eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

私個人のラウドネスメーター運用2020年版

あくまでも「個人的に」という話です。これよりスマートな方法でやっている人がいたら授業を受けたいです。

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(2020年12月3日更新)2020年版に更新しました。

 

■まず結論から

現時点での我々音楽制作再度では、

TB EBUをK16に設定して、

最大音量区間で、

赤が出過ぎないように気をつけろ

と覚えるだけで良いです。

これで音楽配信サイト側のラウドネスノーマライゼーションに最適化されます。

 

私が言っている方法で「現時点では」こういう完璧な数値を得られます。

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ラウドネスノーマライゼーションには引っかかっていません。

これで文句があるなら各自の方法でお好きにどうぞ。

 

■よくある誤解と対策

ラウドネス話は「現時点では」誤解されすぎています。

 

・我々が作っているのはTV番組ではない。

TV放送などで使われるのが本来のラウドネスです。

我々のような音楽制作そのものの作業で「TV用のラウドネス数値」にしてしまうと、不当に音量が小さくなります。

ほぼ全てのラウドネスについて語っている記事等は、この「TV用のラウドネスの仕様」についてしか語っていません。

 

TV番組に音楽を乗せる人が、BGM音量を下げて実装すれば良いだけのことです。

我々音楽家は「現時点では」彼らの作業工程まで考える必要は一切ありません。

 

・音楽用メーターが無い

TV番組用の「仕様に沿った」だけのラウドネスメーターがそのまま異分野で使われている過渡期にすぎません。

音楽制作に必要なのはターゲット数値です。

 

・我々音楽家に必要なのは「ターゲット数値」だけ

各配信サイトが独自に定めた「現時点での」ラウドネスノーマライゼーションをターゲット数値とするだけで良いです。

その数値とは、TV番組制作で使うラウドネス数値とは異なります。

下リンク(Youleanまとめ、2019年6月30日)を参照。

youlean.co

と紹介したけど、内容はともかく死ぬほど見にくいので自前でまとめた。

 

オンラインストリーミングサービス(Youlean調査)

  TP Loudness  
Youtube -1dB -13LUFS  
Apple Podcast -1dB -16(+-1)LUFS  
Apple Music -1dB -16(+-1)LUFS  
Spotify -1dB -14LUFS  
Spotify Loud -2dB -11LUFS  
TIDAL -1dB -14LUFS  
AES Streaming -1dB min Intergrated -20LUFS Max Integrated -16LUFS

 

TV、映画、ゲーム(Youlean調査)

    TP Loudness  
(TV Europe) EBU R128 S1 -1dB Max Short Term -18 LUFS Max Integrated -23(+-0.5)LUFS
(TV USA) ATSC A/85 -2dB -24 LKFS  
(TV Australia) OP-59 -2dB -24 LKFS  
(TV Japan) ARIB TR-B32 -1dB -24 LKFS  
(TV Italy) AGCOM219/09/CSP -2dB -24LUFS  
(Sony Computer Entertainment Platforms) ASWG-R001 Home -1dB -24(+-2)LKFS  
(Sony Computer Entertainment Platforms) ASWG-R001 Portable -1dB -18(+-2)LKFS  

他、「ニコニコ動画ラウドネス適用されてないからニコ厨どもは海苔だ」とか言ってる人は情報古いです。現時点でもニコ動はすでに下げています。PCブラウザでは-15、Switchアプリ等での再生は-24程度下がります。

 

■以下、本題と詳細

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以下、本題と詳細。

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■TB_EBULoudnessが使いやすい

10種類くらいのラウドネスメーターを試し、現時点ではこれが最高だろ!と思っているのがToneboostersのメーター。

「EBUの仕様どおりに実装しました」しかやらずに、巨大なフォントで数字だけを出す有象無象のクソメーターとは次元が違います。

DAW使用者的に扱いやすい、放送用測定器ではなく音楽のためのツールです。

・Toneboosters BusTools3は買い。

TB_EBULoudness 3は同社BusTools3バンドルに含まれています。

www.toneboosters.com

実用レベルのバスマスター向けプラグインがいろいろ入って49ユーロ。 

何年も前からゴリ押ししているダイナミックEQ「FLX」も同梱されているのでオススメ度は極めて高いです。

FLXについての記事は下リンクに。

eki-docomokirai.hatenablog.com

■使い方

左上のMeter Modeを「LU K16v2(-16LUFS)」にします。

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以上。終わり。

 

 

Cubaseの新しめのバージョンなど、DAWによってはプラグインの初期設定を記憶できるので、この状態にしたら起動時設定を登録しておくと便利でしょう。

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あとは普通にメーターを見て、直感的に判断するだけで全てOKです。

ラウドネスを理解するためのいろいろな単位や数値など覚える必要はありません。(そんなの覚える暇があったら和声公理のひとつでも覚えたほうが絶対役に立ちます。)

 

16にする理由はGUI的に見やすいからです。

他のメーターとすり合わせるために、なんとなくK14等にしたい気もするのですが、このプラグインGUI的にはK16が圧倒的に見やすいからです。

緑が安全、黄色が注意、赤は危険だと分かります。

これが14だと黄色の時点でアウト、赤は完全アウト、という見え方になってしまいます。

16なら緑から黄色をOKとみなすことができます。

以下参照。

 

・他の表示モードはどうなのか?

後述するLoudness Penaltyに音量を合わせた場合、他の表示モードだとこうなるよ、という一覧。

クリックで拡大します。たぶん。

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K16じゃないと、赤に常時突っ込んだり、どこまで上げ下げして良いのかが判断しにくくなります。
K14だと「赤に絶対触れるな」という要領になるので、限界が見えにくいです。

まー要するにこのメーターもイマイチ使いにくいということです。数値管理だけやるなら後述のYouleanの方が中心値と上下マージンが把握しやすいので優れてる(が、不安定なので現時点では全く使ってない。)

というわけで現時点での我々音楽制作再度では、TB EBUをK16に設定して「最大音量区間で、赤が出過ぎないように気をつけろ」と覚えるだけで良いです。

 ・実例

16に設定での、大音量「リリース用」-8仕上げの例。

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赤ゾーン、天井に近いあたり。たまに突破してもOK、という見え方になります。大音量仕上げを扱う時も非常に直感的。チラ見するだけでなんとなく整う。

Cubaseのメーターとの比較 

Cubase9.5のマスターメーター(LUFS)ショートタームとの比較でこのくらい。

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オレンジより上、赤になる直前からCubaseの初期設定LUFSメーターで-14を上回ります。

-13.7ということは、-14より少し大きい音という意味。こういう音量メーター話はほとんどの場合にマイナス方向で示されるので注意!

なお、-14LUFSという数字はとても大事なので、とにかく暗記すること。普通の人は細かい意味を理解する必要はありません。

 

その他、Cubaseのクソいラウドネスメーターについてはこちらの隔離記事をどーぞ。

eki-docomokirai.hatenablog.com

なれればそういうのでも問題ありませんが、使いやすいとは言い難いです。

旧来の棒メーターとの折衷なので、何をやるにもハンパです。 

Cubaseの機能で頼りになるのは「オーディオ統計情報」

オーディオ書き出しをしたらまずこれを確認。

いろいろ出てくるけど重要な確認ポイントは3箇所だけ。

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上の黄色。神経質に作るなら「最小サンプル」をゼロに。なにかとゴミが混ざるので綺麗にしたいならそれなりの作業工程を。

下の緑2つ。

「統合ラウドネス」はこの記事でも触れている、いわゆる「ラウドネス」のこと。

「最大トゥルーピーク」はデジタルピークの最大値を超えて「音割れ」してないかの確認。ゼロにこだわる人もいるけれど、あまり意味は無いです。オーディオフォーマット変換等ですぐに1dBくらいのズレが出ます。ゼロ仕上げだと、納品先で適当にmp3変換された時とか、動画に埋め込んだ時や、再生機器のエンコード都合でパチパチ鳴ってしまいます。これについて超神経質な人は-2や-3での仕上げをしています。私はそこまで過剰にやらず、-1仕上げのことが多いです。-0.1という人もいるけれど、それはTP防止としてはほぼ無意味です。保険のためと思うなら1がおすすめ。

ということを確認しながら、もう一度マスター音量を直してオーディオ書き出し。これでOK。

このやり方に文句のある人は、私みたいな雑魚に文句を言う前にやるべきことがあります。世の中にあふれているすぐにデジタルピークを割っていしまうメジャーレーベルやマイクロソフトに文句を言うべきです。仮に私1人を殺したとしても世の中の音は何も変わりません。返す刀で「DTMer向け」ニ古すぎる情報をばらまいている奴らに文句を言うべきです。「保険で-0.1」とか未だに言ってますよあいつら。
 

Loudness Penaltyで確認しよう

ラウドネス啓蒙家が作ったウェブアプリです。

Loudness Penalty: Analyzer

配信サイトごとの基準で「おめーの曲はこんだけ音量下げられるからな!」という減点を教えてくれる。「--」は完璧に適合しているという意味。(普通に0.0とかOKって表示してくれと思う。バグったかと思ったじゃないか!)

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iTunesは強制的に-1.0されるので無視して良い、はず。)

 

ラウドネスの話に興味があるお前らが求めてるのは、要するにコレだろ?

いろいろ気にするくせに面倒くさがりで、ラウドネスの仕様書なんか読む気無いんだろ?じゃあToneboostersのメーター使えよってことです。

 

iTunesの-1.0ってのはTP対策だと言われています。

先日のTwitter談義でも主張してきましたが、個人的にはTP対策はiTunesのようにファイル変換時に強制的にマイナスを掛けてマージンを取るようにするべきだと思っています。それで殆どのTP演算問題は解決されるので。その上で「ピュアオーディオ」をやりたい人向けに強制下げをしないリミッター解除方法を公開する、という二段階によって硬軟織り交ぜた完璧な方策になるでしょ?)

TP対策の方針については昔から「-0.1で良いだろ派」「-0.5派」「-1.0派」がいて、最右翼が「-2.0派」。

自分は昔師匠から教わったとおりに-0.5派だったけど、最近は-1.0派になりつつある。

「0.0」で作る盤があるけど、再生機によってはバリバリに割れるのが実情なので、それってどうなのよ?というマスタリング談義があった。特にWindows Media Player等でバリバリする恐怖事件。

srad.jp

こういう「真のTrue Peak」を徹底的に回避したがるのが-2.0派ということです。

・要するにいくつよ?

  1. TBのメーターを-16LUFSにして
  2. 赤(+3)に突っ込みすぎないようにする
  3. つまり、-16+3=-13LUFS

-13LUFSにすれば良いということです。

ここだけ覚えれば今の所OK!

 

ただし「現時点では」ということでしかありません。

この後iTunesが刷新されるので、大きな転換期になるかもしれませんし、それを受けて別の数字が最適なラウドネスだ、という評価になるかもしれません。チェケラ!

 

-12とか -9とか、もうちょっと大きい音で許容するところもありますが、-9を-14に加工することは事実上できません。

低めの基準としてYoutubeの-14で作っておけば、その他のプラットフォーム用に音圧を上げる加工は簡単ですね。

 

■具体的な作業方法

実際の作業中のスクショ画像を拡大したので参考にどーぞ。

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ただし、曲の展開・アレンジによっては大きく下回ることもあります。

当たり前のことですが、「現時点での」ラウドネスノーマライゼーション対策としては、「音の大きい部分ではみ出し過ぎると下げられる」だけです。

曲想や展開によって音が小さい部分は無視して良いです。

最大部分の赤だけチェックすればOKです。

 

極端な音が入る際、赤くなっていたらフェーダーかダイナミックEQ等で下げる。

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・仕上がり例

下は良好な例。

薄い緑からオレンジまでに収め、赤に一切触れないように収めました。

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ただ、音楽表現的には、ラウドネス対応のためにここまで神経質になる必要あるのか?とも思います。 

 

次も良好な例。アルバム用の複数曲マスタリング中の一部をスクショ。

+3より上回る赤ポイントがいくつか出ていますが、このくらいに収めればまったく問題無し。

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 ■その他の利点

他のメーターだと不便な点も、Toneboostersなら安心!

・尺変更してもリセットされない

時間尺を変更しても、計測結果を保持します。

これがホントに実用的。当たり前のことができる素晴らしさを感じます。

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短い時間で曲中のセクションチェックをしている時に、「前の曲ってどのくらいだったかな?」と思ったら、右上のRealtime analysisを選んで変更。曲全体の推移や、1時間前にやっていた他の曲との比較が瞬時にできます。

同様に、Meter modeを変更しても統計データは保持されたままです。マジ便利。

音楽的に使うツールならこの程度できて当たり前なんだけど、これができていないクソメーターが実に多い。「お前らそのプラグインを一度も実用せずに仕様だけ実装してリリースしてるだろ?」と思う。

たとえばYouleanはとんでもない長時間のラウドネスを測定できるんだけど、我々音楽家にとって24時間の測定など必要ないでしょ?

・Syncボタンが地味に便利

DAWによっては非対応だそうです。

DAW側が再生停止している時に、プラグインの表示(スクロール)が停止します。休憩する前にやっていたログがすぐに見られるので便利です。ミックス・マスタリングでは積極的な休憩が大事!

数字だけのメーターや、スクロールが流れ続けるメーターではこういう実務に沿った表示ができていません。

音楽制作にとって本当に必要なポイントをちゃんと実装しているということがよく分かる機能です。

■なぜ曲線GUIを好むか?

多くのラウドネスメーターは数値のみをピンポイントで表示します。

これだと音楽的な音量変化の流れを扱いにくいです。

曲線の出るGUIだと、前のセクションに対してどの程度大きくなり、その大きさがOKなのかアウトなのか?という判断がやりやすくなります。

また、アルバムマスタリングにおいて、前後の曲との音量差をすぐに比較できるメリットもあります。

 

DTMをやっている人にとっても直感的に把握しやすいはずですから、こういう曲線GUI表示のものを推奨します。

ToneboostersのEBU_Loudnessで今回紹介した使い方をしてみれば、DTMをやっている人なら誰でも直感的に理解できるはずです。

ゼロ基準じゃない-14とか-23に数値を合わせろ、というのが音楽的にナンセンスだと感じている人は多いはずです。また、Cubaseのメーターのように、真っ赤なメーターを見せられると恐怖を覚える人も多いはずです。

 

■Youleanのラウドネスメーター(いまいち)

同様の表示を行えるものとして、Youleanが注目されています。

youlean.co

が、たまに挙動があやしいです。現時点でのバージョンでも数分たつと表示が更新されなくなってしまいます。

非常に素晴らしいコンセプトなのですが、現時点では完成度が低すぎます。

製作中のプラグインなので実用する予定はまだありません。熱心に開発進捗の連絡が来るのですが、もうちょっとまとまってからリリースした方が印象が良いんじゃないかと思います。

一時期はDAWを巻き込んで落ちるなどの不具合バージョンもあったので、デベロッパとしての信頼性に劣る、というのが私の評価です。

良い点として、ターゲット音量を配信先ごとに選択できる仕組みがあります。(有料版のみ)

Youleanの今後に期待しています。ちゃんと出来上がったらたぶん買います。

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以下雑記

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■雑記、ラウドネスの現状に対する所感

こういうメーターを使いながら作為的なディップを作ったり、ハイエンドを強くしてみたり、広域スイープをやってみれば誰にでも分かることを書いておきます。

本来あるべき「ラウドネス」すなわち「人の耳にとってどのくらい大きく聞こえるか?」の評価方法からすると、現行のラウドネスの規格はかなりナンセンスです。

下のように、「人の耳に対する音の大きさ」は高周波は控えめに反映されるべきなのですが、

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現状のEBUに沿った(沿っていると主張する)ラウドネスメーターでは高周波数帯域も強い音だと処理されてしまっています。つまりハイエンドをロールオフするとラウドネス数値を稼げてしまう。

 

・ハイに反応するメーターの害悪

もし数値稼ぎに興味がなかったとしても、ハイエンドに強い音が出やすいシンセ音楽や、ハスキー声をウエットにする音楽、ハイハットの強いミックスなど、ハイが強い音楽は不当にラウドネス数値が高いと評価されてしまう

他、レゾナンスの強いシーケンスやパーカッションがやたらと引っかかる。

あと、言うまでもなく一定の持続音は平均音量に強く影響する。短いプラックシーケンスの方が耳にカチカチ来るのにラウドネス的には数値が低くなるという不条理がある。(こうしたことからプラックを駆使するのは音圧戦争の必勝法と呼ばれ、完全に定着したアレンジ技術になってますね。)

特に甚だしいのがスイープノイズ。「シュワーッ」と上がっていくあの音はすぐにメーターに引っかかる。そういう高い音がメーターに引っかからないようにすると、どうしても地味なサウンドになってしまう。

結果として不当に小さい音にされてしまうんです。これはハイが異様に高い、いわゆる「ハイ上がり」なクソミックスの話ではありません。広域スイープをやってみれば分かることです。18000Hz以上のロールオフをやめてみれば分かることです。にもかかわらず人間には聞こえるわけもない超高周波数の音が「でかい!」と診断されてしまうのが現状です。ラウドネスは犬や蚊に対するものではないはずです。

でもまぁ、そもそもラウドネスの概念は放送音響用なので、音楽的な表現に対するものではありません。

今後のラウドネスの概念が「より音楽的」なものになることを期待しています。

これはKメーターの功罪だと思います。新しくて凝ったものを好む人は、往々にして声が大きく、その言葉には強い感染力があります。彼らが愛したKメーターの帯域特性を私は好みません。

 

ラウドネスメーターは音楽のためのものではない

要するに音楽を作る私達は、あまりラウドネスという基準に神経質にならず、普通に曲を作り、普通にミックスすれば良いだけです。そして音圧のために強引なリミッティングをする作業を一切やめましょう

経験があるはずです。「リファレンスに合わせるためとはいえ、こんなに音圧上げたらせっかくのミックスが崩れるなぁ」と思ったことが。それをやめるだけで普通の人は大丈夫です。

もし何も考えずに市販曲なみの音圧を出せていたという人がいるなら、彼らは時代の被害者です。今すぐ全てのプロセスを改めるべきです。

 

下は私の過去作品で爆音だったやつ。バリバリ伝説。いくらなんでもマイナス2桁はどうかと思う。

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と思っていたら、先日知人がYoutubeにアップした音が10付近まで上がっていたのでさすがに連絡した。適当にリミッタに突っ込んだだけなのが明らかだった。

 ・「バリバリ音圧」ならではの魅力は確かにある

Youtube等は過剰な音圧を持つトラックに対して音量下げをしているよ」という話になって数年になります。そういうラウドネスに対処することだけが目的化するのは危険な思想です。

これはいわゆる「音圧戦争」のために、丁寧なミックスをマスタリング屋がぶっ壊すのと全く同じです。

「音楽ファースト」の思想ではなく、「オーディオファースト」になってしまってはいけません。

音圧の高さによる飽和したサウンド表現は、音圧戦争の末期に確立した新たな表現だった、と私は好意的に受け入れています。リミッターの発展によって過剰に分厚い音が作られた時代は無駄ではなかったはずです。

 

新しい価値観に沿うのも良し。懐かしの爆音を貫くも良しだと私は思います。

・次世代狙撃戦争

いわゆる「音圧戦争」とはピーク限界に迫るチキンレースでした。

そしてこれから訪れるであろうラウドネス基準の戦争」は、-14LUFSをピンポイントで狙うスナイパーの戦いになるのでしょう。

私はどちらも音楽の敵だと思っています。

我々音楽家はそういうことに過敏になりすぎず、「まーこのくらいなら大丈夫じゃない?」という心構えで、魅力的な音楽を好きなように作り続ければそれで良いんです。そう思いませんか?

 

■じゃあCDはどうすんの?

諸説あります。「CDだとshort termで-9だ」とか「-6だ」と指導している人もいます。

CD媒体そのものはそれで良いのかもしれませんが、CDでそのまま再生する時代は事実上終わっています。リッピング先では結局下げられることになるので「CDだから海苔で良い」という考え方は今度しだいにナンセンスだと判断されていくような気がします。

というよりですね、多くのアマチュアがやっている「音圧上げマスタリング」の多くが、結局のところ「リミッタに突っ込む」だけの人が多いんです。で、そのやり方で市販ブツと同じ音圧まで上げるもんだからおかしな音になるのは当然です。

もし音量上げでデジタル-0dBTPへのチキンレースをするにしても、リミッタ一発だけでやるのではなく、せめてコンプで丁寧につぶしていくべきです。

「リミッタは天井を平らにする」「コンプは中間を上げる」という根本的な動作の違いを意識して、ご自身の曲を大切にしてほしいです。

せっかくの綺麗なピアノ曲や小編成の曲をリミッタだけで指定音量に持っていくのだけはやめるべき。

 

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個人の感想です。 

 

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