eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

時事話。映画『タイタニック』に出てくるのはバグパイプではありません

タイトルだけで100%ネタバレ記事です。

作編曲家、およびDTMer各位はあの楽器のことを「バグパイプ」と呼ばないようによろしくお願いいたします。

(2021年5月2日)

 

 

■映画『タイタニック』テレビで放送されます

今年のGW末。本日5月7日には映画『タイタニック』が放送されます。

kinro.ntv.co.jp

楽家的に最大の萌えどころは主題歌の"Heart Will Go On"ではなく、中盤の第三船室での平民パーティシーンであり、そこに出てくるのはバグパイプではなく「イリアンパイプ」(Uilleann Pipes)であるというウンチクです。ぜひこのウンチクを披露して一般人から嫌われてみてください!

 

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というわけで、アイルランドバグパイプは「イリアンパイプ」と呼びます。

奴らアイルランド民はバグパイプと言われると「おい、ちょっと待て」と返事をするそうです。

ユーリアン、ユーレニアン等、なまりのある呼び方もされています。

ja.wikipedia.org

スコットランドグレート・ハイランド・バグパイプ(Great Highland Pipes)に比べて音量が小さく、音を止めることが可能なため、室内で他の楽器と合奏しやすい。また、音楽表現の幅が広いという利点がある。

いわゆるバグパイプスコットランドケルト

お隣アイルランド的には「バグパイプ」と呼ぶことは決して無いそうです。

 

アイルランド在住の知人と話をしている時にこの話題になり、「日本で言うなら三味線と沖縄の三線(サンシン)のような違い」とのことです。沖縄でシャミセンって言ったら怒られるのと同じくらい違う楽器です。

 

で、そのアイルランドの知人曰く、

スコットランドバグパイプは軍隊のイメージが強い。直立不動で演奏する。」

アイルランドのは俗。ゆったり、座って。ノってくると足踏みとか。」

とのことです。

ゲール語で検索すれば死ぬほど出てくるらしいです。

 

バグパイプというのは楽器の「属」の名前、総称

ja.wikipedia.org

 

ゲール語Wikipedia曰く、

ga.wikipedia.org

ach is dócha go raibh siad i bhfoirm áirithe cosúil le píoba móra Albanacha an lae inniu.

Dhíorthaigh na píoba uilleann as an bhfoirm níos sine seo agus tá siad, gan aon amhras, níos sofaisticiúla agus níos casta ná aon sórt eile ar an domhain

「元はスコットランドバグパイプに似たものだった」

「現在のイリアンパイプの原型は18世紀にあり、今日では同属楽器の中で間違いなく最も洗練されている」

元は似たようなものだったと認めつつも、最も進化したものだと主張しています。

歴史認識のスタンスを感じさせるエモい文章だなぁ。

 

・『リバーダンス』もイリアンパイプ

ゲーム、アニメなどの音楽でバグパイプが広く使われるようになったのは、『リバーダンス』の世界的ヒットによる着火だと私は考えています。

www.youtube.com

非常に鮮烈なアイルランド音楽群を世界に広めたのですが、その楽器がイリアンパイプであることは認知されず、なんとなく手近なシンセに入っていたバグパイプの音色で再現され続け、「こういう音楽はバグパイプだ」という誤解が定着してしまったのではないかと私は考えています。

もちろんいわゆるバグパイプ知名度はそれ以前から高かったからシンセにも収録されていたのですが、この矛盾はたぶんそれ以前の世界万博などでバグパイプが紹介され、それが教科書に載って、シンセ音色として採用された、という流れじゃないかと思います。例えばSC-88PROにもバグパイプの音色がありますが、その隣にはディジリドゥがあります。ディジリドゥなんて映画などでもまず使われないのですが、万博で各国の紹介パビリオンがあって、そこで紹介された楽器としてなら認知度が高くなったもの納得できます。で、教科書に並べるとした際に「イングランドの楽器」「オセアニアの楽器」としてバグパイプとディジリドゥが採用されたんじゃないかと。その際にイリアンパイプは「バグパイプと似たようなものだし、見た目の特徴としてもバグパイプの方が強烈(奏者の姿も強烈)だからイリアンパイプは割愛」ということじゃねーかなーと。

 

 

■音楽制作上での使い分け

闘いのシーンはバグパイプ

村のシーンはイリアンパイプ。

という使い分けをしたら面白いかもね。

 

VST音源

専用音源もあります。作ったの絶対にアイルランド人だろこれ。

www.ilyaefimov.com

59ユーロ。要Kontaktフル版。

試聴デモ曲は異なる曲想で3つ。

弱点を隠そうとしない勇気あるデモで好感が持てます。

より本格的な民族音楽を作ってみたい人はどーぞ。

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