雑記。動画のキモについて。あまりにも気になったので、あえて苦言を呈し、記事にしておく。たまにやってる動画監修ではこういう指摘をしています。
(2020年2月27日)
■なぜこんなクソ記事を書いたか?
たまに動画監修をやっているからです。
あらゆる創作で「力の入れどころは効果が出る箇所にするべき」ということをご理解願います。
創作ではどういう部分に力を入れないとおかしく見えてしまうのか?
どういう部分が不要なエゴの発露になるのか?
面倒でも絶対やらなきゃいけないこととは何か?
「なにケチつけてんだよ!」と憤慨する人がいるかもしれないけど、具体的な対案ですらケチつけだと思うとしたら、それはクリエイター向きじゃないと思う。
■『リッジレーサーR4』のオリジナル版とファンリメイク版
・オリジナル版
・リメイク版
(初出はニコ動だが、再生比較しやすくするためにあえてYoutubeを貼りました。 R4のOPムービーをリメイクしてみた - ニコニコ動画)
■何がまずいか?
巨乳の過剰な強調が悪趣味なのは言うまでもないが、問題はそういう部分じゃない。車のモデルが違うとか、背景が違うとか、そういうこともどうでも良い。
・動きのある視線の先は見せる
まずは下の2枚の構図を比較して欲しい。
下のリメイク版はフロントをインに寄せる「ライン取りのシビアさ」を強調したかったのだろうが、車の進行先を常に見せているオリジナルに対し、リメイク版は視界が遮られているのでスピード感が無い。
・シンクロ時に何をどこに合わせるか?
次もう1箇所。1分16秒。
「he gives me what I need」の歌詞、3拍目でシフトアップする手、4拍目でタコメーターが映る2つのカットをシンクロする箇所。
3拍目のシフトアップの動き。
リメイク版のシフトアップで腕がヌルっと動くのはスピード感が薄れてしまう。
一方、オリジナル版は3拍目のアタマで固定された位置の腕からスタートする。画面が変わった「ドン!」という視覚的な衝撃が強調されており、続く裏拍に合わせて腕が「鋭く」動き始める。2段階でビート感が表現されているのを確認して下さい。
4拍目はタコメーターの動き。
オリジナル版はメーターが「上がって」が4拍目を叩いているのでパワフル。
対し、リメイク版はメーターが「下がって」いるし、拍を叩いていない。(さらにタコメーターが余計な動きをしている。)
そりゃギアを上げて繋いだらタコは下がるんだけど、演出としては「上がる」部分を見せないとダメでしょ?
どちらがスピード感があるか、シンクロ感があるかをもう一度確認して下さい。
動画編集とはカット割りです。どこで切って、どこに合わせて動くのか。何をリテイクすれば無言で訴求力が上がるのか。そういう自問自答が無いと「作ったから褒めて」という匂いが出てしまいます。
・その他
29秒~30秒、標識が消えるタイミングでカットを変えることで、わずかなインパクトを出す。
大きなオブジェクトのフレームアウトはカットのきっかけに使える。
30秒~、オブジェクトの移動と視線誘導
左下の人物、中央ロゴの消滅、対角線にある右上の飛行機へ視線を誘導する。こういう表現では位置関係は厳密である必要はなく、概ね9分割に収まっていれば大丈夫。
34秒~37秒、顔の振り向きと脇役の位置関係。
オリジナルでは飛行機が空白の多い左上に向かっているが、リメイク版では左上の空白が最後まで空虚になってしまっている。こういう時には雲を配置する等の対処法はある。
56秒~、暗いトンネルの中で壊れたダークカラーのヒール部分を「白い顔の前を通してコントラストで見せる」演出。
リメイク版では垂直に持ち上げていることに加え、ヒールが外側になっているので、ヒール部分が壊れていることがまるで見えない。
1分28秒、ホワイトアウトから視界が戻るリズム感。
などなど。
他にも言えることはいくらでもあるけどこの辺で。