ショパンの『革命エチュード』をユーフォニアム・チューバ四重奏に編曲しました。
(2021年1月1日更新)
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■こんなんできました
以前に作ったベートーベンの『月光ソナタ』と概ね同じノリで編曲されています。
『革命エチュード』はピアノ原曲の時点ですでに難曲。これをどうやって鈍重な低音管楽器でやるのか?という難題に挑むため、困難な部分のアレンジを試作しました。金管楽器の基本的なアルペジオとスケールの奏法で演奏できる範囲でテーマを書けたので最後まで仕上げました。
主に2人のチューバ奏者が交互に演奏するので、難易度は思ったよりは高くないはずです。
演奏に際してはとにかくスピード感が重要な曲なので、低音金管楽器特有の「ごまかし奏法」を駆使し、ハッタリの効いたパフォーマスができればと思います。
ピアノ原曲は非常に有名なので「まさかアレを、こんな楽器で!?」という驚きをもたらすことができるピースとして活用していただければと思います。
■さぁ作るぞ
さぁコレだ。あらゆるピアノ曲の中でもトップ級のインパクトを持つ過激な開幕フレーズ。
それをこうする。
長く広い音域のラインを断片的にして受け渡すアレンジです。1人で演奏するのとはまた異なったスリリングな曲芸パフォーマンスとしてアピールできます。それぞれの断片はアレンジ先の楽器の標準的な奏法として十分に可能なので、あとはタイミング合わせしだい。
拍子を7拍子と2拍子にした理由はピアノ特有の「タメ」を表現するため。もちろんrit.とa tempoで記述することもできるんだけど、拍の長さを一定にした方がスムーズに演奏できるはず。
この書き方は「ピアノ名曲シリーズ」の過去作『ベートーベン『月光ソナタ』の応用です。
『月光ソナタ』ではこのピアノ原曲を、
こうした。
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テーマに入ってからはこう。
上のユーフォニアム2人はメロディをハモ。
低い方のチューバはスケール、高い方のチューバはアルペジオ。
どちらも金管楽器の基礎奏法の範疇なので問題なく演奏できる。
どうせ多少乱れるんだけど、小節ごとに奏者が切り替わるので「帳尻合わせ」ができる。
短いパッセージごとに休みもあるので、次のパッセージに備えられる。
メロディラインは簡単なので、2人のチューバが少々乱れても全体としては崩れないので大丈夫。
リスク管理を実装したアレンジになっている、ということです。
複雑な切り返しのある部分はストレートな音列に変更し、流れを重視。
これらの構成方法を思いついた時点でやることはほぼ終わり。曲は一本調子なので、同じようにどんどん書けば1曲できあがり。
出版社の人からも「その曲をこの編成で?」と言われた変態曲ですが、基礎的な奏法だけで十分に演奏可能に仕上がっています。
とにかく有名な曲をユーフォニアム・チューバという鈍重な編成で演奏することは大きな驚きをもたらすことができるはずです。
短く単純な曲なのでコンテスト向きではありませんが、数曲以上をまとめて演奏するコンサートや、講師模範演奏などでは非常に実用的な楽譜だと思います。
なお、あえて作りませんでしたが、頑張ればチューバは1人でも演奏可能です。パート譜を合成して挑戦してみてください。良い基礎練習になると思います。もともとこれは「エチュード」ですし。
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