以前に書いた同名ダイナミックEQの具体的な使い方のお話です。
オススメした人が買ったは良いけど、どうやら普通にEQとしてしか使っていないようなのでこの機会に書いておきます。
(2019年4月6日更新)
Toneboosters FLXがどういうものなのかについては、過去記事を参照してください。
eki-docomokirai.hatenablog.com
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■ダイナミックEQとして使う
TB FLXのメリットはダイナミックEQとしての機能です。
下の画像参照。
下部やや右の「Comp」を「On」にすると、選択しているバンド番号にコンプ機能が追加されます。
ダイナミックEQなので、要するにディエッサーとして使えます。
で、ここからがTB FLXの本領発揮。
右のコンプ部を画像のようにセッティングしてみてください。
斜めの線より右にふくらませます。
こうするとどういうことかというと、いわゆる「アップワードコンプ」として働くようになります。
■アップワードコンプって?
別名はデコンプレッサー。
通常のコンプは「音量を下げる+全体上げ」によって圧縮された音を大きく鳴らします。
アップワードコンプは「小さい部分を上げる」ために行う特殊なセッティングです。
やっていることは通常のコンプと同じと言えば同じなのですが、通常のコンプでアップワードをやろうとすると手順や調整が非常に面倒です。できないことは無いですが。
一方、アップワード専の機能が付いているコンプは使い勝手が全然違います。
■TB FLXのアップワード
上で紹介したセッティングにすると「特定帯域の小さい部分を持ち上げつつ、その帯域にリミッタを掛ける」という状態になります。
高音が突き刺さって欲しくないからEQで下げたい。
でもEQで下げると明るさが無くなってしまう。
ていうか、突き刺さる瞬間以外はもっと明るくしたい。
でもEQで上げると、大きい時にもっと突き刺さってしまう。
という矛盾した要求を最短の手数で解決できるわけです。
■何しろ速いんですよ!
TB FLXを持っている人はこのセッティングを試してみてください。ものすごく便利です。
同じセッティングを複数のEQバンドに行っておけばいくらでも無理が効きます。
いちいちシンセの設定などに戻らず、TB FXL1本だけで強引に押し切ることができてしまいます。
単一トラックの中はもちろん、バストラックでまとめてから強引にねじこむことも簡単です。
「そんなMIXのやり方は邪道だろ。ちゃんとコンプ極めろよ!」とか言う人もいるでしょうが、そういう信念を持っている人はがんばってください。私は楽な方法で手早くやります。
もちろんTB FLXじゃなくても複数のプラグインを並べれば同じ加工はできます。手数と時間の問題です。