eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

(海外記事)「プロはダイナミックEQをこのように使うのだ」

(人気記事!)海外記事の紹介です。ダイナミックEQは近年急激に普及している便利なプラグインです。ミックス技術情報でダイナミックEQについて具体的に書かれているものがほとんど無いので、ダイナミックEQを積極的に活用する海外TIPSを紹介します。 

(2018年10月10日更新)

 

■実機のダイナミックEQ

実機のダイナミックEQもあるにはあるようなのですが、名前を聞いたことが無いです。

たぶん非常にマニアックなんだと思います。

www.gearslutz.com

bssaudio.com

www.otaritec.co.jp

 

その他、民生用オーディオ再生機器でも変態的な凝ったものだとダイナミックEQを備えているものがちょこちょこあります。そういう機能を通して出した音でピュアオーディオを名乗っている人が「音が良くなった!」とか言ってる人がいたりするので、まじで(自主規制)と思います。

DTM初心者がコンプに全力で突っ込んだ音を「迫力がある!」とか、EQでハイロー上げしたり、ステレオを広げたものを「高音質!」と喜んでいるのと同じですね。

 

■アクティブEQ?

ダイナミックEQは別の呼ばれ方では「アクティブEQ」と呼ばれていることもあり、要するに入力音量に反応し、音割れしない処理をするEQです。

つまりリミッター(コンプ)の機能+EQということです。

 

アクティブEQ(能動的の意味)の対義語は、パッシブEQ(受動的の意味)。

dynamic(動的)の対義語がstatic(静的)。

 

EQの分類には「グラフィカルEQとパラメトリックEQ」という分け方の他にそういう分け方もあるよ、と覚えておくのがDTMのミックス技術話的にはモダンな分類じゃないかなと思います。

もしダイナミックEQを持っていないなら1つは持っておくと良いと思います。

 

下記事で紹介されているAE400はActive EQの略でAEです。

www.minet.jp

 

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■海外記事の紹介

時々紹介しているSonicscoopの記事です。

https://sonicscoop.com/wp-content/uploads/2018/03/Dynamic-EQ_html_4f2309b5-1024x604.jpg

https://sonicscoop.com/wp-content/uploads/2018/03/Dynamic-EQ_html_4f2309b5-1024x604.jpg

https://sonicscoop.com/2018/03/15/dynamic-eq-tips-from-the-pros-what-it-is-and-how-4-top-mixers-use-it/?singlepage=1

 

この記事では「ダイナミックEQはまだまだ『新しい道具』だから、その用法について普及していないよね」というスタンスで書かれています。何人かのエンジニアの主な用法を列記しているので、「あー、あなたはそういう使い方をしてるのね」という具合に読んでみるのが良いです。

 

以下に書かれている主な用法を挙げておきますが、1つだけ注意点があります。これらは1つの曲の中で同時に使うテクニックの紹介ではありません!全く違う人が複数の曲で「こういう使い方をすることがあるよ」と言っているだけです。

  • 小さすぎる時に上げ、大きすぎる時に下げる処理が簡単
  • 通常の「EQ+コンプ」の前処理と、後処理に2つのダイナミックEQを使って整える
  • 通常のEQとコンプと、それらのオートメをゴリゴリ書くより優れた状態に一気に到達できる
  • ボーカルに対して徹底的に使う
  • ボーカルの特定帯域を安定して聞かせる
  • ボーカル動いてがマイクとの距離が変わって変質した音を補正
  • 外科手術(手段を選ばず音を改造する手法)(あるいはクソ音補正)
  • ディエッサーより優秀に働くこともある
  • マルチバンドコンプの欠点を補う。「クロスオーバーポイント」の不自然さを修正できる。
  • ベースとキックの低音の競合を帯域サイドチェインで処理
  • さらにそれらをまとめてバストラック安定した低音パートを確保する。
  • バストラックで自然なディップを作れる
  • バストラックでも帯域サイドチェインが自然
  • 激しすぎるサウンドをうまく抑え込んでくれるので、最終的により太い音に到達できる
  • ダイナミックEQの処理はフルに使わず、半分程度に控えると良い
  • ✖(欠点)早い段階で使いすぎると悪い点が隠れてしまい、もっとベターな処理を見落とすから注意。特にサイドチェイン使用時。
  • ✖(欠点)なんでもダイナミックEQでやるより、マルチバンドトランジェントの方が良いこともあるね

 

などです。

より詳しい内容は原文で読んでください。

 

■おすすめのダイナミックEQ

ダイナミックEQはフリーのものだと「TDR Nova」が入門用にちょうど良いと思います。

www.tokyodawn.net

まずはTDR Novaを使ってみて、上に書いてあるような処理に挑戦してみると良いと思います。

 

有料のものだと、

Waves C6とC4

C6 Multiband Compressor | Media Integration, Inc.

C4 Multiband Compressor | Media Integration, Inc.

 

 

Waves F6(当ブログ過去記事)

Waves F6を試してみた。 - eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

こちらは同Wavesが「フローティングバンド・ダイナミックEQ」と名付けているとおり、EQベースの見た目です。が、個人的にはWaves C6の方が便利だと感じました。

 

Toneboosters EQ4(当ブログ過去記事)

ToneboostersのEqualizer4のレビュー - eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

Toneboosters FLX(当ブログ過去記事)

Toneboosters FLX v3という神プラグイン - eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

個人的にはToneboosters FLXが圧倒的に良かったです。 

 

■ダイナミックEQとマルチバンドコンプとマルチバンドリミッターの違い

実際のところダイナミックEQとマルチバンドコンプ(マルチバンドリミッタ)の差はそれほどありません。厳密な境界線は無い、と言っても良いです。

しいて言えば、

  • EQの見た目でコンプの機能を追加したのがダイナミックEQ
  • コンプの見た目でEQ的な用途を追加したのがマルチバンドコンプ
  • リミッター目的に特化しているのがマルチバンドリミッター

という感じでしょうか。

できることはどちらもほぼ同じです。

 

ただ、往々にしてダイナミックEQと名付けられている物の方がEQシェイプ形状が多彩です。通常のEQのノリでピンポイントの加工がやりやすいです。

マルチバンドコンプと呼ばれているものはシェイプが固定です。下から上まですべての帯域を分割しているので、トータルサウンドの加工がやりやすいです。幅広い帯域を水平に処理しやすいです。

モダンなダイナミックEQはシェイプ品種が多くなってきているので、差は無くなってきていると言えます。

 

 

EQベースで作られているDynEQの方が「触らない帯域」を確保しやすいです。

それに対し、マルチバンドコンプ(リミッタ)は触らない帯域を確保するために1バンド帯域を殺すことになるのが欠点です。4バンドとか6バンドあったらすべて触りたくなるでしょ?で、結果的にすべての帯域にも触ってしまうことになります。

ピンポイントに2箇所の細い帯域を処理したい場合には、4バンドのマルチバンドコンプでは不可能です。が、ダイナミックEQなら2バンドで目的の帯域をフォーカスできます。

ここから言えることとして、マルチバンドコンプの使い方のコツは「あえてコンプしない帯域」を意識することだと言えるかもしれませんね。

 

また、ダイナミックEQの方が新基軸感が強く、直感的なGUIであることが多いです。実機のDynEQに優れた定番のものが無いこともあり、「アナログ実機ガー」という価値観に縛られにくいからかもしれません。

 

・なんでダイナミックEQを推薦しないんだろうね? 

あと、今後ミックス系の本を書いたり教えたりする人は必ずダイナミックEQについて書くべきだと思います。これから学習する人は新しい道具を覚えるべきだと思いませんか?

「コンプって難しい!」という職人基質を叩き込んで上達しないより、簡単なダイナミックEQでミックスをさっさと覚えさせて、曲作りに専念する時間配分をした方が良いと思うんです。カラテを極めて拳銃に勝てるようになるより、拳銃を持った方が早いです。

 

もちろんコンプとEQをそれぞれ基本から身につけることは重要です。

しかし、玉石混交なDTMの音の中では変則的な成形技術が必須です。周波数帯域が精密に可視化されている時代ですから、加工するべきポイントは初心者でも明確に判断できるからです。その帯域に特化するために、ブラックボックス化されたアナログ再現モデルのプラグインを探し続けるのはナンセンスな時代だと思うんです。

整った音で録音されたトラックのみを扱う既存のミックス技術だけではクソ音に対処しきれないのは事実ですから、旧態依然とした古臭い技術を学ぶより、一気にダイナミックEQを手に入れてしまったほ方が色々と一発で終わるんじゃないの?と私は考えています。

 

ある時は「老害」と言いつつ、アナログモデルに憧れるのは矛盾した態度ではないでしょうか?テクノロジーの恩恵は素直に享受するべきでしょう。

 

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■このように◯◯するのだ

記事タイトル「このように◯◯するのだ」は昔のゲーム攻略ビデオのネタです。

dic.nicovideo.jp

 

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■Meldaの動画チュートリアル

2018年10月6日の動画ではモダンな用法のチュートリアルが公開されています。

www.youtube.com

ここで紹介されている用法はマルチバンドであるだけではなく、「アップワード」が可能なモダンコンプの用法です。

 

f:id:eki_docomokirai:20181010034910p:plain

モダンなコンプでは、従来の古典的コンプの「潰して」「持ち上げる」という処理だけではなく、ダイレクトに持ち上げる処理がやりやすくなっています。これを特定の帯域に対して用いることでパンチのある音に仕上げることができます。

Meldaのコンプ系は本当に変態的で、非常にクリエイティブな用法が示唆されています。GUIさえもうちょっと普通なら誰にでも奨めたいのですが…… 随所ににじみ出る変態性によって万人ウケしない設計で本当に損をしているメーカーだなぁと思います。使い慣れるとあらゆる加工がイメージ通りに仕上がる優れたツールです。しかも安い。

 

古典的なアナログシミュレートコンプだけではなく、こういう未来志向のプラグインも試してみてはいかがでしょうか?

 

・他社製品でも可能

同様「マルチバンド」+「アップワード」は私が愛用しているToneboosters FLXでも可能です。

eki-docomokirai.hatenablog.com

eki-docomokirai.hatenablog.com

Toneboosters FLXは本当にすばらしいです。が、これも非常にクセのあるGUIなのが難点です。でもあまりにも素晴らしいので上の紹介記事を書いています。

 

他、他社のモダンなプラグインであれば同様の処理が可能です。

 

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