eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

(書きかけ、未整理記事)金管楽器の難易度に対する考察(1)

書きかけの記事です。

金管楽器を演奏する人と、金管楽器用に作編曲をする人が知っておくと役立つかもしれない知識です。「詳細編」はとても長い記事でしたのでお蔵入りしました。この「簡潔編」は短くした記事です。 

作家向けの話と、奏者向けの話が混在しています。どちらも互いの都合を知るべきだと考えているので、意図的に同じ記事に含めました。あとで分けるかもしれません。

(2017年11月10日修正)

 

 

■はじめに

金管楽器とはどういうものか?

奏者も作家も、根本的なところを知っておくことで、よりよい音楽活動ができるようになります。

金管楽器スペシャリストとして仕事をしていたこともあるので、堂々と書けるのは金管楽器についてです。他の楽器について書いても構わないのですが、私よりもちゃんとした人の専門的な指導を仰ぐべきだと思います。

 

■(物理)自然倍音

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もともと金管楽器は自然倍音しか演奏できませんでした。

正露丸』のような軍隊ラッパ(信号ラッパ)を演奏することが存在理由でした。

 

■(歴史)異なるサイズの楽器を使う

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ドミソしか演奏できないと困るので、異なるキーの演奏のためにサイズの違う楽器を用意しました。大きなラッパは低い音になります。

素早く持ち替えるか、多人数でカバーしていた時代があります。まじで。

 

■(工業)バルブの発明

バルブが発明され、複数の楽器を持ち運ぶ必要は無くなりました。

また、半音階を演奏できるようになりました。

金管楽器に限らず、楽器の進化とは工業技術の進化そのものであるとさえ言えます。

コンピューターだって楽器です。集積回路(工業)の進化によって高度な音楽表現が可能になったということです。

 

■(完成)音階を手に入れたラッパ

19世紀初頭。金管楽器はバルブを手に入れたて、完成したと言えます。その後の進化は微々たるものです。

 

3本のバルブのその組み合わせで7つの音を半音階で演奏できます。

つまり、7つのキー+それぞれのキーの「自然倍音列」によって、あらゆる音を演奏できるようになりました。

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自然倍音列の重複箇所によって使われない音が多くあります。

 

・バルブごとの音程の良い倍音を採用する

上図のように倍音列の中から比較的狂いの少ないものを選択することで、いわゆる「標準的運指」が完成しました。

下図はトランペットの例です。(ト音記号、B♭記譜)

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とてもすっきりしましたね。

使われる音を倍音列によって色分けしてあります。

この倍音エリア分けを熟知することで、演奏も作編曲もワンランク上になるはずです。

これは弦楽器の弦の開放音を知っておくことに相当します。

 

■運指都合の難しさ(作家向け)

もし金管楽器の運指都合について配慮したいなら、運指について考えるのではなく、楽器のキーについて熟慮すれば良いだけです。一般的にB♭だと思っておいてOKです。B♭とその近親調は演奏が容易です。

音大生レベル以上のプレイヤーであれば、あらゆるキーでほぼ同等の演奏が可能ですが、やはり楽器ごとに得意なキーというものは存在します。作家はできるだけB♭キーで書きましょう

ギター等が入る場合や、歌のキーによってはそうもいかないことがあります。そういう曲では相対的に金管楽器の難易度が上がってしまうので、内容を簡単にしてあげましょう。

 

・運指都合の難しさ(演奏者向け)

演奏者はB♭及び近親調以外の苦手なキーを入念に練習するべきです。

いつもB♭キーばかりやっているから♯が多いキーになると頭が混乱するんです。

楽器の練習とは、その楽器にとってやりにくいことを得意にすることです。B♭キーの楽器の場合はもっとも困難な半音上下のキーとその近親調を入念に練習するべきです。

 

B♭楽器にとって最も複雑な運指であるこれら4つのキーを練習しておけば、DキーやGキー にビビることはなくなります。B♭キーの曲を半音上下のキーに書き換えてみてください。童謡でやってみると良いでしょう。

 

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■以下、しばらく演奏者向けの話。

その後に作家向けの話を書きます。

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■(奏者向け)なぜ金管楽器はミスるのか?

金管楽器が高難易度だと感じるのはキーや運指ではなく、倍音列からくる諸問題です。あと体力。

・運指でミスってるのは論外

難しいキーで運指を間違うのは論外です。運指が難しいと思ったなら、楽譜に指番号を書いておけば良いだけのことです。指番号の記入は5分もかからず終わる作業です。5分を惜しんだことで周りの人に迷惑をかけ、リハーサル時間を無駄にするのは悪です。

指番号を書かずにちゃんと演奏できるのがベストではありますが、あなたのプライドのために誰かを巻き込むのは悪です。指番号を書くのが恥なのではなく、間違った音を出すのが恥なのです。 

どうしても指番号を書きたくないなら、記入前の状態でコピーをとっておけば良いだけのことです。その価格は10円以下です。学校ならたいていは無料です。指番号を書き込んだ状態で慣れてきたら記入前の楽譜に切り替えれば良いだけのことです。

 

倍音列の誘導によるミス

エリアをまたぐ時に明確に意識してギアチェンジをするように意識すると、ミスは激減するはずです。

金管楽器奏者の演奏ミスのほとんどは「自然倍音列エリア」をまたぐ時に起きています。

 

慣れている人は意識しなくても自然とできてしまうのですが、高い音域になった時にミスが置きます。「倍音をまたぐ」ことを明確に意識するようになると、高い音域でもミスが激減します。

 

演奏例1,(トランペットinB♭の例)

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同じ運指で第4倍音と第5倍音を使う場面です。

跳躍は左の「ドラ」の方が短3度、右の「ドド♯」が半音。

ある程度慣れている人の場合、自然とド♯に移動できますが、油断していると12を押した時に遠いはずのラに移動してしまいます。

12を押すことで同じ管の長さが伸びて、同じ倍音エリアのラの音に降りてしまいます。

 

次。

同じ運指で半音上に上がる予定が、長2度下のCに落ちてしまう例です。

第5倍音と第6倍音になると、誰もがミスった経験があるはずです。

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ミ→ファに移動する場合には「倍音をまたぐ」必要があります。油断していると同じ倍音エリアにある低い音に降りてしまいます。

 

下の譜例は3つとも同じ運指です。金管楽器で頻出する0-1を連打する場面です。

金管楽器の構造上、「1を押す」=「長2度下げて隣の音へ」ということになります。

 

「0101」の連打になる状況では、それぞれ倍音列の選択が異なるので、うかつに演奏すると違う音が出てしまいます。

倍音エリアで色分けしてみると下のようになります。

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細かく倍音エリアを移動しており、金管楽器の構造から考えると非常に複雑な倍音操作をしているわけです。

 

 

ここまでなら中高生のちょっと上手い奏者ならミスはありえないでしょう。

しかし、ここより高い音域で問題は深刻なものになっていきます。

 

下図。

左が正しい例、右が間違い例です。

最後の2つの音が8倍音に上がりきれない「倍音演奏ミス」です。

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これを単に「高い音が苦手」と考えるか「倍音またぎが甘い」と考えるかが重要です。

単に高いからミスったのではなく、倍音をまたぐ奏法が甘かった結果として音がはずれたわけです。

 

 

このミスのメカニズムを説明するために、もう倍音列の画像を出します。

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右の第8倍音の12,1の運指ならGとA♭になるのですが、第7倍音に引きつけられてしまうとFとG♭(F♯)になってしまいます。

この第7倍音と第8倍音(より上)を使う音域は、あらゆる種類の金管楽器でミスする可能性のある「楽器の構造的に発生しやすいミス」だと言えます。

金管楽器はそういう構造的問題を持っている楽器です。入念に練習し、構造的問題を乗り越える奏法を身につけるための具体的な練習をしなければいけません。

 

・構造的弱点の克服

これは金管楽器だけに限ったことではなく、どの楽器にも構造的な欠陥、弱点があります。あらゆる楽器の練習は「その楽器の構造的弱点を克服する」ことを目指す行為でなければなりません。ロングトーンはそれを克服する効用がありません。高音域でのリップスラーとスケール、アルペジオあるのみということです。

 

これについては別の記事の中で解説しています。

 

eki-docomokirai.hatenablog.com

リンク先記事で「金管楽器」で検索してみると該当箇所を見つけられます。整頓していない記事ですみません。

 

■ミスの予知と対処

ともかく、上のような状況で倍音列に起因するミストーンが発生しやすいのが金管楽器です。

金管楽器のミスのほとんどは倍音列を意識していない不用意な演奏に起因します。

 

倍音列を「またぐ」と意識していれば、体調が悪くても、数時間演奏して疲れている時でも、不調なら不調なりに「もっとしっかりまたぐ」奏法を行えば良いだけのことです。

 

「ベストな時はできる」なんてまったく無意味です。ベストじゃない時にどう乗り切るか?を身に着けてこなかったことの証明でしかありません。楽器をケースから出した直後にどのくらい演奏できるかがすべてです。疲労のない状態から入念に30分ウォームアップした後にできる内容は、本番の成否とはほとんど関係ありません。疲れている時や、ウォームアップしていない時にできる演奏内容が本当の実力です。

本番でミスった後で「普段はできているのに」と考えたことがあるなら、根本的に考え方を変える必要がある疾病状態だと思ってください。また、仲間内で「いつもは上手くできていたのにね」と慰めあうコミュニケーションが交わされているなら、その集団は重篤な集団感染状態にあると言えます。下手な楽団がいつまでも下手な理由はここにあります。

 

具合が悪い日や、重い荷物を持っている時、階段でつまづかないように普段よりちょっとがんばって足を上げるはずです。金管楽器の演奏はそれとまったく同じです。

 

それさえ理解していれば「ちゃんと高い音に上がれるかな?大丈夫かな?」という不安はありませんし、ミスったとしてもいちいち驚く必要はありません。「なるほど、今日はこのまたぎ方だとミスるのか。じゃあもうちょっとしっかりまたげばOKだな」と修正するだけです。恐れが無ければあなたの能力はきっちり発揮されます。ミスって、驚いて、動揺して、おかしな修正をするからダメなだけです。

 

■ホルンがヘタクソな理由

トランペットのチューニング音はトランペットでは第4倍音で、これと同じ音程をユニゾンで出す場合にホルンが使うのはF管で11倍音、B♭管で8倍音です。

逆に言えば、トランペットの第11倍音はいわゆるHi E、第8倍音はHi B♭のことです。ホルンとはそういう高次倍音域でのコントロールを常に要求されている楽器です。

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ホルン奏者がちょっと高い音域になるとすぐに頻繁に音を外すのは、

常用最高音はF管の16倍音(B♭管使用時だと第12倍音)までの使用を要求されます。

 

・ホルンの16倍音(in F)

 

トランペットやトロンボーンユーフォニアムでの16倍音というと、いわゆるダブルのハイB♭となります。トランペットの上加線2本のさらにオクターブ上。チューニングの音の2オクターブ上です。劇伴やCMでもまず聞かない音。一流プロのジャズのリードトランペッターでもなかなか出せない領域ということです。

 

・ホルンの12倍音(in B♭)

ホルンが高音用の短いB♭管を使った場合は常用音域の最高音Fは第12倍音です。

12倍音というと、トランペットだとハイF(上加線4のF)、トロンボーンだとへ音譜で上2本のFのオクターブ上ということです。

ホルン奏者はちょっと難しい曲だとそこまで扱うことを要求されているということです。そりゃミスりますよ。12倍音より上は記譜上では半音が出て来る場所ですから。

 

・(作家向け)「ホルンを簡単に書け」は広く知られているが……

ホルンはプロ奏者でも頻繁にミスるということは広く知られています。リテイクを切り貼りすることで作られた純クラシックのCDでさえ、ホルンの少々のミスよりもトータルの演奏テイクの良さを優先し、ミスった音がCDに収録されていることさえ許容されています。

そうしたことによって、作家向けの教科書では「ホルンは簡単なスコアを書け。奴らはミスるものだ」と書かれています。

しかし、ミスるのはホルンだけではありません!

かっこいいトランペットやトロンボーンの高音強奏は常にリスクとの戦いです。良い演奏をしてほしいなら、とにかく金管楽器の難易度を下げることです。他の楽器の少々のミスと異なり、金管楽器のミストーンは非常に目立つものです。

また、金管楽器の演奏は奏者の力量差が明確に現れます。難しすぎるスコアはそもそも雇った奏者では演奏できないことさえあります。あなたのスコアを演奏する奏者の水準を推し量るべきです。金に糸目をつけず、世界一流のプレイヤーを用意できるなら、映画サントラのような一流の演奏を表現できるのでしょうが、そういう水準を要求できる規模の仕事ですか?

超一流どころのメイキング情報ばかり収集しても、それは実務につながりません。私やあなたが超一流ではないのと同様、私達の書いたスコアを演奏する奏者も同じ水準だと悟るべきです。現実に即したものを作る泥臭い努力をするべきです。私たちは傲慢なスコアの責任をプレイヤーに押し付けて許されるほどの偉大な作曲家ではありません。私はジョンウィリアムズではありません。あなたはハンスジマーではありません。

 

■構造的弱点を知る意味(奏者向け)

このように、倍音列が同居する高音エリアでは事故が多発します。なんとなく運指で音を出そうとしている限り、「高音域が苦手」は克服できません。高音域では運指で音を出すのではなく、唇で完全に音程(≒倍音エリア)を当てなければいけません。唇で音を正確に作れていないと、倍音列の誘導で間違った音に引きつけられてしまいます。

具体的に言えば、マウスピースのみで曲を限りなく正確に演奏できない状態だと、必然的に倍音列の誘導ミス」が起きるということです。 

「マウスピースのための練習じゃないよ。楽器の抵抗感込みで練習しないと変なクセがつくからダメだと偉い先生が言っていたよ。」たしかにそのように指導している先生は多くいます。比較的モダンな指導方法で、理にかなった方法論です。もしマウスピースのみの練習をしない方針であれば、なおさら倍音列の誘導を意識し、ギターやバイオリンの奏者が腕の位置を変えるように明確にギアチェンジしなければなりません。

いずれにせよ、第7倍音以上の音域は積極的に練習しなければなりません。それはすべての金管楽器奏者の義務であり、「楽器の構造的な弱点を克服する技術」を身につけることは、あらゆるプレイヤーの責務です。

 

 

 

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■以下、作家向けの話。

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■(作家向け)金管楽器が苦手なこと

ここで述べる難易度には楽曲の難しさや表現的な難しさは一切含みません。

機械的、構造的な演奏の困難さの話です。

作家はどういう状況で金管楽器が難しさを感じ、演奏をミスる可能性があるのか?ということについて知るべきです。

 

 

■自然倍音列に起因する難しさ

 ・上の倍音域への移動は難しい

倍音の境目を「またぐ」時にミスしやすい

・特に、倍音を複数またぐのは非常に難しい

・連続でまたぐのは難しい

・特に、倍音を往復するのは難しい

 

同じ画像を貼っておきます。 f:id:eki_docomokirai:20171105165336p:plain

 1つのフレーズでエリアまたぎが多くあると、それは難しいメロディということです。

「おいしい音域」を考えると、倍音エリアをまたがずに書くことはできません。難易度が上昇していると考えてください。

くれぐれも誤解が起きないように強調しますが、倍音エリア1つで書けという意味ではありません!

 

 ■付随する難しさ

 ・またぐ音域をスラーで演奏するのは難しい

・音量が極端に大きい(小さい)と難しい

 

・1つのフレーズの音域が広いと難しい

・長いフレーズの終盤に高音があると難しい

■音量に関連する難易度

・高い音に小さくして移動するのは難しい>↑

・低い音に大きくして移動するのは難しい<↓

 

■(管弦楽法・器楽法)難易度を下げるための工夫

・準備のための「駆け上がり」を用意すると難易度が下がる

難易度を下げるための工夫として、高音に上がる直前に「踏み台」を作っておくのは定番です。

 

・想像しやすい音程に跳躍するのは難易度が低い

意外かもしれませんが、オクターブの跳躍は意外と難易度が低いです。

音程をイメージしやすいからです。

同様に、完全5度もイメージしやすいのでミス率は低いです。

オクターブや完全5度でミスる最大の原因は、跳躍であることよりも単に音域が高いから難しいという場面が多いです。

 

 

そういう時は先述の「駆け上がりによる踏み台」を用意します。

踏み台は次の音をイメージし易い音にするとさらに難易度が下がります。

逆に言えば、踏み台が邪魔になって難易度が上がってしまうこともあります。

 

・長い休符を用意すると難易度が下がる

金管楽器の楽譜を作る時にはとにかく休符を増やすことを考えるべきです。

考える猶予ができるので難易度が大幅に下がります。

 

 

■高度な配慮

・同じ音域ばかり使った後に倍音を移動するとミスりやすい

難易度に配慮したつもりが、「座りすぎて疲れた」状態になることもあります。適度に音域を運動させたほうが良いです。

 

・休みすぎてミスる

長い休みを配置すれば良いというものではありません。やがて来る難しい箇所に備えるため、適度にウォームアップできる場面を配置するべきです。

最もひどい例として悪名高いのはラヴェルの『ボレロ』のトロンボーンソロです。

曲の開始から何分も一切音を出せない状態が続き、初めて登場する場面が常用音域外のソロです。野球で言うなら、一切の投球練習をせず、9回裏ノーアウト満塁でマウンドに立たされるようなものです。

 

■過大評価じゃねと思う曲

作家向けの教科書で「すばらしい作曲(編曲)だ!」と定評があるものの、個人的には「見本にはならない」と思っている曲。協奏曲は名人芸が前提なので除外。

 

ムソルグスキー展覧会の絵』の冒頭のトランペットはミスするリスクが高く、事実、プロでも割りとミスっている。

R.シュトラウスティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』のホルンは難しすぎると思う。2本に分けて書くべき。

チャイコフスキー交響曲第5番』のホルンソロはリスクが高すぎる。穏やかな曲想なのに演奏リスクの高さから、緊張感が高すぎて穏やかなサウンドを得られない。

ワーグナーワルキューレの騎行』のトロンボーンはスライド移動量とリズムが演奏困難すぎると思う。

 

一流どころのプロオケマンならそのくらいちゃんと演奏できるよね?という大前提なのは分かります。が、異様な難しさが含まれているのは事実ですよね。

 

■奏者に「これ演奏できます?」と質問しても無意味

自分が書いている曲を奏者にチェックしてもらう時に「これ演奏できますか?」と聞いても無意味です。

ほとんどの場合、「できる。」としか言ってくれません。だって、当たり前ですよ。プレイヤーのプライドがあるんですから。仕事だとなおさらです。「できない」なんて言ったらもう仕事をもらえなくなるわけですから、「できる。(怖いけど、オフ1日潰して練習すれば行ける、はず……)」と答えるしか無いんです。質問が意味をなしていません。質問すれば都合の良い答えをもらえるなんて思ってはいけません。言葉遣いとかの問題じゃないんです。

 

で、お薦めの質問の方法は「あなたの生徒さんは、これを演奏できると思います?」と聞くと良いです。

「んー、一番うまい子なら1ヶ月あればできるかなー」「あの子にはここは無理。手が小さいから。」と言うような的確な返答を得やすくなります。

さらにライティングについてアドバイスをもらう時にも「その子にやらせるとしたら、この部分をどう書き換えるべきでしょう?」という具合に、他人事として聞くのが良いです。

 

もちろん、差し迫った急ぎの制作の場合にはそんな質問をしているヒマは無く、じゃんじゃん書きまくるしかない状態になります。楽器ごとの演奏スキルや慣例についての質問は、忙しくない時にやっておくべき積み重ねです。中高生に聞いてみるのも非常に有意義だと思います。中高生が1ヶ月練習してできそうなら、プロなら初見でやれるという感じで。

 

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その他、楽器の練習方法等についても記事を書いてありますので、暇人は参照してみてください。

 

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