eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

MeldaのEQで帯域分割モニターをするマニア設定

暇人向けのMelda設定話。ワンタッチで複数のバンドを動かし、特定の帯域だけをチェックしやすい環境を作ろう!

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(2020年6月29日更新)

 

■前提

Free Bundleの課金版じゃないとできないはずです。たぶん。

 

■何ができるのか? 

こいつを見てくれ。こいつをどう思う?

バンドパスフィルター?

いいえ違います。

両端で自動でオン/オフできる、帯域モニター特化(末尾リンク参照)を行うための設定です。 

 

ただし、初めてMeldaの細部設定をやる人にとっては非常に面倒くさいです。

もしあなたがヒマなら、暇つぶしと、Melda愛を深めるためにやってみてはいかが?

(注。周波数帯域は対数なので、見た目上の図形が平行移動することに価値はないです。念の為に後述します。)

 

 ■先に言っておく。ISOL8の方が便利。

昔はMeldaで色々設定していましたが、近年はすべてISOL8に一任しています。

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

 

ISOL8は素晴らしいのですが、上下帯域幅をワンタッチで動かせないという欠点があります。その点、MeldaのEQならスライダー1つだけで聞きたい帯域に移動できるメリットがあります。

 

■設定方法

右下のMeter&Utilitiesを押します。

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開いたらUtilitiesのどれかを押します。

押すのは上の文字の部分です。

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このパネルが無い場合は、パネル開閉ボタンを押します。

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小さいボタンですが、この先も小さい操作が連続します。Meldaの真骨頂はクソGUIです。覚悟しましょう。

 

・名前の指定

設定ウィンドウが開いたら、右上のAppearanceにあるNameを押して、名前を決めます。ここでは「BAND Monitor」としました。

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その下にあるColorで色をつけることができます。

ここではピンク色にしてみました。

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・パラメタへのアサイ

左下の部分で、どのパラメタを動かしたいか指定していきます。

「+」を押して、パラメタ追加ウィンドウを出します。

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「+」を押すと小さいウィンドウが出てくるので、この中から探します。

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「EQ1」から『Enable』『Frequency 1』『Q 1』の3つを追加。

同様に「EQ6」からも3つ追加します。

 

下のようになっていればOKです。

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順番は右にある上下矢印で入れ替えできます。

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これで6つのパラメタがスライダー1つで操作できるようになりました。

 

スライダーを動かすとEQ1とEQ6が動き、オン/オフされることを確認できます。

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■各パラメタの数値指定

適度に動くように設定していきます。

スライダーの端でオン/オフ、スライダーの途中でFrequencyが動くようにします。

・オン/オフの最適化

初期設定だと、オン/オフはスライダーの半分の位置で反応してしまいます。

 

スライダーの両端でのみ、オン/オフできるようにします

EQ1を指定。

右下、一番下にある「Transformation Shape」を押して、スライダーに対する反応度合いを変更します。

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開いたウィンドウの右上、「Enable」を押して、カスタムシェイプ機能をオンにします。

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開いたウィンドウの左側で、ダブルクリックして操作点を増やします。

4つの点を台形に設置します。Shiftを押しで精密操作ができます。

1.0%と99.0%にしました。

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精密操作が面倒だし、ピッタリ同じ挙動をして欲しいので、コピペ機能を使います。

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EQ6も同じ設定にしましょう。

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スライダーを動かして、両端でオン/オフになることを確認してください。

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・Frequencyの設定

EQ1とEQ6が少し離れて動くように設定します。

 

EQ1は「20.0Hz~8000Hz」

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EQ6は「150Hz~20kHz」

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適度に離れて動かせることを確認してください。

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・Qの設定

Qを設定することで、EQのシェイプを細かく整形していきます。

 

EQ1 Q の設定。 右のValueは両方0.75にしておきます。

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EQ6も同様に設定します。

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■EQのバンド設定

ここからは普通のEQ設定です。

バンド1と6のフィルター形状を設定します。

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キツい方のカットオフを使います。帯域分割モニターはこの方が良好。

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■微調整

スライダーで動くことを確認し、動画のように動かない場合はもう一度設定を確認してみてください。

もう一度動画を貼っておきます。

 

 

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ただし、ここで紹介したカットフィルターのカーブとQの兼ね合いでは、まだまだ水平移動が少し乱れます。

徹底的に詰めていくことで、水平かつ均等な幅にできるはずですが、面倒なのでここまでで終わり。

そういうことをやりたいなら、ISOL8の方が早い、ということです。

どちらの道具の方が高い集中力で作業ができるか比較してみると、道具の良し悪し(pros and cons)が分かってくるはずです。

■おまけ1

これらの設定を変更すると、ISOL8でおなじみの「ローファイチェックモニター」も実装できます。

こんだけやってもまだまだヒマな人、さらにMeldaへの愛情が深まった人はぜひ挑戦してみてください。

 

この設定も画像貼れって?

もう疲れたよ。設定が面倒な方を細かく画像作って解説したんだから許してね。

 

■おまけ2「見た目上の図形の平行移動?」

明るくなっている部分が、見た目上の面積を維持しながら平行移動した方が美しい、と感じる人もいるようですが……

もしやってみたいなら、EQ1Freq1の上限を2000Hzにしてみると、見た目上の面積はほぼ等しい感じになります。

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やってみれば分かりますが、まったく意味がないです。これはお絵かきや算数ではありません。

低い周波数では基音を直接扱うので20~40でオクターブ、100~200でオクターブになります。しかし、高周波領域では基音のオクターブや自然倍音列はほぼ無意味になり、実質的にノイズを扱うことになります。

C5が1046.5Hz、C6が2093.0Hz、C7が4186.0Hzです。それ以上の領域では直接音を演奏することは皆無です。これが純粋な数学的な計算と、音楽で必要になるスペアナ活用の差。

 

でも、初学者がそういう実験をやってみることは無価値ではないかも。

パラメトリックEQを見た目上だけ綺麗に設置するお絵かきミックスと、視覚情報に惑わされない耳ミックスの決定的な違いにも気がつくきっかけになるはずです。

(蛇足。ツマミ角度を視覚的にやっているなら、それもお絵かきミックスだと思うぞ。)

 

せっかくだからちょっと設定を煮詰めてみた。EQ1Freq1を5000くらいにすると使いやすいかもね。という感じ。

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でも、帯域分割モニターを駆使する場合、固定した周波数だけでチェックするのではなく、キーや編成、個々の楽器の演奏内容によって幅を変えた方が良いです。

帯域を固定して聞いてもあまり意味がない、ということを実感することも大事でしょう。

■Meldaコンプ用のおすすめ設定もご紹介

 

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