eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

DTM初心者は耳コピからスタートするべき(1)

諸論ありますが私は「耳コピからスタートするべき!」と何十年も前から一貫して主張しています。

なおアレンジもミックスも、あらゆる音楽制作は耳コピした曲の改造から練習するべきです。

(2020年10月22日更新)

■初心者は耳コピをやるべき

理論や楽器演奏から勉強してもあまり意味がないです。生きた曲から学ぼう。 

eki-docomokirai.hatenablog.com

楽器演奏から入るのは良いことなのですが、大きな誤解があります。

幼い頃から楽器に親しんでいる人は、それを基礎として音楽を総合的に理解できます。好きでも嫌いでもない「やらされた曲」から多くの栄養を得ています。

しかし、大人(18歳以上)になってから楽器をゼロからやっても、ほとんど効果がありません。その年齢まで来ているなら「死ぬほど好きな曲」があるはずです。その曲を隅々まで舐め回すことで栄養を摂取するべきなんです。

 

耳コピを勧める理由

まずはシンプルに断言しておきます。

  1. 好きな曲なら続けられる
  2. 自分が何に感動するのかを自覚できる
  3. 出来の良い曲から多くを学べる

以上の理由で耳コピを推奨します。

 

これ以上読まなくて良いです。作業に戻ってください。

 

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以下、本当に暇な時に読むだけで良いです。 

 

■私もはじめは耳コピでした

幼稚園くらいから鍵盤楽器をやっていたし、小学校以降はブラバンでいろいろな楽器をやっています。

小学校の頃からゲーム音楽耳コピして遊んでいました。

もちろんその耳コピでさえ適当なものだったのは間違い無いのですが、それでもやっていました。

 

・好きな曲でやろう! 

耳コピする曲は、世の中で言われている「名曲」である必要はありません。あなたが大好きな曲こそがベストです!

好きな曲なら何ヶ月でも取り組み続けることができるからです。

もし音楽ツールに不慣れな状態でも、大好きな曲と一緒ならきっとがんばれます。

 

ビートルズを知らない人が耳コピしても、何の栄養も摂取できません。

「この曲で感動したから自分も音楽をやってみたくなった!」

「こんな曲を作れるようになりたい!」

そういう曲こそベストです!

 

1曲出来上がったら、もう1曲やってみたくなるはずです。

2曲目は1曲目の時よりも操作が上手くなっているし、音楽全体を把握する能力も上がっているので、もっと上手にできます。

 

好きな曲を1つずつなぞっていく行為は喜びに満ちたものになるはずです。

基本的な和音と、音符の組み合わせによる機能性を実感できます。

ちょっと間違えてコピーしていた音符を、正しく修正できれば「これだよ!これ!」となるはずです。(この感動はゲームをクリアする感動を軽く上回るはずです。)

 

そこから基礎的な理論を生きたまま摂取することができます。

理論の勉強だけだと、その理論がどういう場面で活躍するのかを実感できません。 

・何が好きだったのか理解する

大好きな曲を耳コピしていくと「これだ!この部分で感動したんだ!」という体験が起きるはずです。

この世にたった1人の自分が何に感動する生き物なのか?その衝動を自覚するためには、オリジナル曲を作るより、自分が感動した曲を耳コピするべきです。

・感動とは何か?を知る

いわゆる理論から入る人はコードの話ばかりします。が、音楽で感動するポイントのほとんどはコードではないはずです。

「コード(理論)=音楽」だと思っている偉い人にはそれが分からんのです。コードは理論のほんの一部でしかありません。

 

好きな曲を耳コピ曲にすれば、自分がどうしてその曲を好きになったのかを1つずつ理解していくことができます。

それは自分自身を知ることでもあり、将来的にオリジナル曲を作る時に大きく役立ちます。

 

同じことをつんくも言っています。

note.tsunku.net

記事の中央やや下、

『大事なのは「好き」のデータ化』
『「好き」を極めれば、天職に繋がる』
に書かれていること。

そして、記事のしめくくり、

とにかく、自分の「好き」の要素、要因を徹底的に自己分析して、他の人が気がつく前に世間に伝えること。そして自分なりのアイデアを足し、オリジナルに変えていくことが重要です。

(先に言っておくけど、当ブログ記事はつんくより前に書いてる内容だからなー、つんくのパクりじゃないからなー!)

あなたがマニアックな曲を『好き』になった理由を突き止めれば、ヒットチャートを耳コピしている人とは違う武器になる可能性があります。しかし、単なる思い出補正でしかないケースもあります。「実際に耳コピしてみたらクソ曲だと気がついた」となることは本当に多かったです。それは初恋を振り返る行為と同じですから。

・9割が単純作業であることを学ぶ

「自分が感動したのはこの部分だった」ことが分かってくると同時に、「美味しい部分」だけでは曲が成立しないことも理解できるはずです。

 

それまで意識していなかった地味な楽器をちゃんと書かなければならないことや、退屈な場所がいかに大切なのかも理解できてくるはずです。

たった1つの感動のために、地味で膨大な単純作業があることを知る。それこそが創作行為の本質です。

 

映画やドラマで感動のキスシーンがあったとして、じゃあキスシーンがあれば名作か?ということです。それじゃあポルノと同じじゃないですか。そこに至るまでの事件とその解決、名脇役のさりげない一言、などなど。その場面をキメどころにするための準備は欠かせません。

 

いきなりオリジナルばかりやろうとする人の多くは「美味しい場所」ばかりを作ろうとしてしまいます。

・積極的にパクる

耳コピで「自分が何に感動するのか」を発見したら、その技術はパクりましょう。

「パクり」はいけない行為ですが、新しいことを身につける時には絶対に欠かせない行為です。『学びはマネび』と言います。最初からオリジナリティを発揮できる人は存在しません。まずは誰かの真似をすることからスタートし、1つずつ身に着けていくのが最も速いです。

 

アーティストを批判する時に「あの曲はパクりだ!」と言う人がいますが、それはプロのアーティストを批判する時の言葉です。練習中の人を「パクりだ!」と批判する人はいません。世の中の批判用語(評論用語)ばかり覚えるのはやめましょう。身動きが取れなくなります。

 

たくさんの技術をパクって、それらが何も考えずに実行できるようになった時、ようやく「オリジナル」と呼べる何かが身についているかもしれません。

 

「パクり」や「オリジナル」という言葉を使いすぎる人は作品を作ったことが無い人です。クリエイターではありません。評論家です。

普通の友達として付き合うのはOKですが、クリエイターとしての付き合いになることは決してありません。そういう人とは音楽以外のエロ話でもして楽しく酒を飲むお付き合いにしましょう。

逆にハイレベルに到達しているクリエイターも別の意味で「耳コピは無意味だ!」と言います。彼らはすでに耳コピによる模倣学習を卒業しているので当然です。大学生が漢字の書き取りや算数ドリルをやらないのと同じです。

とにかく、パクり練習をせずに一人前になったクリエイターは1人も存在しないということだけは絶対に忘れないでください。もしそれができている人がいるなら、それは本物の天才です。その人の作品もどんどん耳コピして栄養にしてしまいましょう。

■完璧主義は絶対にダメ!

「コードとか理論を覚えたら曲を作る」という考え方は絶対に間違いです。

「良いプラグインを買ったら開始する」という考えも間違いです。

知識と道具が無いからこそ、今すぐやりましょう。

もしそれが怖いなら、創作活動には向いていません。すでに出来上がった曲でカラオケをやった方が楽しめるタイプなのだと自覚し、DTMをやめるべきです。 

 

「完璧主義がいかに間違っているか?」については別の記事で力説しています。 

eki-docomokirai.hatenablog.com

しっかりした実力が身についてから何かする、という考え方は絶対にダメです。

徐々にキャリアを深めていくという方針はあるとしても、キャリアが形成されてから何かをしよう、という考え方では一歩も動けなくなってしまいます。

 

ゲームが上手いからゲームをやるわけではありませんし、親として一流だから親になるわけでもありません。学校の先生は大卒の若者で社会人経験がありません(よもすると就職活動さえしていません)。

車の運転という命に関わる行為でさえ、高校生が数ヶ月程度の教習を受けるだけで免許を取得できます。もし音楽で何かをやるために数ヶ月以上の準備期間が必要だと思っているなら、やっぱりその考え方は間違いです。

グダグダ言ってないで、やっちまえば良いんですよ。間違った音楽で誰かが死ぬわけじゃないんだし。

「料理ができるようになったら料理をやる」ではいけません。失敗しても良いから愚直に挑戦することです。そこで得た経験が無いとレシピを読むことすらできません。

■時代の病

その昔、いわゆる「MIDI時代」は耳コピ(特にゲーム音楽の)が圧倒的に主流でした。

一方、近年はボカロの流行もあり、「DTM=オリジナル曲を作る」というのが主流になっているように感じます。

 

昔は素人がオリジナル曲なんか作っていると「ちゃんとした上手い人の曲をなぞらないと実力はつかないよ」「てめーのオナニー曲なんて誰も聞かない」という風潮があったのが事実です。忠実なコピー、着実な学びが重視されていた時代ということです。

 

これはバンドなどの楽器演奏でも同じです。

「好きな曲を演奏してみたい」から始まり、ある時オリジナル曲に挑戦します。オリジナルに行く前に、原曲がフェードアウトの場合、コピーバンドのライブでビシっと終わりの音を演奏するために、アウトロだけちょっとしたアレンジをするかもしれません。そういう小さなことで良いんです。

 

現在では「オリジナルを作らなければいけない!」という風潮があり、演奏や耳コピの経験も無いのにオリジナル曲を作ろうとする人が多数派です。

 

まずは親から基本的な料理を教わり、そこから自分でいろいろな料理に挑戦していく(あるいは発明していく)という手順は必要です。

いきなりオリジナル曲を、しかも本当にオリジナルと呼べるものを作るのは不可能です。仮にあなたが天才だったら可能かもしれませんが。

・音楽制作は承認欲求向きではない

オリジナル曲を作るモチベーションの根源に「褒められたい」という気持ちがある人は非常に多いです。が、承認欲求を満たしたいなら音楽制作ではない別のことをやった方が手っ取り早いですよ。

ブサイクな顔で散らかった部屋でも構わないので、顔出しでゲーム実況やカラオケミックスでもやっていた方が再生数は伸びます。すでに多くの人が知っている作品のタイトルの力があるんだから当然です。

 

その程度の発信じゃ満足できないタイプなのだと自覚したら、あなたはクリエイター向きです。

昔関わりのあったゲームプログラマたちは「ゲームは遊ぶものじゃない。作るものだ。その方が無限に楽しいぞ。」と言い切っていました。さらには「自分が作ったゲームを遊んでいる人の反応を見ることこそ至高のゲーム行為だ」とまで言っています。これこそ真のクリエイターの喜びでしょう。

・動画の再生数と需要

そんなもの知ったことじゃないですよ。

自分が好きな曲を、自分のために耳コピするんですから。

今このネット時代によく聞くダメな動機は、

  • 「こんなことやって需要あるのかな?」
  • 「再生数いくつくらいは行きたいな」

という歪んだ承認欲求です。

他人の動きばかり気にしている人が素敵に見えるわけがありません。

 

・100万再生より1人のために 

需要は「自分のため」「その曲を誰よりも好きなことの証明」だと割り切るべきです。

なんなら耳コピした曲を動画にして製作者に「あなたの曲を好きになりすぎたので耳コピしました!」と連絡すれば良いんです。大丈夫ですよ。耳コピした程度で怒ったり訴訟起こす人なんてまずいませんから。本人に1回聞いてもらうことは、顔も知らない人の100万回再生(しかも途中で止めている)より遥かに満足度が大きいはずです。

そういう情熱がある人のほうが、世の中の需要とか数字とか気にしている人よりも魅力的だと私は思います。

私はコレをやったことがあります。何も返事はもらえませんでしたが。

厳密に言えば著作権法に違反する行為ですが、「あなたの曲が好きなので耳コピしました!」と言って怒る人はまず存在しません。法的に黒か白かで言えば黒ですが、限りなく白に近いグレーだと言えます。敬意を持って丁寧に耳コピしましょう。 

■作曲しようと思うのは変な人である

普通の人にとってゲームとは買って遊ぶだけのものです。

ゲームが上手い人はゲームで競ったりします。

さらに情熱的な人は自分でゲームを作って、他人に遊ばせます。

 

音楽も同じです。

普通の人は出来上がっている曲を買って、聞くだけで「音楽が好きです!」と堂々と言います。普通ですね。

大好きな曲を歌ってみたいと思った人は、歌詞を覚えてカラオケをやります。これも普通です。

楽器を買って練習し、人前で披露しようと思うのは、学校のクラスの中でもちょっと変わった人でしょう。

 

カラオケや楽器の演奏が上手い人は、コンテストで競ったりするでしょう。そういう人たちは腕自慢をやっているんだから、周りのお利口さんが「音楽は競うものじゃない」とか言っても止めることはできません。だって一生懸命やってきたことで優劣をつけたいんですから。

 

ちょっと変わり者のバンドマンの中でも、自分たちのバンドのためにオリジナル曲を作ろうとするのは変わった人です。知識と実行力を持った変な人です。「バンドやってモテたい」というストレートな動機ではなく、「モテるより音楽作りたい」という変な人です。

 

自分のバンドに無い楽器まで使った曲を作るためにDTMをやるのはさらに変な人です。

耳コピで好きな曲をなぞるだけで満足できずに、あらゆる楽器を使ってオリジナル曲をやろうとするのは本当に変な人です。

 

変な人どうし仲良くしましょう!

 

耳コピの技術

この記事は「耳コピをやるか、やらないか」というお話だけで終わりにしておきます。

耳コピの具体的なテクニックについてはまた別の記事で。

 

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■大事な追記、誤解を避けるために

耳コピ能力だけでは絶対にお金になりません!

今から耳コピの練習をしてカラオケデータマンになろうとしても絶対に無駄です。しかも稼げません。

カラオケデータの制作は、いわゆるDAWでの耳コピとは根本的に異なる知識が必須です。音程やリズムを正確に再現できるのは最低限以下の能力でしかありません。

「他に何が必要なの?」と思った人は、根本的に調査能力が不足しています。その程度ではカラオケMIDIデータ競争に勝てませんので諦めてください。

これに対して反論を考えている暇があったら、今すぐ業界調査に走ってください。今すぐ。

 

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