ラフ制作時にはベロシティ決めとか、ノートちょっと短くとかやらなくて良いですよ、というお話。
(2022年3月8日)
■MIDIモディファイアーの活用
インスペクタにあるアレです。そう、それです。わけわかんないアレ。
実際、この機能を最終仕上げで使うことはまずありません。
が、簡易制作、ラフ制作の時には絶大な時短効果が期待できます。
■メロディ用モノリードを短くする
仮メロリード音に区切りをつけるために手作業で短くしている人がいますが、それ全く不要です。操作の器用さや素早さ、マクロをガシガシ使っている人がいますが本当に不要です。
下の設定をすると全自動で15tic短くなります。
これでもうメロディノートをちょっと短くする作業は永久不要です。
「長さの圧縮」でも同等の処理が可能ですが、入力できる数値を認識しないバグがあるので気をつけましょう。
少なくともCubase9.5以前では「99/100」が認識されません。
直感的な使い方として「1%短くしたい」と思うのですが、そういう使い方ができないので私は嫌いです。
・圧縮短縮のメリット
鍵盤のグリッサンドなど、超短い音の加工は固定値よりも割合で短くした方が良い結果を得られます。固定値だとノートの長さが消滅してしまうので。
下画像は長さが消滅したケース。
--------------------
長くしたいスラー箇所だけ目視で分かるレベルで重ねれば良いだけになります。
なお、MIDIモディファイアーはデータの見た目には影響を与えません。
・モディファイアー伸ばしに対する誤解
「伸ばしランダマイズ」は鍵盤入力の時にだけ使うものです。
マウス打ち込みをした「ベタベ打ち」を伸ばすと、重なった箇所ができてしまいます。これは誤演奏(音が止まらくなる等)の原因になります。
位置ランダマイズなどを使う際には要注意です。
同様の設定をするために「Vel圧縮」を推奨している個人・法人がいますが、
・その他の改善
仮メロを鳴らした状態で提出する時だけ全選択でちょい短くすれば良いだけです。
もしくは音色のアタックを明確にすれば良いです。
ボーカル用仮メロリードだから、という理由でモノにした結果、同音連打でアタックが不明瞭になっているだけです。ポリにすれば一発で解決するかもしれません。
・Velランダマイズに対する誤解
Velランダマイズは「ベロシティレイヤー」をまたいでしまう恐れがあるので、現代MIDI打ち込みではまず使われません。
20年くらい前だと「Velを細かく変えて表情をつける」というメソッドがありましたが、それマジで20年古いです。そういう時代に打ち込み技術を身に着けた人が偉そうに言っていることがありますが、その人って現役で仕事してるんでしょうか?それともスクール屋や趣味人にジョブチェンジしてはいないでしょうか。
古くて使い物にならない技術を教えている人は結構多いです。気をつけましょう。
「レイヤーをまたがない」ことが何より重要
「ラウンドロビンがあるのでヒューマナイズ不要」
という時代です。
■ベロシティの基本数値の固定
主にストリングスで使用。なんだかんだでポピュラーストリングスはデカく強く鳴らさないとアタックが出ないので、結局Vel最大にすることが多い。
下のように「Velシフト」を指定すれば、常に最大MAXでパワフルに慣らしてくれる。
・じゃあ全部Vel最大でやれば良いんじゃないの?という意見
ほとんどのドラム音源はVel最大で打ち込むとクソ音になります。
最大にしたいのはごく一部の音色だけ、例外的なものです。
ほとんどの音源は、基本的にVelは中間値で作ることを想定しています。(例外もあります。)
特に「このドラム音源はクソだ」とか言っている人が、イメージ先行でVel最大でぶっ叩いていることがあります。ほとんどのドラム音源はVel中間を想定して作っています。慣例的に88が中央になることが多い印象があります。
また、ドラム音源によっては本当にクソなことがあります。キック・スネア・HHのVel感度がまったく一致していなくて、HHだけは強打しなければならない音源もあります。そのドラム音源の説明書を読みましょう。キットピースごとのVel感度を設定できるかもしれません。
・CubaseのVel入力初期値
ここでいろいろ設定できるし、俺様プリセット化もできる。
頻繁に使用する音源にマッチした数値を探り当てておけば時短になります。
説明はカテゴリ違いなので割愛しますが、ワンタッチで上画像の設定済み数値にする操作も可能です。いつも使うあの音源が良い鳴りをするVelにすぐに設定できます。
■モディファイアーの書き出し
これでその場にあるデータが加工されます。
・「モディファイアーをフリーズ」の欠点
当該トラックにあるすべてのデータが強制的に加工されてしまいます。
「このリージョンのみ加工したい!」という場合には、加工したくないリージョンを退避させる必要があります。選択してあるリージョン(もしくはノート)だけなら良かったかもね。
そもそも、モディファイアーで加工したデータは「音源さしかえ」などによる本仕上げに向かう作業では邪魔にしかなりません。しっかり伸びて、しっかり同じ数値になっているデータの方が扱いやすいからです。
この記事の冒頭で宣言した通り、あくまでもラフ制作の時短としてのツールだと割り切るのがベストだと私は思います。
・MIDIファイル書き出し
「MIDI書き出し」ではモディファイアー結果を反映済みの状態で書き出しできます。
下画像。ノートが切断されていることと、情報ラインのtic数値を確認。
MIDIファイル書き出しでナマの状態で書き出ししたい場合はバイパスします。下参照。
■モディファイアーの停止
インスペクタでバイパスすればおk。