eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

マッチングEQの危険性について

スペクトラムアナライザーの調整が重要な理由」から分離した記事です。

(2020年7月11日)

 

 

■マッチングEQの決定的な弱点

近年流行の「マッチングEQ」についても所感を書いておきます。マッチングEQはてきとーに使っても役に立ちません。それどころか有害です。

あと10年くらいは開発者以外は関心を持つ必要はありません。キー判別やコード分析が完全に自動化されるまでは音楽家にとっては無価値な技術です。

 

マッチングEQの運用では「リファレンスのどの部分を抽出するのか?」というセンスが問われます

上で述べた通り、リファレンスとあなたの曲は違う曲ですから、どの部分を抽出し、どの部分に適合させるのか?という選択を迫られます。で、どこか一箇所を抽出してマッチさせると、他の部分で乱れるわけです。キーもテンポも編成も違う曲を持ってきても所詮知れています。

特にマッチングEQが高精度であればあるほど、キーに影響を受けます。ドミソを演奏していれば、ドミソの周波数が強い音だと判断されるからです。元曲にテンションノートがあれば、その周波数を持ち上げられてしまうことになります。

細かい分割を行うマッチングEQのGUIを見て「すげえ!」と思った人は、根本的に音楽を勘違いをしています。

 

また、根本的な問題として、リファレンス曲はマスタリング済みです。あなたの2mix前の段階にかけても意味がありませんし、異なる仕上がりの2mixに同じEQをかけても、マスタリング結果が似ることはありません。

将来的にはリファレンスの複数の箇所にセットして、自作曲の対応した箇所に自動でマッチさせるようになるのでしょうが、現時点では使い物にならない、もしくは達人しか使えないように思います。

 

新しいテクノロジーが好きな人は「近い将来、そういうことはAIがやってくれる時代になる」と言いますが、それは飲み屋で笑いながらする妄想の話です。

今はまだ未来ではないので私達は手動で音をリファレンスに近づける仕事をしなければいけません。

すでにリリースされている「なんちゃってAI」のミキシングツールを試した人はご存知でしょう。まるで役に立ちません。

 

現時点でAIが成し遂げたことは、商品を売るための宣伝文句で役立ったことくらいでしょう。「AI搭載!わずらわしい作業からあなたを開放し、週末のパーリィに参加できる自由な時間をもたらす夢のプラグイン!すべてのミックスを過去にする!」

某社AI搭載プラグインは稀に見るヒット商品だったそうですが、多くの人がガッカリしたのは誰もが知っています。

結果、「ああ、なるほどね。自分でやったほうがましだ。」とはっきり思い知らされ、自分以外に頼れるものなど無いと痛感したはずです。あんなミックスしかできない低能AIが人類に宣戦布告したとしても、たぶん人類の圧勝です。しばらくはミックスマスタリングの仕事が無くなる心配は無いでしょう。あと、作編曲AIもまるでお話にならないレベルですね。 

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