eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

ToneboostersのEqualizer4のレビュー

Toneboostersの新作、「Equalizer4」を買いました。

帯域サイドチェインとMS処理ができる、軽量&多用途ダイナミックEQです。AI機能はクソなのであてにしないように。

いつもどおり、悪い点は悪いとはっきり書きます。

数曲で使ってみた後に記事を全面的にリライトしました。

(2018年5月29日更新)

2018年5月29日、プラグイン認識に不具合が出ることがあるトラブルの解消。

 

数曲の制作で使ってみました。非常に良い多機能プラグインです。

 

■オフィシャルリンクと価格

ToneBoosters | Audio Plugins | Equalizer 4

価格は30ユーロ。4000円。

相変わらずのToneboosters価格。一年中安い。安すぎる。

 

・ダウンロードとインストール

同社プラグイン一括DL方式です。アクティベートされたものだけが無制限で使えます。

・デモ制限

セーブできません。DAW側での設定保存も無効です。

 

・ライセンス
購入するとメールで送られてくる。少し時間がかかります。

アクティベートはメールに書かれているコードを、プラグイン起動時に「DEMO」と出ている画面で、画面下部にコピペするだけ。

従来のToneboostersのような、キーファイルをdllと同じフォルダに置くスタイルでは無いので、昔からのユーザーは迷うかも。

インストール回数等については知りません。

 

・ユーザー割引き

すでに同社製品(TrackEssentialsかBusTools v3)のライセンスを持っていると優待割引きがあります。

ページ一番下に書かれている指示通りにログインしてから購入すると、30%オフ。15ユーロ(2000円)。

 

■機能

普通に使うなら16バンドのノンリニアフェーズEQ。普通のEQです。

 

マルチバンドのダイナミックEQ機能はアップワードコンプも可能で、多くのプラグインを一気にお払い箱にできる極めて高いポテンシャルがあります。

が、AI機能はまるで役に立ちません。

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フィルターのキレは悪いです。マイルド系。

32~384kHzという高品質データにも対応しているようです。

 

CtrlとAltで縦横固定スライド。Shiftで微調整モードです。

バージョン4.0.3.から操作性が全体的に向上しました。ホイール反応度合いが大きくなり、使いやすいです。

 

 

 

画面下の両端にある「IN」「OUT」はイン・アウト・ゲインです。

 

右下、OUTの少し左にある%はウェットバランスです。全体の効き具合を調節できます。

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右側、OUTのちょい左にあるのがミックスバランス%です。設定したEQ全体の効き具合を下げられます。

 

 

 

・フィルタ品種

フィルタ品種は普通です。

FLXやFabProQ2のような変態シェイプはありません。

 

なぜかスクロール下にノッチフィルターがあります。

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LS/HSはシェルビング

HP/LPはハイパスとローパス。

BPはバンドパスです。

末尾の英字/数字によって効きの強さが違います。

 

正直同社EQのシェイプは一覧にしなくてもなぁ、と思うです。

HP、HS、Peak、LP、HS、BPから横にドロップメニューが出て角度を決められるだけで良いんじゃねーかーなーと。

 

あと、他社にもよくありますが、ハイパスとローパスの並べる場所などをカスタマイズできるようにして欲しいものです。

ローカットフィルターが高い側に並べられていると違和感ありません?

そりゃまぁ「ロー」カットフィルターというのは使う側の呼び方でしかなく、実装側の考えは「ハイ」パスフィルターの結果としてのローカットなのですが、加工したい箇所はローなわけですし。

 

・EQプリセット

まるで使い物にならないセットです。まじで。

自作プリセットの登録はDAW側への登録しかできません。

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・オーディション(部分聞き)

Aを押しながらバンドに触ると、その帯域のみをモニターチェックできます。

ホイールでQが変わります。

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 バージョン4.0.3からは下部フロートパネルにヘッドホン型のスイッチが付きました。

 

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■ダイナミックEQモード

マルチバンドコンプ的に動作するモードです。

バンド指定した時に出てくるFabっぽい下部ツールの右下のボタンを押すと、拡張モードになります。

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が、使いにくいです。

これなら同社FLXの方が圧倒的に良いです。

 

 

・アップワードコンプ

アップワードコンプが簡単にできます。数値は半自動なので簡単です。

Set the maximum gain (in dB) for upward compression. The corresponding compression ratio
will be determined automatically. The maximum up gain will be realized for signals
approximately 30 dB lower than the compressor threshold.
This control also shows the actually realized gain over time which will be between 0 and the
maximum up gain set by this control. 

 

 アップワードコンプというのは「持ち上げコンプ」です。

何だか分からない人は自分で調べてね!

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https://www.toneboosters.com/manuals/TB_Plugins_Manual.pdf

 

ダイナミック用のパネルの一番右にあるのがアップワード設定です。

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FLXのように可視化されていない上に半自動アルゴリズムですので、とにかく「TとUpのバランス」だと覚えておけば良いです。

ちょいちょいと調節してみて「大きすぎる時に下げ、低すぎる時に上げ」という動作になっていればOKです。

ハイエンド、ローエンド、ディエッサーの処理を一気にトリートメントできるので非常に便利だと思います。

ハイローシェルフをそれぞれ設定することで優れたマルチバンドコンプとして使えます。アップワードの半自動アルゴリズムは良好です。

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いい具合のトリートメント用の設定ができたらプリセット化しておくと非常に便利だと思います。

 

ダイナミックEQ+アップワードは本当に便利なのでぜひ試してみて欲しいです。

これだけの機能がたった4000円かよ!ってなるはずです。

ちゃんとTBEQ4の機能を理解すれば多くのプラグインを一気に駆逐できます。

 

・帯域サイドチェイン

Cubaseだと普通の手順だけで帯域サイドチェインができます。

(VST3のサイドチェイン機能による内部ルーチンなので、対応していないDAWの人は注意!)

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先に拡張モードの右上のスイッチを入れておかないと、トリガー元チャンネルのセンドに表示されません。手順通りにどうぞ。

TとRを適度に設定するとトリガー元チャンネルの音量に対して作用します。

 

FLXのように面倒なチャンネル設定が必要無いので、廉価版Waves C6として使えます。

Waves C6も安くなったので、憧れのWavesを使いたいならちゃんとC6を買ったほうが良いと思います。

 

が、近年のDAWなら付属プラグインで同様の処理ができてしまう時代になったので、今更感があります。

 

なお、「親チャンネルの帯域Aの音量で、TB_EQ4のこの帯域に。親帯域Bで別の帯域を。」という変態ルーチンを組みたい場合は、複数のTB_EQ4を使ってください。一応可能でした。

 

 

■初期状態保存

程よく設定済みの状態を初期状態として保存できます。

右上の ≡ アイコンを押し、「Save default settings」を押すだけです。

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主力プラグインとして使い続けるために非常に役立つ機能です。

DAWによってはDAW側の機能で初期状態を保存できますね。

こういう工夫は今後全てのプラグインで装備して欲しいものです。

 

■AI機能はどうなのよ? 

AIは現状ではクソです。

なんとなく流行ってるから付けた程度の「安かろう悪かろう」クオリティです。

 

もうちょっとましなAIを期待するなら、こんな安物に期待しないでちゃんとiZotopeのNeutronを買いなさい!というか私はNeutronすら勧めません。知人もNeutronを「買ったけどいらんわ。重いし。」と言っていました。

AI系(マッチング系)そのものに対して私は非常に懐疑的です。

 

まず前後比較。

 

トラック内にマルチアナライザを2つインサートし、TB_EQ4を挟む。

もしAIを通過させて何かが変わっているなら、マルチアナライザ上で違いが出るはずです。

が、AIを通しただけでは何も変わりません

あくまでも今鳴っているサウンドに対し、模範的な帯域バランスをEQ内蔵のアナライザで表示するだけの機能です。

 

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そもそもの話、他社のAI自動化系も検出時間が10秒そこらなので、製作中の曲のある部分に対してしか検出が行なえません。つまり、コード進行や編成の都合からくるサウンドに対して、あーしろ、こーしろと提案してくる程度です。

 

・AIアシスト機能の詳細

画面下の「AI assist disable」と表示されている部分をクリックすると5種類のプリセットが出てきます。

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このめちゃくちゃ大雑把なジャンルを選ぶと、製作中の曲の帯域バランスとの差を表示してくれます。何度も言いますが、表示するだけです。

 

下は内蔵アナライザ(1/9oct.)が水平に表示するピンクノイズに対し、5つのプリセットを適用した例です。

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つまり、普通にアナライザを見て、このバランスになるようにすれば良いだけです。

 

・もし比較MIXをやりたいなら別のプラグインを買え

もし本気で比較ミックスをやりたいなら、

REFERENCE(49ポンド)と

MMultiAnalyzer(59ユーロ、たまに半額期間あり)

を買うべきです!

 

REFERENCEはメーカーがめちゃくちゃ丁寧な動画やPDF資料を配布していて本当に素晴らしいアプローチだと思います。

AIの自動化に何かを期待してしまうようなスキルレベルだと自覚しているなら、この2つのプラグインをDLし、デモ期間だけで良いので集中的に訓練すればワンランク上のミックス耳が育つはずです。

 

マルチアナライザについて、詳しくは過去記事をどうぞ。

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

 

■アナライザの品種

5種類表示できますが、アナライザ表示は1/9oct.だけで良いです。

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あー、すみません、画像の文字間違ってました「アナサイザ」ではなく「アナライザ」です。申し訳ございません。

 

 

GUI(見た目の変更)

VST3(3.6.7)で作られており、GUI全体のリサイズが自由自在です。

試しに3種類のレイアウトにしてみました。

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非常に小さく表示できるので、簡易アナライザ/レベルメーターとして使いやすいです。

というか、ここまで小さくできるアナライザが無いのでありがたいです。チラ見チェック用にちょうどいいです。

この自由にリサイズができる点は超絶すばらしいです!

 

・色の変更

右上のプリセットメニューから色彩を変えられます。

色はどれも見やすくて良いです。DAWの色に合わせて使いやすく、黒系も白系も良いバランスです。(メルダは色センスが壊滅的なのでこの色彩センスをパクるべき。)

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■まとめ

 

もしまだ高機能EQを持っていないなら1本目として良いと思います。

特にダイナミックEQを持っていないならオススメ度は高いです。

若干クセのあるGUIですが、非常に優れた多用途プラグインです。

 

・類似品

もうちょっと高機能のダイナミックEQが欲しいなら、

同社ToneboostersのFLX(BusTools同梱)を買うべき。(ただし低域処理が苦手)

(5500円)ToneBoosters | Audio Plug-ins | BusTools 3

または、Waves C6

(7880円)C6 Multiband Compressor | Media Integration, Inc.

 

 

もし比較ミックスをやりたいならMastering the MixのREFERENCEとMelda ProductionのMMultiAnalyzerを買うべき。

(7600円)REFERENCE

(8000円)MMultiAnalyzer | MeldaProduction

EQ4のAIに期待するってことは、ミックスのスキル不足に悩んでいるってことですよね?

 

もし見た目がカッコイイ良いEQが欲しいなら妥協しないでFabFilterのProQ2を買うべき。

(20000円)FabFilter Pro-Q 2 - Equalizer Plug-In

使いやすさも格段に上です。

 

もし半自動ミックスに期待するなら、iZotopeのNeutron2を。(ただし重い)

(27000円)https://www.izotope.com/en/products/mix/neutron.html

現時点では最も良いAIツールです。

 

 

 

 

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