去る2020年10月6日。エディ・ヴァンヘイレンの訃報があった時からやろうやろうと思っていて、気がついたらこんなに時間が経っていた。
(2023年1月9日更新、誤字修正)
■こうなった
まぁ拙い部分もありますが、そこそこ頑張って作った。アホみたいなレベルの完コピは目指していません。参考にした楽譜はあるけど、明らかに間違っている箇所が散見されたので、実質的に全部耳コピすることになった。
「ちげーよ」と思った人はぜひ自作してみてください。譜割りをどうするかなど、非常に悩ましいです。
賞味1日でやったにしては上出来だと思っている。
(2023年6月10日追記。聞き直してみるとアップダウンのピッキングのシミュレートがおかしすぎますねこれ。)
原曲はこちら。
原曲についてのwikipediaはこちら。
・打ち込み内容
まず原曲からテンポと拍子を作る。拍子はこれが正しいのかどうかは知らん。たぶん本人もてきとーにやっていると思う。クラシック用語で言うならレチタティーボ的に。
Electri6ity、ストラトDIで制作。
パラメタは上から順に、ベロ、PB、ギター側のボリューム、弦指定、フレットポジション指定。
弦指定は厳密には別の弦の方が正しい箇所もあるけれど、後半のタッピングセクションのみを単一弦でやればそこそこ良い感じになるので、ここで妥協。だって別に本家と同じ弦番号にしたところで、出てくるサウンドとはほとんど関係ないし。それなりの鳴りをしていれば十分。
Electri6ityで作っていて興味深かったのは、それほど精密にフレットポジションを設定しなくても、最小限のデータだけでほぼ正しい(と思われる)ポジションを自動選択してくれたことでした。Electri6ityのスクリプトのアルゴリズムに対してちょうどよい曲だったということでしょう。もちろん有名な曲ですので、ほぼベタで再現できるようにチューンされている可能性もあります。
なお、耳コピは「それなり」しか目指していないので、映像チェックによるすり合わせなどは行っていません。
エフェクト等も同様に「こんなもんで」というコンセプトで。
Amplitubeを使用し、アンプとキャビネットはあえてマーシャルではないものを使いました。手持ちのマーシャルのエミュレータではそれっぽい感じにならなかったので、まったく別のハイゲインアンプシムと、そこに突っ込むべき音を手前のEQ作って再現しました。まだまだ詰められるのは百も承知ですが、名前とモデルだけをなぞってマーシャルを選択するよりもそれらりいサウンドになっているはずです。
ステレオディレイもそこそこ近い幅とリピートになっていれば良し、という作り方。一応数回はチェックして似た方向にしています。
■俺とヴァンヘイレン
ヴァンヘイレンは兄の引っ越し時にもらった大量のCD箱の中にあった1枚。
私はアーティスト名などを意識せずに適当にCDを回すことが多く、人名や曲名などをまったく覚えず、音だけを覚えるタイプ。その悪い性質は明らかに欠点なのだけれど、聞き専コレクターとは違う観点で様々なジャンルの音楽を習得する素地になっていると思っている。
その後になって具体的に参考にしたり、耳コピしたりする段階になってようやく曲名と人名を確認して「へー、これはヴァンヘイレンっていう人の曲なんだ。名前は聞いたことあるな」という感じだった。なおヴァンヘイレンはバンド名であって、エドワードは個人名です。エディ・ヴァンヘイレンが死んでもヴァンヘイレンが解散するわけではありません。
曲を知っていても、その曲名も人名も一致していないというのは他のアーティストでも同じです。ボンジョビもそうだし、スプリングスティーンも後々になってから「ああ、あの曲の人か」という感じ。
・キーボーディストとしてのエディ・ヴァンヘイレン
知人はギタリストとしてよりキーボーディストや作曲家としてのエディヴァンヘイレンがとても良いんだよ、と評していた。
たとえば有名なキーボードリフから開始される『ジャンプ』のちょっとヒネたコードとか。
この曲を耳コピしてみれば、「なんでそこでsusに行くんだろう?」という発見があるはずだし、それはいわゆるsusの使われ方とは違う。
たまにキーボードの音色チェックでこのリフを弾く人がいるけど、わりと間違ってsusではなくMajやdom7thを鳴らしていたりする。あえてなにも言わず「いいっすねー」とだけ言うことにしているが。
こじつけかもしれないが、デビッド・フォスターの『ウィンターゲームズ』のイントロにも強い類似性を感じる。
こういうキーボードが主役な曲も良いよね。絶滅の危機に瀕しているからこそパクる価値がある。今こそやるべきだ。
話をエディヴァンヘイレンに戻すと、マイケルジャンクソンの”Beat It”のソロが暑苦しいからルカサーのギターが削られた、という話がアレンジ・ミックス話的にとても良いなぁと思っています。いわゆるJPOPとかアニソンって引き算が無いよねと思う。洗練された洋楽の素晴らしさをフラットに見つめ続けたい。
■もっとEruptionしたい人へ
大変有名なソロギターインストのトラックなので、これがどのように演奏されているかの解析には多くのギタリストが参戦しています。昔はギター雑誌などで取り組まれ、今どきは動画投稿も盛んです。
BOSS GT-1だけで、原曲の再現を試みている記事(半分は広告ですが)。
Van Halen 'Eruption' Tone Dissected - Roland Australia
他、せっかくなので今回作ったものをオタク某人に聞いてもらったら、「最後のはアームダウンではなくディレイエフェクトのスピード下げで作るのが正しい」「最後近くで入るノイズはディレイに触ろうとして姿勢を変えた時のノイズ」とのことでした。まぁ確かに耳コピしていてもアームの質感ではない奇妙な音であることには気がついたのですが、それを同じ手法で再現しよう、というコンセプトではないのでまぁ良し。
調べてみたらたしかにそういう話も出てきた。
↑手法は同じなんだろうけど、使っているディレイのモデルが違いすぎて全く別のサウンドになっているのはどうなんだ?とは思いますが。
ためしに手持ちのディレイを色々試してみたところ、MTurboDelayのBBDでそれっぽい加工をできた、が、4秒までしか設定できないので原曲に忠実な長い音にはできませんでした。下のような設定でDelay(Time)を上げていくと音程が落ちていきます。
私のような非ギタリストが、ガチオタと話をするためにも、こういうのを定期的に作るのは有意義だと思っています。一方的に質問だけしても対話になりませんし。