eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

脚色アレンジ話

近況、雑貨。ポピュラー音楽アレンジ所感。短く中身のない記事です。

(2019年12月5日)

 

 

■脚色アレンジ?

造語です。

昔ながらの「ライブ版アレンジ」はすでにその曲を熟知している客層のために、やや過剰な脚色をしたアレンジをされることがある。バンドでもよくありますよね。適切な用語を知らないので便宜的に「脚色アレンジ」と呼んでおきます。たぶん一般的には「リアレンジ」なのでしょうが、リアレンジって言うと別ジャンルにするとかそういう意味も含んでしまうので、テイストの違いということでご理解ください。

映画やゲームで言うと、そのまま進化させた正当な続編、というテイストのアレンジです。

つまり『ターミネーター』から『ターミネーター2』は良いとして、3以降はNGという感じです。

ジョジョの奇妙な冒険』も同様に2までが限界です。人物的には3も繋がりが深いのですが、波紋呼吸法がスタンドになってしまうとあまりにも別物ではないか?ということです。

ゲーム『グラディウス』の続編として『沙羅曼蛇』や『5』を認められな人がいるのにも似ています。タイトルと見た目が同じだけでまったく別物なので「なんか違うわー」ってなるでしょ?

そういう感じで、元作品を知る人なら絶対にOKを出せる範囲でやるアレンジの話です。

 

音楽のアレンジでも、ライブ版アレンジがあまりにも別物になってたら客はドン引きするでしょ?

 

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で、本題。

アレンジの目的が

  1. すでに知っている人のため
  2. 別物にはしない

ということは、アニメOP曲とかは90秒尺でみんながヘビロテしているのだから、ライブどころかフル尺シングルの時点で過剰な脚色をしていても良いのでは?と思った。

■Lisa『シルシ』の各種バージョン

例えば

Lisaの『シルシ』(アニメ『ソードアートオンラインマザーズ・ロザリオ編ED)

・TVOP

いわゆる本家。フル尺動画はありません。たぶん。

www.youtube.com

・アルバム版

なのでフル尺を買いました。

が、ここで紹介できる動画は無し。素人カラオケ版がごろごろしてるので興味がある人は検索を。ただしマイナスワン加工オケなので音質はお察しです。

Lisa シルシ - YouTube

この「本家フル尺版」は異様にバリエーションのあるアレンジで、正直どうかと思う点がある。通常の考えだと、アイディア出しでこういう様々な展開を考えてラフ書きすることはあるんだけど、「これじゃあ一貫性が無いよな」と思って却下する試作バージョン止まりになるんです。そこから一貫性のある構成するために「引き算」でシェイプアップしていく。

けど、オフィシャルの初手でこんだけ過剰なアレンジを出すことを納得できる理由があるとしたら「お前らアニメEDでさんざん聞いてるから、購入版の時点でド派手にしておいてやったぜ!」だと思うわけです。

実際この編曲をした人の他の曲ではこういうはちゃめちゃな展開をするのを聞いたことがない。全部聞いてるわけじゃないけど。違ってたらすみません。

 

・ライブ版

www.youtube.com

アカペラ、ブレイクの演出が使われています。

が、オケは生演奏用にかなり書き換えられています。

普通にアレンジしたらこういう感じになるはずです。

 

■脱線話、マスタリング談義

先日、と言ってもかなり前なんだけど、作家談義で出た曲。

 

www.youtube.com

このアレンジをやった人(堀江晶太 氏)の過去曲『ボタン』(PENGUIN RESEARCH、アニメ『リライフ』OP)の爆音マスタリングについて談義に出たことがありました。

これは音源を買ってないけど、Youtube版だけがこういう音だと願いたい。めちゃくちゃ良い曲なのにとても残念な気持ちになった。なお、他のPENGUIN RESEARCHの曲はこういう音じゃないです。念の為。

そもそもアニメ『リライフ』が低予算製作だったらしい。劇伴もピアノ1台の素朴なものだった。そこから推測するに、タイアップ曲の予算も低かったから作家マスタリングでこうなったのかなぁとか、現実的なことを云々した作家談義でした。別にマスタリングした作家が悪いとかそういう意味じゃなくて、本当にちゃんとしたマスタリングではない状態で流通する曲があるのはザラだからリファレンスには気をつけろ、という現実的なお話です。

低予算でもやるしかない。そういう時のためにもある程度のスキルを身に着けておく(もしくは安価にやってくれる人脈を確保しておく)ことはとても重要です。理想的な工程だけで世界が回っているわけではないどころか、音楽に限らず世界の創造物のほとんどは「やるしかない」で回っています。だからこそ優れたスキルが真に発揮された時、我々は心から称賛できるんです。

 

 

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