たまーーーに必要になるテープストップの比較です。
かなり前からのメモも含まれます。
(2022年6月19日更新、Kilohearts無料化に伴い。)
- ■(結論)必須ならこれを買おう
- ■以下、過去メモ
- ■テープストップって?
- ■M'z koo-boo "M'z TapeStop"(Cubase9.5.2で動作確認済み)
- ■以下、Cubase9.5.2で動作不良
- ■その他、ダメだったもの
- ■有料の製品
- ■番外、レコードシミュレーター
- ■よそさまの記事紹介
■(結論)必須ならこれを買おう
起動確認が面倒くさくなってきたのでKilohearsのTapestopを買いました。20ドルほどで後の安定を買った、ということです。
0.0~1.0秒まで加速復帰可能。40ドルくらい。
2021年時点ではぶっちぎりの使いやすさと、正常なテープストップができるツールだと思います。
・(2022年追記)Kiloheartsの大部分がフリー化
私がオススメする高機能なテープストップを含む多くのプラグインが無料化されました。恐るべき太っ腹です。
Kiloheartsのプラグインは、あまりにも地味な見た目から敬遠される傾向があります。
しかし、その評価は裏返しにもなります。
極めてシンプルでコンパクトな設計は極めて実用的だと言えます。地味だけど表示するべき情報はしっかりアニメーション表示されていますし、色彩とフォントも非常に視認性が高いです。
Kiloheartsで個人的なオススメは以下。
Delay。ダンピングディレイができます。
Dynamics。Waves MV2と同等かそれ以上に使える。全トラック向け。
Ensemble。高性能コーラス。
Limiter。破綻しにくい、素直な効果。インアウトゲイン付き。
Trance Gate。シンプル、ほどよく使いやすいトランスゲート。
Reverser。逆再生。
(話題をテープストップ比較に戻す。)
・Stutter Edit2のテープストップはいまいち。
Stutter Edit2はパターンリピート時にアタマに戻った時の音に欠陥があります。
耐久テスト用パラメタとして下のようにしてみると、戻った後の1拍目のキック音が完全にダメにされてしまうことを確認できます。
音をぶっ壊すためのエフェクタなので、テープストップ部分だけを使おうとしても余計な加工をされてしまいます。
■以下、過去メモ
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以下、2020年以前のメモをそのまま
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■テープストップって?
曲の途中のブレイク(休止)やシーンのつなぎ目、曲の最後で曲の再生速度を落としていく効果を出すエフェクトです。
テープストップ(tape stop)はレコード盤でも同様の効果が得られるため、レコード・スロウダウン(record slowdown effect)とも呼ばれています。
ターンテーブル(レコード再生機)を日常的に扱うダンスフロア寄りの人にとっては定番の技法で、その他のジャンルでもフロアの要素を入れたい時に応用されています。
一般的にはミックスダウンされたトラック全体に対して使いますが、特定のバッキングのみに使い、リズミカルな効果を狙うこともあります。
近年でめちゃくちゃ面白いテープストップの使い方をしていたのはアニメ『はたらく魔王さま!』(2013年)でした。BGMをテープストップする演出が頻繁に使われ、間抜けな感じを上手く表現しているなーと。
別にそのアニメをエポックだと言って持ち上げる意図は全くありません。
・テープストップの歴史
同様の「スロウダウン」を狙った音響効果はレコード再生の時代からあります。
私が知っている限りでは1940年の『トムとジェリー』の初期作品の劇伴が一番古いです。
『トムとジェリー』はアニメも音楽も極めて早いスピードで製作されていたそうですから、その制作時間内で実験的な技法が試行錯誤されたとは考えにくいでしょう。そうした背景から、スロウダウンはもっと前のサイレント映画などの時代から使われていたと考えて間違いないはずです。暇人は調べてみると楽しいかもしれません。
私が幼い頃、家にはレコードがありました。回転しているレコードに手を添えると再生スピードが落ち、女性歌手の声が野太い男の声になっていくのが楽しかったです。
■M'z koo-boo "M'z TapeStop"(Cubase9.5.2で動作確認済み)
2019年5月12日時点では断然おすすめ!VST2。64bitあり。
Cubase9.5.2で動作確認済みです。
リズミカルに「キュッ」と止め、即座に復帰する音を迅速に作れます。加速復帰不可。
・M'z koo-booの"M'z TapeStop"
M'z TapeStop (VST plugin) - M'z Koo-boo
FL Studio以外では地味な基本GUIのみで起動します。上と比較しても大差ないので、気にせず使いましょう。
一番上の「Trigger」をオートメーションで1にし、0に戻すだけです。
オン/オフのタイミングだけオートメを書いておいてから、スピードは後から整えるのが良いです。
逆に考えるんだ。小さくて使いやすいと考えるんだ。
惜しい点は再生スピード復帰(加速)ができないこと。
あくまでもストップエフェクト専用として使いましょう。
(復帰・加速をやりたい時は、面倒ですが2mixを作ってから丁寧にやるしかないでしょう。)(そういうプラグインもあるようですが、今のところ所有していません。)
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■以下、Cubase9.5.2で動作不良
以下は過去記事をそのまま残しておきます。
Cubase6.0.7で使用していた時点のレポートです。
64bitオンリーになったCubase9.5以降でもがんばってハックすれば使うことができます。たぶん。私は余計なことをしない安定重視なので破棄しました。
・Prektron "Vinylizer"
VST2.3、32bit。
非常に良い質感でストップするので好きです。
高周波がおかしな挙動にならない感じ。
アナログノイズ発生機能がデフォルトでオンになっているので、Dustを最低値にして使います。
左下のStop Timeで速度を決めて、START/STOPを叩いてストップ、もう一度叩いて戻し。
Decenterは軸のズレたターンテーブルの音を再現してくれます。ピッチ等がゆらゆらします。レトロな音を作る時に使うことがあるかもしれませんね。中央下の33回転と45回転の変更です。
Dustはプチプチノイズ。
High samageは高域ノイズの付加です。
どうせならローファイ用のツマミもあればなーと思いました。
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以上2つが現時点でのおすすめ。
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以下はおすすめしません。
・dblue " TapeStop"
おすすめできません。
定番とされているのですが、ストップ後の復帰時にプチることがあります。
また、バンドルされているGlitch等はCubase等のDAWでは誤動作することがあり、正直おすすめできません。
・TbT "TapeStop"
おすすめできません。
定番とされているのですが、Cubaseではオートメーションが正常に動かないことがあります。
ストップの減速だけではなく、復帰時の加速も設定できる強みがあります。
どうしてもそういう音が必要な時にどーぞ。
■その他、ダメだったもの
その他フリーのテープストップを片っ端から試してみたのですが、いずれも動作が不安定だったので紹介しません。
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■有料の製品
あれこれ悩まずにしっかりした製品を持っておくのも良いことだと思います。
私はたまーーーにしか使わないので買う気が無いです。
Vengeanceのは55ドル。64bitあり。
KiloHeartsのは19ドル。後に値上がりして40ドルくらい。64bitあり。加速復帰可能。買いました。
■番外、レコードシミュレーター
減速ストップはスピードを変えられないのでストップとしての実用性は皆無です。加速復帰も一瞬なのでダメです。
他の目的でならかなり優秀。
(2021年1月更新。GUIと機能が一部変更されています)
下は旧。
整備不良のターンテーブルの回転ムラを作れます。
中央付近にあるWARP DEPTHを上げると回転が不安定になります。
レトロな演出をしたい時に最適です。
その他、ローファイ音質化、クラックルノイズなどの雑音の付与。
ただし、通しただけ少しハイ落ちするので注意が必要です。(Dry/Wetバランスが無いので実用性に欠けます。)BYPASS/ONを切り替えた際に、あなたのDAWでプチらないことを確認した上で運用してください。
■よそさまの記事紹介
同様の記事です。
同じくCubase環境でさまざまなテープストップを比較しています。
お互いに過不足のある記事内容ですので、どちらも参照し、比較してみてください。