eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

付随業務に完璧を要求される

演奏レコーディングやチェックにともなう簡易楽譜の制作で過剰なクオリティを要求される、というお話。

(2021年9月16日)(書きかけ)

(2023年5月9日加筆編集)

■先に結論

冷静にこう言えば良い。

「予算と時間的に無理です。」

「完璧なものをお望みでしたら、はじめからそのように発注するべきです。」

「無理なものは無理です。それを分かった上でこちらは限界まで譲歩してサービス業務をしているということを、まずご理解いただけますか?」

・予防策

大急ぎで制作したスコアでも、タイトル下に「10分で作った資料スコアです。ミスあっても許して!」と印刷しておけば、過剰なクオリティを要求してくる人を黙らせることができるかもしれません。

だってさー、舞台(演劇)でも練習中は私服じゃん?ゲネプロでも道具がそろってないこととかザラじゃん?結局本番一発になることってプロでも多いじゃん?

 

練習段階、準備制作の段階から完璧なツールを用意しろって、それどこの世界の話?って思うんですよ。

要するにこっちだ下だと思われていて、「あんたたち、今日はこのワタクシ様が来ると知っていたんだから、お茶くらい用意しなさいよ」って前提だと思われてるわけでしょ?そういう態度の相手って、どこまで準備しても文句言うのが仕事だと思ってるんだから、つけるクスリが無いんですよ。トッププロになればなるほど謙虚だというのは常識なのにね。現場の空気悪くするマウンティングして誰の得になるんだか。

 

■今回の経緯

先日のCubaseヘルプの際、その合間に作家さんとの談義で「この前スコア作ったら、なんかあれこれ言われてさぁ」というお話を聞いた。

Cubaseで半自動生成したスコアの細部の仕上がりや、ちょっとしたコードネーム表記のミスについて言及され、そこから果てしなく文句を並べられた。つまり「スコア・マウンティング」を食らった、というお話だった。

本来そういう約束ではない仕事において、付随業務として「ちょっとスコア印刷してきてよ」と言われることは多いが、その質について不満を言われても知ったことか!というお話です。

もちろんその場で会話していた作家さんに対しては、氏の立場によりそって「それは大変でしたね」と受け答えをした。愚痴を聞くモードでの対応です。

■2つの「べき論」はいずれも無理筋である

そこで私は2つのことを思った。

1つは、楽作家であれば、スコアくらいサクっと作れる「べき」である。という考え方。

もう1つは、スコアを要求する職域に立つ人であれば、少々のミスくらい瞬時に読み替えできる「べき」である。という考え方。

 

もちろんどちらも無茶な話です。

 

作家に「ちょっとスコアも作っておいて」というのは業務の範疇を越えています。

完パケ打ち込み屋はスコアにすることを前提にした「綺麗なデータ」ではなく、出音のためのデータを扱っています。それは瞬時にスコア出力できるものではありません。スコア化しやすいMIDIデータというのは、いわゆる「ベタ打ち」状態でなければなりません。

 

読む側に雑なスコアを読めというのも、よほど特殊な訓練を受けてきた人じゃないと無理です。(純正培養のガチプロであればあるほど、丁寧なスコアにしか接していないケースは多いです。)手書きスコアで現場アレンジ譜に対応してきた人や、スコア編曲の経験が多くないと丁寧なスコア以外は「読みにくい。ちゃんと作ってきて!」となるのが普通です。

 

私はどちらも出来ますが、どちらも無料では絶対に行いません。

 

・音楽作家であればスコアくらいサクっと作れる「べき」なのか?

もちろんできるに越したことは無いし、扱える業務にも幅が出せるので身につけるべきだ。

しかし、厳格なスコアのレイアウトの知識などは、楽器演奏やDAWで音を並べることとはまったく別の専門知識です。ギターを弾ける人の全てがTAB譜を正確に作れるわけではありません。ましてやドラムの譜面をDAWで制作するともなると、非常に独特の、その時にしか使わないノウハウが必須となります。すべてのドラマーがそれを行えるわけでは無いどころか、ほとんどのドラマーはそういう作業をした経験すら無いはずです。

しかもそういう作業の手順は取扱い説明書には(使えるレベルで)書いていないし、ネット上でもまず見当たらないです。たまにスコア制作について僅かな記事や動画を見かけますが、「とりあえずスコアにする」レベルでしかなく、ちょっとでも複雑高度な要求には対応できるものではありません。

 

一昔前であれば手書きスコアか、古いシーケンサでクソみたいなスコアを出力する程度だったのは多くの人が知っています。月日を経て音楽ソフトは劇的に進化しましたが、今日の最先端と言えるDAWでも、そのまま出力したスコアはまだまだ稚拙なものです。ちょっとでも凝った内容の曲には対応できていないのが実情であると言わざるを得ません。

楽譜専用ソフトにMIDIデータを流し込んで出力しても、やはりナンセンスな出力をされてしまいます。しっかりしたスコアを作るためには、しっかりした技術知識と、何より時間が不可欠です。

よって、出版クオリティの楽譜を常に要求するのであれば、時間と予算を設けなければいけません。「ついでに」で作れるスコアは「ついで」のクオリティを超えることは絶対にありません

 

・コンピュータだからパパっとできるんでしょ?

いやいや、待てよ。どこのお役所の偉いさんだよ!

コンピュータで音楽を作っていることを知っているなら、そこに相当なマンパワーが費やされていることも併せて知っているはずです。和音を1つ、ミックスをちょっと変えることがどれだけ大変か、知らない人はいないはずです。

全ての作家がその能力を身に着けているわけではないどころか、ほとんどのDAW使用者は自分の得意とするDAWのスコア機能についてほとんど使っていない。というか、仕事レベルで使える機能はごくわずかです。

 

もちろん作れた方が良い。

でもその作業は無料じゃない。

 

鍋屋は鍋を売るのが仕事であって、食材と料理については決して触れない。当たり前のことです。

「鍋売るんだったら肉も持ってきてよ」はおかしいです。

 

・スコアを要求するレベルであれば、少々のミスくらい瞬時に読み替えできる「べき」なのか?

レコーディング等での補助ツールとしてスコアを必須のツールとするなら、手書き時代の汚い楽譜で育ってきたはずだし、古いシーケンサで出力されるクソみたいなスコアも山程見てきたはずです。セロテープでツギハギにしたスコアで乗り越えてきたはずです。

そして、近年のDAWの出力がどれほどマシなものになったかも知っているはずです。だったら今どきのDAWでパッと出した適当レベルでも仕事の助けになると喜べるはずじゃん。なんでそこにクオリティを要求するの?という疑問が生じます。

スコアについて知識があるなら、それが多くのマンパワーによってようやく出来上がる成果物、職人技が欠かせないものであると知っているはずだ。そうではないか?

 

鍋を買うなら、鍋の洗い方について知っていなければならない。

鍋屋は鍋を洗ってはくれない。

 

・「スコアを読める」とはどういう能力か?

各種記号によるジャンプ、移調読み替え、ミス修正読み替え、膨大なページ数でも瞬時に場所移動できる、などなど。

もちろんこれは指揮者レベルのリーディング能力なので、そこらの田舎P程度で「ちゃんとスコアを読める」人などいない。

・正しいスコアとは何か?

歴史的に見ても「正しい浄書」など存在しない。

デファクトスタンダードとしてのFinale浄書などは確かにあるが、それがスコアの全てではない。

たとえば「手書きの書類が扱いにくいから全てテキストにしてくれ」となった場合、そこには当然テキスト化する作業が必要になり、DTPの知識も必須になってくる。単純にテキストファイルにデータ化しただけでは「正しいテキスト」とは言えない。

・業務内文章

たとえばTVアナウンサー向けの「業務内でのみ使う文章フォーマット」とは下のようなものになります。

www.knb.ne.jp

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これはあくまでも内部的に使われるものです。

要点だけが書かれていて、よもすると稚拙な文章にさえ見えます。しかし実際にはこのとおりに発音されているわけではありません。アナウンサーの技術によって適時読み替えがリアルタイムで行われていきます。

もしこれを本屋さんで買う一般人向けの本のような体裁にするとしたら、それなりの手間がかかります。

 

内部的に使われるツールというのはそういうものですから、音楽の制作中に使われる楽譜も購入したお客さんが使うようなものではなく、様々な理由によって「雑に見える」ものであることは普通のことです。

 

・漫画で言えばネーム提出

そこに丁寧なキャラクターの表情は書き込まれませんし、カラーにもなっていません。その状態では分かりにくいから、ちゃんとペン入れして持ってきてくれないと判断できない!と言う漫画編集者がいたらどうでしょうか?というのが今回の記事の本旨であります。

・逆の状態、完璧な出音を要求される

なお、音楽制作でもラフアレンジの状態なのに「音が小さいですね」「なんか打ち込みっぽいですね」と言った阿呆もいました。完璧に仕上がった状態じゃないと何も指示を出せないプロデューサーって何?練習中もステージ衣装を要求するわけ?ってことになる。必要なのは完成品を見て「いいね」する能力ではなく、未完成に状態から未来を類推する能力のはずです。

 

これはスコア屋に多いかと思います。

スケッチ用の軽量な音源でスピーディに作っているのに「打ち込みっぽい」と言われてもなぁ、ってなるでしょ?

・建築ではどうか?

この手の話になった時、私が高確率で持ち出すのが上の「漫画ネーム」の話ともう1つ「建築では仮すら無い」というお話。

家を建てる、ビルを建てる、都市を計画する。近年だとオリンピックのスタジアム建設。それらはイメージイラストしか無いのが普通です。近年ではVR(拡張現実)で完成した状態を表現することも可能になってきているらしいですが。

「これじゃあわからないから試しにそのスカイツリーってのを作ってみてよ。それから考えるから」なんて言われたらどーすんの?

・服飾でも似たようなもの

極めて規模の大きい服飾制作では実際に試作をなんども繰り返すことがあるそうですが、舞台衣装などはイラストしかありません。あとは採寸して作って微調整して終わり。既製品を改造しただけの方が良いことすらあるとのこと。

■出版譜と製作中のスコアは違う

製作中のスコアは、たとえばポピュラー音楽用のリードシートだと原則的に4小節に均等に譜割りされたものが望ましい。

が、これをワンタッチで出力する楽譜ソフトはたぶん存在しない。

出版用では1段ずつ不均等であっても、音符の配置を読みやすくレイアウトされる。

eki-docomokirai.hatenablog.com

が、全ての音楽が4小節で進行するわけではない。

「4小節単位で書かれたリードシートから生まれる音楽」は存在するが、そうではない音楽を「4小節レイアウトで読みやすいようにアレンジする」ことなどありえない。

にもかかわらず、4小節リードシートのフォーマットになっていないと説教されることさえあるのだ。

挙句の果てに「松岡さん、あなたスコア読んだことあります?ちょっと勉強した方が良いですよ」とまで言われたことさえある。

てめぇ誰に向かって口開いてんだ、こちとらチンゲが生える前から楽譜漬けだし、童貞のうちから作編曲家の未浄書スコアをそのまま演奏してきてるんだ、と言う気さえ起きず、哀れな気持ちにさえなる。彼にとっては彼の見てきたものが全てで、それが狭い世界のローカルルールであることを学ぶ機会すら無かったのだなぁと。ついでに言えば世に出回っているバンドスコアすら読んだことも無いのだろう。

このように頭ごなしに相手を無知無能扱いしてくる人とは生きてきた世界が狭い人であり、上に書いたような他分野の知識すらインストールせずに年齢だけ重ねてきている。そんな人に何を言っても無駄だから「金と時間」の話に落とし込むしか無いのだというのが私の考えです。まさか「金と時間」が無関係な世界に生きてきた人であるわけが無いので、互いを無知扱いするより建設的です。なにより今この瞬間は成果物を作り出すのが目的であり、マウンティングや教育は目的ではない。無駄な時間の浪費を避け、人間関係の破壊をやめ、自分の立場を顕示することもやめ、とにかく先に進めることのみを目指すべきです。そのためには「金と時間」とだけ言って、余計な感情を封じるべきだと思うのです。

 

ついでにちょっとだけ書いておくと、リードシートは細かい音符でアレンジまで記述するものではないので、ちょっとでも細かい音符が詰め込まれるとあっという間に破綻する、極めて限定的なスコアライティングのフォーマットでしかない。あくまでも簡易的な、制作過程で使われる一時的なメモでしかない。

■マウンティングに発展する心理

人は一度声を荒げてしまったり、説教する立場になったり、説教できる要素を見つけると止まらなくなってしまう。

お説教が上手な人は怒りではなく教育の意味で説教をするが、不慣れな人は衝動的な暴力のように行使してしまう。説教の後にフォローも無いし、説教の前に準備もしない。

やんわり受け答えし、大人としてアタマを下げた上で、「じゃあ時間と予算ください」と言うのが真の大人の対応だろうと思う。大人の世界は予算と時間で動くものであって、頭ごなしに怒鳴りつけるのは真の大人のやることではない。反論も大人のやることではないと思う。

 

怒るなとは言わない。

しかし、怒りを行使する時、その刃の収めどころを先に考えよう。

でなければ狂人だ。

狂人に言葉は通じないから、殺して止めるか逃げるしか無いことをすべての人は知っている。

 

■タイムリーなtogetterがあったので紹介。「熊に人肉の味を覚えさせてはいけない」

togetter.com

例外的な対応、親切、おまけ業務のつもりが、それを当たり前だと思われてしまう。

それは致命的なリスクになる。

だからこそ「金と時間」と明確に言うべきなんです。

 

が、世の中には「一度例外対応をさせ、『前もやってくれたじゃない』と言う」悪魔のような人が結構多いです。だからこそ初手で「金と時間」とはっきり言うのがベストなんです。相手の中に棲む悪魔を殺すためでもあります

「罪を憎んで人を憎まず」とも言います。相手の個人的人格を攻撃せず、淡々とこの世の摂理を突きつけることは相手のためにもなりますし、別の人への被害を防ぐ行為にもなります。

 

もし言いそびれた場合にも、事後で良いので「あのスコア制作は特別です。毎回は無理ですし、他の人に同じ要求をしたら絶対断られますよ」と言っておくべきでしょう。

 

なお、こちら北海道の倫理では「熊を殺すなんて可愛そう」と言うのはにわか北海道民です。「人と接触した熊は殺すしかない」という古くからの知恵があります。人の野に降りてきた熊はその瞬間からかわいい動物では無くなるんです。犬食ったり倉庫荒らしたりして、しまいには人を食い、1人食えば人間を食料としか思わなくなるのが熊という生き物なので。

 

■記事執筆後の反応

バイオリン奏者兼DTM屋の松本一策さん曰く、

 

その続きのツイートも示唆に富む。 

音楽ソフトウェアの謳い文句で「きれいな楽譜が出力できます」「プロクオリティ」というのは30年前からずっと同じですが、それに対する現場の声は『使い物にならん』で一貫しています

浄書屋という専門職があり、彼らの手を経ることによってようやく出版レベルの楽譜に仕上がります。

楽譜の仕上げというのは演奏家としての経験量とはほぼ無関係で、タクシー運転手に「車のプロなら道路の舗装もできるでしょ?サービスでやってよ」と要求することに似ています。奏者は楽譜を見て演奏するプロでしかなく、上の松本さんのように演奏と楽譜制作を両方できる人は実は稀です。

私はホルン奏者なのでホルンについて書きます。当時世界一とされていたゲルト・ザイフェルトベルリンフィルで首席奏者を30年!)の作ったホルン四重奏のアレンジ楽譜(未出版)の自筆譜を使って演奏をする機会があったのですが、そのアレンジ内容も楽譜の書き方も酷いものでした。「プロならできるでしょ」が偽りであるということを示す意味でも貴重な経験でした。

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だからこそ、にもかかわらず、プロ奏者は自分の担当する楽譜についてのダメ出しにおいて激烈な態度をとります。挙句の果てには楽譜の仕上がりが悪いと演奏を拒否するケースすらあると聞いたことすらあります。

プロの奏者を使うなら、楽譜も相応の仕上がりであるべきという考えはもっともであると言えます。

そこに予算をかけず、作家に楽譜制作を付随業務として「一晩で仕上げろ。無料で」というのは、作家に対するマウンティングとしては良いのかもしれませんが、他の関係者の目に触れた時にプロダクション全体の信頼性を下げるものになりかねません。1人の作家をいじめることには成功しても、自分がより多くの人からいじめられるリスクとなることを肝に銘じるべきです。

つまり、予算を投じて、しっかりした楽譜を制作する業務を遂行するしか無いんです。

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これはDIYで小屋を建てたり自宅の駐車場をアスファルト舗装するのと似ています。

プロの建築屋や舗装屋がちゃんとした準備をして施工する差とも言えます。

直線や垂直がしっかり存在し、それが長年の使用に耐えるものに仕上がるためには、相応の予算と時間が必要なのは当たり前のことです。

それをトイレ工事の業者に「ついでにやってよ、無料サービスで」と要求しているのと同じなんです。

仕上がりも悪い上に文句しか出ません。「安かろう悪かろう」以下の結果になるのは当然です。

・雑学レベルでも良いので知っておくべき歴史

楽譜の浄書というのは印刷技術の進化とイコール、あるいはそのニッチさと複雑さから、通常の印刷技術より大きく遅れている分野です。

下の動画を見れば「へぇ」と思うことも多いはずです。

www.youtube.com

通常の文字印刷が「石版」「木簡」「ガリ版」などを経て大量印刷が可能になったのと同様、楽譜の制作も似たような歴史を持っています。

 

・蛇足話。楽譜を読めるってどういうレベルの話?

(下に行くほどハイレベル。)

  • 自分の楽器をスラスラ読める
  • ピアノと自分の楽器をスラスラ読める(=ト音とヘ音)
  • コードを読める
  • 五線譜の内容をコードに翻訳できる
  • 移調を読める(サックス、ホルン、トランペット、ホルン等)
  • 移調をさらに移調して読める(クラリネット→サックス等)
  • 移調を含めた和音構成を読める(弦楽器セクション全体等)
  • それらを読みながらリアルタイムでピアノで弾ける

ぶっちゃけ後半をできる人は結構少ないです。

また、重要な能力として、「読める」ことと「音楽的な指示出しをできる」のは無関係だったりします。読みが遅くても音楽としての仕上げの方向性の指示出しが的確なら、そっちの方がトータルで上になる状況も多いです。

・打ち合わせで使いやすいスコア

音響や照明の打ち合わせで使う楽譜の場合は精密さは必要無いです。構成が分かることの方が圧倒的に大事。過剰な情報で譜めくりが頻繁に起きるフルスコアは逆に不便です。

 

構成だけ分かりやすくした「コンデンススコア」「コンダクタースコア」の方が利便があります。が、作るのは結構面倒くさいです。

下のようなもので、譜めくり回数が桁違いに少なくなるので、最も全体の把握がしやすい地図として活躍します。

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こんなのを一発でポンと出力することができるツールは現時点では存在しません。

■このブログだってそうだ

ドバーっと勢いで書いているんだから、誤字脱字や文体統一ができていないのも当然です。

無料で読める個人ブログに、市販の出版物と同じクオリティを要求したことがあるなら、それはこの記事で批判している人たちと同類です。

 

私は昔からそういう人を指してこう呼んでいます。

「ファミレスで最上級の接客を要求する人」

「コンビニ店員に専門店の一流販売員の知識を求める人」

ハイレベルを要求するなら、それ相応の予算を用意し、予約を入れなければなりません。そして自分自身も相応の態度で接するようにしなければ、屈強な黒服が出てきてつまみ出されるだけでしょう。

分業で作られる音楽制作においては、お互いの職域に対する敬意を忘れてはいけません。

 

パワハラだと定義して立ち向かうべきか?

社会問題となっているものの、まだまだ未整理な分野です。

たんなる愚痴で済まさず、

blog.freelance-jp.org

上の記事からダウンロードできるアンケート内容と結果集計のPDFから引用すると、

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業務上明らかに不要なことや遂行不能なことの強制など過大な要求をされた

業務上の必要性がないのに職務、経歴、能力とかけ離れた仕事をさせられたり(略)

という記述があります。

そして、それは「ハラスメント内容」の件数2位に挙がっています。

フリーランス パワハラ」などで検索すると、対応してくれる弁護士事務所の広告も出てくるので、多少の出費をしてでも対応するのは損ではないでしょう。そこで失うものもあるかもしれませんが、そういう行動を元手にして新たな業務を開拓できる可能性すらあります。(なにも音楽制作だけで収益を得なければならないという決まりなどありません!)

今現在、私はそういうことを業務にする予定はありませんが、法的問題にまで拡大し、その経緯のすべてを記録して同人誌でも書けば良いんです。文章化するのが面倒なら対談を文字起こししてもらい(これは私にもできる作業です)、なんなら漫画化できる人を探せば結構売れる本になるんじゃないでしょうか?

出版社を通しても良いですが、同人誌なら売上はすべて自分のものなので、1冊売れて5%や10%程度の出版印税より儲かりますよたぶん。

・自分は違うと思った人へ

他人のちょっとしたミスを指摘したくなるタイプの人は注意が必要だと思います。

完璧な品質が不可欠な場面以外では「まぁスピード重視の状態だったし」などの理由を積極的に使って、他人に対して寛容になるべきです。

また、他人を攻撃する際にも、些細な言葉尻をつかまえて攻撃することが習慣化していると、そういうケチな攻撃方法が重要な場面でも出てしまうものです。

特に注意を要すると思っているのは、「ネットだから」「匿名だから」という理由で他人を攻撃したくなってしまう人たちです。そういう習慣はリアルの重要な場面で現れてしまいます。そこで理不尽な説教をしている様子は、他人から見れば非常に不快で、結果的に自己の評価を下げてしまうことになります。

たとえどんなに強い立場に立っているとしても、スジの通った立ち振舞いを心がけたいものです。

■浄書屋さんの人脈が無い人へ

必要でしたら浄書屋さん仲介します。ご連絡ください。

ただし、「明日の朝まで」は絶対に無理です。

フルスコアと全楽器パート譜付きで「5000円くらいで」とか論外です。

コンデンス制作も込みで、というのもまず無理です。

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