DTMで最も重要な「リピート再生範囲の操作」のお話。
(2021年7月7日)
■備考
リピート再生で流しっぱなしにしながら打ち込みやミックス・マスタリングをするべきです。
「再生・停止・戻し操作」を何度もやっていると、集中力が半減します。
数秒おきにルーラーを正確にクリックする音ゲーから開放されるべきです。
ドラムのループパターンを作る時に1小節を鳴らしっぱなしにするのはガチ老害シーケンサーおじさんの常識です。
■Reasonのリピート再生
珍しくReasonの操作方法の話から。おつきあい的に。
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必要箇所のみマニュアルPDFから抜き出し。
http://cdn.propellerheads.se/Reason7/Manuals/Reason_7_Operation_Manual_Japanese.pdf
- リピート再生範囲をルーラーで設定
- トランスポートパネルで「ループオン」ボタンをON
・ルーラーで範囲を指定
(マニュアルP109)
左ロケーターの追加はCtrl+クリック、
右ロケーターの追加はAlt+クリックです。下リンク参照。
REASON4.0で覚えておきたいショートカットキー - hellkite 日記と雑記とメモ。
・トランスポートパネルで「ループをオン」
リピート再生オンオフのショートカットは「L」。
■ワークフローの変更
私の考えでは、曲の開始&末尾にリピート用ロケーターを設置するよりも、「今編集する場面」に絞った方がトータルで速いですし、「数秒おきに狙撃」をしなくて良いので音楽に集中できるあはずです。
もちろん「曲の開始&末尾」に構えておく利便はあります。が、任意の複数のリピート範囲を指定することはできないので、二者択一になります。
・慣れていることを変えるメリット
今問題なくできていることを変えるのはとても面倒なことです。わかります。
上で触れられている「損失回避バイアス」
報酬よりも損失のほうを大きく評価する心理的傾向のこと。
場合によっては、報酬よりも損失のほうが、2倍以上も大きく感じる。
「損失回避性」とも呼ぶ。
損失回避バイアス(損失回避の法則)は、認知バイアスの一種である。
今までやっていたDAW操作と音楽を、これから覚える操作や、別のDAWに乗り換えることで、しばらくの間失ってしまう。それは当然です。
「今までのまま」を人生の至高の目的とするならそのままでOKです。
すべての人が上達しなければいけないということはありませんし、ゆるく楽しく継続するのも非常に良いことです。私だって車は適当に扱っていますし、料理だって適当です。タクシー運転手になりたいわけでもないので、自分が使う道しか覚えていません。市内の町名だって正確に覚えていません。誰だってそういうものでしょう。
私はママでもないし、他人に強制できるような独裁者でもありません。
もし「今までのまま」を改善したいと思う時が来たら、その時には全力でお手伝いします。
■今やるリハーサル区間はどこか?
バンドの練習でも「今日はここの練習するぞ」「曲のつなぎ目だけチェックするぞ」「今日はゲスト奏者が入るから、合せの難しい部分を重点的にやるぞ」となります。ライブ用の練習ならMCやステージ出入り、着替え等の演出ポイントを練習することもあるでしょう。楽器の持ち替え、音色の切り替えなど、音を直接出さない部分のチェックは特に重要です。
これは大規模なオーケストラ曲でも同じで、「合せの難しい部分をやるぞ」というスタイルになるのが普通です。「とりあえず最初から最後までやってみよう」となることは非常に稀です。
ということは、「曲の開始&末尾」という最大規模の尺が用いられるのは本番だけで、それ以外の準備時間で使われるのは短い尺だということです。
学生時代のテスト勉強は科目ごとに「数学はもう良いから苦手な世界史をやる時間を増やそう」という感じだったのと同じです。「とりあえず全科目やってみるか」とはならないです。
これは他の分野でも同じ。
「スイーツ頂上決戦 チームJAPAN“クープ・デュ・モンド”に挑む」 - BS1スペシャル - NHK
スイーツ、お菓子の大会でも、部分的なパーツ作りを秒刻みで練習し、全工程の中でウィークポイントとなる部分をメンバー全員で支援し、最高の本番を作り上げていきます。
ともかく「とりあえず通してみるか」は物作りにおいてはほぼ不要なチェック工程です。
・リハーサル区間の設定の準備
トラックに 空白のリージョンを設置して「ものさし」にするという、原始的だけど役立つTIPS。
eki-docomokirai.hatenablog.com
この方法を応用し、サビの長さのものさしを設置しておくメリットは計り知れない。
こういう下らないけど実用性バツグンの何かを編みだすのが昔から得意でした。
・DAWでの制作
ミックスは基本的に音の大きい部分、楽器の多い箇所で基礎固めをします。
打ち込みは重点的に補強する箇所でやります。
シンセの音色作りはその楽器が発音している区間で行います。
ということは、やはり「曲の開始&末尾」という尺は使うことがありません。
もし使うとしたら、なんとなく「一回全部聞いてみるか」という状況だけです。
・autohotkeyやマクロ可能なデバイスで再生範囲を一発で設定する
Reasonでできるかどうかは不明ですが、Ctrl+クリック、Alt+クリックをすばやく設定できると非常に良い環境になるはずです。
Cubaseの場合はそういう設定を内部だけでできるのが便利。ちょっと面倒ですが、導入する価値は高いです。私はそれ無しだと非常に困ります。Cubaseの最大のメリットはカスタマイズ性の高さです。
eki-docomokirai.hatenablog.com
■おわりに
今回はお付き合いとして暇つぶしにReasonの操作方法の調査をしていました。
このような調査は(有償の)業務としても稀に行っています。そういう時のために、暇な時には自分の環境と無関係なことを調べて練習をしています。
もちろん実機を使わずにマニュアル等を調べるだけなので確度は低いですが、資料だけ作って後はユーザー本人が現物見ながらなんとか、という感じです。
ネットでのDTM作業配信を見て、「この人が今すぐ身につけるべき操作はなにか?」「なんでこの人はあの操作をしないんだろうか。もしかしたらこの人の使っているDAWにはそういう機能が無いのか?」という感じで。
以上、リピート範囲の指定は昔のMIDIシーケンサーの時代から割と備わっている機能で、それを前提としたワークフローに切り替えることで、本当の能力を発揮できますよ、
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この辺の総合的なワークフローについてはレッスンで細かく指導しています。
eki-docomokirai.hatenablog.com