中の中まで丸見え無修正写真集。
(2021年3月29日)
■elecom M-DUX50BK
数年前。出た直後に購入していましたが、割とすぐに壊れてしまって放置していました。ここ数日マウス分解ブームなので、押入れから出してきてバラしてみました。
私が買ったのは本当に初期のものなので、現行品とは仕様が異なる可能性があります。
その後にM-XGM20DLなどのシリーズが登場し、エレコムのマウスの品質が一気に上がる過渡期に出た「直販のみ」の実験的なマウスとしてリリースされたものなので、色々と仕方がないと思います。私が買った時は化粧箱も無く、ただのダンボールに入って届きましたし、側面もラバーではなくプラスチックです。現行品とは明らかに違います。
・実売価格は2250円
価格.com - エレコム DUX M-DUX50BK 価格比較
価格でお察しください。定価は9000円くらい。
・総合評価
「良くない」です。
価格でお察しください。
軽量ボディに硬いケーブルがついているので、手を離すと動いてしまいます。(強引に重たくするなら、鉛でも削って内部の隙間に固定すれば、あるいは。)
そういう不満の落とし所としてE-XG系、M-XG系が作られていったらしいので、まぁ本当に過渡期の奇形マウスです。
・サイドボタンの完成度の低さ
特徴である側面の9ボタンも形状が悪く、また親指で扱うには小さすぎ、また親指に対するデザインが悪く非常に実用性に乏しいです。(これは他社の極端にサイドボタンの多いマウスでも共通する構造的欠陥と言えます。)単に「ボタンの数は正義!」という選択基準で選ぶなら、もっと徹底的にボタンの多いもの(Razer NAGA X)を選んだ方が良いでしょう。
なおサイドボタンを5つに減らしたM-DUX30はチルトがありません。
・ゲーミングマウスとしては精度が低い
いわゆるゲーミングマウスは余計なボタンが無いので、「ゲーミング」カテゴリでボタンが多いからこれが良い、と選定する人もいるかも知れません。が、このマウスがさす「ゲーム」とはMMOとかのことです。精密な高速操作を要求されるFPS用ではありません。
むしろこの多ボタンは事務用途の方が適している気がしてならない。と言いたいところなんだけど、事務用途だと硬すぎるケーブルのせいでマウスが動いてしまうのが致命的な欠点。
やっぱりMMOを片手でダラダラやるためのマウスものだと割り切るべきなのでしょう。そう考えれば非常に良い選択肢だとは思います。
・ユーティリティもいまいち
専用のユーティリティツール(ドライバ)で時間差マクロなどをかなり自由に作ることができ、本体に記録されます。
が、その後のエレコムのマウスユーティリティのように「フォーカスの当たっているアプリケーションごとにに自動でセットが切り替わる」機能がありません。上部のスイッチで自分で切り替えなければいけません。また、その切り替えを知らせるランプの色が似通っていて、今どの色なのか非常にわかりにくいという欠点もあります。
■分解する
ドライバーはY型2.6mmで外しました。やや緩かったので3.0mmでもいけるかもしれません。
内部基板はプラス型3.0mmで外しました。ほぼジャスト。
いずれも他のエレコムマウスと同じです。
・底部から開く
ネジ穴位置は丸い紙シールに隠れた場所。左右と下の3箇所。指か爪で軽く押しながら探ってみるとすぐに分かります。ドライヤーで熱してシールを剥がすことは可能かもしれませんが、私の推測ではたぶん張り直しは困難です。
ネジを外したら、お尻側を少し引き上げ、前方にある2つのフックから外します。フックは硬めで、数ミリ前方にスライドする必要があります。組み立て時は底部を手のひらに乗せて密着させ、しっかりとフックの奥まで突っ込む必要があります。
・底部の内部
緑マルの部分から上部外殻へのハーネスがあります。
ハーネスは台座の黒い部分のみを引き上げて、平たいケーブルを抜きます。電極向きはハーネス台座を覗き込んで見れば、どちら向きにするのかはすぐに分かるので写真は割愛します。
スイッチは他のエレコムマウスと同等です。
一般的なマイクロスイッチと互換性があるはずです。
・上部の内部
サイドスイッチ群の基板を外した状態です。プラスチックの「短冊」パーツは溶接されているので外せません。
サイドスイッチ基板を抜き取る時は、フックをしっかり引いた状態で抜き取ります。
基板表面を削ってしまわないように。壊すならフックを壊す覚悟でしっかり引っ張りましょう。
この側面ボタン受けの形状を見て思ったのが「汚れによる破損はまず無い」ということです。ギザギザの尖った8つのサイドボタンは手垢を吸い取ることに特化していて、ものすごく汚れるマウスなのですが、内部に汚れが侵入しても、多少の量なら全く問題ない構造です。そういうズボラを認める構造も実にMMO向けな気がしてならない。
・上部、左右クリック用アーム
アームと言ってもただの棒が伸びているだけです。
アームの先端には、スイッチまでの距離調節用の黒いプラスチック板が張られています。(写真左の緑マル)
写真では壊れた左クリック側のプラ板(写真右側が左クリック用)が、脱落していました。
適当なプラ板を瞬間接着剤で貼り付けて修復しました。
マウスなどを買った時の透明プラスチックのケースが使えるはずです。厚みが足りないなら数枚貼ればOKです。コンビニ弁当の上蓋でも行ける気がする。
・ホイールAssy
ホイールアッセンブリーの分解時には破損と怪我に注意。
ロータリーエンコーダ(回転スイッチ)の断線に気をつけましょう。
透明パーツのカドが鋭いので削ってしまいましょう。
軸のアソビが気になるならティッシュを突っ込めばOKです。非常にタイトになります。
・側面ボタンスイッチ基板
9つの非常に薄い金属スイッチが表面実装されています。
表面実装の半田作業はかなり難しいので経験が無い人は覚悟しましょう。
・下部基板
左右クリックはオムロンD2F系。3ピン。
中央のホイール押しとトップのプロファイル切り替えスイッチは謎の3ピンスイッチ。
人差し指の外側のスイッチは非常に小さい長方形の2ピンす。一番最初に破損したのでたぶん耐久度に難あり。
裏を見ると、3ピンのスイッチの端はダミー軸だと分かります。半田付けされていません。また、フラックスか何かで非常に汚れていました。すぐに拭き取れないレベルでベッタリ。
・配線取り回しの修正
ケーブルからメイン基板へのラインが、ケーシング組み立て時に挟まります。基板を外して柱の内側へ。下を通す経路に変更しました。
■サイドボタンのアタッチメント増設
ボタン自体は非常に押しやすくなったけど、トータルでは失敗。
マウス自体のホールド感が悪化し、決定的に使いにくい。
そもそも軽量すぎるボディに硬すぎるケーブルという構成の時点でダメな設計のマウスなので、まぁ色々と仕方がないですね。左右クリックのスイッチ交換だけやってお蔵入りにします。おやすみなさい。