラウスのようだと。

クラシックが分からない人は「ロマン派音楽って何?」と思うはずですが、サウンドが明確で分かりやすく、古臭くないのはたいていロマン派の音楽だと思っておいて良いです。歌えるメロディがぎりぎり残っていた最後の時代です。

その時代の良さを誰にでも分かるように一般大衆に紹介したのが『スター・ウォーズ』です。

スター・ウォーズ』の様々な場面のメロディって歌えるでしょ?

 

他、『ブレイブ・ハート』『ゴジラ』などが挙げられています。

■華やかなメインテーマ曲『シー・ホーク』(1940年)

海賊映画『シー・ホーク』(1940年エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト

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言うまでもなく『スター・ウォーズ』のテーマ曲でも良かったのでしょうが、動画作者がマニアどころとして「こんなのどうよ!?」とイチオシしたかったテーマ曲がこれ。コルンゴルトの音楽は明らかにジョン・ウィリアムズに強い影響を与えている、と分析しています。

他、『風と共に去りぬ』『カサブランカ』『ロバート・デヴァルー (第2代エセックス伯)』『キャプテン・ブラッド』『キングス・ロウ

 

■番外(訳者追記)

・映画テーマ曲からクラシック音楽への逆輸入

ところで、私が思うに、コルンゴルトのこういう華麗な音楽が映画音楽の外側に影響を与えて出来上がったのが『宝玉と勺杖』だと思うんです。

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この曲を作曲したウィリアム・ウォルトンコルンゴルトと同時代に映画音楽を手掛けています。そうしたキャリアの上で彼がエリザベス二世の戴冠式のために作った華やか無双な曲です。

クラシック音楽史的にはいわゆる「現代音楽」に突入した時代であり、明朗なロマン派音楽が「古い」とされてきた時代です。そういう時代にありながら、大衆が求める明確で泣ける音楽を追求したのではないか?と思うわけです。

この曲は耳コピしました。が、かなり適当になってしまっているはずなので、そのうち楽譜を買ってちゃんと作ってみたい。

・アニメサントラ

Zガンダム』(1985年三枝成彰

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放送当時、生まれてはじめてBGMの力を強烈に感じたアニメでした。ほぼ全ての曲を耳コピしました。

 

コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006年中川幸太郎

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これもほぼ全ての曲を耳コピしました。

近年、というほど近年じゃなくなってしまいましたが「最高のアニメサントラは?」と言う話題になると、必ず挙げているのがこれ

強烈なイントロは抜群の機能性があるので、TV番組のBGMとして使われています。「あ、これ『池の水全部抜く』のあれじゃん!」とか思う人もいるかもしれません。

ただ、監督の趣味でしょうか。中川氏と無関係な意味不明なボーカル歌が時々挿入されていて、高確率でミスマッチを起こしています。(それらの曲が悪いのではなく、場面にまったく合ってないという意味です。)

 

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