ここで紹介している本は「理論書」と言うほどカタい本ではないです。
私と知人が「これは良いね!」と言っている本です。
本棚の肥やしとして定番の本は除外してあります。
(2019年12月28日、記事移動、更新)
相変わらずごちゃごちゃした内容なので、そのうち整頓・分割します。たぶん。
■初級はネット独学で良い
ネットの情報もそこそこ良くなってきました。
もちろん酷いサイトも多いですが、逆に考えましょう。
おかしなことを書いているサイトを見れば「独学の人がどういうミスをする人がいるのか?」の良い資料になります。
間違っていても構わないのでとりあえず覚えて、より正しいサイトで知識を修正していけば良いです。
いくつかのサイトを回って比較しながら「ここはまともだな」と思ったサイトで勉強すればそこそこの知識が身につきます。
ひどいところも多いので気をつけてね!
・初心者から抜け出したいか、どっぷり浸かりたいか?
ネットで初歩のコード理論とかを無料で教えたがる人は
ほぼ例外なく初心者にチン毛が生えた程度の人です。
そういう人は部活の先輩だと思っておけば良いです。
そういう人に教わっても「どうせ半分くらいは適当言ってるだけなんだろうな」くらいに思いつつ「ありがとうございました!」とお礼を言いましょう。
自分よりちょっと上の人との出会いは大事。礼儀は大事。スキルアップしたら別れも大事。早々に次のステップに進みましょう。
何年もやっているのに上達できないたった1つの理由は、付き合ってる人のレベルが低いからです。
もしあなたが本当にうまくなりたいなら部活の中で偉そうにするのではなく、学校の外に出て腕を磨きましょう。
でも趣味ならそこから出ない方が楽しいです。
・もしくは楽器屋か本屋で適当に1冊買う
もう適当で良いです。安いとか、カバンに入れやすいサイズだからとか、表紙が気に入ったとか、そういう理由で良いです。どれも似たようなものですから。
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■ちょっと上の教科書
初歩的なことを学んだので、もうちょっと頑張ってみたい人向けの本を紹介しておきます。
・サルでも分かる音楽理論
(中級~)
津本幸司、(シンコー2011年)[上下巻]
丁寧ですが初心者に対して親切ではないです。ネット独学程度を済ませてからどうぞ。
定番コードワークの名前ごとに、明瞭な説明がされています。
この本については当ブログに紹介記事があります。
・音楽の正体
(中級~)渡辺健一(ヤマハミュージックメディア1998年)
廃刊だけどオークションや図書館にあります。理論というより、やや雑学的。
・Jazz Theory Workshop
(中級~)
小山大宣(武蔵野音楽学院出版部2005年再販あり)
バークリー系。書いてることがちょっと古い。私が一番使った本かもしれません。
音大、音楽学校等で使われていることも多い良書です。
・コード編曲法
(中上級~)
藤巻浩(ヤマハミュージックメディア2011年)
テンションを理解してる以上の人向け。コード進行、コードアレンジに特化。
・ポピュラー対位法
(中上級~)
彦坂恭人(自由現代社2013年)
友人のクイナさん(故人)推薦。クラシックとポピュラーの折衷。
・コード進行ハンドブック
(初級~)北川佑(リットー1988年)
コード進行の基本ルールと発展性が極めてスマートにまとめられています。
小さくて薄い本ですが、極めて完成度の高い本です。ただし説明不足ぎみ。
各2000円~3000円くらいです。中古でも良いなら、ネットオークションでめちゃくちゃ安く買えるものもあります。(逆に、再販されていることを知らない出品者が強気な価格にしていることもあるんのでオークション価格には気をつけてください。)
本にしてはちょっと高いと感じるかもしれませんが、専門書や大学の教科書とし考えれば安い部類です。
プラグインを1つ買うと思えば最安価格帯ですよね。
安売りプラグインを買う勢いで、ポンと買ってしまいましょう。
プラグインと違って確実に自分の音楽レベルが上がるし、一生使える優れものです!
その他にもいわゆる定番の教科書はありますが、ド素人がそういうの買って「習得した」人をを見たことが無いので薦めません。
■理論書の価値は数ページしかない
どれか1冊が聖書になることはありません。
専門書は1冊新しく読んで、1つ新しく学べることがあれば大収穫だからです。
そういう意味において、初心者がネットで読む記事や、1冊目に適当に買った本の方が圧倒的に「聖書」だと思います。ページをめくるたびに全く知らない情報が書かれているんですから。
専門学校や大学の勉強、専門分野の勉強って音楽以外でもそんなもんですよ。
ある意味ゲームのレベル上げに近いです。
序盤はちょっと敵を倒せばすぐにレベルが上がって使えるスキルが増えるけど、終盤になると何日もやってようやく1レベル上がるじゃないですか。
で、スタート地点でずっと敵を倒していてもレベル上がらなくなるじゃないですか。
いきなり強い敵と戦っても何も得られないという点は音楽でもゲームでも同じです。
だから同レベルの人たちと群れていても上達できなくて、セールで何か買えば強くなれると勘違いし始めるんですよ。そこにつけこんで新しい道具を売ることしか考えていない大人もどういうものかなーと思うわけです。
■クラシックの理論はやめとけ
純粋なクラシックの教科書はたくさんありますが、クラシック作曲にどっぷり浸かる必要が無いなら読む必要は無いです。
- 『和声-理論と実習』(いわゆる芸大和声)
- 『対位法』(長谷川)など。
「芸大」で使われる和声の教科書は新しいものに置き換わっていますが、現時点では誤植的な箇所が多すぎるので、もう数年したら新しいものが一般化するはずです。
しっかり習得している人から個人指導で使う教科書です。
そもそもこういうのは独学でやってもまず習得できません。
独学だけしかやってないというコンプレックスを隠蔽したい心理で、権威のありそうなカタい教科書を集める人がいます。
しかし、そういう人たちのほとんどは本棚の肥やしにしているだけの収集家や、いつまでも理論パズルをやっているだけになり、曲を作っていない自称完璧主義の人です。私はそういう人たちを音楽家だとは思っていません。CDや機材を買い集めているだけの人と同様に、距離をおくことにしています。農家とシェフとグルメは違うということです。
もちろん独学でクラシックの理論を習得した人もいますが、極めて少数だと言えるでしょう。
あなたは独学でやれるほど優秀なクラシックセンスがありますか?無いなら、近所で先生を見つけて丁寧に教えてもらうほうが、挫折する苦痛を味わって「クラシック理論なんてクソだ!」と逆ギレしなくて済むんじゃないでしょうか。
そういう人たちが初歩の和声の理屈で実践の音楽を否定し「和声がおかしいからJPOPはクソ」とか言ってるのを頻繁に見聞きします。
そういう阿呆を見た人が「理論なんかやると曲を作れない人になる」と言っているわけです。適当にギターかき鳴らしてる人やカラオケで歌ってる音痴の方が音楽家として上だということです。
■もっと上に行きたいなら?
独学じゃムリです。
個人レッスンを受けましょう。私のじゃなくて良いです。対面で教わるのがベストですから。
・グループレッスンはやめとけ
グループレッスンは公立校と同じでレベルが低い人に合わせて授業をやるのであまりおすすめできません。(進学校のように成績で明確にクラス分けしているところなら良いですが。)
ほとんどのDTMスクールは「均一なグループレッスンのスタイル」なのでおすすめできません。私もそういう商売に加担する気はありません。
・理論は言葉でしかない
そういうレベルまで行くと「理論はできて当然」という価値観になってきます。
あとは実践的な作編曲やミックスの技術の習得、アピールやブランディング、パフォーマンスです。
楽譜が読み書きできるとか、コード進行が分かるとか、そういうのは「ひらがな」「文法」程度のことでしかありません。
・音楽はメロディとコード進行だけではない
特にDTM系の人が作曲の勉強をする時に、はじめに「部活の先輩」からコード進行を覚えろとゴリ押しされてるようです。
そこで一生懸命覚えたコード理論が強い刷り込みになってしまい、「音楽理論=コード進行」という価値観だけになってしまっている人が非常に多いです。
その他、「部活の先輩」はミックスミックスとうるさいので、ミックスを頑張らなきゃ!と思うようになります。
が、「部活の先輩」は『ミックス=プラグインを買うこと』であるかのように大声で騒いでいるので、セール情報を集めることが音楽だと勘違いするようになってしまうようです。
何が言いたいのかというと、コード進行とミックス以外に、何か具体的にテクニック持っていますか?ということと、情報の仕入先がありますか?ということです。
コード以外の作曲技術と、コード以外のアレンジ技術と、ミックスでごまかさないアレンジ技術を具体的に勉強してますか?ということです。(アレンジの悪さをミックスでカバーしようとしてるからまともなミックス技術が身につかないだけとも言えます。そういうおかしなミックス手法のために作られたエフェクタは存在しないので、何を買っても無駄なんです。悪いのはEQの質じゃなくてアレンジの質。)
たまに質問を受けたり、レッスン希望者が「コード教えて!」と駆け込んできたりするし、今日も「コード理論教えて」系の問い合わせがあったんだけど、その度にいつも上のようなことを言っています。
■初心者は質問がおかしい
自分の上達のために何が必要なのかを的確に自己診断できる人はまず存在しません。
eki-docomokirai.hatenablog.com
医者も同じことを言ってる。
(^p^)「私は◯◯という病気だ!ネットで調べた!◯◯という治療法をしてくれ!✖✖という薬は外国では使っていない毒だから断る!」
医者『できません。』
(^p^)「おまえはクソ医者だ!ネットで晒してやうr!!」
というよくある話。
人は自分の知識とバイアスに支配されています。選択とは幻想です。
本当にやるべきことは分かっているけど、それを口に出したら何かが壊れると直感しているから、無意識下におしこめているんです。
小学生の子供が「みんなが持ってるから私も欲しい」と言って、
ママが「みんなって誰?」
ロリガキ「 」
みたいな話。
本当は自分の言葉が間違っていると気がついているのに、それを口に出せない。
という感じで「コード教えて!」「ミックス教えて!」があまりにも多いんです。
必要なのはたぶんコードじゃないです。ミックスじゃないです。もう十分なコードの知識があり、今時のDAWならミックスの道具としては10年前の数百万円クラスです。本当に必要なのは作編曲のスキルの底上げのはずです。
「彼らのネット」ではコードとセールと動画再生数の話ばかりだから、コードとセールが音楽だと認識されているのかもしれませんが。
そりゃぁ私も彼らの注文通りにコードだけ教えて無知な初心者から小銭を貰えば良いのかもしれません。でもそういうエセ音楽ビジネスに興味が無いんです。
近所のレッスン受講者にそういう話をしたら「それは社会人としてどうなんすかねw」と笑われました。ありがとうございます。その言葉はご褒美です。
私は自分を音楽家だと思っているから、音楽をやりたいんです。
■雑学的に情報を仕入れる
ちょっとの英語と、ちょっとの楽譜が読めれば、ちょっと楽しいかもよ?
Category:Music theory - Wikipedia
Category:Chromaticism - Wikipedia
Category:Musical scales - Wikipedia
Category:Musical techniques - Wikipedia
Category:Counterpoint - Wikipedia
Category:Repetition (music) - Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:Aspects_of_music
「海外ではー」「日本の音楽はー」と一度でも思ったことがあるなら、海外の情報くらい仕入れれば良いんじゃないかなと思う。上以外にもいろいろあります。当ブログでも海外の音楽制作技術について翻訳や紹介をしています。
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なお行動力がバツグンな某知人は海外に移住してしまいました。まじでかっこいい。