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eki_docomokiraiのブログ

作編曲家のえきです。DTM、音楽制作TIPS、およびゲーム(Diablo3RoS)の話を書いています。

DTMをやっていると突き当たるちょっと難しい単語の話(3)上下定位、前後定位

DTM、コンピューター音楽、デジタル音楽に関する記事です。

今回は「上下と前後の定位」の話です。
私はこの領域については「本当に真剣に興味があるならやってみれば良いんじゃないかな?」「もう無意味だという結論になりつつあるけど。」という程度のものとしてしか扱っていません。

 

 

■上下と前後の定位はオカルト

「前後定位と上下定位は半分オカルト」です。

なぜ半分なのかというと、それを的確に認知できる人と、製作者の意図通りに認知できない人がいるからです。

なぜ上下と前後の定位が的確に作用しないのかというと、人間の頭周辺の形状に個人差があるからです。

この結論については多くの研究報告が出ており、意図した効果を発揮できていないよね、ということが定説になっています。って言っちゃって問題無いよねもう。

 

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■ダミーヘッドの限界

eki-docomokirai.hatenablog.com

上の記事の中で書いた「位相ズレによるステレオ感の演出」でダミーヘッドの話を踏まえた上で話を進めます。

ダミーヘッドの形状に近い頭と上半身の形状をしていれば、ほぼ狙い通りのサウンドを体験できます。

しかし、ダミーヘッドの形状と大きく異なる人はその効果を快適なものとして受け止めることができません。

 

■ダミーヘッドに対する誤解

誤解が多い点なので書いておきますが、ダミーヘッドやステレオ録音というのは、

  • ステレオマイクの位置
  • 距離
  • マイク付近の障害物の「形状、質量、質感」

によって得られるサウンドです。

これらを通過することによって録音されたものが「臨場感」として感知されるか「違和感」として拒絶されるかは大きな個人差があります。

 

■前後・上下定位の原理と誤解

同様に、あなたが設計した前後・上下の定位が、聞き手にとって拒絶される恐れがあるということを忘れてはいけません。

 

前後・上下定位の原理は「頭蓋骨や耳たぶ、上半身のの形状や質感」によって生じるフィルター効果の再現です。(あと細かく言えば耳の中での反射によって生じる特性も。)

例えば、後ろから聞こえる音は耳たぶを回り込んで来るので、ある種のパスフィルター効果によってこもった音になります。

同様に上や下の音もそれぞれ異なる性質のフィルターを経たような音になります。

 

スピーカーを鳴らしながら首をぐねぐね動かしてみることで上下の定位を明確に感じることができるはずです。

 

 

以上のことから、人間の耳は左右にしか無いのに、上下定位は確かに存在します

その理由は耳の周辺にある耳たぶを筆頭とする、頭や胸などの形状によるフィルタリングです。

 

■距離とEQ

遠くから聞こえる野球や祭りの音はこもって聞こえます。

耳の近くでささやくヒソヒソ声は高周波の成分に偏っていて、遠くの人には聞こえません。

近くの音は高周波成分が多く、遠い音はそれが失われるということが分かります。

 

また、近くの音の方が豊かなダイナミクスレンジを持っています。遠くの小さな音は聞こえなくなり、大きな音だけが飛んできます。

以上のことから、距離定位は確かに存在します。

 

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でも、それを再現できるかどうかは別問題なんです。

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■上下・前後定位がオカルトである理由は個人差

 

個人の身体形状と、その身体で長年行きてきたことを後天的に脳が学習してきた結果としての2つの耳が立体音響を認知できている。

身体形状に個人差があるのと同じで、その脳が後天的に学習した結果にも個人差がある。

故に、他の人や機器が作った立体音響は正しく認知できないんです。

 

■フクロウの耳の話

フクロウの耳は左右の高さが違います。

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birdbrain (http://people.eku.edu/ritchisong/birdbrain2.html)

また、リンク先でも書かれているとおり、フクロウの頭部の形状と頭部付近羽毛が生えている場所にって異なるフィルター特性があるそうです。

故に人間の左右定位と同様に「到達時間差」から上下の定位をより正確に認識できていることは当然として、方向によるフィルター特性の違いによって、さらに明確な立体定位聴力を持っているとされています。

フクロウは目が大きいですが、それだけではないんですね。

 

■仮説「フクロウ人間」

フクロウのように上下に耳の高さが違うことと、脳が後天的に学習するということをかけ合わせてみると、人間の耳たぶの形状を大きく変更し、上下定位が分かりやすい身体と脳にしていくことは可能ではないかと思います。

漫画(アニメ)『攻殻機動隊』のように身体能力を拡張できる時代になれば、そういうサイボーグ化をした「フクロウマン」が登場するのかもしれませんね。暗闇での特殊任務に強そうです。

 

■経時変化による立体音響効果

停止している音源よりは移動している音源の方がより明確に定位を把握できる可能性はあります。

もし音楽制作の中で立体的な音響を使ってみたいのであれば、オートメーションで移動する方が良いかもしれません。

ただ、これについても立体音響関連の論文やエンタメ系企業の報告で「意味ねぇんじゃね」ということになりつつあります。

 

通常の音楽の中では一定に鳴らしている音よりも変化の起きた音に耳が引き寄せられるものです。ネコが動いているものに反応するのと同じですね。

上下・前後定位は個人によっては「あ、後ろに動いた」と感じることはあるかもしれませんが、個人差が適合しない人は「あ、何か音が変化した」とか感じません。

 

■相対性

動きと同様、相対性によって「上だ」「下だ」を意識できる可能性はあるかもしれません。でもこれも個人差という大きな壁の前には誤差でしかないでしょう。

 

■個人的な感覚

私自信、立体音響を体験したり、知人が作った音源で立体定位を試みたものを聞いたのですが、どれもパッとしないどころか気持ち悪いものでした。

それらの音は「こもった音」「ハイが少ない音」「ダイナミクスの狭い音」として知覚されるだけで、遠くの音にも上から降ってくる音にも聞こえませんでした。

 

例外的に遠く・高くに聞こえた音楽作品もありましたが、それが音楽的に何か効果を発揮していたようには全く感じませんでした。

 

■オーオタ某人の話

新しいヘッドホンに買い替えたら上下定位が明確になった、だそうです。

聞いた曲の中には立体音響を意識せずに作った曲もあったはずですが、そういう曲では上下定位がおかしく聞こえたりはしなかったんでしょうか。不思議!

その直後から私が作っている曲に対して、やたらと「その音は上から来て欲しい」とか言い出すようになった。これが本物の上から目線。というギャグにしかならないホラー話。

現在は付き合いを断っています。

 

■独創性と先進性?

早い話が「変わったアプローチで作ってみたい。目新しさで客が呼べる。身障者へのフィードバックもある。『予算くれ!』 」というアレじゃないかなぁとしか思えない部分があります。

実際、立体音響系のエンタメはどれもキワモノ色が強く、コンテンツ内容が立体音響ありきで、全体としてつまんねーよという印象が強いです。それだったらクレーンでスピーカー吊るして振り回した方が笑えるんじゃねーの?と思う。

シュトックハウゼンの話題は禁止な。

 

■リスニングポジションの違いで破綻する

スピーカーを大量に使う立体音響系では当然のことながら正確に体験できるポイントは1点しか存在しません。他の位置だと違和感が生じます。

 

■目的が逆になってないですか?

「立体音響設備のある場所で鳴らした時に破綻しないミックス」という消極的な方向性になってるじゃないかなーと心配です。

 

 

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