eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

センドトラックの応用的な用法(海外ミックス記事紹介)

ここで紹介する方法は上級者にとっては一般的です。

すでに多くの技術書や雑誌、レッスン、独自の研究で同じ方法を用いている人は多いので、Tricksと呼べるほど突飛なものではありません。

(2018年6月19日更新)

 

■元記事(英語)

theproaudiofiles.com

今までこういう方法を知らなかった人にとっては「そんなメチャクチャな!」と思う人もいるかもしれません。が、ぜんぜん普通の加工です。

 

■センド先でさらにエフェクトをする

元記事で述べられているのは「センド先で様々な加工をしてみよう!」という定番TIPS+クリエイティブな提案です。

 

・センド先でEQ

これには目的が3つあります。

  1. バーブのモデル特性でバランスの狂った音を補正
  2. なじませるための修正
  3. 高度な空間シミュレート目的

手持ちの「音源の特性+手持ちのリバーブの特性」によって使い方は様々ですから、数値がどうこう言うのは全く無意味です。

国内で見られるミックスのTIPSでたまに見るのは「センドリバーブ(ディレイ)のハイ/ローを下げる」という消極的な方法です。しかし、逆に「ハイ/ローをゲインする」という方法もあります。

これはリバーブの特性を加味した上でのことで、IRでは往々にして効果的です。IR特性によってハイローが沈みがちになることが多いからです。

ハイ/ローを下げる方法は、音がまっすぐ出過ぎるアルゴリズミックリバーブで効果的です。

 

・センド先をコンプする

ディレイ、リバーブをコンプします。

言うまでもありませんが、インサート順序の原則はここでも同じです。

上の「センド先をEQ」との順序が重要になります。

また、マルチバンドコンプの可能性も考慮してみましょう。

 

・センドディレイをセンドリバーブに送る

これも古くからある一般的なテクニックです。

ディレイ音だけだと音が立ちすぎるので、リバーブに送って馴染ませるというコンセプトです。

もちろん元トラックから2つのセンドに分けても良いのですが、得られる音が若干違います。

「センド先EQ」の効果も現れるので、「2つのセンドに分割」と「センド→センド」では音が違うわけです。

 

・センド先でワイドにする

イメージャーやMSをセンド先で行います。

また、DAWによってはセンド先にどういうパニングで送るかを指定できる設定(Send Pan)がありますので、まずこれを活用するべきです。

イメージャーやMSは底質(※)なものが多いので過度の期待をするべきではありません。

 

(※)底質というか、破綻するレベルまでツマミが動いてしまう、というのが適切かな?音が崩れていると思ったら、見た目の数値を気にせずに浅い設定にするべきです。手元ではなくとにかく音を聞きましょう。疲れている時にこの手の加工をするのは絶対にやめましょう。寝て起きたらクソ音になっているはずです。

 

・センド先でサイドチェインする

サイドチェインによってセンド音を動的に加工できます。

また、センド先のSCは、ある意味プリディレイとして自然に作用します。

SCと言うとダッキングを思い浮かべる人が多いと思いますが、極端にダンサブルなダッキングだけがSCではありません!

 

ルーチン順には気をつけてください。

 

ただし、「ウェット音へのSC」を考えるなら、センドではなく「インサートリバーブをまとめてSC」という手法の方が一般的です。特にダッキングを用いる場合には一般的です。EDM等です。

そういう音を好む人たちはセンドよりもインサートリバーブを常套手段としています。

インサートでまるごとSCしないと、センド先の音だけが独立してしまい、ダッキング感が薄れてしまうからです。

EDM、ダンス系でダッキング主体のサウンドを目指しているなら、国内で一般化している「リバーブはセンドで使う」という初歩テクニックを卒業し、インサートリバーブを試してみると良いでしょう。

 

 

 

■注意点

DAWによってはルーチングによって極端な遅延が発生します!

遅延しない設定のDAWの場合には、多重処理の不可によってプチることがあります。

そういう時は軽量のプラグインを駆使し、妥協をもってベストとするべきです。

 

もちろん軽量化のためにウェット音だけをオーディオ化してから加工する方法もあります。

しかし、オーディオ化を前提としたミックスは微調整が非常に面倒になり、結局は妥協が生まれます。

 

どの種類の妥協を受け入れるか?その種類の妥協を自分が許せるか?という選択になります。

私はバウンスせずに軽量で処理する派です。

 

・並列処理の問題点

耳で分からない遅延でも、ms単位の遅延によって位相がめちゃくちゃになることもあります。

たとえ位相について知識が何も無くても、おかしな音になったと思ったら使用を中止し、専門医に相談してください。

 

厳しい人は「今時この程度のことで同期が取れないものはDAWとは呼べない」とさえ言います。

もし並列処理が適切に行えないDAW(とプラグイン)をメインに使うのであれば、別の方法で求める音を追求するか、通常の方法で取り組むべきでしょう。

 

・ミックスのみ依頼時の注意

この手のこった加工はミックスのみを依頼した際にはまずやってくれません。

保守的な手法で手堅いミックスをするのが彼らの仕事です。

クリエイティブなアイディアを含めたミックスの場合には、ある程度以上まで自分でしっかり仕上げてからステムで渡すか、最後まで自分で仕上げた方が良いです。

 

■初歩知識だけのコミュニティを抜け出そう

事実、ニコ生DTMが盛り上がっていた頃にこういう手法を紹介したら、ニコ厨に「それはおかしい」「この人分かってないからNG」と怒られたことがあります。

初歩の知識で「ディレイとリバーブはセンドで使いましょう!」とだけ簡潔に解説しているサイトや動画は多いです。しかし、初歩の知識だけで応用を否定していると先に進めなくなってしまいます。

 

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