eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

Addictive Drumsをもっと使いこなそう

一昔前に一斉を風靡したドラム音源。あまりにも流行したためギョーカイでも「ADは使わないでください」と名指しで否定されてしまった過去の時代の音。でもちょっと使い方を変えればまだまだ通用する優れたドラム音源ですよ!というお話。

(記事名を変えました。2022年11月23日)

 

■Addictive Drums2を買おう

「安い時に買うリスト」にでも入れておけば、半期に1回くらい半額になるので待ちましょう。すでに他のドラム音源を持っている人が、わざわざ定価で買うようなものではありません。

www.xlnaudio.com

 

 

付属音源のドラムはどうやっても貧弱です。

ものすごい手間暇を掛けて加工すればそれなりの音にすることは可能ですが、Addictive Drums2なら一発でそれ以上の音が出せるようになります。

クソ音源を立派な音に加工する技術を練習しても無意味なので、せめてドラム音源だけでも買ってください。

 

初心者であればあるほど、若いなら若いほど、セール待ちの数ヶ月を無駄にするダメージは大きいです。「付属音源縛り」に何も価値はありません。縛りプレイでプライドが生じてしまうと、それを捨てることが怖くなってしまい、次のステップに進むことができなくなってしまいます。

縛りプレイの成果を称賛する人は、付属しか使わない超初心者だけです。そういう人はあなたの成果に対してお金を出すことはありません。

 

上にいる人たちから見れば「それだけの技術と根性と時間があるなら、さっさと良い音源かって上の世界に行けば良いのに」としか思われていません

 

なんにせよドラムセットを使うジャンルを作る予定があるなら定価でもすぐに買うべきです。

 

■ドラムセットは多くのジャンルで使われる

ドラムセットを必要としないのは、

・EDM、エレクトロ専門の人

・完全なクラシック専門の人

くらいです。

 

(とは言え、EDMなどでもドラムセットのキック以外音色を入れることはありますし、808以外のリアル系ドラム音を加工してエレクトロ化することもあります。)

クラシックでもBGM系をやるならドラムセットがあると幅が広がります。そこそこの品質のドラムセットを持っておいて損はありません。(ガチガチの純粋なクラシックだけをやる人は極めて少数のはず。)

もしピアノ系だけだとしても、ドラム等のリズムを追加すれば、ポピュラー音楽での活動幅が広がります。

 

このように非常に多くのジャンルでドラムセットは大活躍するので、Addictive Drumsを持っていて損することはまずありません。ほぼすべての人にとって、まず最初に買うべき「専用音源」はドラムセットだと断言できます。

 

どういうジャンルでもドラムが良いと、全体のクオリティが上がります。

弦楽器とかは付属音源の打ち込みでも大丈夫だし、ギターは適当なアンプエフェクターを使うことでそこそこ派手な音になります。

最初に買う専用音源としてもっとも効果的なのはドラムセットだと断言できます。買え。

 

他の専用音源を買うのはドラムセットの後で良いです。

 

■最強ではないので最良

(2022年現在)国内DTM情報ではBFD3が流行している(流行させようとしている)風潮があります。

ただしBFD3は非常に重たく、また加工が面倒です。確かに最強ではあるのですが、普通にポピュラー曲を作るだけなら過剰です。

自由自在に加工できるメリットは、ドラムのチューニングとミックスについてしっかりした知識がないとおかしな音にしかならないデメリットにもなります。自由度とはそういうことです。

実際多くのアマチュア作品でBFD3を使用した結果、ドラムがおかしなサウンドになっているものをたくさん聞きました。

 

ゲーム感覚で「最強!」と言いたい人ならBFD3がベストなのでしょうが、そういう甘い考え方でまともな音を出せる音源ではありません。(が、国内DTM関連の諸情報は「最強!」をウリにする方向性が強すぎて、おかしなことになっている時代です。)

 

ドラム音源に限らず、あらゆる音源がそうです。

広告的なスペック数値の最強さより、実用的な道具としての最良をこそ求めるべきだと断言できます。

ポンと立ち上げて、すぐにそこそこの音が鳴るAddictive Drumsは作家向きです。そう断言できます。買え。

 

なお、廉価版のBFDシリーズもありますが、加工ができないのでまるで使い物になりません。スーパーカーを買いたいのに諦めてフェラーリの自転車を買うようなものです。ブランド名にしか価値がありません。

 

■どれを買えば良いの?

ラインナップが煩雑で意味不明なのがAddictive Drumsの悪い点です。

 

でも大丈夫です。

単体でAD Pack1つだけを買ってもOKです。

AD Packに本体が内蔵されています。

 

パックだけ買って本体が無いから音が鳴らない!ということはありません。

ゲーム機本体+ゲームソフト、という構成とは違う、ということです。

 

・パック個別はこちら

www.xlnaudio.com

パックのうち個人的にオススメなのは

(地味)Indie シンプルで加工感の少ない素朴でリアルな音。

(普通)Studio Rock 軽度の加工音。大編成に合う。

(派手)Black Velvet メタル系。派手に加工された音。

です。

 

ジャズ系をやりたいならブラシ系を1つ選ぶと良いでしょう。

 

異論があるなら自分を信じて選んでね!

 

(番外)Session Percussions(ドラムセットではなく、タンバリンなどのパーカッション集)

 

ただし、MIDI Pack」はMIDIデータだけです。

一番安いからといってMIDIパックだけを買うのは完全に無意味です。

 

・お前、俺を騙そうとしてるだろ? 味で分かる。この味はウソをついてる味だぜ?

でもこんな場末のブログを信じてパックだけ買って損するのが不安なら、3個セットになってる方の安いのを買えば良いです。「不安なら信じない」という姿勢は情報リテラシー的に正解ですよ。疑うこと、確実なことを求めるのは現代人として正しい生き方です。

 

単品で買うことに不安があるなら、基本セット買ってみれば良いです。

 

・スターターセット(Starter Offers)はこちら

https://www.xlnaudio.com/products/addictive_drums_2/starter_offers/addictive_drums_2

 

初めて買うドラム専用音源として大満足になることは間違いありません。

ドラムの音の違いにこだわるレベルになったら、その後でパックを個別に比較して買えば良いだけです。

 

■でもAddictive Drumsって古いし、みんな使ってるでしょ?無個性でしょ?

ちょっと脱線話。

 

定番楽器に個性とかいりません。

なんだかかんだでAddictive Drumsは全世界的にめちゃくちゃ使われすぎたので、「世界的な普通の音」が手に入るということです。

個性個性言ってる人って、曲で個性出せないとかいうコンプレックスの塊でしょ?ほっとけそんな奴。

 

DTMやってる人が「この曲のドラムもADだよね」とか指摘していることがありますが、それは制作をやる人の病気です。普通の人はどの音源だとか気にしていません。

 

今の時代は音の個性が無いという時評は確かに存在しますが、そういう時代の病と戦うのは本当に個性的な才能を持っている人です。

先日のフォーラムでは、ある後進国の人が「マイクが無いがヘッドホンでも録音ができる。これで大丈夫だな!」と言ってました。先進国に住んでいて、生まれた時から最新の音楽で飽和している時点で個性は無いのかもしれません。

そのフォーラムでは多くの人が彼を笑いモノにしていましたが、「いや、でもそういうアイディアやハングリーさ、劣等感に負けない情熱が個性的な音楽を生み出してきじゃないか。10年後に彼がトップアーティストとして世界を駆け巡っているかもしれないぜ?」と言っていた人もいました。

 

■TIPS

Addictive Drums2のワンポイントレッスンとして言えることは2つ。

ワンポイントと言って2つ言う奴は嘘つきだ。信じるな。

 

1つ目は「ベロシティを半分まで下げろ!」です。

多くの人がドラムはパワフルに叩くものだとイメージしているようですが、あらゆる楽器がそうであるように中位の強さの奏法がメインです。全力でブッ叩いた音など不要です。

Addictive Drumsは音が下品だとか作為的だとか言われることがありますが、ベロシティを中心付近で演奏すれば、悪い意味での「Addictive Drumsくさい」感じが消えます。

 

2つ目は「パラアウトするな!」です。

いわゆる「最強!」な手法は、すべての音をパラアウトして個別に扱うことですが、Addictive Drumsの強みはパラアウト後に行うべき様々な混ぜ合わせをドラム音源内部で最適化してくれることです。Addictive Drumsとは「ドラム音源+ドラム専用ミキサー」です。そのミキサー部分の良さこそがAddictive Drumsです。パラアウトせず、内蔵ミキサーの能力に頼りましょう。それが正解です。パラアウトして下手なミックスをするより、完璧に調整されている内蔵ミキサーを使うべきです。

これは上で批判したBFD3も同じです。「なんでも自由にできるから最強」よりも、「すでに整っているベター」を選ぶべきです。

 

・ステムミックスの精神

いわゆる「ステムミックス」だと思って割り切れば良いだけです。

必要以上に神経質になって細分化した作業で疲弊するより、大雑把で統合性のある作業を目指すのがステムミックスの根幹精神です。プロ的には時短です。

そもそもプリプロセシングできるのはコンピューターの性能が向上した恩恵です。ハイスペックな音源は求めるのに、旧来的なパラミックスを盲信するのは矛盾していますよね。

 

すでにドラムミックスを完璧にできる知識と腕、経験と実績があるならALLパラアウトの方が良いので、そういうスキルに到達しているならBFD3の方が良いよ、ということです。無責任に初心者に勧める道具じゃないです。

 

でも軽量なAddictive Drumsは素晴らしいですよ。他に大容量音源をいろいろ使いたいし。複数起動すれば無制限のキット数でドラム要塞にもできるし。(私は2つ起動してMIDIセンドで1トラックから制御する使い方をしています。)

 

eki-docomokirai.hatenablog.com

Addictive Drums1からAddictive Drums2にするのが「ピースが少し増えるから」という理由なら、まずAddictive Drums1の多数運用を身につけるべきだと思います。一度テンプレート化してしまえばいつでもすぐに呼び出せます。

 

・「大容量とか気にしてんじゃねーよ!」「最強音源買えよザコが!」という人には……

と思った人はぜひ下のピアノ音源を買ってください。文句なしの最強ピアノ音源です。

sonicwire.com

Vienna Synchron YAMAHA CFX

1鍵あたり4200サンプル(よんせん、にひゃく!)

239.9GBの空き容量が必要

価格は3万円程度なので、容量あたりの価格だけを考えればコスパも最強です。

 

デモを聞いてもらえれば納得してもらえるはずです。ちょっと信じがたいクオリティのコンサートグランドの音がします。

 

あまりのハイスペックに爆笑し『こんなヘビー級音源、使えねーよ!』とネタにしていたのに、知人氏が酔っ払った勢いで買ってしまいました。

が、

「インストールできるSSD容量が無い!」

ダッシュSSD買ってきた!」

「入れた!立ち上げた!ピアノ鳴らす以外何もできない!」

と絶叫していました。

そもそも複数PC連動(VEP)を使った並列処理を前提としているので当然だと思います。DTM的に「最強」を語るなら、そもそもPC1台ではないのは常識です。

 

まぁその人はピアノ伴奏音源制作の仕事とかもやっているので、仕事の守備範囲的に正しい投資だと思います。そういうニッチな仕事をしているわけでもない普通の人なら「最強」は要らないというお話でした。

 

おわり。

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