大人気の『けものフレンズ』の主題歌『ようこそジャパリパークへ』(大石昌良 作曲)の金管五重奏アレンジです。
楽譜はASKS WINDSから販売中です。
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流行りのアニメ曲ということで、さくっと楽譜だけ作って終わりにしようと思っていたのですが、何かの勢いで割りときっちり作り込んだMIDI演奏を動画にしてアップしました。
短く華やかな曲で、金管五種それぞれのソロも登場するのでコンサートの1曲目や、アンコールピースに適していると思います。余興演奏でも聞きばえする内容です。
演奏時間は1分30秒程度。
楽譜はASKS WINDSから販売中です。
製本版2500円、PDFダウンロード版2000円です。
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この手の流行モノのアレンジは、完成度の低いネタ曲になってしまっていることが多いのはみなさん御存知の通りです。しかし、今回のアレンジでは金管五重奏のサウンドの魅力を最大限引き出せるように、原曲とは無い演出をほどこした、本格的なアンサンブル曲として仕上げています。
場面が目まぐるしく変化するので、どこをどういう雰囲気で演奏するべきか、5人のメンバーでよく打ち合わせをしておいてください。
短い演奏時間の間に5人の奏者全員にソロが登場し、十分なアピールを行うことができる演奏効果の高い内容です。
はじめは「まぁ流行り物の曲だし、サクっと作って終わるかー」程度の気持ちで着手したのですが、販売に際して必要になる権利処理に時間が掛かってしまう様子だったのと、放送終了後にも人気が継続していたこともあり、期待を裏切ることがないように本格的な作り込みをしています。自分で言うのもアレですが、相当な力作です。はい。
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■演奏上のアドバイス
・全体の注意点
緩急を効かせて、派手に演奏する場面と、落ち着いて演奏する場面をうまく吹き分けてみてください。
やや難しい調が出てきますので、♭が多い楽譜が苦手な人は恥ずかしがらずに運指番号などを丁寧に記入し、ミスが起きないように準備をしておいてください。
長いフレージングが必要になる箇所の手前にはブレス用のマークを書いておきました。非常にテンポの速い曲なのでブレスの確保が重要です。
・イントロ
原曲通りホルン1人だけののファンファーレです。テンポ90を指定していますが、ベストなサウンドで演奏できるように、タメを作って自由なテンポでも構いません。Aに入る合図はTrp1の人に任せて構いません。
・[A](2小節)イントロ2
Trp1の合図で勢い良く!スラーとスタッカートをリズミカルに演奏し、明るく派手にいきましょう!
・(6小節)~ 細かい音符とトリル
Trb。クラシック的な演奏にしないほうがこういう曲には合います。
原曲ではギターのミュート音ですが、このアレンジではTrbの細かい音符にしています。拍ごとのテンポさえ合っていれば問題はないので、ミスを気にせずワイルドに演奏してしまった方が良いです。
・(9小節)Trp2、Hrnのトリル
[B]に向かって派手にやったほうが良いです。
トリルは速さよりも運指を大きく行うことを心がけ、しっかり下げ、しっかり上げると良いです。上下の音が両方共パリパリと聞こえる派手なトリル。
・[B](10小節)~
salvaggio(野性的に)。
Trp1はジャズ的に。格好良く。
伴奏はキレの良い音で。fですが、メロディのTrp1をかき消してしまわないように、やや控えめに。
Trbは12、13小節の連打の方を重視して演奏します。(13小節)のFの音は替えポジションの6を使ってください。(14小節)からはTrp1と対等に派手にやって良いです。
Tubは16分音符で引き上げる音形を派手に。グリッサンドを音符で書いているので、こういう箇所は運指を雑にしたほうが雰囲気が出ます。
・(16小節)~ Trp2、Hrn、半音下降
これまでTrbが演奏してきたものとは違い、[C]に向けて静かな感じで。対比を明確にする意味で、クラシック的な落ち着いた演奏をしてみるのも良いかもしれません。
・[C](18小節)~
delicato(繊細に)。
Trbのソロです。静かなムードで。手前でしっかりブレスを取っておいて、ひと息で。グリッサンドはしゃれた感じが合います。
・2(小節)~
marcato(明確に)。
ffからパワフルに!そしてすぐに>で控えめに。poco a poco cresc.して、(26小節)の短い音の掛け合い。一気に様々な場面転換が起きるので、どのくらいの音量差にするのかメンバーで良く相談しておきましょう。アンサンブルの腕の見せ所です。
・[D](27小節)~
con blio(元気に)。
再び[A]と同じ場面です。少しだけ違うので気をつけます。
Trp1、Trp2のトリルは同じようなサウンドになるように、よく打ち合わせをしてください。
・(32小節)~
Trp2のソロです。表情豊かに、ダイナミックに。ビブラートを上手に使うとそれらしい雰囲気を出せます。
ここはTrp1よりも音域も高くなり、Trp2が非常に目立つ箇所です。他の人はTrp2がしっかり聞こえるように、fからmfに明らかに一段階小さくします。
poco tranquillo(少し静かに落ち着いて)
・[E](35小節)~
tranquillo(落ち着いて)
Tubのソロです。チューバのソロで表情豊かにしようとしすぎて、音量を引きすぎると、聞こえない音になってしまうことがあります。最低音量を小さくしすぎないようにすると良いです。
Trp1、Trp2。その後でHrn、Trbに出てくる16分音符の同音連打は、決して大きくならず。でも明確に。演奏する場所や奏者の向きにもよりますが、トランペットとトロンボーンでこういうのを演奏する時は、ややベルを下げると良い具合になります。
・(39小節)
Trp1とHrnの掛け合い。Trp1の音域にくらべて、Hrnは低めに感じる音域です。悪い意味でホルン的な不明瞭な音にならないよう、直前に演奏したトランペットの雰囲気をよく聞き取って応答してください。
・[F](小節)
meno energico(少し控えた活力で)
サビのメロディが出てきますが、調子に乗りすぎず、あくまでもmfで。メロディも伴奏も、やや軽快なイメージで演奏すると、繰り返し時と対比をつけやすくなります。
Trp1のメロディは跳躍が多く、金管楽器にとって難しいフレーズです。少々ミスしても構わないので、テンポが落ちてしまわないように。
・[G](53小節)~
Trp2が再びTrp1を追い抜く場面です。2人のバランスをうまく組み立てましょう。こういう箇所は本番で張り切りすぎてバランスが崩壊しやすいので、事前の打ち合わせ通りのバランスで丁寧な派手さを心がけましょう。
■その他
工夫次第で細部を変更してみるのも良いでしょう。
装飾音の追加や、同音連打の部分を16分音符を4つずつ鳴らしてみたりすることによって、テクニックをアピールすることが可能になります。
逆に、演奏が困難な場合はいくつかの音を省略するのも悪いことではありません。TrbやHrnの16分音符などすべて4分音符にしてしまっても構わないでしょう。楽譜通りではなくなりますが、より完成度の高い演奏を行うために、前向きな意思で改変されるのであれば、編曲者としても大いに歓迎です!
良い演奏ができたら、録音(録画)をネットにアップして聞かせて欲しいです。良い演奏を期待しています!
原曲はいわゆるアニソン、原曲を聞いたらびっくりするかもしれないくらいハイテンションな曲です。もし興味があったらどーぞ。
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■編曲依頼は随時受付中です。
編曲してほしい曲のリクエストがあれば、制作依頼を受け付けています。使用目的や年齢等の条件、奏者の力量に合わせた専用アレンジを適価でお引き受けいたします。