eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

自宅待機で退屈な人に勧めるDTM上達方法

初心者向けレッスンでも推奨し続けてきた方法を特別に紹介しておきます。

(2020年4月22日更新)

 

■小さく練習しよう

  • 徹夜でがんばる必要はありません。
  • 5分の曲を3番まで歌付きで作る必要はありません。
  • 細かい伴奏を作り込む必要はありません。
  • 精密にミックスする必要はありません。
  • 派手な動画を作る必要もありません。

 

■「毎日8小節作曲」

毎日8小節だけ作る方法です。

毎回キーを変えてみましょう。

同じような曲ばかりにならないように、たまには違った雰囲気の曲にしてみましょう。

 

ループできるようにしてみるのも楽しいです。

8小節目できっちり終わる曲でも良いです。

細かいことを考えず、とにかく毎日作りましょう。

「明日はこういうのにしてみよう」と決めてしまうのも良い訓練になります。

 

有料レッスンでこれを添削する場合には、「1週間に5曲か6曲」と指導することが多いです。

これは週休2日という意味ではなく、むしろ逆です。

休日に頑張るのではなく、仕事や学校で忙しい日々に「いかにして創作タイムを組み込むか?」が大事なんです。

洗濯機が回っている間にやる程度で良いんです。

同居人のお風呂を待っている時間で良いんです。

 

・「16小節作曲」

「Aメロ8小節、Bメロ8小節」で書いてみましょう。

これもループできるようにしてみると良い練習になります。

 

■「簡易耳コピ

メロとコード、リズム程度を雑に耳コピする練習です。

好きな曲を何曲かやってみてください。

 

細かい強弱などは一切いりません。

優れた曲は雑なベタ打ちでもちゃんと音楽に聞こえます。

優れた曲は安いシンセの音だけでも音楽に聞こえます。

 

・エア耳コピ

好きな曲を原曲を聞かずに記憶だけで作ってみましょう。

細かく作り込む必要はありません。

メロとコード、リズムが合っていれば十分です。

 

答え合わせをしてみると、間違えたポイントから「今のあなたに必要な音楽理論は何か?」が明確になります。

 

■「編成だけメモ」

DAWを使わないアレンジ訓練方法です。

その曲で使われている全ての楽器名を文字で書き出してみてください。

 

どの時間(秒数・小節数)でどの楽器が出入りしてくるか?

可能な限り全て文字で書き出してみてください。

 

楽器名が特定できない場合、音色の命名は自分なりの方法で構いません。絶対に「シンセ」「ギター」とだけ書かず、「短い高音シンセ」「リズムの地味なギター」「シュワ~って音」など、なんとか命名してみてください。

 

機会があったら詳しい人に「この曲の◯◯秒でリズムやってる楽器ってなんて名前ですか?」と質問してみてください。

「こういうエレキギターってどういう音作りしてるんでしょうか?」と質問してみてください。

楽器辞典を見て覚えるのではなく、実際の音楽から楽器を覚えることができます。

 

・「ミックスバランスだけメモ」

楽器名を書き出すことができたら、その曲のミックスの「音量バランス」「定位」を図式で書いてみてください。

手書きでも良いですが、画像編集ソフトがあると修正が簡単です。

かっこよく出来上がったミックス設計図は「インスタ映え」するかもしれません。

 

下の海外ブログにある画像を参考にどうぞ。

www.masteringthemix.com

 

■「簡易完パケ」(上級者向け)

好きな曲の好きな部分、数小節(数秒)だけを、できるだけ完璧に再現してみてください。

・音色再現(シンセ上級)

特定の音色をできるだけ再現してみてください。

同じモデルのシンセを使う必要はありません。

同じフレーズをMIDIで打ち込んでおいて、そっくりにしてみましょう。

 

■楽譜を打ち込んでみる

DTMでは楽譜の読み書きができる必要はありません。

が、もしできるなら、無限の資料から学習することが可能になります。

また、将来的な活動の幅も大きく広がる可能性を手に入れることができます。

 

 

 

どの曲にして良いか決められないなら、ビバルディの『四季』をどうぞ。(IMSLP 直リンク、Finale浄書版)

https://imslp.simssa.ca/files/imglnks/usimg/d/d9/IMSLP05238-Spring-score-a4.pdf 

www.youtube.com

楽譜を見て、どんどんピアノロールで打ち込んでみてください。

だんだん読み方のコツが分かってきます。

 

楽器は上から順に「バイオリン・ソロ(1人)」「バイオリン・セクション1(数人)」「同2(数人)」「ビオラ・セクション(数人)」。一番下が『通奏低音』で、とりあえず「チェロ・セクション(数人)」で打ち込みをしておけば良いです。

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通奏低音記号が読めなくても、他の楽器を全部打ち込んでからコードを読み取って、チェンバロリュート、小オルガンのコード演奏にも挑戦してみましょう。コントラバスを追加して、重低音のあるアレンジにしても良いでしょう。

ビオラは「ハ音記号」です。読み方がちょっと特殊で、オケ楽譜を読む時の難関です。どの位置がドなのか?どのオクターブなのか?ネットでよく調べてみてください。

 

トリル記号や通奏低音など、分からない部分は無視しても構いません。強弱の打ち込みも必要ありません。テンポの動きも無しでOKです。

 打ち込みをやり遂げてから演奏動画を観察してみると、いろいろな発見ができるはずです。

 

■さいごに

有料レッスンでは「この訓練をやる時には、こういうことに気をつけよう」と指導しています。でも、何より大事なのは「小さく継続すること」です。自主的に継続できない人は、どんなに良いレッスンを受けても無意味です。

 

  • 気軽に
  • 毎日
  • 少しだけ

音楽を作ることが完全に習慣になった頃には、さまざまな音楽能力が向上していることに気がつくはずです。

誰からも教わっていないのに、難しい本を読んだこともないのに、10000回再生すら届いたことが無いのに、あなたの音楽能力が高まっていることに気がつくはずです。

 

・余談

海外の音楽教育関係者にこの話をしたら、

「毎日8小節はキツい」

「が、絶対上達するわそれ」

とのことでした。

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