DTMから音楽を始めた人で、楽譜の読み書きができない人が多い時代になってきました。そういう人向けに「このくらいはできるようにしておくと便利だよ!」という記事です。
結論だけ書くと「ゆっくり読める能力」「学校や仕事の合間にちょっとしたメロディを雑にメモできる程度の書く能力」だけ身につければOKです!
(2018年7月30日編集)
■初心者向けのすばらしい本がある。
この記事は昔、別のブログに書いた記事なのですが、すさまじい書籍があるのでそれを買ったほうが良いです。
■楽譜の読み書きができないんですけど?の件
DTMでは楽譜の読み書き能力は必要ありません。
でも、できたほうがDTMスキルの底上げになります。
この底上げはどんな最新DAWやプラグインでも絶対に補えない重要な要素です。
身につけるのにちょっと時間がかかりますが、無料です。永久に無料です。
■読み書きスキルはどのくらい必要か?
目標にしてもらいたいレベルは、
・読む能力は、どんなに時間をかけても構わないので読めればOKです!
・書く能力は、DAWを開けない状況でも間違いだらけのメロディを書ける程度でOKです!
DTM専門でやっていくなら、それ以上の能力は必要ありません。
・とても読めるレベル
もし人前でライブ演奏できるできるレベルの楽器演奏を目指すなら、この記事に書かれているレベルでは論外です。全くお話になりません。
曲の難易度にもよりますが、普通の曲なら初めて見た楽譜でも8割以上間違わずにその場で演奏できる読譜能力は必須です。それができないなら「プレイヤー」と名乗ってはいけないです。音楽学校ではなくても、普通の中高生でも上手い人ならそのくらいはできます。
・プロが言う「ぼく楽譜読めません」の意味
アマチュアの談義で頻繁に誤解されています。
オーケストラのすべての楽器が書かれている「フルスコア」を初見で読めるのが本当に「楽譜を読める」ということです。
そういうことを知っているからプロの音楽家でも「ぼく楽譜読めません」と言っているだけです。
まったく読み書きができないという意味ではありません。
「楽譜書けません」も同じです。
和楽器や民族楽器を含む、あらゆる楽器の楽譜をスラスラ書けるのがホンモノです。
プロが言う「ぼく楽譜書けません」はそういう意味です。
そういう厳しい定義だと、私も楽譜の読み書きができない人です。
どうにもDTMをやっている人は楽譜を読み書きできないことに対して神経質に反発する傾向があるようです。音楽教育を受けていないことと、演奏経験が無いことのコンプレックスだと自覚した上で、
「でも楽譜が分からなくてもDTMはできるんだぜ!」
と誇りを持って良いです。
とにかく完璧な能力が無くても良いということだけは忘れないでください。
そして、他人に対しても「完璧な能力を持っていないくせに!」という態度を取らないように心がけてください。
■楽譜を読めると経験値が倍増する
楽譜を読めると無限の資料から学ぶことができるようになります。
バンドスコアやオーケストラの楽譜を見て「この楽器はこういう使い方があるのか!」「この場面ではこういう音を使っていたのか!」という模範解答を知ることができます。
また、上級者向けの教科書を使えるようになります。
上級者向けの教科書はいちいち和音の説明とか、コードネームとか書いていません。
ふりがなの無い大人向けの本と同じです。
そういう不親切な資料から学び取る能力があると、経験値の入り方が桁違いに多くなりますよ!
だから読めないよりは読めた方が良いです。
読めないことによって得られるメリットは何もありません。
■楽譜を書けるとアイディアを蓄積できる
人間はすぐに記憶を忘れます。
外出先で良いメロディが思い浮かんでも、帰宅してPCとDAWを立ち上げている間に忘れてしまいます。
スマートホンで録音する方法が一般的ですが、学校の授業中や仕事中に歌いだしたらヤバい人です。
そういう時にちょっとしたメロディをメモできれば、アイディアを蓄積することができるわけです。
メロディのメモは間違いがあっても構いません。
コードを正確に書けなくても構いません。
間違っているメモでも、多くの場合は音を鳴らしてみれば訂正できるはずです。
■楽譜の読み方のコツ
ゆっくりで良いです。
ふりがな、ドレミを書いて良いです。
シャープやフラット、ナチュラルは原則的に1小節の間有効になります。このルールは分かりにくいので、音符の横や上下にどんどん書き添えて良いです。
もちろん慣れてきたら書き込みせずに読めるようになるべきですが、プレイヤーを目指すわけでもないなら必要無い能力です。
とにかく格好つけず、確実な手段だけを使うようにしてみてください。
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■楽譜の書き方のコツ
書く時のポイントは「汚くてOK!」ということです。
綺麗な丸と棒を書く必要はありません。丸は塗りつぶす必要はありません。
自分が読めればそれで十分です。
もちろん他人に見せて演奏してもらう楽譜は丁寧に作る必要があります。
しかし、自分用のメモなのでどうでも良いです。
楽譜の書き方を練習している人のほとんどがこの点でミスっています。
・メモ楽譜のポイント
・順進行
ドレミファソラシドの隣の音に移動していることを「順進行」と言います。
上がりでも下がりでも順進行です。
・跳躍
「ド→ミ」とか「ファ→ド」のように、順進行ではないものを「跳躍」と言います。
順進行なのか跳躍なのかをそれなりにメモできていれば、後で正しく打ち込み直すのは簡単です。
慣れてきたら跳躍が3度音程(ドミ、ファラ)なのか4度音程なのか(ドファ、ミラ)なのか、どのくらいの距離の跳躍なのかを正確にメモできるようになればそれでOKです。
慣れてくると3度~8度の距離や、長3度なのか短3度なのかの違いも正確に書けるようになっていくはずです。
要するに、
「上がっているか、下がっているか」
「隣の音か、飛んだ音か」
この2点さえメモできていれば、後で補正できるはずです。
あとは慣れていけば跳躍が何度なのかを正しく書けるようになっていくはずですよ!
・長さの記述
・長いか、短いか
なんとなく細かいなー、なんとなくここは長く伸ばすなー、という程度で十分です。
・変則的なリズム(シンコペーション)
変則リズムは慣れないとまず書けません。
長さを正しく理解するためのコツは「4分音符を4分割で考えるクセをつけること」です。
4分音符が4個の場合に、
たーたーたーたー
ではなく、
ターーー ターーー ターーー ターーー
という具合に、1文字=16分音符で考えるようにしてください!
そうすればあとはいつもののピアノロールと同じようにイメージできるので、
ターータ ーーター ターータ タタッタ
のように複雑なリズムを正しく理解できるようになります。
この方法さえ知っておけば、あとは音符の書き方のルールを少しおさらいするだけでなんでも書けるようになります。
この方法はわりとあちこちの学校で使われている方法です。この記事の冒頭の書籍↑ではみごとに編集されています。
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とても短い説明だけでしたが、この程度の能力を身に着けているか、それすら否定するかによって、大きな差になります。
いつ浮かんでくるか分からない素敵なメロディをメモをできることだけを目標にしてみてください。