DTM、コンピューター音楽、デジタル音楽に関する記事です。
これらの分野である程度勉強を進めて行くと、「なんじゃこりゃ?」という単語に突き当たることがあります。その中でも割りとよく質問を受ける幾つかの単語について、DTMの実務で必要になる対処法と共に簡易説明を書いておきます。
今回は「ナイキスト周波数」の話です。
■シリーズ記事
eki-docomokirai.hatenablog.com
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では本編。
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■ナイキスト周波数って何よ?
ナイキスト周波数というのは「デジタルサンプリングで必ず生じる問題」のことだと思っておくだけでOKです。
問題になるのは「小さい音でザラザラした感じの音になる」ということで、特に問題になるのはリバーブ音で終わる曲や、非常に小さい音量を扱う曲です。
対処法は
「高サンプリングレートで作業するしかない」
「特に途中でオーディオ書き出しをする場合は高サンプリングレートで書き出す」
です。
以上。
それ以上を知っていたところで対処の術がまったくありません。量子コンピューターの時代を待つしかないです。
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■以下、ちょっとだけ詳しく
ちゃんと知りたい人はちゃんと勉強をどうぞ。ただし、知ったところで「解決法無いじゃん」としかならない分野です。音楽の勉強をやったほうが良いと思います。
DTMの用語を調べていくとナイキスト周波数という不思議な言葉に行く付くことがあります。
これはサンプリング周波数(44.100khz/16bitとかハイレゾとか)に関連する話です。これらは同様の問題を扱っていると考えておいてほぼOKです。
ナイキスト周波数によって生じる問題はデジタルサンプリングの根源的な問題であり、末端の我々が対処できるものではありません。せいぜい「繊細な曲はハイビットレートで作業しようね!」という対処しかできません。
今日のDAWの多くは内部では32bitフロートで演算しているので問題が無いように感じますが、特にこれが問題になるのは、「一度オーディオに書き出した時」です。
作業中に一時的にオーディオ書き出しをして作業を進めていくことがあります。その一時オーディオ化が44.100hz/16bitなどの低いビットレートで書き出しされていると問題が起きます!
作業ファイルとして再び取り込まれたオーディオファイルは、プロジェクト内では32ビットフロートで扱われるのですが、取り込んだ時点では44.100khz/16bitのファイルであることは変わりありません。いくら32bitフロートで作業していても、もともと荒い音声なので、ナイキスト周波数由来の不具合が生じます。
特に問題が生じるのはリバーブ済み音声の最後の小さい音などです。
同様に、書き出し時に小さい音量で書き出し、低ビット音声ファイルを取り込み後に音量を大きくしなおした時も問題になります。
ここでよくある勘違いが「低ビット音声ファイルはすべてダメ」という誤解です。
低ビット音声ファイルであっても、取り込み後にリバーブをかければそれは32bitフロートのハイレゾなリバーブですから、結果に大きな差は出ません。
問題になるのはあくまでも「低音質オーディオファイル内の末端処理」です。
音楽制作をやっている私達がやるべきナイキスト周波数への対処法は、
ということでOKです。
ただ、最終的にマスタリングでガンガン音量を上げるジャンルの音楽でどの程度の綺麗さが失われているかについて考える方が大事じゃないかと思います。
(というか複数曲に対する「アルバム用」のマスタリング作業段階ではそのプロセスの特性上、複数の曲の音量レベルを統一するために一度下げてから上げることさえある。人によるけど。)
(曲の終わり方の処理はマスタリングで丁寧にチェックするべきでもある。)
(綺麗に終わる曲の最後くらいちゃんとやってくれと思う。)
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以上、ナイキスト周波数の話と対処法終わり。
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