過去にも数回調査している「省スペースMIDIキーボード」というカテゴリ。先程のTwitter談義で新たな候補が登場したので、ブログの記事としてメモを残します。
(2021年3月15日)
■ニコマクという新たな選択肢
とにかくこいつを見てこれ。
このスマートさ。美しいじゃないか。
でもこれ、中国製で不良品が多いんだぜ?というお話です。
■初期不良と、USBケーブルの規格違い不具合があるらしい
お察しください中国製の安価な商品です。
ネットでちょっと調べた限りでも、多くの問題が散見されます。
初期不良でまったく動かない/本体では鳴るが、接続先で認識されない/USBケーブルを別のものに変えたら繋がった 、などなど。
どの段階での不良なのかは私の知ったことではありません。購入元か、取扱い説明書等にある連絡先に問い合わせて、返品・交換を試みてください。
当たりの商品が届くことを神様にお祈りしましょう。Amazonレビューの時点で半分分かっていたことだけど、これはガチャだ。神にお祈りを済ませてからポチろう。
薄型鍵盤について談議していた古川氏(@papospapos)もトラブルに遭っていました。
コンパクトさと質感、求めてたものドンピシャなのだが、、MIDIデバイスとしてちゃんと認識しているものの、鍵盤押しても何も反応がない。別PCで試しても変わらずでこれは不良品を引いてしまったかprz pic.twitter.com/6DKx7K3bzj
— パポス / 古川亮 (@papospapos) 2021年3月12日
2021年3月12日現在。
その後。
このmidiキーボード、返品して再度購入したけど、症状変わらずでサポートに連絡。非常に丁寧な感じは好印象だったけど結局解決しなかったのでまた返品することに。残念prz ということでとりあえずSL88studioに戻ってきた。
— パポス / 古川亮 (@papospapos) 2021年3月15日
他のレビューでも「数回返品交換した」というものも見かけたので、コスト下げすぎ&製造ノウハウの低さで歩留まり(正しい生産が行えない)を起こしているんだと思われます。
・中国製造業の実情と、本当に必要な道具
主に金管楽器を扱っているProject Euphoniumが中国で製造している商品紹介の言でも、たとえばこの商品ページなどで、
お陰様で、試奏用の在庫まですぐに売れてしまう状態です。中国の工場にありがちな、品質低下などに陥った場合は、すぐに販売を休止し、改善が見られない場合は廃番にしますので、そこそこ状態のよい今のうちにご注文下さい。
とか、
※ 中国で製造されていますので、新品ですが、極く小さな傷や凹み、メッキの浮きなどが見られる場合があります。
その他にもfacebookではたまに中国製造業の話が出てきて実情を知る機会となっています。同社社長も中国工場で品質の指導を厳しく行っているようですが、それでも品質安定には悩まされていることがわかります。
たしかに中国製品の品質は急速に向上してきています。しかし、本記事のMIDIキーボードしかり、安定供給という段階にはまだまだ遠いというのが実情なのでしょう。
とはいえ、上の金管楽器でも歴史的に埋もれてしまったマイナー楽器を量産するという歴史的に価値のある事業を興すことに「成功している」と言えなくもないです。
MIDIキーボードというカテゴリでも、他社のように不要な付加価値をつけたものより、「安価・軽量・省スペースかつ88鍵」という、必要な能力だけをもった道具こそ求められています。
昔はヤマハのCBX-K1のような商品が主流であったように、本当に必要な性能を持った道具が見直されてくるのではないかと思うんです。
--------------------
以下、商品紹介。
通販で買った商品が動かず、部屋の済みでガタガタ震える準備はOK?
--------------------
■薄い、薄すぎる
薄い。とにかく薄い。厚さ3.8cmだ。
奥行きも17.9cmだ。物理的にこれ以上できないくらいコンパクト。
2021年のマイナーチェンジで以前のものよりさらにコンパクトになっています。
・良いと思う点
- 寸法、129x17.9x3.8cm
- 鍵盤押下ストローク8mm
- 重量4.3kg
- 白い
・悪いと思う点
- 初期不良の個体が多い(返品できないオークションは絶対やめろ!)
- マイナーメーカーなのでドライバと接続が不安。(付属のUSBケーブルが不良で、別途購入した「普通の品質の」ケーブルだと大丈夫だった、というAmazonコメントあり。)
- ベロシティが12段階(昔の安いMIDI鍵盤にあった、上下25カットかも。詳細は不明。)
- このサイズでキータッチが良いわけが無い。
- コンパクト設計すぎるので、バラして掃除や改造ができるか不安。
- 中国製。ドマイナーメーカー。
- 白い
・前向きな妥協
とてもじゃないけどタッチも音も電子ピアノとして使える品質ではないっぽい。
が、DTM用途だけなら必要十分だと割り切る。
ベロシティはリアル志向の入力を放棄するなら問題なし。
光るスイッチや白いボディ部分がイヤなら紙でも貼れば良い(私が現在使用しているローランドの鍵盤にはすでに紙が貼ってあります!)
・妥協できない
ソフトウェアが今後のOSで使えるか非常に怖い。が、Windows10は自動(強制)アップデートにより事実上の最終OSとされているので問題ないか?
そもそもOS非対応になる前に鍵盤が物理的にぶっこわれるだろ?という見積もりもある。どうせこんなもん消耗品だろ!
■んなことは分かってるんだよ
薄いだけならもっと薄いのはあるよね。知ってるよそのくらい。ベロシティ無いやつだろ?
ギリギリで墜落せずに低空飛行できているこの感じがまさに理想のMIDIキーボードなんだよ。分かる人には分かる。弾けもしないし高速制作もしてない「DTMer」がファッションでピアノタッチを所有したいなら、まともな高いやつを買えば良いです。VPC1とか文句なしに最高ですよ。
でも、我々のような打ち込み屋がもとめているのはそういうものじゃないんですよ。偉い人にはわからんのです。
■過去に考えたこと
いわゆるDTM機器として、ローランドやらアレシスやらアートリア、そういうメーカーのものはすべてチェック済み。
いずれも余計なものが付いていて無駄にゴツい。
ツマミとかいらんでしょ。慣れれば慣れるほど使わなくなるものだし。ガンダムで言うなら「あんなの飾りですよ。偉い人にはわからんのです。」でしかない。
だったら安いローランドのMIDIキーボード(PC300とか)を分解して、中身だけ木の板に貼り付けたり、机を切断して埋め込めば良いだろ?という狂ったことを考えたりしていた。が、実際にバラしてみると、内部パーツだけでも結構な寸法になってしまうので意味が無かった。
・いっそのことVPC1を机として使うという狂った選択肢
VPC1というのは超高いピアノMIDI鍵盤。 徹底的にリアルタッチ。実売価格15万円くらい。
ピッチベンドとか付いていません。
天板部分にいろいろ置いて机として使えます。知人がそうやって使っています。
が、私の場合はピアノタッチであることは邪魔でしかなく、カタカタした安くて軽い鍵盤の方が良いんです。
もしリアルタッチが不可欠なら、何も考えずにVPC1に行ってゴールインした方が幸せだと思います。
そこから逆に考えていくと、「リアルいらん」「軽くて良い」「ぶっ壊し前提」となり、今回の記事のような馬の骨こそがマストバイだという狂った方向性になってくる。
・今後の購入候補として
88鍵盤を使う予定は無いし、小さいMIDIキーボードを2つ使った方が利便があると分かっている。
が、部屋レイアウト変更などで横に長い88鍵の方がベターだ、となったら
今回紹介したnikomaku swan lite 88を買うかもしれません。
■ROLI LUMI Keysという選択肢
これもすっげえ良いサイズなんだけど、光るとかフィジコンを増設できるとか要らない機能が多いせいで無駄に高価。2オクターブで299ドル。上画像は2つ接続しているので、さらに倍。88鍵まで増やすととんでもない価格になってしまう。
なお、光る色は固定のようです。完全にいらんゲーミング機器でしょう。光無しで安価で、連結無しなら選択肢に入ったかもしれません。
とにかく薄いキーボードが欲しいんだよ!