eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

ダッキング専用エフェクタ "ShaperBox"が素晴らしい件

高機能ダッキング専用エフェクタの紹介です。たぶん2021年時点でも最も高機能。ただしちょっと面倒なので、適当に楽にやりたいだけの人は別のものがおすすめ。

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(2021年10月5日更新)

 

(新旧バージョンの画像、解説が混在しています。)

ダッキング系エフェクタに対する誤解と不満

まずよくある誤解から。

エフェクタはあなたの曲を聞いて自動でなんでもやってくれる魔法の道具ではありません。ツールを使った上で、入念なオートメーション処理など、丁寧な楽曲制作は不可欠です。

雑にダッキングさせたいだけの人には何も言いません。(そういう人向けに、記事後半にフリーのダッキングプラグインの紹介も少し書いておきました。)

もし丁寧にやりたいならこのプラグインは非常に丁寧に作り込めます。

ただし、手順や使い勝手はあまり良くありません。

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それを踏まえて、本題へ。

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 ■入手

www.cableguys.com

ShaperBoxは複数プラグインのバンドルです。

ダッキングに使うだけなら"VolumeShaper"のみの購入だけで良いと思います。

https://www.cableguys.com/volumeshaper.html

34ドル。安い。

マニュアルPDFはこちら。ただし内容は薄い。

https://www.cableguys.com/downloads/Cableguys-ShaperBox-2-Manual.pdf

・デモ版

デモ版は「機能無制限」「セーブ不可」です。

よくある「数秒おきにノイズ」スタイルではないので、雑に使うだけならダッキングさせたいトラックをオーディオ書き出ししてしまえばOKです。でもこのプラグインを使うということは結構設定を追い込む目的のはずなので、買った方が良いと思います。

ダッキング系のプラグインは後発品も多いですが、ガチめにEDM系をやっている知人に聞いてもこれ以上のことができるものは数年間出ていません。マストバイだと思います。

 

DAWへのオートメ書き込みは保存されますが、デモ版のままではループ部分の「アサイン再現性」に難があります。テスト済みです。デモ版のままだと再読み込み時にそういう問題もあるので、変な貧乏性を出さずに買った方が良いです。

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・なぜダッキング専用エフェクタを使うのか?

よくDTM初心者界隈で書かれているSCコンプを使った方法では適切なダッキングの実装は困難です。かなり詰めて行かないと、適切なグルーヴを作れません。

が、こういう専用ツールなら求めていたノリが簡単に作れます。

 

下のGUI画像に番号を入れたので、ダッキング専用エフェクタのメリットを順に解説。 f:id:eki_docomokirai:20201108053946p:plain

  1. キックが来る前から余白を作れる
  2. バンド分割で低音だけダッキングできる
  3.  裏拍にピタリと合わせられる
  4. 持ち上がり量でグルーヴを作れる

これらの加工はこのプラグインを使わなくても「オーディオ化してからの位置ずらし」や「トリガー専用の発音しないトラック」、「多重コンプ」、「手書きエンベロープ」などの手法で実装できます。

が、非常に面倒です。死ぬほど面倒です。

(昔はそういう方法だった。それをいち早く実装した人がリスペクトを受けている。)

(私もMIDI時代に音圧に配慮した演奏をさせるために、そういう変態的な打ち込みをやっていたことがありました。)

早期にそういう音を作っていた人は、とにかく手間を惜しまなかったんです。

MIDIトリガー

Cubaseでの手順はオフィシャル通りに設定し、あとはパラメタの調節を。

www.cableguys.com

専用のトリガーMIDIトラックを使用するスタイルです。

Logic https://www.cableguys.com/midi-trigger-in-logic.html

Studio one https://www.cableguys.com/midi-trigger-in-presonus-studio-one.html

Live https://www.cableguys.com/midi-trigger-in-ableton-live.html

FL Studio https://www.cableguys.com/midi-trigger-in-image-line-fl-studio.html

・エクスターナルトリガー

Cubaseでのエクスターナルトリガーは昔ながらのクソ面倒な手順になります。

ChildbusでQUadro立ち上げて云々、というアレ。

CableguysオフィシャルのFAQにも手順は書かれていますが、理解しきっていないと超面倒に感じるかもしれません。

https://www.cableguys.com/faq.html

How do I set up sidechain routing with ShaperBox 2 in Cubase 10 or 10.5, for external triggering of VolumeShaper's Compressor, and FilterShaper Core, WidthShaper, PanShaper and CrushShaper's Envelope Followers?

以下の部分を参照してください。

・カーブの設定値

極めて柔軟なカーブを生成できます。編集ポイントは非常に多いです。

ややクセのある挙動ですが、HALion(有料上位版)とそっくりな挙動です。

 

・設定値をずらす

(旧版のみ。最新版では削除されています。)右下のツールバーの<>ボタンで、設定したカーブを水平に前後移動できます。

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・バンドスプリット

帯域スプリットは3バンドまで。

左上エリアで切り替えできます。

スプリット境界線はオートメできます。

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ハイ/ローの片側だけダッキングしない、いわゆる「プロいEDMのアレ」を作れます。もちろん通常のDAW機能だけでも同じ音を作ることは可能ですが手順が面倒です。

・オートメ各種

ダッキングが必要ない時には右下のMaster Mixにオートメーションを書けばOK。平坦な音に戻すことができます。

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ただし、多くのパラメタのオートメーションは効かないので注意。

 

・追加モジュール

ボリューム制御でダッキングを行う他、フィルターやパンなどを揺らすモジュールを追加することも可能です。

ダッキングだけではなく「音作り」を目的とした特殊な用法も可能のようです。やらんけど。

■小技

・操作系

Shift - グリッド吸着

Ctrl - 新規ポイント追加

ポイント上でダブルクリック - ポイント削除

・運用

ウェットバランス大事。100%はまず無い。

スライドを使って移動した方がスマート。

カーブよりもポイントを増やして直線の方がスマート。

トランスゲート的に使う場合は短い拍で作った方がスマート(例えば16分音符1回分だけを作る)。

トランスゲート的に使うならウェット100%。

クロスオーバーは基本6dB。

クロスオーバーは200と2000か、無し。3択が速い。

 

■同種のダッキングエフェクタ

・Nicky Romeo Kickstart(有料)

Shaperbox系の先祖です。中身を作っているのも同じメーカーです。

今から所有するならShaperboxだと言えるでしょう。

ミーハーな人はコレクションとしてどうぞ。

www.kickstart-plugin.com

正確な情報かどうかはアレですが、先にShaperboxが出ていて、販促の一環としてメジャーアーティストの名前を使いつつ、機能をシンプルにしたのが後発のニッキーロメオ版だそうです。わざわざ低機能になっているものを使う意義は無いと思います。 

 

Waves Oneknob Pumper(有料、たまに無料配布や激安)

こちらはすでに持っているダッキング専用エフェクタ。一時期無料で配布されていました。定価23ドル。今からWavesのを買うなら、Shaper Boxの1機能だけを抜き出したVolume Shaperを34ドルで買った方が圧倒的に良いと思います。

雑にやるだけで良い場合は便利。丁寧なことは一切できない。

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https://www.waves.com/plugins/oneknob-pumper

そのまま使うとナンセンスなタイミングになるので、右下のOffsetをグルーヴに応じて操作すると良いです。

が、カーブのニュアンス変更ができないので、やはり徹底的な煮詰めはできません。「まーダッキングしてりゃ良いんでしょ?」という雑な制作ならこれでも十分です。

でも、こだわりが無くてたまにしかダッキング音楽をやらないのであれば、だからこそちゃんとした道具で「ホンモノらしさ」を出すべきだと思います。変なタイミングでダッキングしてる曲はたぶんこういう雑なプラグインでポンと加工しただけなんじゃないかと思っています。

・フリーのダッキング

EDGのSideChainer2は先読みとカスタム傾斜ができます。フリーでは圧倒的にこれ。(2021年時点)

rdgaudio.com

おなじみTAL。ちゃんと64bitも対応。

TAL-Filter-2がダッキングです。フリー。試してないのでノーコメ。

TALはは過去にCubaseと圧倒的な相性の悪さがあったので気をつけるべきです。

FL Studio等ではド安定です。他にも実用性の高いシンプルなプラグインを多くリリースしています。

tal-software.com

 

・Duck

似たようなのはちょこちょこリリースされてる。どれも一長一短な印象。

買うならVolumeShaperにするべきです。EDMを作ることが多い知人もそう言っていました。(2021年時点)

eki-docomokirai.hatenablog.com

■なぜコンプでやらないか?

コンプだと下降と上昇のタイミングが悪く、適切なグルーヴを出しにくいです。これを回避するために複数のコンプを同時にSCして制御することもできるのですが、やはり面倒です。また、先読みダウンさせることが事実上不可能です。(オートメなら当然可能ですが。)

用語を使い分ける人は、単純なコンプによるダッキングを「クラシック・ダッキング(クラシック・ポンピング)」と呼ぶのだそうです。対義語は専用エフェクタでやるモダン・パンピング。

Cubase付属のコンプでダッキングする場合のコツ

もしCubase付属コンプでダッキングやるなら、アタック/リリースよりもHOLDを使った方がタイトに処理できます。たぶん。

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ただ、これも単体ではニュアンス作りが難しいので、やはり多重SCコンプなどの変則的なミックスをしないとグルーヴを適切に作れません。

あと、状況にもよるけど、リリース速度はオートの方が速く戻ることがあります。(これはCubase付属に限ったことではありません。)

緒論ありますが、ダッキングでグルーブを作る場合は戻り速度の方が大事だと私は思います。「なんちゃってEDM風」の素人くさいダッキングはたいてい遅くてグルーブになってない。ただフワフワしているのを「EDMっぽい」とだけ思っているならそれでも良いのでしょうが、それでは自分以下の人を騙すことはできても、自分以上の人からの評価を得ることは絶対にできません。

■とはいえ魔法のプラグインではない

初心者っぽく「ダッキングできた!わーい!」となっているだけではダメですよ!

 

確かにダッキングは誰が聞いても分かるド派手な加工です。EDMの要素を取り入れた現代的なサウンドには欠かせないと言えるでしょう。

しかし、ダッキングを使わない状態でもグルーヴのある演奏じゃないと、音楽的な仕上がりにはなりません。当たり前ですね。

「専用プラグインを使っていてそんな程度か?」と思われないようにがんばりましょう!

 

■応用的な貧乏運用

「そこまでやるか?」というアイディア話。完全にバッドノウハウです。

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デモ版で大音量のホワイトノイズを「先読みダッキング」させたデータを作る。

そのダッキングノイズから、サイドチェインコンプで音量が逆転したノイズを作る。

という方法で、先読みダッキング専用のトリガー波形を生成することが可能になります。

 

何を言ってるのか分からない人は分からなくて良いです。

 

つまりこうだ。

「・・・」を押して、上下反転にする。

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で、ホワイトノイズを通して書き出す。

 

するとこういうダイナミクスを抽出できるでしょ?

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こういう波形をサイドチェインのトリガーにすれば良い、というだけのことです。

拍の手前と、落ちていく傾斜も自由に作れます。

 

ということを私は昔やっていたのですが、さすがにクソ面倒なのでプラグインに頼ります。その方が短時間で追い込めるので。

 

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(検索用語:サイドチェイン、SIdechain、ポンピング、パンピング、Pumping、ダッキング、Ducking、ゲーティング、Gating)

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