(近況)お預かりの曲がどうしてリファレンスに遠いのかを考察する。世間の曲は思っている以上にサイドが出ているよ、というお話。
(2021年8月18日)
■スペアナで比較
お預かりの曲のマスターがちょっとリファレンスから離れすぎた音場だったので確認をしていました。というところからスタート。
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サビ5秒比較。
スペアナの表示を5000msにして平均を抽出するモードにする。
表示はもちろんMSで。LRで表示する意味はほとんど無いです。
こうしないとピコピコ動くので何を見れば良いのかわからなくなる。慣れれば分かるけど。
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で、こうなった。
(青がSです)
参考曲の洋楽は100以下のSide成分が多いことが分かる。
国内DTM情報で時代遅れのトピックでは「サイドの100以下は切りましょう」と書かれていますが、一体何を根拠に言っているのか謎です。世間に出回っている曲は想像以上に低音Side幅があります。ベースやキックもモノラルではありません。なお、国内の市販曲でもドセンターのみになっているとは限りません。ちゃんと確認しましょう。
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ISOL8でサイドだけ聞いてみれば誰にでも分かります。(後述)
これは私が世間に逆張りしているのではなく事実。手持ちの曲のサイドだけを聞いてみてください。
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加工してこうなった。少しはリファレンスに近づいたと言える。
もっと寄せたいならEQでS上げすれば良いのですが、完全に音がぶっ壊れるのでここでやめた。(見た目を寄せるだけならいくらでもできます)(そもそも違う曲だし)
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以下、手順。
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・チェック方法2。ISOL8を使う
200以下のSideのみを交互に聞いてみるとよく分かる。
聞けば誰でも分かるレベルで低音のS成分が足りないことが分かる。
アレをやるしかない!
■低域ステレオ化加工
やるのかアレを!?いやそれは危険だ!
「今やらずにいつやると言うのだ」
というわけでヴンダー発進。
Meldaのステレオで低音にロックオン。20~200をガン上げ。危険です艦長!
足りないのでOzoneで200以下をマシマシ。プラグ深度が180を越えています!!
せっかくだから、ついでにベースの音量バラつきも整えておく。
こういう無茶加工をすることで、とりあえずのローサイド出しができてくる。(もちろん強引加な工なので酷い音になりますが。)
・ダメな点
こんな加工してたら商品になりません。
あくまでもダメ出しとリテイク方向性を明確にするためのリマスターです。
強引にマスター音源を一括編集しているだけなので、ベースとキックのタイミング関連はどうにもならないし、バックグラウンドの音も全て反応してしまう。
直すべきポイントだけは特定できるので、あとは個別トラック、ステムでどうにかすれば良い、という方向性だけは明示できます。
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