eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

ToneboostersのEqualizer4のレビュー

ToneboostersのEqualizer4は数回のアップデートによって高機能・操作性・完成度に到達しています。文句なしにオススメできる逸品です。「一番気に入ったのは値段だ。」

f:id:eki_docomokirai:20190618060315p:plain

(2020年6月23日更新)

記事内の画像は新旧バージョンが混在しているかもしれません。

■欠点

いきなりですが欠点から。

 

使っていて気になる欠点は以下3点のみ。

  • AI機能が完全に無意味
  • 精密操作、横固定のAlt+Shiftが不便
  • 部分聞き機能がA押しなのが気に入らない
    Cubaseのショートカットより優先される)

この3点が気になる人は他社製品で好きなのを探しましょう。

その他は完璧と言える仕上がり

文句なしオススメです。

 

■オフィシャルリンクと価格

www.toneboosters.com

ToneBoosters | Audio Plugins | Equalizer 4

価格は39ユーロ。4700円。

相変わらずのToneboosters価格。安い。安すぎる。

「一番気に入っているのは値段だ。」

 

Toneboostersは一切セールをやりませんが、全てのプラグインが一年中安いです。メジャーどころのプラグインが高すぎると思っている人に超オススメです。

・アップデート状況

アップデートによりリリース当初とは比較にならない使いやすさに成長しました。

4.2.6でフロートパネル固定が大幅に改善されました。

・ダウンロードとインストール

同社プラグイン一括DL方式です。

アクティベートされたものだけが無制限で使えます。

 

・デモ制限

設定をセーブできません。

DAW側でのプリセット保存やオートメーションも一切無効です。確認済み。

その場で一発で書き出す使い方が可能です。

でも安いから、サイドチェインできるダイナミックEQを持っていないなら買うべき。

・ライセンス

購入するとメールで送られて来ます。少し時間がかかります。

アクティベートはメールに書かれているコードを、プラグイン起動時に「DEMO」と出ている画面で、画面下部にコピペするだけ。

従来のToneboostersのような、キーファイルをdllと同じフォルダに置くスタイルでは無いので、昔からのユーザーは迷うかも。

インストール回数等については知りません。が、Toneboostersを長年使っていて再インストールでトラブルになったことは一度もありません。

■機能

マニュアルPDFのDLはこちら。(✕ 2019年6月18日時点では内容は初期バージョンのまま) 

・主な機能

f:id:eki_docomokirai:20190618060315p:plain

  • ノンリニア
  • 16バンド
  • ダイナミックEQ
  • 他Chからのサイドチェインコンプ(VST3機能)
  • アップワードコンプ
  • アナライザ付き(後述)
  • 32~384kHz対応

・操作系

f:id:eki_docomokirai:20190618050814p:plain

  • 右クリックで有効/無効の切り替え
  • Deleteでバンド削除
  • 複数バンドを範囲選択可能
  • Shiftで精密操作
  • Ctrlで縦固定
  • (横固定はAltを押してからShift)←これは欠点
  • ホイールでQ幅
  • Aで部分聞き 

複数バンド操作は好きな人にはたまらないかも。

 

・自動メイクアップ

V4.1.7から追加された自動メイクアップ機能。

バンドをゲイン/カットした量に応じて、他の帯域を自動で上下してくれます。

f:id:eki_docomokirai:20190618060135p:plain

「バンド操作した後でその分フェーダーを修正しましょう」というMIXメソッドを自動でやってくれます。昔、一部のEQに備わっていた懐かしの機能です。

 

一見便利そうに思えます。私もそう思っていたことがありました。

が、ラウドネスの理論上、実際に聞こえる音量は帯域に依存します。思ったほど「同じ音量を維持」しているようには聞こえないはずです。

便利だから使うのではなく、この程度の自動化では何の意味もないから自力で調節しよう!というモチベーションにするのが正しいです。
 

・ウェットバランス

f:id:eki_docomokirai:20180223045308p:plain

  • IN/OUTゲイン
  • ウェットバランス

 

これらは非常に便利な機能です。

  • GUI全体の拡大縮小(右下カド)
  • 表示音量の任意変更(左の縦バー) 

・フィルタ品種

通常のフィルタは色付けの無いデジタルシェイプと、位相歪みが出るアナログ系シェイプがあります。

シェイプの選択はGUIが洗練され、直感的です。

カテゴリを選ぶと、右側に選択肢が出ます。また、ホイールでも選択できます。

f:id:eki_docomokirai:20190618051558p:plain

バンドパスはゲイン量も変更できるので実用的です。

 

フラットトップシェイプが追加されました。

f:id:eki_docomokirai:20190412231048p:plain

 同社FLXからあったフラットシェイプは、他社製品に追従した形で「若干ゆるい」形状になっています。実際FLXのフラットシェイプは鋭利すぎて、音程をまたいだ時に違和感が強かったので、こちらの方が音楽的に使いやすいです。

 

 ・EQプリセット

まるで使い物にならないセットです。まじで。

自作プリセットの登録はDAW側への登録しかできません。 

■ダイナミックEQモード

バンド選択時に出てくるフロートパネル、右下のアイコンを押すとダイナミックEQモードにパネルが追加されます。

f:id:eki_docomokirai:20190618051858p:plain

コンプ部については、同社FLXの方が変態的な制御ができるので引き継いで欲しかったです。今後に期待。 

 

 

・帯域サイドチェイン

Cubaseだと普通の手順だけで帯域サイドチェインができます。

(VST3のサイドチェイン機能による内部ルーチンなので、対応していないDAWの人は注意!)

f:id:eki_docomokirai:20180202105021p:plain

先に拡張モードの右上のスイッチを入れておかないと、トリガー元チャンネルのセンドに表示されません。手順通りにどうぞ。

TとRを適度に設定するとトリガー元チャンネルの音量に対して作用します。

FLXのように面倒なチャンネル設定が必要無いので、廉価版Waves C6として使えます。

Waves C6も安くなったので、憧れのWavesを使いたいならちゃんとC6を買ったほうが良いと思います。

が、近年のDAWなら付属プラグインで同様の処理ができてしまう時代になったので、今更感があります。 

■初期状態保存

程よく設定済みの状態を初期状態として保存できます。

右上の ≡ アイコンを押し、「Save default settings」を押すだけです。

f:id:eki_docomokirai:20180223052908p:plain

主力プラグインとして使い続けるために非常に役立つ機能です。

DAWによってはDAW側の機能で初期状態を保存できますね。

こういう工夫は今後全てのプラグインで装備して欲しいものです。

 

■AI機能はダメ

このプラグインのAIはクソですAIを通しただけでは何も変わりません

あくまでも今鳴っているサウンドに対し、模範的な帯域バランスを表示するだけの機能です。

しかもその提案カーブは非常に適当なものです。 

何の参考にもならないので使う価値はありません。

・AIアシスト機能の詳細

画面下の「AI assist disable」と表示されている部分をクリックすると5種類のプリセットが出てきます。

f:id:eki_docomokirai:20180202093140p:plain

このめちゃくちゃ大雑把なジャンルを選ぶと、製作中の曲の帯域バランスとの差を表示してくれます。何度も言いますが、表示するだけです。

 

下は内蔵アナライザ(1/9oct.)が水平に表示するピンクノイズに対し、5つのプリセットを適用した例です。

f:id:eki_docomokirai:20180202093152p:plain

つまり、普通にアナライザを見て、このバランスになるようにすれば良いだけです。 

■アナライザの品種

5種類表示できますが、アナライザ表示は1/9oct.だけで良いです。

linearは右下がりなので使いにくいです。

f:id:eki_docomokirai:20180202093200p:plain

あー、すみません、画像の文字間違ってました「アナサイザ」ではなく「アナライザ」です。申し訳ございません。

GUI(見た目の変更)

VST3(3.6.7)で作られており、GUI全体のリサイズが自由自在です。

試しに3種類のレイアウトにしてみました。

f:id:eki_docomokirai:20180202094659p:plain

非常に小さく表示できるので、簡易アナライザ/レベルメーターとして使うこともできるでしょう。

というか、ここまで小さくできるアナライザが無いのでありがたいです。チラ見チェック用にちょうどいいです。 

・フロートパネルの固定

Fabfilterのパクりです。

パネル左上の画鋲アイコンで、フロートパネルは固定/浮動を選べます。

f:id:eki_docomokirai:20190618053506p:plain

両端バンドの操作時にはどうせ位置がズレるので、中央下で固定の方が使いやすいと「私は」思います。

ていうか、この仕組って視線がフラフラするので実用性は低いと思っています。聴覚に集中したい時には「目付け」が乱れるので邪魔です。

・色の変更

右上のプリセットメニューから色彩を変えられます。

どれも穏やかな色で見栄えは地味ですが、洗練されたカラースキームです。

f:id:eki_docomokirai:20180202093132p:plain

 

バンドごとの色も変更可能です。

f:id:eki_docomokirai:20190618053009p:plain

フロートパネルの左端にある虹色の部分を触るだけなので、ワークフローを阻害しません。

無闇に色分けせず、「今後絶対動かさないバンドは赤」などのルールを決めて使った方が良いでしょう。

■まとめ

もしまだ高機能EQを持っていないなら安価な1本目としてマストバイだと断言できる完成度です。

特にダイナミックEQを持っていないならオススメ度は高いです。

・類似品

もうちょっと高機能のダイナミックEQが欲しいなら、

同社ToneboostersのFLX(BusTools同梱)を買うべき。(ただし低域処理が苦手)

(5500円)ToneBoosters | Audio Plug-ins | BusTools 3

または、Waves C6

(7880円)C6 Multiband Compressor | Media Integration, Inc.

 

もしAIに期待し、比較ミックスをやりたいならMastering the MixのREFERENCEとMelda ProductionのMMultiAnalyzerを買うべき。

(7600円)REFERENCE

(8000円)MMultiAnalyzer | MeldaProduction

EQ4のAIに期待するってことは、ミックスのスキル不足に悩んでいるってことですよね?

 

もし見た目がカッコイイ良いEQが欲しいなら妥協しないでFabFilterのProQを買うべき。

(20000円)FabFilter Pro-Q 3 - Equalizer Plug-In

使いやすさも格段に上です。(旧、Q2はダイナミックEQ機能が無いので注意!未だにQ2を勧めている人が多いですが、今後買うならダイナミックEQ付きのQ3以降にしてください!)

 

もし半自動ミックスに期待するなら、iZotopeのNeutron2を。(ただし重い)(ただし、運用方法が独特すぎるので、ミックススキルの向上には繋がりそうもありません。)

(27000円)https://www.izotope.com/en/products/mix/neutron.html

現時点では最も良いAIツールです。

■v4.1.8のバグ報告

別ページに書きました。バグについてはオフィシャルに報告、要望済みです。(2019年7月7日)

 アナログ回路シミュレートの挙動が明らかにおかしかった。

素通しで倍音追加が起きない。

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

© docomokirai 2017 非常識な無断転載、商用利用を禁ず
レッスン案内はこちら。  寄付はこちら