eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

(海外ミックス技術記事紹介)あなたのミックスを殺す5つの神話

海外ミックス記事の紹介です。初級者の頃に覚えた基礎ルールを捨て、上達したら次の段階に進みましょう、というお話。

(2018年9月19日更新)

 

  ■元記事

http://behindthespeakers.com/5-mixing-myths/

behindthespeakers.com

 

 

■要約と解説

・1,盲目的にハイパス(ローカット)しすぎない

「どう削るか?」を考えると同時に「どう残すか?」を重要に考えてみよう。

 

・2,キックやベースにもリバーブを追加して良い

ミックスでのリバーブの効果の1つとして「なじませる」効果がある。

キックやベースなどに「絶対にリバーブしない」というのは初歩の知識。あるいは原則的なものでしかない。低音担当楽器があまりにも浮いているならリバーブを試してみよう。

日本のDTM界隈で流通しているミックス話だと「キックとベースはセンターですよ^^」と書かれいてることが多いですが、それは初歩の原則の話でしかありません。

実際に市販の(メジャーレーベルの)曲を計測してみれば明らかです。M/Sでミュートしてみれば明らかです。

また、ベースについては、ベースアンプシムでルームが追加された音になっているものもあります。手持ちの音源の出音を解析してみてください。それ本当にセンターだけですか?

その他、原文にもっといろいろ書かれています。

 

ついでなので、国内DTM系で広く言われている「センドで使うんですよ^^」も初歩の原則の話でしかありません。 

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

 

・3,付属プラグインでも構わない

「付属プラグインだからダメだ」というのは幻想です。

Wavesに変えたらコンペを通るようになった」というのは、プロと同じ道具を買う覚悟をしたからです。心理的な逃げ場が無くなったからちゃんとミックスするように本当に努力したからです。

だからクラック(違法コピー)を使っている人はうまくならないんです。安売り情報ばかりチェックしている人も同じです。

 

20年前ならいざしらず、今の時代の普通のDAWの付属プラグインは相当な品質です。(エフェクト専門メーカーと提携していることもあります。)

コンピューターの性能が良くなって、繊細な処理ができるようになってきた恩恵もあります。

確かに初期のDAWの付属エフェクタは劣悪でしたし、当時の高品質なエフェクタは1つ使っただけで他の処理が何もできないくらい高負荷だった時代があります。

 

・4「あっちのDAWの方が優れている」と考えない。

DAWの違いはワークフローの差であって、サウンドの差ではない。

新しいDAWの使い方を覚える間にできるもっと大事なことがある。

 

・5,DAWプラグインだけじゃダメ?

そんなことはない。 本当に決定的な違いを生み出すのはアナログ機器ではない。

実際にトップミキサーはDAWの中(BOX)で仕上げている。(Andrew Scheps、Dave Pensado、Serbanなど。)

それは妥協ではなくて洗練です。

 

余談ですが、実機を導入したとしても、実機は破損します。繊細なメンテが必須です。

修理中に同じモデル名の道具を使ったとしても、個体差があり、同じ音になりません。また、電源ノイズの強い影響を受けるので、中途半端な導入は電源ノイズが増えるだけです。

 

 

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■デジタルでアナログサウンドに迫るコツ

せっかくなのでもう1つ。

アナログ機器じゃなくても大丈夫だよ、というお話。

theproaudiofiles.com

こちらのサイトでは会員登録で多くの資料を読むことができます。

 

■要約と解説

・1,歪み(ディストーション)の付加

DAWでは「透明な」エフェクト効果だけが起きます。

それは良くも悪くも「透明」なので、自分でディストーションを設計する必要があります。

デジタル環境では自分で「色つけ」をしなければいけません。

 

この色つけのことを、ミックス用語では「ディストーション(distortion)」と呼びます。

ディストーションは非常に幅の広い言葉なので注意が必要です。

日本語では「歪み」ですが、これは一般的にエレキギターディストーションサウンドのことです。

わずかなディストーションは「サチュレーション(飽和)」のことです。

アナログ機材で得られるわずかなサチュレーションは日本語のミックス用語だと「色つけ」と表現されています。

 

・2,フェーダーによる大胆な作業

フェーダー操作はDAWのオートメーションのように正確に動かせません。

フェーダーワーク(手コンプ)では「ここからちょっと上げよう!」と思っても、その少し手前から持ち上がってしまったり、遅れて持ち上げたり、上げすぎてからちょっと戻すことがあります。

 

 

・3,DAWは目に頼りがち

データの視覚的な厳密さはあまり意味がありません。

全てのデータが目に見えてしまっているので、必要以上に神経質になってしまいます。デジタルミックスは人を神経質にしてしまう欠点があります。明るい場所で鏡を見ると顔の毛穴が見えすぎるからいじりたくなるのと同じです。

 

・4,DAWは細かい操作ができすぎる

神経質になり、目に情報が入り、それらを修正したくなります。

もし視覚情報が無かったらそれらに気がついたでしょうか?

転じて「耳を使え」というのは、「どうでも良い細部を気にするな」という意味にもなるでしょう。

どうでも良い部分を何時間も編集するより、もっと大事なことがあるはずです。

(ただし、デジタルではデジタルクリッピング等の致命的な事故が起きる恐れがあります。そういう点については数値を見なければいけません。)

 

・5,アナログ機器は不便だから工夫する

最大の誤解は、アナログサウンドはアナログコンソールの音だという誤解です。

みんなが憧れている「アナログサウンド」とは、上手い人が慣れた機材で丁寧に作った音です。

素人がアナログギアを導入しても素人の音のままなのは当然です。しかも使い方に慣れていないので、いきなり良い音になるわけではありません。

 

それはBOX(DAWプラグイン)でも同じことが言えます。

新しいプラグインにしたからと言って、音が良くなるわけではありません。

 

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■別の人も同じことを言っている

似た内容の記事も紹介しておきます。(Dan Pierson氏)

theproaudiofiles.com

この記事では、

  • EQチャートシートは初学者のためのもの
  • 模式図には次の段階がある
  • 初心者向けの「手順」にも次の段階がある
  • ソロでEQ調整は危険
  • 波形を見すぎると先入観が強まる
  • つまり音を聞け

ということが書かれています。

興味のある人は原文で内容を読んでみてください。

 

いずれにしても、日本国内で初心者向けに解説されている内容とは、根本的にことなるアプローチが推奨されています。(日本のDTM向け記事はズレている、と私は感じています。)

 

音楽に限らず、「初歩」「発展」「独自性」という段階があります。

いわゆる『守破離』の心構えです。

ある程度の基礎技術が身についたら、次の段階に進みましょう

 

いつまでも初歩のやり方を続けるのはマジメだからではありません。RPGでいつまでもスタート地点付近でザコ狩りをしているのと同じです。ザコ狩りばかりやっていても上達できないのと同じです。

逆に、いきなり応用的なことをやるのも練習ではありません。いきなり3回転ジャンプをしようとしても無理です。実力アップのためには、地道なトレーニングを継続するしかありません。

 

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■続編あります

同じ著者(Jason Moss氏)による続編記事があるので、個別のブログ記事で紹介しています。 

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

 

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