eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

買っても意味がないDTM関連製品の話

海外情報の紹介です。「宅録でそれ買っても意味ないぜ?」というお話。

(2021年10月12日更新)

 

■ 動画

"Behind The Speakers"のJason Moss氏の動画です。

www.youtube.com

要約すると、以下は「買っても無意味だよ」という内容です。

  • 発泡ウレタン製の防振パッド(見た目だけ)
  • 安物の軽い吸音パッド(見た目だけ)
  • 安いアウトボード(もしアウトボードを使うなら、しっかり投資しよう)
  • プラグインを増やしすぎない(今は付属で十分)
  • 実機サミングミキサー(プラグインミキサーで事足りる)

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・補足

スピーカーを置く防振パッドについてはコメント欄でも議論されており、興味深いのは「ターンテーブルを使用する人にとっては有益である」とのことでした。

 

防振や吸音には物理的に質量とサイズが必要なので、安物の製品は意味が無い。それどころか本当に整えたい成分に作用せず、音を悪化させることさえある。インテリアのために、インスタばえのために壁に貼るのは音楽的には意味がない。スピーカースタンドも同じ。

また、動画では振れていないが、自作防音室のほぼ全てはこの理由で失敗する。

 

安物アウトボードの件。

機器の外側の見た目ではなく、回路が何をしているのか?という話でした。

安価な機材は安価はパーツで雑な処理をしているだけなので、音が悪化するデメリットのほうが大きいからやめようね、とのこと。まぁ確かに「通すだけで音が変わる」んだけど、それって良い方向に変わってるの?それとも劣化してるの?ということ。

 

サミングミキサーの件は、動画でも「もちろん音は良くなる」「が、非常にわずかだ」と言っています。

ほんの僅かな改善のために多額の投資をして部屋を狭くするより大事なことがあります。

 

プラグインを減らす話

プラグインについてはこのブログでも何度か書いてきたとおりです。

 

プラグインは音がデジタル臭い」「特に付属は酷い」と言われていたのはずっと昔のことです。

今のDAWに付属しているプラグインは、一昔前の数万円クラスの有料プラグインと同等かそれ以上の品質です。

品質が良くなった理由は2つあって、「PC性能の向上」と「エフェクタ専門メーカーとDAWメーカーの提携」です。

 

昔の時代にがんばっていた人は、その時代の「プラグイン(と付属)じゃあ音が悪い」と言ってアウトボードやサミングミキサーを好んで使いました。が、時代は変わったよということ。

 

でも、その昔の話は、昔の書籍に書き残されています。これがかなりの害悪。まじめに勉強する人ほど、古くて役に立たない情報に踊らされてしまうことになる。

そういう古い本を使って勉強した人や、古い時代のノウハウしか知らない人(あえて老害とは言いたくない。偉大な先人です!)から教わった人が、未だに「プラグインじゃダメ」とネットで流布しているわけです。要するに情報が古い。

 

そういう『実機への憧れ』につけこんだデザインで売っているメーカーにも一因があると言えるでしょう。アナログっぽい『見た目』だけで売ろうとするより、デジタルならではの自由な機能性で売るべきだと思うんです。

 

プラグインを減らすメリット

あれこれ差し替えて迷った挙げ句に疲れてきて「まぁこれで良いや」となるくらいなら、使う道具を減らして、同じ時間を使ってちゃんと音を聞いて整えるべきですよ、ということ。

 

人は必ず疲れます。

どの要素で体力と集中力を消耗するべきか?というリソース管理をするべきです。

使い慣れたプラグインで丁寧に作業をした方が結果は良くなります

 

たとえばプリセット探しをしているとしましょう。

5つ前のプリセットのほうが明らかに正解だったとして、5つ前のプリセットが何だったかメモしてありますか?ということです。「ちょっと前のプリセットが良い感じだったけど、どれだったかなぁ?」となってしまい、更に迷宮入りしている人を私は多く見てきました。

適当に選んで、飽きて、「まぁこんな感じかな。フッ。」という感じの人は国内外を問わず非常に多いです。つまり、わりとどっちでも良い選択なのに、何度か手を動かし、時間を使わないと納得できない精神状態です。

 

・買っても改善しない

プラグインを買ってもあなたのミックスは改善されません。」と動画の中でもはっきり言っています。

その上で「でも楽しいよね」とも言っています。

 

新しいツールを買うことで『やる気』が出るタイプの人もいます。

自分がそういうタイプだと自覚しているなら、中途半端な性能のものや、新しいことにしか価値がない新製品より、昔からの憧れを満たすべきです。本当に買いたかったソレを買って、次のステップに進むべきです。

 

■その他の「いらねーよ」意見

blog.landr.com

1,消費者向けテープマシーン

2,16チャンネル以上のAD/DA

3,ブランド製の防音、吸音の音響フォーム

4,高価なスタジオ用の家具

5,高級ケーブル

6,外部のミキサー

7,テレビサイズのディスプレイ

「買うことで問題が解決する」という思想は、大日本帝国第二次世界大戦で敗戦し、GHQが戦後統治を行い、高度経済成長を経た日本の精神的な病です。

つまり、戦争で焼け野原になり、アメリカの指導の下でアメリカの第51州となって欧米のような国を目指した時代、内需を高めるために「国産品を買え」と叫び、輸出品を一方的に売るだけだと海外からのイメージが悪かったから「海外ブランド製品を買え」という空気が形成されたからです。

そこから2世代が経過しましたが、未だに日本人は「買う」ことで何かが解決するという幻想に支配されています。その後の安価なアジア製品の席巻もありましたが、それすらも「アジア製品より白人の作った正規ブランド品を買え」という空気になっています。

何かを買ってもあなたの抱えている問題は何も解決しません。

 

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■レッスンのお知らせ

中途半端なものを買うくらいなら、個人レッスンを受けるべきです。手持ちのプラグインの性能を数倍に引き出すことができるようになります。 ぶっちゃけ、私のレッスンじゃなくても良いです。誰かの客観的な指導を受けることで、迷いの多くは消え去ります。

 

あなたが尊敬している人に頼んでみてください。

声をかけにくい雲の上の人だったとしても、「有料レッスンを受けたい」と言えば、まず断る人はいません。たぶん。「無料でやって」と言うと、雑な対応をされます。そりゃそうですよ。相手も人間なんですから。

 

なお、同レベルの仲間の中で情報交換をしても絶対にレベルは上がりません。それは切磋琢磨ではなく、田舎の部活レベルの馴れ合いだからです。ネット付き合いをたくさんしているようでも、同レベルの人と多くつながっても、実はお互いに舐めあってることにしかなりません。

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