(人気記事!)DTM、ミックス、マスタリングに関する記事です。
この記事は「異なる環境でも均一に鳴るミックス」に仕上げる技術について書いています。
(2020年6月16日更新)
- ■帯域分割モニター法とは?
- ■ローファイチェックとは?
- ■グラミー受賞エンジニアも紹介している方法です
- ■用意するもの
- ■ローファイ環境をシミュレートしてみる
- ■なぜチープな環境を再現するのか?
- ■さらにチープな環境でも試してみる
- ■オーラトーンをシミュレート
- ■モノラルで聞いてみよう
- ■Waves様も推奨しています
関連記事は記事末尾にリンクをまとめてありますので暇人はどーぞ。
■帯域分割モニター法とは?
独自の用語です!が、この名呼び方を使っていなくても同じことをやっている人は多いです。
この方法を知っている人なら「あー、それね。やるやる。」という常套手段でしかありません。
が、知らなかった人にとっては「目から鱗」な革命的なミックスアプローチだそうです。
確かに私も初めて教わった時には驚きました。
私は生演奏メインで育ってきたので、大人になるまでミックスという概念がありませんでした。(簡易PA時などで少し調音をやっていた程度)
そのぶん演奏経験が多く、エンジニアの師匠からは「音量とリズムの制御に限ってはすでに卓越している」と評価されました。ミックスのエンジニアは「全体で聞いた時の音量差」だけではなく、「帯域ごとに音量を整える」というミクロな方法で全帯域を最適化していくと教わったわけです。
これを秘伝の方法だと考えて、有料で教えている人もいるようですが、私にとっては別にお金を取るレッスンでやる程度のものではないので、無料記事として公開しています。教えてくれた師匠も「別に専売特許でも何でもないから公開しても問題は無い」と言っていました。
読んでも分からん!という人には有料レッスンを行っています。
■ローファイチェックとは?
『良いミックス』の絶対条件はただ1つ。
それは『どんな環境でもそれなりに聞こえること』です!
一般的なテレビやラジオ、スマホのスピーカーではロー&ハイはかなりカットされます。世の中はショボいスピーカーで埋め尽くされています。店舗BGMで聞こえてくる有線放送の音も、チープな店内スピーカーで再生されるのでかなりローファイです。
・世の中の一般人のモニター環境を前提にする
世の中の音楽は私達製作者の想像を絶する低音質で再生されています。
だから、「俺様の神MIXは安いスピーカーで聞かないでください!最低でもDTM用ヘッドホン推奨!」と言っても無駄です。
こんな記事に興味を持つ人はミックス用途やオーディオ鑑賞用途で購入した数万円、数十万円のスピーカーやヘッドホンを持っているはずです。でも、学校や職場の友人に「ウチのスピーカー、5万円なんです。片方で。」「ヘッドホン3万円です。」と言ったら変人扱いされるはずです。結婚相手に知られたら離婚の危機かもしれません。気をつけましょう。
ともかく、ほぼ全ての一般人はノートPCやスマホ/タブレットについているスピーカーで音楽を聞いて「いいね!」とか言っているだけです。そこから逆算してみれば、ミックスで力を入れるべきポイントはおのずと明確になってくるでしょう。
そもそもミックスの歴史は「どんな環境でもそこそこ曲が聞こえる」「特にジュークボックスとドライブ中に聞こえやすく」ということを重視した時代を経て発展・継承されています。海外ではこれを「ラジオミックス」と呼ぶことがあります。
(参照記事→ミックスの歴史、音圧戦争の歴史 - eki_docomokiraiの音楽制作ブログ)
まずはショボいスピーカーで鳴らせる狭い周波数幅だけでチープにミックスしましょう。
それができたら、高級スピーカーにも対応するためにローエンドとハイエンドを付け足すことということです。
■グラミー受賞エンジニアも紹介している方法です
グラミー受賞歴のあるMatthew Weiss氏もこの記事で紹介する方法と同様のミックスアプローチを行っています。
上のリンク先の海外記事でも「マスターの上下に大きくフィルターをかけてミッドレンジを聞く」という手法が紹介されています。
私程度が言っても「何言ってんだこいつ」と思われるかもしれませんが、実際に国内外の名エンジニアが普通に行っているやり方です。なので信用しておk。
■用意するもの
- あなたがミックス中の曲
- 目指すサウンドの市販の音源(参考曲=リファレンス)
- 特定帯域だけをソロで聞ける道具
ISOL8(フリー)などのローファイチェック専用プラグインは非常に便利です。
これは曲を加工するために使うのではなく、検査のために使うツールです。顕微鏡やモノサシ、チューナーのようなものです。
私は原則的にフリープラグインは一切薦めませんが、ISOL8とSPANの導入は強く推奨します。
■ローファイ環境をシミュレートしてみる
まずは100Hz~10kHzの音だけを聞ける状態を作ってみましょう。
下画像は(昔の)Cubase付属のマルチバンドコンプ。
ハイローカットをキツめに掛けているだけなので、普通のEQでも良いのですが、モデルによっては上下のカットがゆるすぎて、しっかりカットできません。必ず何種類か試してみてください。
・フィルターカット角度はキツめのものを使うのがベター
注意!ハイ/ローのカットの角度はややキツくした方が良いです。
ISOL8のデフォルトはoct./24dBです。(oct./48にも変更可能)
マルチバンドエフェクタによっては、自然なサウンドを重視しているためカット角度がゆるいものが多いです。
角度がゆるいものはローファイチェックに使う道具には不向きです。
例えばWavesL3系などのマスタリング用途のものは角度がゆるい傾向です。
下はISOL8とWavesQ10の比較です。
右のWaves Q10等のローハイカットだと傾斜がゆるすぎるので、帯域チェックには不向きです。もっとキレの良いフィルターが装備されているものを使ってください。
考えるのが面倒なら迷わず上述のISOL8を使うべきです。
同じ記事へのリンクをもう一度貼っておきますね。
https://eki-docomokirai.hatenablog.com/entry/20171206/1512543170
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では、この狭い帯域だけで「あなたの曲」と「市販の曲」を交互に聴き比べてみてください。
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ガッカリしたところで次へ。
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■なぜチープな環境を再現するのか?
普通の人はノートPCやディスプレイについているスピーカーで音を聞いています。スマホのスピーカーや付属イヤホンでそのまま聞いている人のほうが圧倒的に多数派だということを思い出してください。
もちろんDTMのガチ勢やオーディオマニアは、ペアで数十万とか数百万のスピーカーを使っている人もいます。
部屋自体も音響的に好ましいベストな環境にしている人もいます。
しかし、ベストなモニター環境で、その部屋じゃないと良い曲に聞こえない「俺の部屋専用サウンド」にしてしまうのはMIXの本質ではありません!
むしろ逆です!
あらゆるミックスはチープな環境にそろえるべきなんです!
これはほぼ全てのミックスの教科書で共通して書かれていることです。(このことについて書いていない教科書、ウェブサイトは信用ならないとさえ言えます。)
事実、立派な商用スタジオでもチープなスピーカーが装備されていて、「一般人はこのくらいの音で聞いている」というローファイチェックを行っています。
- チープなスピーカーでの再生
- スマホ、ケータイ付属スピーカー
- 付属イヤホン
- AMラジオ
- モノラル店内放送、ラジオ、テレビ
- ノートPC内蔵スピーカー
- 100円スピーカー
これらのクソ環境に似せるために、マルチバンド系のエフェクトで100Hz~10000Hzなどの狭い帯域だけを再生するわけです。この方法を使えば、たくさんのスピーカーを並べなくても、そこそこのチェックが可能になります。
・優れたモニター環境のみを対象としたミックスもある
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ここ読まなくてOK
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例外として、ハイエンドなモニター環境のみをターゲットにしたMIXもあります。
それはズバリ、映画館専用やコンサートホール専用につくる音源です。
そういう規模の仕事をしている場合はこんな方法を使わずにきっちり作る必要があります。
余談ですが、漫画家の人など、別分野でも同じコンセプトで作業をするのだそうです。週刊誌の紙は質が悪く、原稿どおりの繊細な絵は印刷しきれなかったり、コミックスのサイズになった時に縮小されて潰れてしまうこともあります。それを避けるために妥協をするのだそうです。カラー印刷物でもなかなか狙い通りの色が出てくれないことが多く、いろいろと工夫しているそうです。大友克洋の漫画『AKIRA』は緻密すぎる絵を表現するために大きなサイズで売られています。音楽で言うとハイレゾ音源のみ販売、という感じですね。
Youtubeやニコニコ動画などの動画作品でも、スマホの小さな画面でも文字が読めるように大きく明瞭な文字で作られています。また、動画ファイルがエンコードで劣化することを前提に作られています。
それらと同じように、音楽も自分の環境でよく聞こえるだけではまだ半分、というわけですね。
似たような専用ミックスとして、野外アリーナ専用ミックスや、ダンスホール専用ミックスもあります。それらについて知りたい人は、そういう環境に詳しいちゃんとした専門家から指導を受けてください。
気が向いたら知っている範囲でそれらについても別の記事を書こうと思っていますが、私はそっち方面の経験が豊富とは言えないので、たぶん書きません。ネット情報のノイズにしかならないので。
そういうハイエンド向けのミックスにしなくても、通常の市販曲に近い音にしておけば、野外イベントなどであなたの曲を再生する時には現場のPAががんばって調音してくれます。
学校に通っている人だったら、学校に許可をとって体育館で自作曲を再生チェックしてみるのも良い経験になるはずです。(勝手にやったら怒られるので、必ず許可を得てから実行してください!!)
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閑話休題。
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・100Hz~10000Hzで組み立ててから上下を足す
「100Hz~10000Hzモニタリングでもキックとベースがそれなりに聞こえるか?」をチェックします。
この方法でキックが聞こえなかった場合にはキックの中域を足します。
御存知の通り「キックやベースは低音楽器だから、低い周波数を強く鳴らす!」というやり方は、初心者にありがちなイメージ先行による間違いです。低音楽器はイメージに反して高い周波数帯域を強く鳴らすべきです。
良いモニタースピーカーを使っていると、ローエンドまでしっかり聞こえてしまうので、ついつい超低域で鳴らしてしまいます。自慢のスピーカーの性能を封じるのは悲しいことですが、ここはガマンです!
EQを直すだけで対応できればスマートなのですが、それだけでは済まなくなっていることもあります。やりすぎた加工の結果、その帯域が消えてしまっている人が多くいます。そういう場合はコンプ前の音に戻る必要があります。(根本的にミックスの初期処理が間違っているということです。)
たとえば、ドラムセット音源のキックを一切加工せずプリセットのまま鳴らしてみたり、ダンス系のキックサンプルをそのまま鳴らしてみるとヒントをつかめるはずです。プリセットやサンプル集の音は想像以上によく出来ているものです。
もともと普通に鳴る良いキックなのに、自慢のEQやコンプを使いたくなりすぎて、ついつい加工しすぎてしまっているということです。
特に初心者の場合、細かくEQすれば音が良くなっていくと思い込んでいるものです。EQの究極の使い方は「バイパス(オフ)にした音と比較すること」だという話は聞いたことがあるはずです。ためしにキックにかけているEQをバイパスしてみてください。そのEQ、無い方がマシだと思ったことありませんか?
キックやベースなら異なる帯域特性の音色をレイヤーすることでリカバリーすることが可能です。例えばドラムセットのキックのビーターの音を強調したレイヤートラックです。
低い帯域で「ボッ、ボッ」と鳴っている超低音はローファイ環境ではまったく再生されないので、中高音域を強調して「バチッ!バチッ!」と鳴るキックにします。
(なお、より的確な擬音で言うなら、低域は子音を伴う「ボ」ではなく「オ」に感じるはずです。)
■さらにチープな環境でも試してみる
もちろん、さらにクソな環境を再現するために、
- 100~10000Hz だけではなく、
- 200~9000Hz
- 300~7500Hz
という超クソ音でもチェックしてみます。
300-7500は、だいたいノートPCやスマホの小さなスピーカーから出る音です。この極悪環境では、キックやベースが鳴るべき低域が消滅してしまいます。ためしにスマホのスピーカーで聞いてみてください。キックの低音などはほとんど聞こえず、「キックのアタックを高い帯域で表現」している部分しか感じ取れないばずです。
つまり、いくらなんでも下が300Hzまでしか鳴らないという環境は音楽を表現しきれません。付属品のイヤホンよりも劣悪な100円のイヤホンや、スマホ内蔵スピーカーのようなものです。
これを防ぐためにベースを1000あたりで大きく聞こえるようにしたり、キックを7000あたりでバチバチ鳴らすMIX方針が広く使われています。
ただし、300Hzカットなどの劣悪な音に最適化しすぎると、他の中流以上の環境で音が破綻するので、再生環境を3分割で考えてみましょう。
- 高級(全てのローエンド)
- 一般(100カット)
- 劣悪(300カット)
の3段階に分けて考えましょう。
要するに中級に合わせてミックスしておいて、たまに高級と劣悪のチェックをする、というワークフローになります。
・市販の曲をチープな環境で聞いてみる
市販のちゃんとしたミックス済みの曲は、どんなクソ環境でもそれなりに聞こえます。
では、自分の曲はどうでしょうか?参考曲と交互に聞いてみて、あなたのミックスがどこまで耐えられるのかを確認してみてください。
チープな環境で聞こえてくるキック低い周波数ではなく高い周波数帯のはずです。よく耳を澄ませて周波数を聞いてみてください。「ドッ」という重たい低音ではなく「カッ」「パチッ」という高い音のはずです。
ベースも同様で、ブーンと低く鳴る低域ではなく、ビーンと金属的に聞こえる高い周波数帯域のはずです。
優れた環境を整えることができた中級DTMの人のほとんどがこの「プロの音がチープ環境でどう聞こえるか?」を見落としています。
せっかく買ったモニター用のスピーカーやヘッドホンだから、できるだけ良い音で聞こうとしてしまうのは人情です。
しかし、良い環境を得たからこそ、チープ環境との「比較」の道具として使うべきなんです。
私が今までレッスンをした人のほとんどが素晴らしいモニター環境を手に入れています。その上で有料レッスンでさらに上を!と考えて受講してくれています。
しかし、受講者の大半が「俺様のモニター環境専用ミックス」になっています。
■オーラトーンをシミュレート
Jason Moss氏のブログ「Behind The Speaker」でもまったく同じ手法が紹介されています。(無料記事です。)
Jason Moss氏はミキサー、プロデューサー、エンジニア、ニューヨーク大学の講師。多くの出版物があり、バークリーを筆頭に広く使われています。所属するジョー・ダンブロジオ・マネージメントは2017年に9つのグラミー賞作品に携わっています。
そういう水準の仕事をしている人でさえ「チープな音でチェックするのは大事だよ!」と力説しているんです。
その記事では、伝説的なモニタースピーカー「オーラトーン」の音の重要性について述べられています。
オーラトーンを知らない人のために簡単に説明すると、「しょぼい音を出すスピーカー」です。高性能でもない安価なスピーカーなのに「伝説的なミックス道具」の定番なんです。
最強のフラットなスピーカーを追い求めている人にとっては理解できないことでしょう。なぜこんなものがレジェンドなのでしょうか?
上の真四角の茶色がオーラトーン5C、下の黒いのがヤマハNS-10M(Studio)です。
上、Auratone 5Cのコーン部分の直径が11.43cm(4 1/2インチ)。
下、YAMAHA NS-10Mの白いコーン部分の直径が18cm。
画像は比率をほぼ正確に合わせています。
オーラトーンがいかに小さいのかが分かりますね。
そして、その程度のスピーカーから出る音も想像できるはずです。
たまに勘違いしている人がいますが、このオーラトーンは「小さいのに高級な音が出せる名機」ではありません!プロがショボい音でチェックするための道具でしかありません。
そのショボいオーラトーンの音をEQ一発だけで再現する方法として、
- 上5000Hzのハイパスフィルター
- 下170Hzのローパスフィルター
- どちらも18dB/octのフィルター角度
というレシピが紹介されています。これは非常に過酷なローファイ環境です。
ISOL8はこの作業をワンタッチで行えるということです。
・オーラトーンについて詳しく。
オーラトーン5C(auratone 5C Super Sound Cube)とは何か?
多くのプロユーススタジオでオーラトーン5Cが使われ続けている理由は「しょぼい環境を再現するため」です。同様に伝説的なモニタースピーカーとして愛され続けているヤマハの「テンモニ」(YAMAHA NS10M)も、しょぼい環境(中級)を再現するためです。どちらもダンスミュージックの低いキックをまったく表現できないことで有名です。いい音がするスピーカーではありません!
「最終的に再生される一般家庭のチープな環境でどのように再生されるのか?」を的確に教えてくれることと、「これらのスピーカーで聞いてそれなりに仕上がっていれば、どのような環境で再生されても再現性が担保される」というのが選ばれた理由です。また、そのような特性であると見抜いたエンジニアが有名人であったことから爆発的に広まり、スタンダードの地位を築き上げた製品です。
今の時代で言うなら、「最も普及している視聴環境=iPhoneの付属イヤホン」がこれに相当するとされています。実際、多くのエンジニアがiPhoneのイヤホンでチェックしているようです。
オーラトーンやテンモニは1980年代を中心にスタンダードとされたサウンドです。
その後の時代には音楽のジャンルも大きく変わり、特にクラブサウンドの流行によって「重低音ラブ」な時代を経ているので、現在ではオーラトーンやテンモニによるチェックが無意味になっているという声もあります。
が、その一方でスマホとネットオーディオが爆発的に普及してきたので、やっぱりチープな音でもそこそこ聞こえるミックスの需要は不動です。むしろ大型ラジカセやミニコンポという再生機器が消滅した現代の方が、世の中の音はさらにチープになったとさえ言えます。
■モノラルで聞いてみよう
必ずモノラルでチェックしましょう。
モノラル化するためのプラグインを必ず用意しましょう。必ず。
Waves S1でも、Ozone Imagerでも何でも良いです。
付属のステレオ操作プラグインでも全く構いません。
むしろ品質が悪いプラグインの方が過酷なチェック用に向いています。
LRを単純にモノラルに合成した際、左右に極端に散らした音が干渉し、音が消滅してしまうことがあります。また、極端にステレオを強調したミックスの場合はモノラル化した時に音量バランスが著しく乱れます。
ヘッドホンだけで作ったミックスがクソになる最大の理由がこれです。
次の海外記事もどうぞ。
In stereo, it might seem like the piano’s dynamics are well balanced. But in mono, you may notice that every now and then its volume spikes, covering up the vocals.
「ステレオで良く聞こえていても、モノにするとバランスが崩れるよ!」と言っています。
また、解消方法についても詳細に説明されています。
要約すると、「モノで聞いて音量を調節すれば、自然とプロっぽいバランスに仕上がるよ」ということです。
そりゃもちろん「ヘッドホン推奨!」とか主張することは可能ですが、そういう素人コミュニティでだけ行われているミックスが当たり前だと思いこんでいると、活動フィールドが半減します。
素人グループの常識は世界の非常識です。
確かに自分のモニター環境専用にミックスすれば、プロより良い音のように仕上げることは入門者でも可能です。しかし、優れたミックスの条件とは『異なる環境でも、あらゆる過酷な環境でも一定して聞こえる』というバランス重視の仕上がりだ、ということは絶対に忘れてはいけません!
・安いイヤホンのことも考えよう
現在はイヤホンによるリスニングが広く普及している時代です。
安価なイヤホンでのチェックも忘れてはいけません。
私達音楽家が「安価」と呼ぶものと、一般人が「高級」と呼ぶものは同等だと言えます。
ためしに近所の電気屋に置いてある一番高いイヤホン(6000円くらいかな?)を買ってみてください。その音が一般人が手に入れる機会のある「最高の音」です。
狂っているのは世の中ではなく、私達音楽家の金銭感覚だと自覚するべきです。あなたの周りで1万円以上のイヤホンを所有している人を探してみてください。質問して回っているうちに「え?ていうか1万円もするイヤホンなんてあるの?」と逆に質問されるはずです。
一般家庭で旦那さんが嫁さんに「仕事で必要だから良いスピーカー買いたい。」なんて言ったらどうなるでしょう。
嫁『スピーカー?わたしも良い音で聞きたい。白いのが良いな。』
「20万。」
嫁『は?』
「あ、ごめん。片方で20万。ペアだから40万。」
と言ったら、ペア(婚姻)を解消されてしまうかもしれません。
■Waves様も推奨しています
8 Tips for Great Sounding Mixes on Small Speakers
Wavesでの記事リリース日は2018年5月24日。
つまり私が教わった時期や、私がこの記事を書いた時期よりもはるかに後です。
書かれている内容は、
・再生可能な周波数の狭さに注意する(チープ環境の度合いは800以下、400以下、200以下)
・その範囲内にすべての楽器を収める
・音量差を狭くする
・小さく聞いてみる
・高周波数帯域を強くし、チープ環境でも発音可能にする
というものです。
また、オーラトーンについても同様に触れられています。
要するにWavesが言ってることは、私の師匠が教えてくれたことと同じです。Jason Moss氏が言っていることとも同じです。
私が言ってるだけだと信用できない人も多いことでしょう。
しかし、海外の一流エンジニアやWavesも同じことを言っているのであれば疑う人はまずいないのではないでしょうか?
当ブログでは多くの海外記事翻訳も掲載していますが、それは私が言っているだけだと信憑性が低いと思われることを予測しているからです。「海外一流のエンジニアも同じことを言っているよ!」という箔付けのために翻訳活動を行っています。右から左に伝言しているだけではないことは、他の記事を見ていただければご理解いただけるはずです!
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以上を理解した上で、続きの記事もどーぞ。
eki-docomokirai.hatenablog.com
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やり方や判別方法が分からない場合には個人オンラインレッスンで丁寧に対応しています。
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