eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

Amplitubeのオートメーションと内部バイパスの方法

(人気記事!)定番のアンプシミュレーター「Amplitubeの」のオートメション方法と、内蔵エフェクタのバイパス方法について書いておきます。

ついでにギター話を少し。

(2018年1月2日更新。)

ここで使用しているAmplitubeのバージョンはAmplitube3 Freeです。

DAWCubase6系です。

バージョン違いの人は適時読み替えてください。

 

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■Wahへのオートメーション設定

1,Wahを挿します。

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このままDAWでオートメーション書き込みを行っても書き込むことができません。

 

 

 

Amplitubeで「オートメーションを作りたい項目を表示」します。

右クリックし、メニューから「Assign Automation」を選択して、

Param2に割り当てます。

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(もしWah以外にオートメーションを割り当てたい場合は、別のParamに登録してください。)

 

 

 

DAW側のオートメーション書き込みをONにします。(画像は古いCubaseの場合)

(エフェクト側もONになっていることを確認します。)

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DAWにオートメーションが書き込まれていることを確認します。

必要に応じて手動で微調整します。

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以上です。

 

 

■エフェクタのバイパス(オン/オフ切り替え)

非常に独特です。

通常のDAWの操作だけではオートメを接続できません。

 

1,Amplitube全体の右下にある「AUTO」を押します。

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2,左ウィンドウの中で該当するエフェクトを探します。

3,左の「Bypass」を指定、点灯させておきます。

4,「右のParam番号」を決めます。

5,「中央のAdd」で決定します。

上画像のようになっていればOKです。DAW側からのオートメ信号を 受信できるようになります。

 

上画像ではParam2にWahペダル、Param3にバイパスを設定した状態です。

左の項目の中から手動で探さなければいけないので、大量のギアを入れている人にとっては地獄作業になるかもしれません。

 

面倒ですよねこれ。

Cubaseの作法だと、Cubase側でWを点灯させた状態でプラグインを操作すると、動かした項目に自動でオートメが接続されるのですが、それが通用しないんです。

 

■モードの切り替え

オートワウとマニュアルのペダルワウも同様の手順でオートメできる。

が、問題はGUIのクソさだ。

・Wahのバイパスとモードは別オートメなので注意

GUIでは「OFF・AUTO・ON」という3段階のスイッチに見えるんだけど、内部的には、

  1. 「オートにするか、ペダルにするかを決める『Mode』」
  2. 「Wahエフェクトをオフにする『Bypass』」

という2系統に分かれている。

だから、曲の途中でちょっとだけワウを使いたい時にはちょっと面倒になる。

以下を参照して、一度組み込みをテストしてみてください。

 

 

 

つまり、Wahをしっかりスイッチングしたい場合には、Amplitube内でAUTOを3つ指定しておく必要があります。

1,Wahの「ペダル踏み」

この記事の上参照。

 

2,Wahの「モード」。オートワウとペダルワウ。

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3,バイパス(ワウエフェクトをオフ)

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これらを組み込んだ上で、DAW上ではModeとBypassをそれぞれ制御します。

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・ペダルを手前にすれば良いわけではない

「ワウの音を使いたくない時って、ペダルを動かさなければ良いだけじゃないの?」と言う人がいるが、それは大きな間違いです。

ワウはペダルをどの位置にしてもレゾナンスが出てクセのある音になってしまいます

だからスイッチそのものを切って、ワウを完全にオフにしなければいけない。

曲・演奏スタイルによってはワウをオンにしたままにすることもあるけど、普通はオフにするのが普通です。

 

■オートメか、オーディオ化か

(予備知識)

実際にギターを演奏する場合は、足元のスイッチャーでどのエフェクタの組み合わせで出音させるかを決めます。個別に手でオンオフしているわけでもないし、ライブ中に常に1つの設定だけでやっているわけでもありません。また、ギターの手元で変えるわけでもありません。(そんな装備のついているギターはありません。たぶん。)

下の2つの記事に書いてあることは、打ち込みギターONLYの人も知っておいて損はありません。

guitar-hakase.com

store.ishibashi.co.jp

 

ただ、DAWの作法的には、オーディオ化してからリージョンをばらばらにして、場面ごとにトラックを変えた方がミックスが楽です。

どうしてもMIDI打ち込み一発で仕上げたい場合には過酷なオートメ地獄になります。

私の場合はケースバイケースですが、オートメを山ほど書いた後で「これってオーディオ化した方が速かったんじゃないか?」となることの方が多いです。

 

また、DAWならではの自由な内部ルーチンを巧みに使うのも良い方法です。

トラック本体からは出音せず、センドチャンネルを多数用意しておいて、それぞれのセンド先で設定の異なるエフェクタを用意しておく方法です。ギタリストの足元のスイッチャーをDAWのセンドチャンネルに置き換える、という意味です。

 

MIDI LEARNを使う

MIDI SENDを使って普通にできます。

 

インストゥルメント・トラックからは不可です。

MIDIトラックからのみ可能です。

 

あらかじめCCを書き込んでおいて、それをLearnさせるだけです。

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MIDI Sendの送り先にプラグインを指定します。

Amplitubeに対して送信します。

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インストゥルメントTrからこういう操作を行えないのはどうにかして欲しいものです。

 

MIDI LEARN関連記事

 

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

 

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

 

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■既知のParamバグ

新規Param設定時のバグとして、稀にすでに書き込んだオートメーション割り当て(Param)が外れてしまうことがあるようです。

Paramを追加した際には、過去に使ったParamとそのオートメーションが正しく機能しているか確認してみてください。

 

MIDI割り当てできるの?

割り当てに失敗することが多いので私は使っていません。

同様に、MIDI Learnが仕様どおりに割り当てできないエフェクタは多いです。

更に言うと、MIDI Learnの割り当て成功してもDAWを再起動すると割り当てが外れてしまうことがあります。

MIDI割り当て系はどのDAW、どの実機機材でも信頼性の低い機能だと思っています。(個人の感想です。)

 

ライブ等でどうしてもMIDI割り当てしなければいけない人は確実な動作ができるように、徹底した確認作業を行うべきです。

 

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■バイパスのオートメーション方法を忘れた時

オーディオ化で対応するべきです。

メモリに余裕があるなら、同じ音源トラックをもう1つ立ち上げて、エフェクタ設定ごとにトラックを分ける方法があります。

 

ただし、急ぎの制作の時などはバンバンオーディオ化するのが普通、とも言えます。

いずれの方法もトラックは増えてしまいますが、操作の手数が少なくて済みます。それにあらゆる状況で絶対に成功する方法なので、オーディオ化は最強です。

 

■エフェクタは通しているだけで音が変わりますよ

Wahはペダルをどの位置にしても必ず音に大きな影響を与えます。

使わない場面ではバイパスしておかないと、常にレゾナンスフィルターのかかった音になってしまいます。

その音色を前提に曲を作るなら問題は無いです。

 

■手動設定しないとオートメーションを受け付けないプラグイン

同様の方法を採用しているエフェクト/プラグインが稀に良くあります。

DAWと綺麗に連動してくれず、DAW側で「書き込むよ!」と言っても、プラグイン側が「何を書き込むのか分からない!」となってしまう状態です。

手動で「これを書き込むよ!」と設定してあげなければいけません。

 

また、接続方法によってはオートメーション/MIDI Learnができないことがあります

何種類かの方法を習得しておいて、「自分がやりたいアサイン方法」ではなく「今の状況ですぐに実装できる方法」を選択するべきだと思います。

多くの人がDAWの扱いを難しいと感じる根本的な理由が「自分がやりたい方法」だけを使おうとしているからです。

 

その道具(DAW)に適したやり方を採用するべきです。

 

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■以下、雑記

■Wahを入れる順序

Amplitubeの手前や後で、DAW付属などのAmplitube内蔵ではないWahを使うとアンプシミュレーターを含めたエフェクトの順序がおかしくなってしまいます。

Wahでフィルタリングした後でアンプを通すのか、アンプ済みの音になった後でフィルタリングするのかの違い、ということです。

 

複数のプリエフェクトの場合、

  • ワウ→歪み→アンプ
  • 歪み→ワウ→アンプ

原則的に「後に使うエフェクタの方が効果が明確に出る」と考えておけばOKです。

なんか狙ってたサウンドと違うなー思った場合、エフェクトの順番を変更してみてください。

 

特に打ち込み寄りの人だとなんでもパラメタの微調整でどうにかしようとする傾向があります。

打ち込み派の人はあなたの得意な細かな打ち込みの調整よりも、もっと影響力の大きいエフェクト順序やエフェクトのモデルの違いに注目するべきかもしれません。

 

得意なことは何も意識しなくても十分すぎるレベルで実装できるので、嫌いなことをやるべきだといつもレッスンで指導しています。

 

■オートメーションの書き方

打ち込み厨的なお話。

 

Wahのオートメーションのパラメタのコツは拍と山谷を一致させないことです。

 

綺麗に書くとこのようになりますが、

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16分手前にもポインタを追加した方が良いです。

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そんで、この16分ズレのポインタをどのくらい上下に広げるかでワウのニュアンスを作ります。

 

文字で書くとアホっぽいのですが、あえて書くと、

「ニャン!」の「ニ」を拍に合わせるだけだとうねりが足りない感じになるので、

「ウニャン!」と鳴る時の「ウ」を16分手前にして、「ニ」を拍ちょうどにする感じです。

 

オートワウで波形設定+ヒューマナイズLFOが付いているものがあれば良いのになぁ、と常々思っています。

 

■オートメーション緒論

よくオートメーションに「様々な波形を一発で書きたい」という人がいたり、「FL Studioでは一発だ」と言う人がいますが、波形は見た目の問題であって、最終的に欲しい音にする場合には波形よりも的確なポインタ設定でグルーブを出したほうが良い結果になります。

グルーブは拍によって生まれるものなので、そこに数学的に正しい曲線を持ってきてもミスマッチが起きることの方が多いと感じます。

これはワウの動きだけではなく、ボリュームやMIDI CC11(expression)の書き方でも全く同じです。

経時変化のためのパラメタを作る際には、見た目がきれいなことよりも、拍を意識するべきというのが私の方針です。たいていの人は線のきれいさによるプラセボで良い音を感じているだけです。

 

過去に様々な実験をし、数学的に正しい曲線を複合的に実装するスクリプトを作ったりもしていたのですが(※)、そのような曲線が出す音には不満が多かったです。

ペンタブ等を使ったきれいな曲線もまた無意味です。(また、ペンタブは物理的に卓上を占有するのでおすすめできません。)

MIDIコントローラ等も同様に無意味です。買ったことによる気分の盛り上がりしか得られません。ライブで使うならまだしも、自宅でのDAW作業では何もメリットがありません。

 

さんざんやり尽くした上でこのような主張をしています。

本当に重要な点が何なのかについては常に意識し、その実装方法と操作を集中的に習得するべきです。そしてフィードバックをつかみ、洗練させることだけに集中するべきです。

 

 

※ - 厳密には「私が企画を書き、10年来の付き合いのある数理に詳しいプログラマに作ってもらった」です。中途半端な両輪で作ったものではなく、2人の専門家がそれぞれ知識を出し合った上での実験でした。それでもろくな結果にならなかったという結果です。

使い物になるものができたらプラグイン化して売り物にしようという話もしていたのですが、ろくな結果ではなかったので完全にお蔵入りしました。

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将来的には「オートメーションやMIDI Learnはこのスイッチですよ!」という表示の義務付けなどを一本化する仕様策定を望んでいます。プラグインDAWホスト、フォーマットの個性よりも、道具としての機能性の向上こそが音楽文化を支える礎になるはずだからです。

雑学の話ですが、人類の近現代の文明で最も偉大な発明のひとつがコンテナだと言われています。世界中にものを運ぶ際、その箱の寸法を一本化したことにより、スムーズな輸送が可能になったからです。プラグイン規格もそうあるべきだと思うんです。存在価値の不確かなハイレゾなんてやってる場合じゃないと思うんですよ。

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