eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

逆の手順で行う「トップダウンミキシング」と最小限のトラックで行う「ステムミキシング」

まず大雑把に解説。細かい話は末尾にて。

わかりやすい状態を保つため、短い記事のままにしておきます。

説明が必要になった場合は別記事で補足します。

(2021年7月23日)

 

■概要

3つのモダンミキシング手法を組み合わせます。

  1. トップダウンミキシング(リバースミキシング)
  2. ステムミキシング
  3. プリマスターの導入

いずれの方法もかなり以前から海外TIPSで語られている方法です。もし初耳だとしたら国内DTM「er」情報にどっぷり、エコーチャンバー効果にやられていることを疑うべきだと思います。

準備がちょっとだけ面倒なので、今やっている曲が終わってから、次の曲から導入してみてください。その後はテンプレート化しつつ改善を繰り返していくことをおすすめします。

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トップダウンミキシング

仮マスタリング用のプラグインを立ち上げた状態で、作編曲の初期から大音量で開始する方法です。

古典的な手順では2MIXとマスタリングを別人が担当していましたが、近年は作家の仕上げ音をそのままリリースすることが非常に多くなっています。どうせ全部自分でやるんだから、作業工程を分ける必要はありませんよね?ということです。

トップダウンミキシングに難しい技術は何もありません。

適当なマキシマイザーを強めに掛けた状態ですべての作業をやるだけです。

どの程度の音圧にするかは参考音源に揃えます。

たまにマキシマイザーをオフにしたり、数値を調整したりしましょう。

トップダウンのメリット

メリットはマスタリングで音が変わりすぎることを予防できることです。

『2MIX作ってからマスタリング』という古典的な手順を使った際に良くある「マスタリングでリバーブ音量が上がりすぎた」とか「小さい音で聞いていた時とバランスが全然違ってしまう」という事故をほぼ確実に阻止できます。

トップダウンのデメリット

デメリットは、2MIXを提出する必要がある際に、他人が扱いにくい2MIXになってしまうことが多いことです。

また、頭が古いエンジニアからは嫌われることがあります。

 

■ステムミキシング

大量のトラックを8個以下のグループバスにまとめ、グループバスでの加工を主体にするミックス方法です。

グループバスでの加工で対処しきれない場合のみ、個別トラックの加工を行います。

近年のプラグインは、ダイナミクスEQやマルチバンド処理ができるものが普通になりました。一昔前まではCPU負荷が高すぎて、大量に使うことは不可能でした。

だったら最初から大量の多機能プラグインを使ってしまえ、というテクノロジーの進化を前提としたメソッドです。

・ステムミキシングのメリット

とにかくスピードが速いです。

・ステムミキシングのデメリット

雑になることが多いです。

個別トラックに雑な音が混ざっていることに気が付かないままだと、最終的な仕上がりの質が落ちます。

多機能プラグインの、特に自動処理AIに頼り切りになっていると、想像もしないおかしな音になってしまうことがあります。

多機能プラグインに対する習熟が問われる場面が多いです。

■すべての音はいずれかのグループを経由してからマスターに出す

普段扱うトラックを8つだけにします。

それらを仮マスタートラックを通過させ、最終マスターに流す。

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ポピュラー系だとこう。

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オケ系だとこう。

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いずれも8つ程度のグループにまとめることを目指す。

もしまとまらないなら、サブグループを経由させる。

どうしても分類不能になったり、細かく分けたくなるはずなので「Other」という何でもぶち込み場所を作っておくと便利です。

 

イメージとしては、

  • (マスター)私立ミスカトニック小学校
  • プリマスター)校長先生、代表者
  • (グループ)1年生~6年生の6グループ+教員グループ+父兄PTA。計8グループ
  • (個別トラック)クラス担任が問題児を分からせる

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実用性を考えると、「Voとそれ以外」の2トラックだけにした「Pre-PREMASTER」があっても良いかもしれません。実際便利。あとはご自由に。

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■ミックス手順1、PREMASTERで大雑把な最終音量を決める

どうせ「そういう音量」に仕上げるんだから、仮で適当なマキシマイザを通してしまう。-8LUとか-14LUとか、良く聞くあたりの数値で。

その数値の根拠として参考曲を用意する。

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仮の音圧上げで寄せきれないことが多いです。

そういう時はREFERENCE(参考曲)の音量を少し下げましょう。

 

プリマスターを挟むメリットは下記事で解説。

eki-docomokirai.hatenablog.com

とにかくマスターでは何もしない。絶対に音を変えない。

これによって参考曲をすぐに聞いてチェックすることが可能になります。このメリットは極めて大きいです。

 

■ミックス手順2,グループ内の一括処理でそこそこ仕上げてしまう

近年のプラグインは高性能・高品質だからグループ処理を担当させて問題無いです。崩れるようなことはまずありません。

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グループ一括処理をやっていて「この音だけどうしてもコンプに変に引っかかって邪魔だなぁ」と思った時だけ、個別トラックに行って修正します。

 

■メリット

どうせグループで処理することになります。

どうせ音量を潰します。

だったら先にやってしまいましょう。という方針です。

 

こういう構成にしておくと、トラック数がどんなに増えても怖くないです。

 

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