DRAnalyzerは「音圧爆上げくん」(メーカー名)からリリースされたフリーのスペクトラムアナライザです。
ブラー表示を使うことで帯域ごとの音圧を表示することに特化した、ちょっと変わったスペアナです。
■入手
フリー。VST2、VST3。64bitあり。
zipには日本語の説明htmlも同梱されています。
■単体で使っても無意味
大事なことなので最初に書いておきます。
単体でスペアナ表示だけ行っても飾りにしかなりません。
こういう感じで複数表示して使うべきものです。
詳しくは後述します。
■良くも悪くもブラー表示
やや遅めのシークタイムを複数重ねることで音圧を表示してくれます。
他のスペアナでRMS用に設定をした時のように、その帯域の今の音圧を「ここです!」と明確に示してくれるわけではなく、あくまでもブラーです。
最速モードでも消滅まで3秒程度のブラーです。
見た目は幻想的で美しいのですが、スペアナに要求されるべき機能としてはどうなんだこれは?という印象です。
ただ、既存のスペアナで設定をちゃんと行えない人にとっては素晴らしいものとなるはずです。そしてそういうタイプの人は往々にしてこういう美しいGUIを好む傾向があるので、良いターゲッティングだと思います。
ほどよくスムージングされているのは音楽的に貢献度が高いです。Voxengo SPANをデフォルトのまま使っているよりは良いスペアナとして使えることは間違いありません。(逆に言えばピーク探しには全く使い物になりません。)
スペアナをしっかり調整しておく意義については、当ブログの過去記事を参照してください。
eki-docomokirai.hatenablog.com
■フレッチャーマンソン曲線表示
等ラウドネス表示ができます。これはとても素晴らしいことです。
詳しいことは同梱の取説に書かれています。
等ラウドネス曲線については当ブログでも取り上げています。暇人はどーぞ。
eki-docomokirai.hatenablog.com
等ラウドネスで見ることにどういう意義があるのか分からない人は使わない方が良い機能です。惑わされるだけです。
■スロープが無い
非常に残念なことにスロープがありません。
ホワイトノイズが水平で、のピンクノイズが6dB/oct.の右下がりになります。
等ラウドネス曲線表示まで扱うのであれば、スロープも装備して欲しいなぁと思いました。
■リファレンスで使おう
推奨される使い方はリファレンスでしょう。
このDRAnalyzerは曲単体に対して使っても、どの音圧を目指すべきなのか分からないので全く無意味です。
取説に書かれている、
帯域別ダイナミックレンジがわかると、マルチバンドコンプレッサーの設定を視覚的に根拠を持って行えるので、精度の高い圧縮を行うことができます。
という点については、当ブログの過去記事を参照してください。
eki-docomokirai.hatenablog.com
上のリンク先記事に書かれている作業をする時に、今回紹介したDRAnalyzerが真価を発揮してくれるはずです。
それでも不足を感じるようなら、アレを買いましょう。
アレです。アレ。Meldaのマルチアナライザー。
■オンラインマスタリングサービス
同社ではオンラインでのマスタリングサービス(2分以上は有料)も行っています。
2分以上が有償という点は非常に上手いソリューションだと思います。
本格的にフルコーラスの曲を作るのでなければ、2分で十分だからです。
いわゆるアニメOPサイズが90秒ですから、2分のマスタリングを行ってくれるのであれば、デモ制作支援として十分な尺です。
それ以上の何かを作りたい!と思ったら自分でマスタリングを行える装備を整えれば良いわけですからエンジョイ勢向けとして非常に優れていると思います。
もちろん私はこういうお手軽サービスを使うことはありませんが、新規でDTMを始める人にとって大きな支援となるはずです。