eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

(書きかけ)マスタリング屋はあなたの曲の内容など聞いていない

音楽的にセンシティブな内容が含まれます。マスタリング屋をdisる意図はありません。「実際こうだよね」「仕方ないね」という話です。

(2020年7月12日更新)

 

■マスタリング屋はあなたの曲の内容など聞いていない

ものすごいぶっちゃけ話ですが、本当に良いマスタリング屋は本当に良いですが、まず当たることは無いです。

たいていのマスタリング屋は、預かった曲をろくに聞きもしないで、音量レベルだけ見てマルチバンドのプラグインに丸投げして「はい、マスタリングできました」というのが実際に多いんです。プラグインじゃなくて実機でも突っ込んで汚してレベル処理しかやってくれない、ってのは同じ。

曲を理解した上で丁寧に処理するなんてことはやってくれないんです。それもまた「理想」でしかないんです。

 

同じようなことは他の人も指摘しています

96bit-music.com

プロの作品でそういうを見ると

「商業主義の成れの果て」と思ってしまいます。

まさにそのとおり。

特に出費だけ考えて安価なマスタリング屋を選ぶとほぼ例外なくそういう音にされます。

もし自作CD等に箔をつけるために「これはプロのマスタリング屋を通したCDだぞ!」という体裁が欲しいなら、本当に意味がないことです。

もしマスタリング屋っぽい名前を添えて箔をつけたいだけなら、あなたがマスタリングして、適当な外国っぽい名前の屋号をでっちあげれば良いだけです。ハッタリとしてはその方が上等だと思います。1円もかからないし。例えばミルウォーキーのKMスタジオにてマスタリング、とか。

・「どんな曲でも作れます」問題

どんな曲(ジャンル)でもしっかりやれるマスタリング屋はたぶん存在しません。

オーダーした作編曲家やギタリスト、ボーカリストがそうであるように、そのマスタリング屋を選んだ時点でサウンド傾向はほとんど確定しています

これは世の中全てに共通することです。人選の時点でもう結果はほとんど確定しています。「じゃあなんで俺にやらせたんだよ!」って思ったことありませんか?

 

 ■雑にやられる前提で2MIXを作る

そういう雑なマスタリングをされても破綻しないように2MIXを作っておくべきなんです。

仕上がりに文句を言っても後の祭りなので、ベストよりベターを目指すべきなんです。

もしこの意見が当てはまらない、妥協をしない理想的な音楽をやれている人がいるなら、それは幸せなことだと思います。でもそうじゃない人のほうが多いんです。

 

そういうマスタリング屋はいなくなって当然の時代です。

(あえて「自称」とか揶揄する言葉は使いません。音楽、マスタリングに限らず、あらゆる業種において品質はピンキリです。F1マシンを作るのも車の仕事ですし、レンタル社用車のメンテをするのも車の仕事です。全ての「◯◯屋」が均質ではないのは当然です。)

自分の曲をちゃんと理解し、愛情を持って仕上げた方が、そこらのマスタリング屋にやらせるよりまともな仕上がりになるんですから、自分でやったほうが良いですよ。ほんと。

 

ただ、多人数で作るコンピ曲集として仕上げる場合には、全ての曲が集まる場所にいる人がマスタリングを担当することになるので仕方ありません。

上述のように適当なマスタリングをされて当然です。だから適当に扱われる前提で2MIXを仕上げる必要があるんです。で、そのためにはスペアナをきっちり調整し「マスタリング屋にとってフラットな」音にしておく必要があるということです。 

・マスタリングで出来ること、出来ないこと

ちょっとでも丁寧な加工をしてくれるマスタリング屋なら、帯域バランスを「フラット」にした上でリミッタに突っ込んでくれるので、リミッタは適切に反応します。

しかし、ダメなマスタリング屋は「2mixの出来が悪い」という逃げをします

とはいえ、やってみればわかるのですが、できの悪い2mixというものは確実に存在します。リミッタの前段階として帯域バランスをフラットにした結果、楽曲が崩れてしまうことがあるからです。

eki-docomokirai.hatenablog.com

リンク先記事にあるサンプル音源のように「フラット」にした結果、元音源のバランスの悪さが浮き彫りになってしまうわけです。

高域で「少し聞き取れれば良いだけのエアー感」が全体の帯域バランスの補正のために10dB持ち上げられ、シャリシャリした耳障りな音になってしまっています。

マスタリング工程では各帯域に含まれる成分を再構築することはできません。それはミックス工程でなければ絶対に修正できません。

そういうのを修正できるかのように謳っているプラグインもありますが、お察しください。

 ■流通のための通過儀礼だから妥協しよう

と、さんざんマスタリング屋をdisるようなことを書きましたが、彼らも時間的に仕方がないんです。仕事ですから

入念で理想的、ドリームなマスタリングをして欲しいなら、拘束時間に相応の対価を払うのはもちろんのこと、立会するのが当然です。とは言え、何時間も何日も立会で、なんて日程はまず不可能でしょう。結局は時間と予算の問題です。

 

コンビニやファミレスに超一流の接客スキルを要求するのがナンセンスなのと同様、そういう丁寧な仕事に慣れたエンジニアを探すところから始めるべきです。そして、莫大な予算を準備しましょう。

 

それが無理なら、自分でやりましょう

マスタリング屋だって口うるさく言われると「じゃあお前がやれよ。DAW持ってるんだろ?」と思うはずです。それでも口うるさく言うなら「お前みたいなのは客じゃねえ。営業妨害だ警察呼ぶぞ。」ってことになるのは目に見えてる。

そもそもマスタリングは流通のためにやる「関所」あるいはパッケージング業務なので、今の時代には自分で納得の行く仕上がりにしてそのままネットで直販すれば良いんですし。

 

・さらに言うなら

「じゃあ音圧下げて繊細なサウンドにして、売れなかった場合に責任取れるの?」という経済社会的な問題もあります。

誰も自分のジャッジに責任を持てないから「周りがこうだから」「最近売れてるのはこういう傾向だから」という根拠で海苔波形にします。

心理学ではこれを「現状維持バイアス」と呼びます。

brave-answer.jp

顧客が現状使っているサービスや製品よりも、自分たちが売り込んでいるサービスや製品のほうが客観的にみて明らかに優れているにもかかわらず、導入を見送られることがあります。

(~編者略~)

「優れていても何か落とし穴があるかもしれない」「怪しい、不安」といった主観的な要因で、客観的に合理的な選択肢の導入に踏み出せなくなるのです。

はい。海苔波形とかラウドネスの件はこれで論破ね。

 

低音圧、丁寧仕上げ版をボーナストラックとしてちょっと追加しておく、とかどうでしょうか?

 

・別の観点から攻める

その一方で、大手の新しいプラグインはどんどん使われ、宣伝され、広まります。

上2つの事実を混ぜて考えれば答えは明白です。

WavesiZotopeあたりが、「これに突っ込めば適度なラウドネス、適度なクレストを持つ仕上がりになります。」という機能で、L3のようなクリティカルなプラグインを出せば良いんです。デザインはワンノブ系にしないで、適度に複雑そうなカッコイイ感じで。

現状で出回っている「仕上げプラグイン」は概ねブリックウォールリミッタなので、突っ込めばリミットがきつくなるのは当然だし、RMSを出そうとすればどんどん頭が潰れる。

適度な仕上がりというのは要するに丁寧にコンプして「上を壊しすぎずに下を持ち上げる」ことに他ならないです。リミットして「上を徹底的に潰す」のは突発音の予防だけであるべきなんです。

まじでこれだけで個人マスタリングの世界は変わります。断言するよ。ほんとに。どうせ数年以内にそういうクリティカルなのが来るということも断言しておく。

■具体例を書いている偉いブログ様

実際に8つの格安マスタリングサービスを比較した人がいる。

この記事は全音楽家必見である!!

reonald69.hatenablog.com

今回の結果を見た限り 格安マスタリングサービスの殆どは素人が遊びの延長でやっている マキシマイザーかけごっこ だと判断できます。

(編者強調)

良いぞもっと言ってやれ!

その辛辣な姿勢こそ音楽ブログの正しい姿だ!

メーカーの顔色伺いながら「このプラグインが素晴らしい。透明な仕上がりだ」とか言う必要なんて無いんだよ。DTM広告屋ごっこをやる必要なんか無い。

 

何度でも言うぞ。

なんとなく「マスタリングは業者に任せたほうが良い」と思っている程度なら、絶対に自分で入念にやった方が良い結果になる。もしくは大事にやってくれる知人に「おまかせ」とだけ言ってリテイク1回程度で客観性を得た方が良い。

CDの仕上がりにハクをつけたいだけでマスタリング屋の名前を出したいなら、それらしい海外風の名前を適当にでっち上げれば「すげー海外スタジオ通してるんだ」と思い込む阿呆は簡単に丸め込める。実際私も捨てペンネームで日本人じゃない名前を書くことあるし。

 

納期1ヶ月くらいくれるなら私にお話してもらっても貰ってもOKです。暇な時にで良いなら安くゆっくり仕上げるか、やり方だけレッスンで対応しますので。

 

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