海外ミックス記事の紹介です。以前に紹介した「あなたのミックスを殺す5つの神話」の続編です。元記事を書いている人が同じなので、似たような内容です。
(2020年3月12日更新)
- ■日本国内のDTM記事の大半は間違っている!?
- ■1,ハイパスフィルターの濫用はダメ!
- ■2,軽いカットEQだけではダメ!
- ■3,エフェクタの設定数値を覚えてもダメ!
- ■4,特定のモニター環境に特化したミックスはダメ!
- ■5,ピンクノイズに合わせたフラットなミックスではダメ!
- ■6,低音量でミックスするだけではダメ!
- ■7,バスミックス(ステムミックス)に頼ってはダメ!
- ■関連記事
■日本国内のDTM記事の大半は間違っている!?
ちょっと意地悪なタイトルと内容なので気をつけて読んでください。(Jason Moss氏による記事)
「◯◯という方法がよく知られていて、みんなやってるよね」
→「でも、その◯◯だと落とし穴があるから気をつけてね!」
という内容です。
急いで斜め読みする癖のある人は気をつけてください。
動画版はこちら。
日本国内でいわゆる「DTMer」の人たちが書いている無料TIPSは、超初歩の導入話だけです。
なぜ初歩の話をいつまでも引きずってはいけないのでしょうか?
■1,ハイパスフィルターの濫用はダメ!
「とりあえず全トラックに100Hz以下のローカットをしましょう!」
いいえ。違います。
ハイパスフィルター(ローカットフィルター)は多くの楽器の低域ノイズを除去するために使われます。
しかし、そもそも「ノイズ」とは何でしょう?
その低域は本当に邪魔なのでしょうか?
確かにしっかりしたミックスの教科書でも「100以下は切る」と書かれていることがありますが、それはボーカル等のメロディアスな録音物の初期トリートメントの話のはずです。
■2,軽いカットEQだけではダメ!
「EQは音を劣化させてしまうから、必ず軽く使うべし!」
「ブーストは音をダメにするから、EQはカット方向にだけ使わなきゃダメだよ!」
いいえ。違います。
思い切りカットするべき状況、ブーストするべき状況が多くあります。
■3,エフェクタの設定数値を覚えてもダメ!
「コンプを4:1にして、EQを4321kHzで1.2dB下げて……」
そういう数値を覚えても意味がありません。
大事なのは加工する前の音をちゃんと聞き、どういうゴールに向かうべきなのかを決めることです。
コンプをある数値にすることは目的ではありません。コンプの結果、どの程度の音量を得るかがゴールです。
EQで4321Hzを1.2することが目的ではありません。EQの結果、他のトラックに対して適切なバランスになることがゴールです。
精密な数字が書かれているとついつい神秘的なものだと思いこむ人が多いです。書籍やネット記事を作る人も自分の記事を迫力あるものにしようとして、精密な数字を並べる人が多くいます。
しかし、そもそも数値はソースによって変わるものです。ジャンルや曲のキーによっても変わります。
特定の曲で使われた数値は、他の曲ではマッチしません。
■4,特定のモニター環境に特化したミックスはダメ!
「ちゃんとDTM用のモニタースピーカーを買って、大きな音でミックスしないとダメ!」
「車の中やスマホのスピーカーでチェックする方法があるらしいけど、じゃあ最初から車の中でミックスすれば良いんじゃないの?」
いいえ。違います。
どのような環境でもそれなりに聞こえるのが優れたミックスです。
高級スピーカー専用のミックスというものもダメです。
■5,ピンクノイズに合わせたフラットなミックスではダメ!
「水平なピンクノイズに合わせて「フラットな音」にすれば完璧なバランスになります!」
いいえ。違います。
適切な起伏をつけるかがミックスです。
水平な「ものさし」としてノイズを使うことは可能ですが、全ての帯域をノイズに合わせたら、当然それはノイズになります。
■6,低音量でミックスするだけではダメ!
「低音量でスピーカーを鳴らせば、部屋鳴り・共振を防げるから優れています!」
いいえ。違います。
どのような音量でもそれなりに聞こえるのが優れたミックスです。
大きな音量でも小さな音量でも試すべきです。
■7,バスミックス(ステムミックス)に頼ってはダメ!
「同じ役割のトラックをまとめて行う『ステムミックス』の方が優れている!」
いいえ。違います。
ステム作業は便利ですが、万能ではありません。ステムで過激な加工をすると悪影響を受ける個別音があります。
ステムミックスはモダンで楽な方法ですが、魔法のミックス方法ではありません。個別トラックの音を直さなければいけない場面は多々あります。
個別のトラックが整った綺麗なステムでなければ、ステムミックスは無意味です。
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