eki_docomokiraiの音楽制作ブログ

作編曲家のえきです。DTM/音楽制作で役立つTIPSを書いています。

Cubase最上位版の高速編集について。効率作業で時間短縮!

「こういう高速MIDI編集はCubaseでもできますか?」という旨の問い合わせがありました。

せっかくなのでブログのネタにします。

時短話と、カスタマイズ話、乗り換え話がごちゃまぜになった雑な記事です。後で分割するかも。

(2018年11月3日更新。日本語の誤用を修正。)

 

Cubaseのカスタマイズの話です。

答えは書きません。有料レッスンで教えています。

が、普段のDAW談義、雑談レベルでも話をしている範囲だけで書きます。

Cubaseの推奨する編集方針の基礎+ロジカルエディタとマクロの基礎をしっかり理解している人ならすでに実装しているはずです。もし実装していなかったとしても下の文を見ただけで数分で実装できるはずです。

 

FL Studioの高速MIDI編集はCubaseでもできますか?

下の動画は質問者が添付してくれた時間指定再生の動画です。

いずれも目的の箇所から始まるように指定されています。

Youtubeの時間指定再生は、URL末尾に、#t=1m30sもしくは#t=90sと追記するとできます。)

動画はいずれもFL Studioでの編集操作です。

 

1,指定した範囲を連続で複製

https://www.youtube.com/watch?v=CqpNVhPCpws&feature=youtu.be&t=4927

www.youtube.com

 

2,選択したノート群を重複させずに伸縮

https://www.youtube.com/watch?v=SE_pdKwJKLM&feature=youtu.be&t=1530

www.youtube.com

 

3,選択したノートを指定の細かさに分割

https://www.youtube.com/watch?v=SE_pdKwJKLM&feature=youtu.be&t=3981

www.youtube.com

 

 

結論だけ言うと、

いずれの操作もCubaseで可能です。

 

■私がそれをやる場合

ただし、全く同じ操作で、まったく同じ挙動ができるというわけではありません。

Cubaseでやる場合はこうする」

「他のワークフローと両立させる」

という2つの条件を満たしていないと本末転倒です。

 

 

 

 

実際にどのように実装するかは有料レッスンのみで行っています。

 

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・1,指定した範囲を連続で複製

可能です。

Cubaseの場合は、分割したいサイズにしてから反復複製で、求める長さに延長します。

やろうと思えば「全音符を8つの8分音符にする」ことはマクロでワンキー操作にもできますが、それが必要になる状況は案外少なく、実用性の低いマクロだと私は考えています。

 

・2,選択したノート群を重複させずに伸縮

可能です。

私はマクロで実装できていますが、Cubaseのマクロに習熟した人でもこれを実装できない人が多いようなので、難易度が高い、ということにしておきます。

フラムやロールなどの打ち込みスピードが段違いに速くなります。

ピアノやギターのストローク感の調整でも便利ですし、エレクトロでも連打のスピードを変えたい状況は多いので、ジャンルを問わず大きな時短となります。

また、2つ目の動画で行われているベロシティ編集はCubaseでも可能です。一括傾斜の場合はコントローラーレーンでハンドルを使用し、選択ノートのベロシティ調整はロジカルエディタで行えます。

 

ただし、それまでのワークフローを大幅に変更する必要が出て来るかもしれません。

今までの他の操作を一切変えずに、コレだけをやりたい!という願望はたいてい打ち砕かれます。何かを変えるなら、自分の操作の何かを変える等価交換だと思っておいた方が良いです。

従来のワークフローを一切変えたくないなら、新しい道具を導入できる隙間はありません。「自分を変えるか、環境を変えるか。」となった場合は、分野を問わず自分1人を変えた方が速いですし、時代に取り残される危険を回避できます。自分を変えることができないなら我慢を覚えるしかありません。 

 

・3,選択したノートを小節単位で複製

可能です。

ただし、手順がかなり変態的になります。

1小節の長さのダミーノートを配置し、それを含めて複製をします。

 

ダミーノートを使わない方法もマクロを駆使していけばできますが、仕様上の弊害があるのでダミーノートの方がお手軽です。

ダミーノートを活用した編集方法はあらゆる場面で便利です。

 

Cubaseはカスタマイズしてナンボ!

言うまでもありませんが、ロジカルエディタ(マクロ)で頻繁に使うものはショートカット化しておくことが必須です。

このショートカット化までの手順が非常に冗長なのがCubaseの構造的欠陥ですが、カスタマイズをちゃんと習得すればCubaseが最速だと言われ続けている理由を実感できるはずです。

ブログ内外でたびたび主張していますが、デフォルト状態のCubaseは非常に使いにくいです。

 

だから私は、カスタマイズについてちゃんと手引きを書いていないCubase関連書籍は「教科書ではなく広告でしかない」と言っているわけです。それを指導できないサポートやオフィシャルインストラクターも同様です。

彼らにクリエイター視点は無く、広告屋、宣伝部、販促でしかないんです。

そういう連中の文言を右から左に流すだけのブログ屋も同様です。

 

 

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 以下、カスタマイズの結果として得られる「時短」の話。

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■他のDAWと同じことをしたい、と考えてはいけない

国内外のフォーラムで「Sonorではこういう操作だった。Cubaseでも同じようにしたい。」という旨の発言を頻繁に目にします。

以前に使っていた道具と同じ操作にはできません。逆も同じです。

もしどうしても同じにしたいなら、極めて変則的なことをしなければならず、安定性を損ないます。

 

これはDAWに限ったことではありません。あらゆる道具に共通する「乗り換えのジレンマ」です。

 

まず考えるべきは、「新しく使い始めた道具が、どういう目的で、どういう使い方を推奨しているのか?」ということです。

 

あらゆる道具は「慣れ最強」です。異論は認めない。

人間は手にした道具に対して自分の運動神経を変えて馴染んで行きます。

馴染むのは道具の側ではなく、人間の手と脳が道具に慣れていくだけです。

 

パラスポーツ(身体障害者スポーツ)など、身体の欠損を補うハイテク関連の書籍などを読んでいると、「人間は後天的に装着された器具に対して適応していく能力がある」とのことでした。

 

新しい道具を使う場合、自分を少し変えましょう。

新しい靴を買ったのだと思って割り切りましょう。

道具を持ち替えた時にまずやるべきことは「慣らし」です。

 

最初はやりにくくて当然です。

積極的に「今は慣らしの時期だから、慣れていくことを楽しもう」と考えるべきです。

「アレと同じことができないとかクソだな」と考えている限り、望む道具は手に入りません。絶対に。

漫画『頭文字D』がそれを教えてくれた。

人間の愚行と、その先にあるロマンについて徹底的に描ききった偉大な漫画だと思ってる。時代遅れのマシンで最新マシンをぶっちぎる。最高じゃないか。でも、『頭文字D』は「AE86は人を育てるマシン」だという若年期の息子とそのライバルを見守るオヤジの話であって、AE86を相棒として、あるいはライバルとしてこだわり、やがてAE86から離れていく若者たちの青春群像物語なんだよ。

拓海は自分で望んでAE86に乗ったわけじゃなく、他に選択肢が無かったから仕方なく乗っていただけだという点は見落としてはいけない!

 

新しいものを否定する考え方を強固にしすぎると、若い頃に思っていた「ああいう大人にだけはなりたくない」と思っていたはずのクズになってしまいますよ!

 

 

■目的は「音楽の制作」だけ

ロジカルエディットとマクロをそこそこ理解していれば、すぐに作れる程度のものですが、マクロが苦手な人は全然作れないようです。

バカにしているわけではありません。

知人の立派な作家さんはCubaseのこの手のカスタマイズをまったくやらずに、本当に素晴らしい曲を作っています。

そういうタイプの人はとにかく体力と根性があり、地道な編集をやりつづけることで作品を仕上げています。

 

逆に、カスタマイズすることにとらわれてしまっていて、音楽力が伸びないタイプの人もいます。

 

最終目的は音楽を作ることですから、その手順はどうでも良いんです。

 

1日、1週間の中でDAW操作に使える時間が何時間あり、自分とクライアントが求める完成度がどこにあるのかをちゃんと見定める能力ことが大事です。

 

知人のプロ作家の人の作業を見せてもらっても、私のやりかたからしてみれば「そんなの3秒で終わるのに」という編集に数分かけている人もいます。そういう時に「こうすれば一瞬で終わるよ!」というノウハウを教えることで小遣いをもらえたりもしています。つまり、彼らのこれからの音楽人生の時間を与えていることへの対価です。

 

・納得を優先する人

マチュアの人で割りと多く見かけるのが、こういう「素早い操作」を嫌うタイプの人です。

マウスで1つ1つの音符を入念に触り、ベロシティやデュレーションを手作業で仕上げる「地道さ」に何らかの価値を見出すタイプの人です。

地道な操作を長時間繰り返すことで得られる心地よい疲労感と達成感。

それは大事なことだと思います。

 

私も昔は「全選択でランダマイズしてから、聞き流しつつ要点だけを強調する編集をした方が速いよ」と説得していたことがあるのですが、どうやら彼らが求めているのは「速さ」ではなく「納得」なのだということを理解しました。なので、今では「納得派」の人にはスピード編集を押し付けることはしていません。

そういう狂気じみた入念さを信条としているからこそ生まれる魅力があるはずですし、今の音楽生活においてスピードを求めていないからです。

変な例えで言うと、食事をゆっくり楽しんでいる人に「こうした方が早食いできるよ」と力説しているようなナンセンスさがあるからです。

将来的に彼らが大量の楽曲をさばかなければならなくなった時に、「納得」よりも「納期」が絶対的な制約になるはずです。そういう時に「納得」をどこまで捨てる割り切った考え方にシフトできるかの問題です。

 

・「速さが足りない」と感じる段階

時間は全ての人に対して平等で、残酷です。

近代社会の発展が交通機関と情報伝達手段の高速化によるものだ、というのは常識です。

ch.nicovideo.jp

 

あなたがこのブログを読めているのも、冒頭のYoutube動画を瞬時に確認できているのも、テクノロジーが「高速化」を目指した結果です。そしてインターネットが生まれた歴史的背景は、国家が存亡をかけた戦いで勝つためには情報の高速伝達こそが重要だと考えられたからです。マシンガンの連射速度より、爆弾の威力より、何よりも情報が勝敗を分けると真剣に考えられてきたからです。

 

マチュアが大量の曲を作らなければならなくなる最初の機会は、たぶん同人ゲームのBGMを2ヶ月で10曲作るオーダーが発生した、という状況だと思います。それまではせいぜいワンシーズン1曲でのんびりとボカロ曲を作っていたのが、突然10曲まとめて依頼を受けた、という感じ。

はやのんびり納得が行くまで作業をしている余裕も、ニコ生でDTM作業配信と銘打っておきながらコメントで寄せられる機材雑談に付き合っている余裕もありません。2ヶ月は60日。60日で10曲ということは6日で1曲。2ヶ月10曲というのはそういうペースです。

(私の最速ペースだった年は1年で200曲くらいでしたから、単純計算で1.8日で1曲です。別に速くないですよねこれは。知人は300曲以上やっていました。どうでも良い微調整を捨てれば、そのくらいの数はできるものなんです。で、そういうスピード作業から作られた曲はやっぱりそれなりに雑です。「プロなんか大したことない」という話は、そのスピードを度外視していることがほとんどです。)

 

そういう経験を経て、スピードの重要性を痛感し、いわゆる「パレート法則」を意識した、プロの時短コンセプトの重要性に気がつくはずなんです。

 

パレート法則については過去記事で書いています。

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

「変化の分からないレベルの微調整に時間をかけず、もっと大きなインパクトを生む可能性の残っている項目の作業をしようぜ?」という話です。

でも人は目に頼っている生き物なので、目の前のDAW画面に見えているピアノロールの微調整をしたくなる悪癖がある。

「一度仮マスターを書き出して、DAW閉じて、PCの前から離れて聞いてごらんよ。そうすれば本当に直すべき点にちゃんと耳が反応するから。」ってことです。

人は基本的に愚かなんです。

 

 

・その新機能は時短か?

ついでなのでパレート法則に関連する近況を書いておくと、Cubase9.5の曲線編集は必要無いですよ?

だって、それまでのバージョンであなたはどうしていましたか?

曲線にできないからと言って、全てをカーブ化するために手作業で分割していましたか?もし毎回分割をやっていななかったなら、必要無かったってことです。

 

新機能として紹介され、GUIがついたからなんとなくカーブさせてるだけでしょ?

フィルター等があるタイミングに向かって上昇下降していくことが重要なのであって、そのカーブの曲率の微調整なんて、楽曲に対して何の効果も与えていないんですよ。

 

もし時短効率化について興味があるなら、新機能が本当にプラス効果をもたらしているのか、それとも数十秒を奪われているだけなのかということを真剣に考えてみてほしいんです。

 

・上達しなくても良い人たち

微調整を必要以上に持ち上げる悪癖が常態可すると「細かい編集をやり続けると、作品に魅力が宿る」と錯覚するようになります。

スキルアップしていく気が無いならそれで良いのですが、もしスキルアップを目指すなら、根本的なワークフローの見直しが必須となります。慣れたつもりの道具を持ち変えることで、さらに上に行ける可能性を獲得できます。(道具ってのはDAWもそうだし、音楽を理論で考えるようにすることも含まれます。)

 

いや、別に上達しなくても良いんですよ。人の人生はそれぞれなので。

 

もし全てにおいて上達だけを目的にしてしまうと、気軽に食事することもできなくなります。

料理だって人生をかけて挑んでも極められない奥深い世界なのは誰もが知っていることです。でも、何も考えずに適当に食べてるでしょ?

学生時代にアルバイトをしている友人がいて「ファミレスだけは行きたくない。裏を知ってしまったから。」と悲しい顔をしていました。本来楽しいことをに仕事として従事すると、そういう「知らないほうが良かった知識」まで身に付いてしまいます。

料理に対して「エンジョイ勢」であるなら、音楽に対して「エンジョイ勢」な人たちに「上達しろよ。時短だ。Cubaseをカスタマイズしろ」と言うのは完全に頭がおかしいですよね。ってことです。 

余暇で音楽を楽しんでいる人がいるなら、それだけで良いんじゃないかな?と思います。

ただし、そういう人とは音楽を通じて友達になれるとは絶対に思えません

生産者と消費者。あるいは先生と生徒。そういう壁のある関係にしかなれません。「わー、Cubase使いなんですね!仲良くしましょう!」と言われても、ちょっと無理です。

 

料理だけじゃありません。車や自転車、靴を真剣に作っている人がいて、道路や水、電気、インターネットを24時間ノーミスで管理することを達成するために真剣になっている人たちがいます。

 

音楽だって同じです。

楽しませるための裏方なんですから、苦しくて当然です。「楽しいものを作っているんだから、もっと楽しそうに仕事をしろ」なんて言われても無理ですよ。真剣になればなるほど無表情でポチポチ作っていて当然だし、効率化について考え続けるようになって何がおかしい?ってことです。

 

 

 

もし友達付き合いをするなら、お互いが興味の無い気楽な分野で、つまり釣りでもしながら猥談でもしている方がピュアに楽しいはずです。

 

 

 

・クオリティ上げの成長期と、スピード重視の成熟期

時間があるうちは「入念」「納得」を大事にし、クオリティの限界を押し上げることが重要です。

パレート法則は「100点のうちの80点を取る」コンセプトですから、その100点満点が50点にしか到達できないキャップがかかっているなら、どんなにパレート法則に則った時短を行っても「50点のうちの8割=40点」しか出せません。

 

限界を押し上げるための成長期は絶対に必須です。

ろくなスキルが無いうちから「プロは時短効率を考えるから」という知識だけを振りかざしていると全てが崩壊してしまいます。

「プロが5分で作った曲は、それまでの人生の時間+5分だ」という言葉だけを噛みしめるべきです。ろくなスキルが無いのに「プロは5分の曲を5分で作る」というかっこ良さげな部分だけを抽出するのは害にしかならない情報です。そういう話ばかりかき集めるのは勉強ではありません。

 

徹底したクオリティ上げを目指す生き方は、効率を求める以前の前段階として重視されるべきです。

 

・限界アップ+時短効率

プロ野球選手はすさまじい筋トレをしますが、試合で使うのは軽いボールとバットだけだということです。(こういう考え方は音楽だけをやっているより、スポーツマンとの交流によって気が付かされるものです。)

 

 

時間に追われる生活になれば、「早食いスキル」がいかに重要かが分かってくるはずです。それは音楽スキルと関係なく、受験勉強や社会人としての生活でも培われるはずです。

1日が24時間で、睡眠しなければ数日後には絶対に倒れ、年齢を重ねていけば望まぬ病とともに生きることになり、結婚と出産によって自分の時間が減っていく。時間は全ての人にとって平等で、そして残酷なものです。

 

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■レッスンの案内

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