ギター音源Electri6ityの使い方のお話。ユニゾンチョークの正しい実装手順。なお、奏法名表記はElectri6ityマニュアルおよび英語圏では”unison bend(s)”です。
(2021年10月18日)
- ■正しい実装手順
- ■Electri6ityのユニゾンチョークでできないこと
- ■勘違いしていた原因
- ■生ギター知識
- ■強引な実装
- ■拙著『Electri6ityの教科書』には記載していません
- ■検索用語置き場
■正しい実装手順
- ノートを鳴らしたい音に置く
- その半音2つ下にノートを置く(長2度、minor 2nd)
(必ず同じタイミングに置くこと) - ピッチベンドを「ゼロ中心から最大」まで上げる
- (必要に応じて最大付近で揺らす&中央ゼロまで戻す処理を追加する)
ピッチベンドは下からゼロに戻すのではなく、「ピッチベンドを中央±ゼロから最大値に向かって上げていく」のが正解です。
音源のピッチベンド最大幅の設定がいくつになっていようと「ピッチベンド最大で2本の弦が同じ音程」になります。
・作例と画像解説
タイミングは必ず同じ位置から発音開始。終了位置はずれても良い。
ピッチベンドは最大にすると同じ音程になります。
低音部キースイッチ(play mode)は、
A#0(Legato )
G#0(Solo)
F#0(Poly)
どれでもOKです。ベロシティも有効です。
ただし出音ニュアンスが変わります。
Fretboardの奏法表示にはUnison Bendとは出ません。
フレット位置指定に対して自動で2つのフレット位置が選択されます。
下はCC34でフレット位置を変更した例。(フレット位置指定は命令送信が遅れます。発音の手前で指定しましょう。)
最初の演奏と比較すると下のようになります。
1弦+2弦の3フレット違いのユニゾンと、2弦+3弦の2フレット違いのユニゾンは自動で選択されます。
蛇足の説明ですが、フレット位置指定の設定箇所はここです。
つのElectri6ityを立ち上げるしかありません。
ムリなものはムリと諦めましょう。
■Electri6ityのユニゾンチョークでできないこと
実際のギターでのユニゾンチョークは無数のバリエーションがあります。
残念ながらElectri6ityでは全てが可能なわけではありません。
どうしても必要な場合は2台使うか、オーディオ化してから必死に加工するしかありません。
・音程追い抜きはできない
Electri6ityのユニゾンベンドでは、低い弦の音が高い弦の音程を追い抜いて高くなる奏法は不可能です。
低い弦は常に低い音程を担当することになります。
・ユニゾンベンドしつつアームダウン(アップ)はできない
ユニゾンにピッチベンドホイールを支配されてしまうので、アームによる音程変化は付けられません。
同様にキースイッチG#6を使った「1フレットダウン」もおかしな音になります。
別途、音程変更用のエフェクタを使うのが妥協策となります。
■勘違いしていた原因
ピッチベンド設定を12に変更していたからです。
ピッチベンドを下から中央に書いていたからです。
「高い弦を追い抜く」ことができるのが当然だと思っていたので、低い位置からゼロに持ってくる方法を試して「マニュアルにはできると書いてあるけどできない」と主張していました。
■生ギター知識
こちらのリンク先に委ねます。
1+2と2+3の両方の説明があります。
もちろん他の低い弦でもユニゾンは可能ですが、極めて稀です。
通常のチョーキングよりも機動性に劣ります。前後にスケール移動がある場合には運指を考慮したフレーズ制作が必須となります。
言うまでもなく使いすぎると悪趣味な演奏になるので、濫用は避けるべきです。(DTMerは特殊奏法をやたらと入れたがる。まじでやめよう。)
■強引な実装
他のギター音源でユニゾンベンドができない場合には、2つのギター音源を立ち上げてグループバスでまとめ、そこでアンプします。(なんで別のアンプじゃないの?と思った人は基礎知識が不足すぎます。ユニゾンベンドとか特殊奏法に興味を持つ前に、基礎を学び直そう。なのであえてここではなにも書きません。)
何らかの理由で2つ音源を立ち上げられない場合には、まっすぐのドライ音だけをオーディオ化しておいて、ベンド側をMIDI打ち込みで調節します。上と同じく、2つの音をグループバスでまとめてアンプします。
というか今まではElectri6ityでもそういう作り方で対処していました。
■拙著『Electri6ityの教科書』には記載していません
今までどうやってもできなかったので、拙著には記載していません。
今後も内容修正の予定はございません。
eki-docomokirai.hatenablog.com
出版後にさらに使い方を練習した結果、修正したい点がたくさんありますが、改訂版を作る予定はありません。
・後発のギター音源との比較所感
良いものがたくさん出ていますし、Electri6ityよりも数段安いです。が、やっぱりElectri6ityじゃないと表現できないニュアンスは多く、結局メインで使っています。購入時よりもPC性能は格段に上がりましたので、リリース当時のような超ヘビー級プラグインという印象も薄れました。もしギター音源の購入予定があるならオススメ度は高いです。
なお次点はShreddage3です。非常に安価で打ち込みもやりやすい優れたギター音源だと思います。が、やはり表現力が劣ります。
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■検索用語置き場
Vir2 Electri6ity (誤記:Electrisity,Electricity)
エレクトリシティ、(誤記:エレクトロシティ)
unison bend,unison bends、ユニゾンベンド
unison choke,unison choking、ユニゾンチョーク、ユニゾンチューキング
double choke,double choking、ダブルチョーク、ダブルチョーキング
・関連用語、雑記
以下、情報提供はいつものR氏との音楽談義から。
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Bベンダー、B bender、(ヒップショット、Hipshot 社のユニットが著名。)
Bベンダーで音程下げではなく逆方向(上)にしてユニゾンベンド演奏に使えるツールってあるのかね?あったら面白そう。
上動画はストラップ式Bベンダー。裏面に取り付けられた大きなレバーを腰に押し付けてベンドさせるタイプのものもある。
いずれにしてもElectri6ityの自動ユニゾンベンダーではできない。複数台かオーディオ複合で。
なお、Bベンダーはもともとスタイドギター(スチールギター、平置きするアレ)のペダルで操作するものが起源、らしい。
ジョイントシフティング、joint shifting
これはElectri6ity単体では無理。複数台を起動するか、仮オーディオ化+グループバスでアンプすれば一応可能。(そんなの使う曲を作ったことは無いですが。)
Youtube動画、6分30秒あたりが見やすい。
弦指定ベンドがあればなんでもできたのにね。需要なさそうだけど。