eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

NHK「奇跡のレッスン」ランディ・ジョンソン回が神回だった件

(雑記近況)TV番組のお話です。今回はすっげー面白かった。いわゆる神回。

www.nhk.or.jp

 

 


毎回じゃないけど優先的に見るようにしてる番組です。

私は音楽レッスン仕事をしていることもあり、この手のコンテンツには強い興味があります。

 

今回は泣く子も黙る大投手ランディジョンソン。

ランディ・ジョンソン - Wikipedia

殿堂入りしている鬼ピッチャー。

サイ・ヤング賞5回、メジャーリーグ歴代2位の三振回数を誇る、まぁ控えめに言ってバケモノです。

 

野球にそれほど興味の無い母親でさえ「あ、この外人見たことある!」と覚えているんだから、それは凄いことです。

来日した時にはテレビで大騒ぎになっていたこともあるので覚えているのでしょう。

 

■音楽家がスポーツから学べること

学生時代から「技術を身につけるノウハウ」について最もためになったのがスポーツマンの学友との付き合いでした。

抽象的で形の見えない音楽だけから学ぶより、明確な形が目で見えるスポーツの方がはるかに洗練されていると思っています。

野球選手、レーサー、武道家、スピードスケート選手、アイスホッケー選手、などなど。

これまで音楽と無関係な世界の人たちとのお付き合いから多くを学びました。

知ったかぶりや知人自慢のためではなく、別世界の「何か」を学び取ろうと願ったからです。

 

もしそれらの付き合いの時間を音楽家との交流時間にしてたら、私は今とは違った形になっていたかもしれません。が、そういう他分野との交流から学んだものは、純製培養のエリート音楽家では獲得できない「何か」を私にもたらし、スペシャリティにつながっていると確信しています。

 

ランディ・ジョンソンのレッスン

 

  • 毎回の動作からフィードバックを得て、毎回修正する
  • 自分が自分のコーチになる
  • 自信を持つ、自分がキメると考える
  • (教える際は)まず褒める
  • あらゆることから学び続ける
  • 甘えない

 

・プラスの話、マイナスの話、自己演出

印象深かったのは(日本人へのリップサービスもあるのでしょうが)イチローに内野安打を打たれた時の話。

ピッチャーが投げ、イチローが打つ。
その内野ゴロの打球はピッチャーが担当するべき位置。
わずかに反応が遅れ、内野安打がセーフに。
そのことを悔やみ、「ピッチャーも投げた後は内野手のひとり」という教訓を中学生に刷り込む場面。

同じセリフは野球漫画『タッチ』にも登場しますが、扱い方がまるで違います。『タッチ』では「まぁお前の珠を内野ゴロにできる奴はそうそういないがな」と軽く流すのですが、ランディジョンソンは自らの苦い経験としてシリアスに語ります。

超一流のカッコイイ話より、超一流なのに悔しいエピソードを語るこのシーンは印象的でした。

日本人なら誰もが知るイチローに負けた場面を、あえて日本人に語ることで、この上ない強烈な刷り込みになると計算していたのではないでしょうか。

完全試合達成のエピソードも、
「その日は調子が良くなかった」と語り始め、「1球1球、修正し続けることで達成した」と、その日の調子は無関係で、もっと大事なのは全ての行動をチェックし、修正し、実行することだと静かに語ります。

 

■音楽レッスンへの応用

もちろん音楽のレッスンにそのまま使えるものではありません。

しかし、教える側に立つ者に求められる姿勢、微細なレッスンテクニックなど、多くの点が参考になります。

 

私は「俺は◯◯と一緒に仕事をしたから凄いんだ!」とか「生産終了したビンテージの◯◯を持ってる!すごいだろ!」「◯◯は実は巨根だ!便所で見た!」などの音楽的な価値の無い箔付けだけのレッスンをして『自分の先生は◯◯と一緒に仕事をした凄い人だぞ!』としか言えない無能を育てる気は無いです。

今回のランディ・ジョンソンも、意図的に自分の敗北を語り、一流になる前のダメな話と、成長のきっかけを語り、親近感を抱かせて、相手にスピーディに受け入れてもらう工夫をしていると感じました。

 

教えるってどういうことだろう。技術書を読んでも絶対に分からない、マンツーマンのスペシャリティとは何だろう?そういうことを考え続けています。

正論やギョーカイ知識を述べるだけなら技術も実績も無い人でも、台本を読めば良いだけです。たぶん役者がやった方が良いでしょう。しかしそれは専門的なレッスンではないと考えています。

 

 

正直、ハズレ回も多い番組ですが、そこも含めて非常に優れた番組だと思います。おすすめです!

内容のない歌番組よりよほど有意義な時間になると思います。

 

スーパーピアノレッスン

なお、過去最高に面白かったレッスン番組は「スーパーピアノレッスンがダントツです。

マスタークラスの殺伐としたレッスンをテレビ番組にしたNHK最大の狂気とも呼ばれる伝説の音楽番組です。

「奇跡のレッスン」のような子供相手ではないので、抽象的な言葉が切々と流れ、微細な演奏変化を楽しめる、静かでアツい番組。まさに音楽の真髄に迫るハイレベルな音楽コンテンツでした。

興味がある人はどーぞ。(2018年6月5日現在、DVD4枚ボックス、中古価格29980円)

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