"FF7 Remake"の音楽を聞いていて懐かしいシンセ音色が聞こえてきた。ので、シンセに詳しい人に「この音色って何だっけ?」と質問したら数分で「これか?」と答えが返ってきた。ガチ勢すげえ。
(2020年9月7日更新)
■『FF7 Remake』で久々に聞いた「あの音」
12秒から、3拍目に何度も「スカーン」の音が聞こえます。
この音色はピッチを変えて数回使われています。
これはおそらくRoland R8の「SPARK」というFXパーカッション音色です。
もしかしたらIntegra-7あたりに再収録された音か、AKAIのサンプラー経由で使われたものかもしれません。
が、ともかくRoland R8の音と全く同じです。
・余計な一言
ちょっと合っていないと「私は」思います。
もし私が作るなら、エピック系のウィップ(鞭)など、パシーン!と鳴る生楽器系にしたはずです。
もし機会があればどうしてこの音色ブチ込んだのか質問してみたいです。
どんな大作だろうと鵜呑みにせず、自分ならどうするか?と自問自答するようにしています。
もちろん他の楽曲も素晴らしい作品が次から次へと出てくるので圧倒されますが、それでも「ここは自分ならこうする!」と常に考えるようにしています。
なお、大作相手だからと言って「こんなの大したことねーよ」という態度はとりません。根拠無しに嫌うだけなら誰でもできますから。
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話を「スカーン!」に戻す。
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・Roland R8の「SPARK」
Roland R8(1989年ローランド)の音だと思われます。
下はデモサウンド。
ファクトリーデモ曲の開始3秒で同じ音が聞こえます。
この音色はInst#65のSPARK1(パッドバンクEの07番目)
同シンセでは同じサンプルのピッチ等を変えたものを別名音色として扱っています。たとえば同じ#65をピッチ下げしたのがTHRILLERという音色になっています。
R8の取説(画像PDF)はこちら。見ても意味ありませんが、資料として貼っておきます。
http://lib.roland.co.jp/support/jp/manuals/res/1809987/R-8_j.pdf
Roland R8についていろいろ語られているサイト。
・『頭文字D』でも使われている
このRoland R8のSPARK音色はTV BGMやちょっと昔のアニメサントラなどで頻繁に使われていました。
ちょうどよい動画が無かったので、興味がある人は、
初代、第2話序盤。高橋弟がガソリンスタンドに来て、拓海を尋ねるシーン。BGM切り替わり、イントロ「ジャジャン!」と鳴った直後の「スカーン!」音。ttps://www.dailymotion.com/video/x4i5utz
『頭文字D』と言えばアツいユーロビートが有名ですが、日常シーンBGMでもユーロビートで使われる実機シンセ系の音が使われている、と見ることができるでしょう。
こちらの使われ方は、緊迫した場面のBGMとして非常にマッチしていると感じます。みんなももっと地味BGMを聞こうぜ!
・テレビ愛知『工場へ行こう』で連発されている
8分41秒他、文字入れタイミングでこれでもかというくらい連発されています。
■シグネチャー・サウンド
Roland R8に限らず、昔のシンセには「このシンセと言えばこれ!」という極めて印象的な音色がありました。
・Roland M1
例えばKorg M1のネイチャー系のコロコロ音した、みずみずしいマリンバのような音。
(最後のロゴ、下降音の後。下から上がってくる水っぽい音。ブツ切れになっていますが。)
実際には「Lore」という音色だったはずです。
下の動画で聞こえるみずみずしいキラキラ、コロコロした音です。
Roland M1は多くの特徴的で実用的な音色が多く、今でもたまに聞こえてくることがあります。近年はプラグインとして使っている人も多いかも。
「Lore」ほど特徴的な効果音系ではなく、いわゆる「M1ピアノ」のコンプされた音はさまざまなジャンルの音楽で使われました。
・フェアライトCMI
YESの"Owner of a Lonely Heart"のイントロ。
20秒に聞こえるレトロなオーケストラヒット音とか。
これはフェアライトCMIのシグネチャーサウンドだと言って良いでしょう。
商用音楽、デジタル化されて、打ち込み音楽が商用レベルになるかどうかの初期。YESの機械的なサウンドとマッチし、非常にビビッドなオケヒの使い方として多くのフォロワーを生んだ、と言えるでしょう。
この音とそっくりなオケヒは、私が作ったものを売っています。欲しい人は寄付だと思って買ってね!
あまりにもそっくりなので驚くかもしれませんが、YESやCMIからのサンプリングではありません。念の為。
・その他のシグネイチャーサウンド
Yamaha DX-7のエレピ
とかとか。
■R8の音
R8の音満載。Magellan(マジェラン)のファーストアルバム1曲目のドラム音の多くがR8のものだそうです。1991年作品。
あまりにも打ち込み音が多いことから賛否あったようですが、1991年というタイミングはコンピューターゲームの音楽が急成長した頃。いわゆるゲーム音楽の多くがこういう音の後継になるのでは?と解釈することもできるかもしれません。
ジャケットイラストのテイストも、いわゆるゲーム的なものを感じます。